挑戦する人は、いつだってマイノリティです。
だからこそ、私たちは挑戦者の味方であり続けたい。
火が消えそうなときにも、支え続ける存在でありたい ──
ISSUEではこのたび、新たにMVV(ミッション / ビジョン / バリュー)を策定しました。
本記事では、ISSUEが掲げるMVV、そして事業に込めた想いについて、代表の水野さんにじっくり伺いました。
※先日開催したMVVの社内発表会では、背景にある想いや価値観をメンバーに丁寧に共有しました。本記事では、その発表会の写真とともにお届けします。
MISSION「挑戦者の火を、絶やさない。」
このミッションは、私自身の原体験から生まれたものです。
新卒で野村證券に勤めていた頃、安定した環境で評価も得ていましたが、どこか「誰かが作った土俵の上で戦っている」感覚が拭えませんでした。そんな中、お客様として出会ったのが、当時はまだ一般的ではなかったスタートアップの若い起業家や、中小企業の経営者たちです。
社会的な肩書が特別高いわけでもないのに、自分のやりたいことのために必死に挑み続ける。その姿が心から尊敬できて、「自分もそちら側に飛び込みたい」と強く思い、安定を捨ててベンチャーに転職しました。
そこからは、ずっと試練の連続でした。CFOとして入社した会社では最初は経験不足で全く役に立てず、コンサルに転職直後も新人の方がよほど優秀。それでも、「いつか起業する」という軸があったからこそ踏ん張ってこられたのだと思います。
この「後ろ盾のない状況で、それでも前に進み続けた」という実感が、ミッションと深くつながっています。
挑戦する人は、常にマイノリティです。大企業で新規事業に挑む人も、スタートアップの経営者も、人もお金も十分ではない中で、強い想いだけを頼りに戦っています。そうした人たちの味方になり、火が消えてしまわないように支える存在でありたい。
その想いを込めて、「挑戦者の火を、絶やさない。」というミッションを掲げました。
─── 「挑戦者の火を、『より燃やす』」ではなく、「絶やさない」にしている理由は?
挑戦者が折れてしまう理由は、必ずしもお金が尽きたときだけではありません。むしろ多いのは、「誰にも応援されていない気がする」「自分は何のために頑張っているんだろう」といった、孤独や迷いが積み重なったときです。
私自身、経営の中でしんどかった時期も、まさにその感覚でした。そのとき支えになったのが、役員・佐々木の「しんどいときに続けることに意味がある」という言葉です。続けていれば、どこかでチャンスを掴める。その言葉で踏ん張れました。
挑戦の火を大きく燃え上がらせるのは、最終的には挑戦者本人と、その会社にコミットしているメンバーです。外部のコンサルである私たちは、直接「火を燃え上がらせる」立場ではないかもしれない。でも、火が消えてしまわないように支え続けることはできる。そのような存在でありたい。だから「燃やす」ではなく「絶やさない」という表現を選びました。
VISION「不確かな時代に、迷わない解像度を。」
挑戦者は、しがらみが少なく自由な分、常に迷いと向き合うことになります。しかし、迷い続ける時間は本当に無駄で、ストレスにもつながる。だからこそ私たちが、挑戦者の「迷う時間」を減らしたいです。
複数の選択肢があるとき、ロジックで整理して「〜だからこちらが妥当です」と導ける場面もあります。ただ実際には、「自分で散々考え抜いたうえで、誰かに背中を押してもらって決断できた」というケースも多い。
私自身、採用判断などでそれを感じてきました。AとBの選択肢で揺れながらも、「本当はこちらに行きたい」という気持ちがどこかにある。その本音を汲み取り、「やりたい方を選んだほうがうまくいく」と背中を押してもらえると、迷いが一気に晴れて決断できる。これも解像度が上がるプロセスの一部だと思っています。
クライアントの案件でも、多くの場合「やる前提」になることが多いです。「やるか・やらないか」で言えば、みんな「やりたい」。であれば、「なぜやるのか」「どうやるべきか」をリサーチや議論を通じて言語化し、チームが迷いなく動ける状態をつくる方が、結果として成功確率を上げるはずなんですよね。そのための「解像度」を提供したいです。
3つのVALUE
Client Success ― 顧客の成果が、我々の成果。
─── バリュー1つ目の、「Client Success ― 顧客の成果が、我々の成果。」に込めた想いを教えてください。
これは文字どおり、「お客様の成功が、自分たちの成功そのもの」という姿勢を徹底したい、という思いです。
仕事の本質は「価値を提供し、感謝され、その対価としてお金をいただくこと」だと思っています。日本では働き方の議論が先行しがちですが、価値提供より働き方が優先されてしまう風潮に違和感があるんです。
私が大切にしたいのは、しっかり成果を出して「ありがとう」と言われる仕事を積み重ねること。その方が、人生の満足度も自尊心も確実に上がるし、仕事とプライベートの充実は決して両立しないものではありません。
