CARVAAN TOKYOのキッチンでは、さまざまな国や地域にルーツを持つスタッフが働いています。
今回お話を聞いたのは、2025年に入社し、早くもキッチンリーダーを任されている牧田悠翔さん(26歳)です。
飲食店での勤務だけでなく、海外での農業や国内の農家の手伝い、さらには庭師まで。
これまで歩んできた道は実に多彩。
もともとスパイス料理が好きだった牧田さんは、自分にとって未知の分野だったアラビア料理に惹かれ、CARVAANに飛び込みました。
現在は、多様なバックグラウンドのあるメンバーとコミュニケーションを取りながら、忙しい営業をチームで乗り越える楽しさを感じています。
飲食、農業、庭師。食と自然に関わってきたこれまで
これまで、アルバイトとして複数の飲食店で働いた経験があります。
そのほかにも、オーストリアでワーキングホリデー中に農業の仕事をしたことがあります。農作物のシーズンに合わせて各地を移動し、さまざまな国から来た若者と一緒に作物のピッキングをしていました。
日本へ戻ってからも農家の手伝いや飲食の仕事を経験し、CARVAANへ入社する前は庭師として働いていました。
一見すると、それぞれ違う仕事に見えるかもしれません。
ただ、振り返ってみると、食材が育つ場所や自然、人の手によって何かをつくる仕事に関わり続けてきたように思います。
私は栃木県の出身で、身近なところに農家が多くありました。
近所の方から野菜をいただくこともあり、いちご農家もたくさんあったので、自分でいちごを買ったことがないほどです。
販売できない農作物や余ったものを近所同士で分け合うような地域で育ったことも、食材への関心につながっているのかもしれません。
未知のアラビア料理に惹かれて
もともと、スパイスを使った料理が好きでした。
自分でつくることもありましたし、スパイス料理を出すお店へ足を運び、いろいろな味を探すことも好きでした。
求人サイトでCARVAANを見つけたときに興味を持ったのが、アラビア料理です。同じようにスパイスを使う料理でありながら、これまで自分が経験したことのない分野でした。
知っている味の延長ではなく、自分にとって未知の料理だったからこそ惹かれたのだと思います。
新しい料理や食材について知りたい。自分の料理の世界をもっと広げたい。
そんな思いから、CARVAANで働き始めました。
CARVAAN | カールヴァーン | 地中海・アラビア料理と、非日常の空間
(CARVAANでは、イタリア料理やフランス料理に大きな影響を与えたといわれるアラビア料理を提供。シリア、レバノン、エジプト、オマーンなど、まざまな国の食文化に触れることができます。)
レストランではなく、食の体験を提供する場所
入社する前は、CARVAANに対して「アラビア料理を提供するレストラン」というイメージだけを持っていました。
けれど、入社後に会社の歴史や食材へのこだわり、その背景にある物語を学ぶうちに、単に料理を提供するだけのレストランではないと気づきました。
料理を通して食の体験を提供する場所であり、その料理が生まれた地域の歴史や文化を知ってもらう場所でもあります。
レストランのあり方にも、いろいろな形がある。
働きながら学んでいくなかで、CARVAANという店への見方が大きく変わりました。
入社後に衝撃を受けた、ジョージアワインの文化
入社してから、食に関するさまざまな知識を学びました。
なかでも特に印象的だったのが、ジョージアワインです。
ジョージアの人々がワインに対して持つ誇りや、古代から受け継がれてきた文化、伝統的な製法について、この会社に入って初めて深く知りました。
長い歴史のなかで育まれてきた文化を、今も誇りを持って守り続けている。その姿勢に大きな刺激を受けました。
日本にも、長い年月をかけて受け継がれてきた食文化や技術があるはずです。
海外の文化をただ紹介するだけではなく、そこに込められた誇りや精神を知り、自分たちなりの形で料理やサービスに表していけたらと思っています。

Georgia | Georgia Wine / ジョージアワイン
(特にお気に入りだというジョージアワインを見つめる牧田さん。このワインの作り手の姿を思い浮かべているのでしょうか)
「忙しいは、楽しい」
私がスタッフとよく話をしているのが、「忙しいは、楽しい」という言葉です。
たくさんのオーダーが一度に入り、すべてを時間どおりに出し切れるか分からない。そんな状況になったときに、チームがようやく一つになって動き始めます。
それぞれが声を掛け合い、指示を出し、できるだけ早く、そしてきれいな状態で料理を出そうと集中する。
