こんにちは。
日本一ワクワクする会社、インバウンドホールディングスの山崎です。
今日は、「お客様の満足と、現場の働きやすさを両立する実験」についてお話しします!
このシリーズでは、NAGIホテルが売上昨対150%へ至るまで、ホテル事業を任せた統括責任者の「Yさん」が、現場の仲間と重ねてきた試行錯誤を紹介します。
お客様に喜ばれるほど、清掃は大変になる!?
これまで、私たちの運営するホテルのチェックアウト時間は午前10時でした。
このチェックアウトの時間を少しでもゆっくりとお客様に過ごしていただくために11時へ延ばしたい!そうYさんは言いました。
当然、お客様から見れば、とてもうれしいサービスです。
朝食を食べたあと荷物をゆっくりまとめられる。小さな子どもがいても焦らずに準備できる。仕事のオンライン会議を一本終えてから出発することもできます。
一方、運営側から見ると簡単なことだけではありません。
チェックアウトが1時間遅くなれば、当然お部屋の清掃を始める時間も遅くなります。
次のお客様のチェックイン時間は原則15時です。
しかし当然それよりも前に部屋へ入りたい方もいますし、荷物をだけは置いておきたい方もいます。そのタイミングで部屋の準備ができていれば早く案内したい。
遅いチェックアウトと早いチェックインは、普通に考えれば相反する要望です。
Yさんが「11時チェックアウトを導入したい」と提案したとき、経営側としては少し不安がありました
しかしYさんはいきなり全室のルールを変えることはしませんでした。
現場へ「明日から変えます」と通達するだけなら一日でできます。
しかし、もし仮に清掃が間に合わず、スタッフが疲弊し、お客様を待たせたら、良い施策とは言えません。
Yさんは自らの判断で「今なら試せる」という確信のあるタイミングでテストを開始しました。
実験を始める前に、Yさんは予約状況を確認しました。先の予約がある程度確定し、大幅な清掃数の増加が起こりにくい日。連泊のお客様が多く、日ごとの清掃数にも余裕がある日。そして、自分自身も現地にいて、想定外が起きたときに支援できる日を選びました。
それらの条件がそろったタイミングで、「今なら試せる」と判断し進めていきました。
運用は、期間限定、実施日限定、事前申告、先着順。
フロントには案内を置き、当日の清掃数と出勤人数を見ながら受付件数を調整し、
これ以上受けると現場が苦しくなると判断したら、案内を下げる。最初のうちは、その日に何部屋まで受けるかもYさんがすべて決めていました
大事にしたのは、お客様への特別感だけではありません。
清掃スタッフの皆さんにも、「11時チェックアウトが増えても、意外と回せる」という成功体験を積んでもらうことで、お客様に喜んでいただくことへの貢献が実感できるようになりました。人は変化そのものが嫌なのではなく、変化によって何が起きるか分からないことが不安です。だからこそ、小さく試し、無理なく終え、次の一歩を自分たちで選べる状態をつくればいい。
主要メンバーには事前に相談しました。「こういう取り組みを考えているけれど、どう思う?」と聞き、賛成を得てからスタートしました。
最後にYさんが伝えたのは、「もし間に合わなくなっても、私が現地にいるから絶対に何とかする」という言葉でした。
現場に挑戦を求めるなら、失敗した時に助ける人が必要です。
181件を受けても、次のお客様を待たせなかった
結果として、実績を集計できた6月と7月の2か月で、レイトチェックアウトの利用は計181件になりました。
6月が107件、7月が74件。それだけの件数を受けながら、次のお客様の入室遅延は0件。レイトチェックアウトを理由にした追加の清掃人件費も0円でした。
ここで価値があるのは、「1時間延ばせた」という事実だけではありません。
フロントが予約状況を読み、清掃チームと連携し、受付数を判断する。
清掃側も、遅い出発の部屋と早く入室してほしい部屋の優先順位を考える。
施策を通して、現場全体の連携と判断力が上がりました。
倉敷と広島では、同じサービスへの反応も違いました。
観光の仕方、家族構成、移動時間によって、1時間延長を選ぶ人もいれば、さらに遅い時間を希望する人もいる。
場所ごとにお客様の行動が違うなら、サービスも同じ形へそろえる必要はありません。
時間帯によって、現場の動きも変わります。
早く出発する部屋から清掃へ入り、レイトチェックアウトの部屋は後ろへ回す。
荷物を預けに来たお客様がいれば、どの部屋を先に仕上げれば早く案内できるかを考える。前日に到着予定時刻を聞けていれば、清掃順をさらに細かく組めます。
Yさんは、単純に「清掃を速くしてください」とは言いませんでした。
