「働く」とは、単に条件を選ぶことではなく、自分が社会に対してどうありたいかを探し続けることだと考えています。
今回、そんな「働くことの本質」を学生たちと共に考える5日間のインターンシップを開催しました。参加していただいたのは、福祉の分野に興味のある椙山女学園大学2年生の2名の方。
今回のインターンシップにおいて私たちが用意したのは、単なる就業体験ではありません。代表や社員のリアルに触れて、実際に拠点でコワーカー(利用者)さんと共に過ごし、社会課題を自分の頭で考える。
授業だけでは知り得ない、現場目線の考えに触れることができる。
そんな5日間になっています。
なので、ただ単に事業案内、福利厚生、社内制度の案内を淡々と教わるようなインターンシップではありません。働く上で本当に自分が何を大切にしていきたいのか。自分自身の今後のキャリアと向き合う。そんな内容の濃いインターンシップにもなっていると思います。
Day 1 「自分」と「理念」について
【代表プレゼン / 自身の挫折・成功体験のアウトプット】
なぜ働くのか?という「根源的な問い」を自分に立てる。
Day 2 キャリアの多様性を知る
【社員4名による「自分語り」 / 現場実習(初日)】
活躍するスタッフの過去と未来のキャリアについて聞き、視野を広げる。
Day 3 現場の「リアル」に触れる
【事業所での作業体験 / コワーカーさんへの面談】
先入観を捨て、一人ひとりの個性や社会課題を「手触り感」を持って知る。
Day 4 社会課題を「自分事」化する
【障害福祉の社会課題調査 / 仮想B型事業所の立案】
課題を見つける力と、それをどう解決するかという「思考力」を試す。
Day 5 アウトプットと総括
【EC新商品開発企画 / 最終プレゼン / 広報インタビュー】
今回は、そんな5日間を駆け抜けた長谷川さんと平野さんに、いまの素直な心の内を語っていただきました。
インターンシップに参加したきっかけ
── 数あるインターンシップの中で、なぜ福祉とビジネスを掲げているこの会社に興味を持たれたのですか?
平野さん:私は元々「人と関わり、心を支える仕事」に就きたいという夢がありました。最初はカウンセラーを目指していましたが、大学院進学などの壁に直面し、現実的に断念した経験があります。
そんなとき、カウンセラーに似た側面を持つ「支援員」という仕事を知りました。その後、大学のインターンシップ紹介でこの会社を見つけ、参加させていただきました。
長谷川さん:私は元々、高校生の頃にボランティアで障害のある方と一緒にボーリングをしたり、老人ホームに行ったりした経験があり、福祉に興味を持っていました。
就活やインターンを考え始めたとき、まだやりたいことが漠然としていたのですが、「福祉」で検索してこの会社を見つけたんです。
大好きなコーヒーと福祉を組み合わせている点にも惹かれ、詳しく知りたいと思い今回応募しました。
── 参加前の事前知識はどの程度あったんですか?
長谷川さん:大学の授業で、精神疾患や認知症、発達心理学を少し学んだ程度です。用語として多少知っているかな、というレベルでした。
平野さん:私はテスト対策で「就労継続支援B型」などの用語を丸暗記したくらいで、実態についてはほとんど知識がありませんでした。
企業理念と社員の話から受けた印象
インターンシップ初日には代表の若山さんから企業理念について、2日目には既存社員4名の方々からキャリアパスについてのお話がありました。
── 初日の理念研修で、代表の若山さんのお話を聞いた直後の感想を教えてください。
平野さん:理念の「誰もが生きやすい、寛容な社会をつくる」という言葉を最初に見たときは、正直「どこにでもありそうな、綺麗な言葉だな」という印象でした。でも、その後のプログラムを通じて、その言葉の重みが変わっていきました。
── 2日目に社員の方々のキャリアパスを聞いて、印象に残っていることはありますか?
長谷川さん:ある社員の方の「自分が良くなることが、結果として成長に繋がる」という話が刺さりました。
これまでは「給与や休日などの条件で選ぶのは後ろめたい」と思っていたのですが、きっかけは何でも良く、そこから向上心を持ってステップアップしていけばいいんだと。
転職なども含めて、キャリアを前向きに広げていく発想をもらえて、視野が広がりました。
平野さん:4人全員に共通していたのが「自分のキャリアを信じて仕事をしている」という点です。
人間誰しも「自分なんてダメだ」と思う瞬間があるはずなのに、皆さんが自身の能力を上げて会社のために貢献しようと、自然と同じ方向を向いている姿がすごいなと感じました。
現場体験を通じた障害福祉への理解と気づき
3日目は実際の拠点で現場体験を行いました。
── 現場に入る前、障害福祉に対してどのようなイメージを持っていましたか?
