「人を採用したい」
そう考えていない会社は、ほとんどありません。
住宅・不動産業界でも、多くの企業が人材採用の重要性を感じています。
会社を成長させるため、お客様への対応品質を維持するため、そして既存社員の負担を減らすためにも、人材採用は欠かせない取り組みです。
また、新しい事業展開や組織拡大を考えるうえでも、採用は企業の未来に関わる重要なテーマになっています。
一方で、採用現場ではこのような声を聞くことがあります。
「求人を出しているけれど、思うような採用につながらない」
「人材紹介会社にも依頼しているが、なかなか決まらない」
「採用を強化したい気持ちはあるが、日々の業務で十分な時間を使えない」
住宅・不動産業界では、採用競争が以前より激しくなっています。
もちろん、人材不足という市場環境の影響はあります。
ただ、採用支援の現場に携わる中で感じることがあります。
採用が進まない理由は、本当に「人がいないから」だけなのでしょうか。
実際には、
・採用したい。
・採用の必要性も理解している。
でも採用活動そのものが思うように前へ進まない。
そんなケースもあります。
そこには、住宅・不動産業界ならではの採用の難しさがあるように感じています。
住宅・不動産業界の採用環境は変化している
以前は求人を掲載し、応募が来た人を選考する。
この流れで採用につながるケースも多くありました。
しかし現在、採用活動は大きく変化しています。
求職者が得られる情報は大きく増えました。
求人情報だけではなく、企業口コミ、SNS、採用ページなど、さまざまな情報を比較しながら転職先を選ぶようになっています。
候補者側も企業を比較しながら転職活動をしています。
特に経験を持った人材ほど、複数企業から声がかかることもあります。
企業が候補者を選ぶだけではなく、候補者からも企業が選ばれる時代になっています。
これは住宅・不動産業界でも同じです。
住宅・不動産業界は職種ごとに採用の難しさが違う
一言で住宅・不動産業界の採用と言っても、職種によって求められるものは異なります。
<住宅営業の場合>
単に営業経験があれば良いというわけではありません。
住宅は、お客様にとって人生の中でも大きな買い物です。
商品理解だけでなく、信頼関係を築く力や長期的な提案力も求められます。
<不動産営業の場合>
売買仲介、販売、仕入れなど仕事内容によって必要な経験や適性は変わります。
営業スタイルや成果の出し方も会社によって違います。
<施工管理の場合>
現場経験だけでなく、工程管理、品質管理、協力会社との調整など幅広い力が必要になります。
企業により担当業務範囲も異なります。
また建設会社など、他業界との人材競争になることもあります。
<設計職の場合>
経験してきた建物領域、設計スタイル、働き方、将来的なキャリアなど、マッチングするポイントは複数あります。
その他、用地仕入れや不動産管理(PM)なども、専門性が必要になる領域です。
つまり住宅・不動産業界の採用は、
「人数を増やす」
だけではなく、
「事業に合う人材と出会う」
難しさがあります。
採用は重要。でも目の前の業務も止められない
採用活動が思うように進まない理由は、採用への意識が低いからではありません。
むしろ住宅・不動産業界では、人材採用を重要な経営テーマとして考えている企業が多くあります。
一方で、この業界の日々の仕事は常に動き続けています。
お客様との商談や契約対応、物件に関する確認、建築現場の管理、引き渡し後のフォローなど、目の前のお客様や現場に関わる重要な業務があります。
営業担当者、技術担当者、管理部門、それぞれが日々優先度の高い仕事と向き合っています。
その中で採用活動には、一つ難しい特徴があります。
それは、
「重要だけれど、緊急度が見えにくい」
ということです。
今日採用活動を見直さなくても、今日のお客様対応や現場業務が止まるわけではありません。
しかし、注意しなければならいのは、半年後、一年後に振り返った時、
「もっと早く採用活動を強化しておけばよかった」
という課題につながる可能性があります。
だからこそ、日々の業務を進めながらも、継続的に採用活動を動かしていく仕組みが重要になります。
