「この時代に、こんなアナログな仕組みが残ってるのか」──
ハンディの話を聞いて、思わず声が出ました。 でも同時に、「ここで自分の技術を使わずにどうする」と、気がつけば気持ちは決まっていたんです。
リクルートAI研究所の立ち上げや海外との研究開発など、技術と向き合い続けてきた私にとって、ハンディは“社会の本当の困りごと”に挑める場所でした。
今回は、 CTOの田中が豊富なキャリアを経て、なぜ今ハンディを選んだのか。
これまでの歩みや組織づくりへの想いについて伺いました。
▼これまでのキャリアについて教えてください
-HCIの研究から、ビジネスの現場へ。
学生時代はHCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)を専門に研究し、29歳で博士号を取得しました。技術を社会に応用することに強い関心があったため、修了後は日系メーカーに就職して新規事業の開発に約2年間従事しました。アイデア出しから社内コンペでの選出、開発まで一貫して取り組みましたが、新規事業の知見が十分でない環境では事業化に向けた壁も多く、自らの限界を感じる場面も少なくありませんでした。
その経験から、より深い知見を求めてリクルートへ転職。エンジニアがまだ少なかったメディアテクノロジーラボにおいて、テックリードとして約3年間で6件の新規プロジェクトに携わり、うち4件は企画段階から開発まで一貫して関与しました。
その後、リクルート内に設立されたAI研究所に創設メンバーとして参画。東京とサンフランシスコを拠点に、AI×ビッグデータ領域で研究開発を推進しました。ピープルアナリティクス用デバイスの開発、ディープラーニングを使って非定型文書に書かれた情報を自動で読み取り、データとして整理する仕組み等を開発しました。またAIチャットボット開発のプロジェクトでは、渡米後3週間で現地リサーチャーとともにプロトタイプを完成させ、社内表彰も受けました。
▼ハンディに本格的に入る決め手
-社会の本質的な課題に、技術で向き合える場所
2023年8月、前澤(現取締役)さんとの食事の席で初めてハンディの話を聞きました。そこで知った高校生の就職活動の実態に、強烈な衝撃を受けました。「まだこんなやり方なのか」と。
サービス自体もそうなのですが、その課題感に強く惹かれました。これまで培ってきた技術や開発の経験が活かせるフィールドであり、しかも社会的影響が大きな課題に対して技術でアプローチできる。この領域に自分の知識や経験を使わないのは、正直もったいないと感じたんです。
もともと新しい技術を学び、それを社会にどう生かすかを考えるのが好きでした。ただ、リクルートでは“困っている当事者”が見えにくかった。ハンディでは、本当に困っている人が見えた。そこが決定的に違いました。
▼これまでの経験で、大変だったことはありますか?
-どこまでも“自分ごと”で開発してくれる仲間を探して
これまでで最も苦労したのは、「プロダクトに本気で向き合ってくれる仲間を集めること」でした。特にハンディ参画直後の開発チーム立ち上げ期は試行錯誤の連続でした。業務委託に頼らず、完全内製にこだわったのも、「プロダクト愛」を持ち、自分ごとで動ける人たちと一緒に組織をつくりたかったからです。
▼これまでの経験が、現在の組織づくりや意思決定に活かされていると感じる点はありますか?
-ありがたいことに、ずっと「自由にやらせてもらってきた」
博士課程からリクルート時代まで、ありがたいことに自分で考えて動ける環境で仕事をしてきました。そうした経験が、自分の働き方の基盤になっています。いまの組織運営でも、メンバーが自ら動ける環境をつくることを大切にしているのは、その経験が根底にあるからです。
理想を言えば、特定のメンバーを固定したチーム体制ではなく、その時々で最速に開発を進められる“動的なチーム運営”を実現したいと考えています。就職版・進学版といったプロダクトの枠にとらわれず、全員が会社全体の動きを捉えて、自律的に動ける組織を目指しています。もっとも、現実的にはある程度の分業が必要な場面もあるため領域でチームを分けていますが、その一方で、過度な分業によって視野が狭くならないよう、常にバランスには気を配るようにしています。
一方で、新しいプロダクトが生まれるたびに、過去のやり方を参考にしつつ、改善しながら柔軟に進める動きが自然に生まれるようになってきました。そんな自律性を現場で体現しているのが、まさにテックリード陣です。
▼テックリード陣は田中さんからみてどういう人物ですか?それが組織の雰囲気にどう表れていますか?
