こんにちは。 日本一ワクワクする会社、インバウンドホールディングスの山崎です。 今日は、「肩書きより先に、責任者の仕事をしていたYさん」の話をします!
このシリーズでは、NAGIホテルが売上昨対150%へ至るまで、ホテル事業を任せた統括責任者の「Yさん」が、現場の仲間と重ねてきた試行錯誤を紹介します。
最初の答えは「半分半分です」だった
ホテル事業を任せた統括責任者のYさんに、新しい役割を打診した日のことをよく覚えています。
倉敷のホテルで現場を支えてきたYさんに、施設運営だけでなく、広島を含む複数施設の人員、品質、売上、オーナー報告まで担う役割を提案しました。Yさんは当時から、現場で起きている問題を誰より深く見つめ、正式な権限がない中でも改善案を出し続けていたからです。
ところが、Yさんの返事は即答の「やります」ではありませんでした。
「気持ちは、半分半分です」
それは当然だったと思います。
Yさんはそれまで、ゲストやスタッフのために変えたほうがいいと思うことを何度も提案していました。しかし、「確認します」という返事の後、判断が返ってこない。進捗を確認する仕事が提案した本人に積み上がり、緊急性の高い声だけが先に処理され、地道な改善案が埋もれていく。そんな経験が重なっていました。
現場にいると、目の前のお客様を優先したくなります。一方で、ホテル運営には売上管理、価格調整、人員配置、修繕、取引先への報告など、見えにくい仕事もあります。どちらかだけを見ても、施設は続きません。
Yさんは、その両方が必要だと分かっていたからこそ悩んでいました。
上司に求めたのは、やさしい言葉より「判断」だった
その面談でYさんが確認したのは、肩書きや待遇よりも、「提案に対して判断が返ってくる環境か」ということでした。
「上司に求めることは何ですか?」と尋ねると、答えはとても明快でした。
「ダメならダメと言ってほしいです。できないなら、理由を言ってもらえれば次を考えられます」
この答えに、Yさんの仕事への向き合い方が表れていました。自分の案を必ず通してほしいのではない。採用できないなら理由を知り、目的に合う次の案を考えたい。提案を「私の正しさ」の証明にせず、ホテルを良くするための選択肢として扱っていたのです。
仕事では、すべての提案が採用されるわけではありません。予算、契約、法令、現場の負荷。いろいろな理由で見送ることもあります。ただし、判断しないことと、見送ることは違います。目的に対してA案とD案が出たなら、どちらが正しいかを議論する。最後に一つを選ぶ必要があるなら選ぶ。Yさんが求めたのは、納得できない状態を放置せず、判断が違っても次の案へ進める関係でした。
そこで、毎週の定例会議を始めました。提案、数字、トラブルの兆候、来週やることを一つのシートで確認する。忘れていたら翌週に必ず戻ってくる。判断が必要なら、その場で決めるか、誰がいつまでに確認するかを決める。
会議を報告の場ではなく、「約束が行方不明にならない仕組み」にしたのです。
Yさんが持っていたのは、完璧な経験より強い「自己認識」だった
Yさんは、役割を引き受ける前に「責任者に何が求められるのか」も自分から確認しました。そこで共有した土台の一つが、「分からないことを、分かったふりで進めない」という約束でした。
ミスをしないことではありません。悪い数字やトラブルの兆候を隠さない。感情だけでなく、事実を持って相談する。それがあれば、ほとんどの問題は早い段階で直せます。
当時のYさんは、「数字に強くない」「人前で話すのが苦手」と率直に話していました。しかし、苦手を理由に役割を避けたのではありません。数字がどこから出るのか、報告資料をどう組み立てるのか、オーナー企業へ何を伝えるのかを一つずつ確認し、自分の仕事にしていきました。
苦手を言葉にできることは、弱さではありません。自分の現在地が分かっている人は、次に学ぶものを選べます。Yさんには、最初から完璧なスキルやナレッジがあったわけではない。でも、ゲスト目線、責任感、思いやり、誠実さという、後から教えることが難しい土台がありました。
3か月かけて理解した仕事は、簡単には崩れない
新しい役割に就いた後、Yさんの仕事は一気に広がりました。
清掃やフロントだけでなく、備品発注、修繕手配、経費処理、宿泊税、予約サイトのメッセージ、レビュー返信、シフト、採用、価格調整、オーナー向けの報告。初めて触る仕事ばかりです。
Yさんはある定例で、「みんながすぐできることに、私は3か月かかりました」と言いました。