長谷川さん:肩苦しそうというか、あまり足を踏み入れられないような、難しいイメージでした。
平野さん:失礼ながら、もっと暗い場所で、話しかけづらい方々が作業しているのかな……という先入観がありました。
── 実際に利用者さんと接して、そのイメージはどう変わりましたか?
長谷川さん:皆さん思った以上にお喋りが好きで、フレンドリーだったことに驚きました。私が一人で立っていたら飴をくれたり、コワーカーさん同士でも「今日元気ないね、大丈夫?」と支え合っていたり。
すごく温かい場所だなと感じました。
平野さん:皆さんの集中力の高さに驚きました。パソコン作業や丁寧なパッキングなど、その方の特性を活かした仕事が多く、「理解を深めればもっといろんな仕事を任せられるはずだ」と感じました。
一方で、精神疾患を持つ方が、笑顔の裏で自分を追い詰めて泣いてしまう場面にも立ち会い、優しくて繊細だからこそ考えすぎてしまうという、リアルな支援の難しさも肌で感じました。
仮想事業所の企画体験と社会課題への向き合い方
4日目は、社会課題を調査し、自分たちで仮想のB型事業所を企画しました。
── 企画ワークショップで、難しかった点やワクワクした点はどこですか?
長谷川さん:私は「障害への理解不足による偏見」を課題に据えました。
理念を考え、その先にどんな社会を作りたいかを一貫させて設計するのは難しかったですが、未来を想像するのは楽しかったです。
もっと外部の人とコミュニケーションが取れる機会が必要だと強く感じました。
平野さん:私は、皆さんが黙々と作業する様子を見て、「喋りながら仕事をするバーのような事業所」を企画しました。
「小さな挑戦が成功体験に繋がり、笑顔を増やす」という理念です。 この考えは、私のアルバイト経験に基づいています。バイトだけで店を回す責任ある立場を任され、数年かけて成功体験を積み重ねてきたからこそ今の自分があります。
利用者の方にも、接客などを通じて「自分にもできるんだ」という達成感を味わってほしいと思いました。
就職活動やキャリアに対する意識の変化
── この5日間を経て、就職活動や企業選びの軸に変化はありましたか?
長谷川さん:これまでは「一度就職したら、そこ一筋で定年まで」が一般的だと思っていました。でも、多様なキャリアを歩んできた社員さんの話を聞き、一つの環境に満足せず、新しい環境で身につけたものを活かしてステップアップしていく「キャリアアップ」の楽しさを知りました。
これからの就活が前向きに考えられそうです。
平野さん:私は2年生ということもあり、何から始めればいいか分からず飛び込んだインターンでした。でも、受動的ではなく自ら発信するプログラムのおかげで、実際に働いている自分の姿が少し見えた気がします。
また、自分はバイトリーダーとして後輩の悪いところばかり目に付いてしまっていたのですが、「まずは自分が成長し、相手の良いところを褒める」という視点の大切さを学び、自分のことも少し好きになれました。
将来の目標とこれからのキャリアへの展望
── 「社会で何を成し遂げたいか」という問いへの答えは見つかりましたか?
長谷川さん:5日間どっぷりと福祉に触れてみて、やっぱり私は誰かのためになる仕事、やりがいのある仕事がしたいと再確認しました。
「ここが最終地点」と考えず、入った場所で得た知識を活かして自分を高め続けられる社会人になりたいです。
平野さん:私は、障害者に対する偏見を減らしていきたいです。自分の親ですら、どこか「大変な人たち」と線引きをしてしまっています。
まずは私自身が、街中の小さな配慮から始め、支援員の立場から「意外と自分たちと変わりないんだよ」ということを広めていけるような、配慮のある人になりたいです。
後輩へのメッセージとインターンシップの価値
── このインターンを後輩に勧めるとしたら、どう伝えますか?
長谷川さん:ただの見学ではなく、自分で考え、発言し、企画する機会が本当に多いです。
他では絶対にできない経験だから、ぜひ行くべきだよと伝えたいです。
平野さん:私は、あえて「軽い気持ちで行かないほうがいいよ」と伝えます(笑)。
それくらい、本気で福祉や社会課題に向き合う濃い内容です。でも、興味がある人なら間違いなく成長できるし、教科書で学ぶのとは全く違う「リアル」に出会える5日間になります。