フロントが持っている到着情報を清掃へ渡し、清掃が持っている進捗をフロントが理解する。部屋ごとの優先順位をチームで共有し、清掃業務を適切に差配する。
スピードを個人の頑張りへ無理に押しつけず、
情報の流れで速く正確にすることを選びました。
実験を始めた結果、清掃スタッフの作業速度そのものも上がっていき、最初は不安だったメンバーが、「今日もこの件数なら回せる」と判断できるようになる。
この成功体験が、フロントと清掃チームの連携をさらに強くしました
そして、サービスを利用しない方がいることも大切なデータです。
観光のため早く出る方、移動時間が決まっている方、室内で仕事をしたい方。
同じ一時間でも、価値は人によって違います。
利用率だけで成功を判断せず、どんな方に喜ばれ、どんな日は負荷が高いのかを見て、
受付方法を変えていきました。
定例会議では、アンケートの回収率との関係も話題になりました。
部屋でゆっくり過ごした方ほど、手書きアンケートに答えてくださる割合が高いのではないか。これはまだ因果関係を断定できる話ではなく、現場から生まれた仮説です。
でも、こうした小さな気づきを「なんとなく」で流さず、
次のデータで確かめる姿勢こそ、運営の質を上げます。
施策の成功より、試せる組織をつくりたい
Yさんは、開始前にこう話していました。
「ダメだったら、今ではなかったと思えばいい。やってみないと分からない」
これは、無責任に始めるという意味ではありません。
最悪のケースを考え、影響を限定し、戻せる形で試す。守るべき品質は守りながら、分からない部分だけを実験する。いわば、現場の中に小さな検証環境をつくる考え方です。
Yさんは「もし間に合わなくなっても、自分が現地で何とかする」と現場へ伝え、実際に責任を引き受けられる日にだけ実験する。挑戦を呼びかけるだけでなく、失敗した時に前へ出る覚悟を示したのです。
取り返せない失敗を避けながら、学べる失敗を許容する。
何も試さなければ、今の品質は守れても、次の価値は生まれません。
Yさんはその境界を、予約数、清掃数、出勤人数という具体的な条件へ落とし込みました。
インバウンドホールディングスが求めているのは、決められた業務をこなす人だけではありません。
「お客様が、ここで少し困っている」
「スタッフが、ここに不安を感じている」
「この条件なら、小さく試せる」
その三つを見つけ、自分の言葉で提案できる人です。
提案した後も、「許可をもらったから自分の仕事は終わり」ではありません。
実施件数、遅延、残業、現場から出た不安を毎週確認し、続けるか、変えるか、やめるかを決めます。当然うまくいった施策にも、利用する人が減った週や、アンケート回収が落ちた時期がありました。観光シーズンで早く出発する方が増えた可能性もあり、一つの数字だけで現場を責めることはしません。
Yさんは定例会議でも、「今週も順調です」だけで報告を終えません。
なぜ順調だったのか。季節が変わっても続くのか。
次の施設でも再現できるのか。良かった時こそ理由を分解し、成功を次の標準へ変えていきます。
成功を報告して終わりではなく、成功を次の標準へ昇華させ、当たり前の基準を常に高くゲストに貢献したいと考えているからです。
一見するとホテル運営は、マニュアルの仕事に見えるかもしれません。
でも実際は、人の行動を観察し、仮説を立て、チームを動かし、数字で確かめる仕事です。サービス、プロダクト、組織づくりが、毎日の現場でつながっています。
現場は、変化そのものを嫌うわけではありません。何のために、誰のために、何を変えるのか。その一歩が見え、困ったときに助けてくれる人がいれば、現場は自分たちで変わっていけます。
181件の実践を重ねるなかで、この取り組みはホスピタリティを体現する企画へと育っていきました。
次のホテルを、一緒につくる仲間を募集しています
私たちは、ホテル事業部のさらなる拡大を目指しています。
現在、大阪・名古屋・長野・東京などで、2028年頃に向けた複数の新築ホテルプロジェクトが同時に動いています。これから必要なのは、完成した運営を受け取る人だけではありません。Yさんのように、現場の小さな気づきを改善へ変え、仲間を巻き込みながらホテルの価値をつくる人です。
ホテルという場所から、新しい体験や事業を生み出したい方。お客様を喜ばせること、仲間と仕組みをつくること、これから生まれるホテルを自分たちの手で育てることにワクワクする方を募集しています。
少しでも気になった方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。あなたがやってみたいことも、ぜひ聞かせてください♪