Yさんは、その3か月を「時間がかかった」という一言で終わらせず、仕組みを理解し、自分で判断できるところまで進みました。
マニュアルどおりにボタンを押せることと、仕組みを理解して判断できることは違います。何のための数字か。間違うと誰に影響するか。異常値はどこか。そこまで理解した仕事は、環境が変わっても応用できます。
実際、Yさんはその後、先の稼働率を見て価格調整を依頼し、人事評価の仕組みを自分で設計し、倉敷と広島の現場を横断して改善を回すようになりました。苦手だと言っていた報告も、単なる出来事の列挙ではなく、次の判断に使える材料へ変わりました。
そして何より、悪い情報ほど早く共有してくれます。
うまくいかない兆候が出た段階で、「なぜ起きそうか」「次に何を試すか」とセットで持ってくる。だから、上司が細かく監視する必要がありません。Yさん自身が、信頼とは何でも任せて放置されることではなく、問題を早く見つけ、助けが必要な地点を自分から示せる関係だと、行動で証明していきました。
Yさんの定例報告は、達成した項目の自慢より、未達になりそうな項目の共有から始まります。
予約が弱い日が見えれば、「この日程は何室空いている」「倉敷は全8室だから50%でも残り4室だが、広島は同じ50%でも空室数が違う」と表にして持ってくる。トラブルが起きれば、誰が悪いかを先に決めず、時系列、記録、現場の証言を確認する。お客様から返金を求められたように見えた案件でも、領収書の時刻と電話記録を照合し、事実をもとに判断しました。
この姿勢によって、Yさんが扱える意思決定の範囲は少しずつ広がっていきました。
何でも上司へ聞く人に権限を渡すと、上司の仕事は減りません。反対に、自分だけで抱え込む人へ渡すと、問題が見えなくなります。自分で考え、判断材料をそろえ、必要なところだけ相談する。そのバランスが、任せられる人の条件です。
また、週次で約束したことを、次の週には本当に実行してきます。Yさんは「一回、一回やってみる」と言い、結果が良くても悪くても、次の定例へ事実を持ち帰ります。この積み重ねが、「決めたことを実行してくれる」という揺るぎにくい信頼になりました。
肩書きより先に生まれたのは、この実行への信頼でした。
肩書きは、準備ができた人に渡されるとは限らない
よく、「自信がついたら挑戦します」と言う人がいます。
でも実際には、役割を引き受け、分からないことに向き合い、試行錯誤した後に自信が育つことのほうが多い。責任者になれる人を探すより、責任を持って動いている人へ、後から肩書きと権限を渡すほうが自然な場合もあります。
Yさんの変化を見て、現場の声は単なる「要望」ではなく、事業を変える提案になり得ると改めて分かりました。
もちろん、権限を渡すなら、失敗した時の責任を上司も引き受ける。数字や資料が苦手なら、一緒に学べる形をつくる。伸びた分だけ、次の役割と評価につなげる。挑戦だけを求めて、支援を用意しない会社にはしたくありません。
Yさんが最初に求めたのは、特別扱いではなく「判断してもらえること」でした。
今ではYさん自身が、現場の仲間に対して判断を返し、成長の道筋を示す側に立っています。
完成した仕組みの中で働くより、現場から仕組みをつくりたい人。肩書きより先に、仕事の目的を考えてしまう人。問題を見つけた時に、文句だけで終わらず「こう変えたい」と言える人。
そんな人にとって、Yさんのような責任者と一緒に仕組みをつくれるこの会社は、きっと面白い場所です。
次に事業責任者になる人も、最初は現場で「これ、おかしくないですか?」と言っている一人かもしれません。
次のホテルを、一緒につくる仲間を募集しています
私たちは、ホテル事業部のさらなる拡大を目指しています。
現在、大阪・名古屋・長野・東京などで、2028年頃に向けた複数の新築ホテルプロジェクトが同時に動いています。これから必要なのは、完成した運営を受け取る人だけではありません。Yさんのように、現場の小さな気づきを改善へ変え、仲間を巻き込みながらホテルの価値をつくる人です。
ホテルという場所から、新しい体験や事業を生み出したい方。お客様を喜ばせること、仲間と仕組みをつくること、これから生まれるホテルを自分たちの手で育てることにワクワクする方を募集しています。
少しでも気になった方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。あなたがやってみたいことも、ぜひ聞かせてください♪