全員が同じ目的に向かって動いている瞬間が、仕事としても料理としても、一番楽しいと感じます。
もちろん、忙しさのなかで余裕を失ってしまうこともあります。
それでも、チームで協力して営業を乗り越えたときの達成感は、キッチンの仕事ならではだと思います。
多国籍なメンバーをつなぐ、言葉のコミュニケーション
CARVAANのキッチンでは、さまざまな国出身のスタッフが多く働いています。日によっては、自分一人だけが日本人という日も珍しくありません。
仕事中のコミュニケーションは、基本的には日本語です。
ただし、日本語と英語を混ぜたり、相手の国に合わせて簡単な言葉を使ったりすることもあります。
たとえば、「終わった?」「早く、早く」といった仕事中によく使う短い言葉や、熱いものがあるときに「それ、熱いから気をつけてね」など注意を伝える言葉など、少しずつ覚えています。
相手の国の言葉でひと言伝えるだけでも、表情がやわらぎ、喜んでもらえます。そこから「次はこの言葉を教えて」と会話が生まれることもあります。
共通の言葉を完璧に話すことよりも、相手を知ろうとする姿勢が大切なのだと思います。
日本語だけでもなく、英語だけでもない。
一緒に働く仲間に合わせて伝え方を変えることが、仕事を円滑に進めるうえでも、良い関係をつくるうえでも重要です。
一緒に働くのは、個性豊かな「愉快な仲間たち」
CARVAANのキッチンメンバーは、ひと言で表すと「愉快な仲間たち」です。
一人ひとりに個性があるのはもちろんですが、さまざまな国の出身者が働いているため、文化や考え方にも違いがあります。
同じ国の出身であっても、育った地域によって言葉や価値観が異なります。そうした違いに触れられることも、多文化なチームで働く面白さです。
仕事はしっかりやろうという意識を持ちながらも、「仕事だからこそ楽しもう」と考えているスタッフが多いと感じます。
真剣に働くことと、楽しく働くことは、決して反対ではありません。
忙しいときほど声を掛け合い、お互いの個性を活かしながら一つのチームとして動くことを大切にしています。
リーダーとして大切にしていること
キッチンリーダーとして意識しているのは、一方的に指示を出すのではなく、一緒に働くメンバーに合わせて伝え方を変えることです。
スタッフが生まれ育った国も、経験も、日本語の理解度もそれぞれ異なります。同じ言い方をしても、全員に同じように伝わるとは限りません。
短い日本語で伝えるのか、英語を混ぜるのか、相手の母国語を少し使うのか。
その人にとって理解しやすい方法を考えるようにしています。
相手の言葉を少し覚えることは、単に指示を伝えるためだけではありません。「あなたのことを知ろうとしている」という気持ちも伝わります。
そうした小さなコミュニケーションの積み重ねが、忙しいキッチンで協力し合える関係につながっていると思います。
必要なのは、経験よりも好奇心
CARVAANのキッチンで働くうえで、必ずしもアラビア料理の経験が必要なわけではありません。
大切なのは、知らないものに対して興味を持てることだと思います。
CARVAANでは、多種多様な食材を扱います。これまで一般的な料理を経験してきた人にとっても、想像したことのない食材の組み合わせに出会うはずです。
私自身も、働き始めた頃は驚くことがたくさんありました。
そのときに、「珍しい食材だな」で終わらせるのではなく、どのような食材なのか、なぜこの料理に使われているのかを調べてみる。
さらに、その料理の歴史や国同士のつながりまで知ろうとすると、料理の見え方が変わっていきます。
知らないものに出会ったときに、もっと知りたいと思える人。
そんな好奇心のある人ほど、アラビア料理やCARVAANの世界に、どんどんのめり込んでいけると思います。
(自社農園で育てるホップの収穫体験に参加。なんでも興味を持ってやってみる、という姿勢が仕事においても大切。)
未知の世界に飛び込み、チームで料理をつくる
牧田さんは、入社からわずか一年でキッチンリーダーに抜擢されました。その背景にあるのは、これまでの肩書きや料理経験だけではありません。
未知の料理を知ろうとする好奇心。
国や言葉の違いを越えて、相手と向き合おうとする姿勢。
そして、忙しい状況さえもチームで楽しもうとする前向きさです。
CARVAANのキッチンには、これまで知らなかった料理や文化との出会いがあります。
同時に、異なる背景を持つ仲間と力を合わせ、一つの料理を完成させる喜びがあります。
料理が好きな人はもちろん、食材の背景や世界の文化まで深く知りたい人にとって、ここは新しい世界を広げられる職場です。