-「許可より謝罪」。考えるより、まずやる。
テックリードのメンバーは、技術とプロダクトに対して非常に真摯で正直な人たちです。私が特に何も言わなくても「この機能リリースしちゃったよ」と自ら動くことが多く、現場の声をもとにすぐ動ける実行力があります。
私自身、「許可より謝罪」のスタンスを大切にしていて、まずは自ら動き、必要であれば後から修正する方が合理的だと考えています。そうした姿勢が組織に浸透しているのは、リードの皆さんが率先してその姿勢を体現し続けてくれているからであり、彼らの行動が文化として根付きつつあるのだと感じています。
開発チームのインタビューはこちら👇
https://www.wantedly.com/stories/s/kaihatsu_interview
▼ハンディの開発チームは、システムの障害や開発の大きな壁があったときにどのように乗り越えていくチームですか?
-「気づいた人が、やっちゃう」自律分散な対応文化
トラブルが起きたときは、「気づいた人・できる人」が率先して対応する文化があります。Slackにアラートが飛ぶ仕組みも整備していて、すぐ一次対応と振り返りまで行える体制です。
誰かのせいにするようなことはなく、責任の所在もあいまいにならない。全員が「自分ごと」として捉えるチームです。
▼もしいちエンジニアメンバーとしてハンディの開発チームに入ると仮定したら、どんな役割でどんなことをしてみたいですか?
-技術は手段。必要なことはなんでもやる
開発、設計、インフラ、調査、問い合わせ対応──必要なことは全部やります。技術はあくまで課題解決の手段。営業に有用なデータをまとめて視覚化したり、業務改善のためのツール整備も含めて、必要なら何でもやる。それが私のスタンスです。
▼今後、プロダクトや組織として挑戦していきたいことは?
-技術をフルに使って、使いやすさを磨き抜く
先生や生徒にとって「使って良かった」と思えるプロダクトを届けるために、裏側では最新技術を惜しみなく使っていきたい。UIが変わっていなくても、「めちゃくちゃ使いやすくなった」「こんなことまでできるんですね」と感じてもらえる進化を実現したいと思っています。
また、組織としては、今あるスキルに加えて、これから20〜30年キャリアを築く上での武器になるような力を、各々が取り組み身につけられる場所にしたいですね。
▼事業拡大に向けて、今まだ足りていないと感じるピースは何ですか?
-まだまだ足りないのは「人」。やりたいことは、山ほどある
検索精度の向上、OCRの精度アップ、UI改善、生徒や先生の業務負担軽減、より賢いデータ基盤構築──やりたいことは本当に山積みです。でも、それを実現するにはまだ圧倒的に人が足りていない。
エンジニア、PdM、デザイナー……とにかく仲間が必要です。人が増えれば増えるほど、できることも加速度的に増えていきますし、より多くの人に喜んでもらえる。だから今のハンディには、「人」というピースが最も必要です。
▼これからの仲間に期待すること、そして一緒につくっていきたい組織像を教えてください
-「これ、自分が作った」と胸を張れるチームに
今のハンディの一番の面白さは、一人ひとりがプロダクトの成長に直接関われることです。そして、「これ、自分が作った」と言える“手触り感”があること。この手触り感の数こそが、プロダクトの成長に直結すると信じています。だからこそ、全員が主体的に関わり、手応えを持てるチームでありたいと思っています。
私自身、組織が大きくなってもカルチャーを守り抜きたいと思っていて、「田中がいなくても回る」そんな自走できる組織を目指しています。一方で、チームが細かく分かれることで他のプロダクトに関心を持ちにくくなるリスクもあるので、全体最適を見て動ける組織をつくり続けたい。
▼最後に、どんな人と一緒に働きたいですか?
一緒に働きたいのは、技術を軸にしながらも、事業や社会の課題にしっかり目を向けられる人。そして、一緒に働く中で私にとっても新しい「発見」をくれるような仲間です。せっかくハンディに来てくれたからには、自分の市場価値を高めて、次のステップへ進むストーリーも描いてほしいと思っています。
ハンディには、プロダクトの成長を「自分ごと」で楽しめる仲間がたくさんいます。やりたいことは山ほどあるし、仲間もまだまだ足りません。でも一緒に働くなら、「なんか面白そうだな」って思ってもらえるチームでいたい。ハンディは、まだまだ伸びしろだらけのプロダクトです。
技術で誰かの「困った」を解決したい。そして解決の過程で自身の技術を磨いていきたい。そんな想いを持った方と、ぜひこの先のプロダクトを一緒につくっていけたらうれしいです。