採用活動には見えない仕事が多い
採用活動というと、求人を作り、応募があった方と面接をする流れをイメージされることが多いかもしれません。
もちろん、それらも採用活動において大切な業務です。
しかし現在の採用では、その前後にある見えにくい部分が成果に影響することも増えています。
例えば、
・どのような人材を採用するべきなのか。
・現在の採用市場と求める条件にズレはないのか。
・求人内容は、自社の魅力や仕事内容を正しく伝えられているのか。
・どの採用経路から可能性のある候補者と出会えているのか。
・選考途中で改善できるポイントはないのか。
こうした部分を確認しながら、少しずつ改善していくことが必要になります。
特に住宅・不動産業界では、職種によって求める経験や人物像が大きく異なります。
営業職、技術職、専門職など、それぞれ採用市場や候補者が重視するポイントも変わります。
だからこそ、求人を出して終わりではなく、状況を見ながら採用活動を動かしていくことが重要になります。
採用は単発の募集活動ではなく、継続的に改善していくプロジェクトに近くなっています。
「担当者がいる」と「採用活動が進む」は必ずしも同じではない
採用担当者がいる企業でも、採用に課題を感じるケースがあります。
これは採用担当者の問題ではありません。
現在の採用活動で求められる役割が、以前よりも広がっているためです。
・求人を管理する。
・応募者と連絡を取る。
・面接の日程を調整する。
・入社までの手続きを進める。
こうした日々の採用業務に加えて、現在では採用活動全体を改善していく視点も求められています。
例えば、
・採用市場の変化を把握すること。
・求める人物像を現場とすり合わせること。
・採用手法ごとの成果を確認すること。
・候補者に自社の魅力が伝わっているか見直すこと。
こうした取り組みも、採用活動の重要な一部になっています。
特に住宅・不動産業界では、採用以外にも労務管理、教育、現場との調整など、幅広い業務を兼任しているケースもあります。
そのため重要なのは、単純に「採用担当者がいるかどうか」ではなく、
採用活動を継続的に確認し、改善していく役割があるかどうか。
この視点が、これからさらに大切になっていくと感じています。
住宅・不動産業界では現場との連携が重要になる
住宅・不動産業界の採用は、人事部門だけで完結するものではありません。
営業職の採用であれば営業責任者、技術職であれば現場責任者、店舗展開している企業であれば各拠点責任者など、実際に一緒に働く現場側の視点も重要になります。
また、今後の事業計画や組織づくりを考えるうえでは、経営層の考え方とも連動します。
そのため採用活動では、採用担当者だけではなく、会社全体で方向性を合わせながら進めていくことが大切になります。
採用できる会社は、採用活動を動かし続けている
採用が進んでいる会社は、必ずしも知名度が高い会社だけではありません。
採用予算が大きい会社だけでもありません。
共通しているのは、採用活動を継続的に見直していることです。
・今必要な人材は誰なのか。
・今の方法は市場に合っているのか。
・どこで機会を逃しているのか。
・何を改善するべきなのか。
このような確認を続けています。
採用は会社の未来をつくる活動
「人がいない」
この言葉だけで終わらせることは簡単です。
しかし住宅・不動産業界の採用現場を見ると、多くの企業が本気で採用に向き合っています。
だからこそ必要なのは、単純に求人を増やすことだけではありません。
・採用活動を継続的に前へ進める仕組み。
・状況を見る役割。
・改善し続ける体制。
こうした部分が、これからより重要になっていくのではないでしょうか。
採用は単なる人員補充ではありません。
会社の未来をつくる活動です。
住宅・不動産業界がさらに成長していくためにも、採用活動そのものを進化させていくことが大切だと感じています。
住宅・不動産業界の採用環境は、これからも変化していくと思います。
採用支援の現場で見えてきた課題や、企業がより良い採用活動を行うための考え方について、今後も発信していきます。