僕らの給料の源泉はすべて「お客様からいただいたお金」です。だからこそ、お客様に感謝し、いただいた以上の価値を返す。これは当たり前であり、忘れてはならない姿勢だと思っています。
こうした本質的な価値観は、何もしないと薄れていきます。だからこそバリューに明確に刻んでおきたい。「お客様の成功こそが自分たちの成功」という姿勢を貫くために、この言葉を置いています。
Speed Creates Quality ― あなたの時間は、チームの時間。
─── 2つ目のバリュー「Speed Creates Quality ― あなたの時間は、チームの時間。」に込めた想いについて教えてください。
大きく2つの意味を込めています。
1つ目は「一人で抱え込まない」こと。できない人ほど悩みを抱えてスケジュールが遅れがちです。誰もが経験することですが、これは実はとても独りよがりです。お客様からすれば、上司に聞いてでも良いものを早く出してほしい。私たちの仕事は、スピードとクオリティの両方が揃って初めて価値になります。だからこそ、「ここは〇〇さんにパスした方がいい」と自然に助け合える状態をつくりたい。そしてパスを受けた側も責任を持って返す。そんなチームでありたいです。
2つ目は、組織文化の話です。副業やリモートが当たり前になり、個で完結する働き方が広がるなか、それでも同じオフィスで働く意味は「一人では出せないアウトプットを、チームなら出せる」ことにあります。私自身も、個人主義の会社で働いた経験もありますが、チームで動くときが一番成果が出て、一番楽しかった。人は誰かと協働することでエネルギーが生まれる生き物だと思います。
Think and Feel ― 左脳と右脳と、気持ちの掛け算。
─── 3つ目のバリュー「Think and Feel ― 左脳と右脳と、気持ちの掛け算。」に込めた思いを教えてください。ISSUE独特だと感じました。
このバリューは、「合理性(左脳)」と「直感・創造性(右脳)」、そしてその奥にある「気持ち」を大切にしたい、という思いから生まれました。
コンサルではロジカルさが必須ですが、それだけに寄ると仕事は味気なくなる。一方で直感だけでも危うい。だからこそ、両方のバランスを取りながら、最後は「気持ち」で人や事業に向き合う姿勢を大事にしたいと考えています。「お客様に寄り添いたい」、「頑張る仲間を支えたい」。そうした心の動きこそ、組織文化の源泉になるからです。
─── ロジカルさが大事なのはわかりますが、「右脳の大事さ」に気づいたのはどのタイミングですか?
きっかけは、コンサル3人で立ち上げた事業が1年でクローズした経験でした。合理的に「いける」と判断したものが現実には上手くいかず、その結果2人は辞めてしまった。ロジックだけの限界を痛感しました。頭で考えすぎるほど、本当はやった方がいいことを躊躇してしまう。振り返ると、野村からベンチャーに飛び込んだ頃は完全に直感とワクワクで動いていて、その「右脳の突破力」をいつの間にか失っていたことに気づいたんです。
2社目のベンチャー社長も、典型的な右脳タイプでした。気まぐれ会社に来たり、勢いで何か始めたりといった人なのに、最終的には誰からも愛される。正直に本音で話すからこそ、人が集まり、組織が自然と大きくなる。これはロジックでは説明できない「右脳と気持ち」の力でした。
YCP時代も、本当に優秀で成果を出す人たちは例外なく「可愛がられるタイプ」です。左脳スキルは前提として必要ですが、人がやる意味を生むのは、右脳と気持ちの部分です。
3つの事業(①新規事業、②M&A、③資金調達支援)
─── 3つの事業をメインに掲げている理由を教えてください。
私たちが以下の3つの事業を柱にしている理由は、いずれも「挑戦者の火を、絶やさない。」というミッションに直結しているからです。そしてこれらは、事業として大きなシナジーがあります。
①新規事業コンサルティング
②M&A事業成長アドバイザリー
③スタートアップの資金調達・事業支援
ISSUEはもともと「新規事業のリサーチ〜戦略〜実行支援までを一気通貫で支援する会社」としてスタートしました。それは今も変わりません。
ただ近年では、新規事業の中にM&Aが自然に組み込まれるようになり、「M&A支援をしていないのに、新規事業だけ支援する」のは不自然に感じます。価値創造の手段としてM&Aは有力な選択肢であり、それを正しく設計・提案できる組織であるべきだと考え、M&Aアドバイザリーを事業として立てています。
また、スタートアップ支援についても同じです。私自身がベンチャー出身だからこそ、ずっとやりたかった領域です。起業家が最もしんどいのは、銀行交渉や資本政策などのファイナンスと、事業成長の両方を同時に回さないといけないフェーズです。本来であれば、ファイナンスは誰か専門家に任せて、起業家は事業成長に集中した方が成果が出ます。とはいえ、初期〜成長前半のスタートアップには、まだCFOが不在のケースが多い。だからこそ、そこを私たちが巻き取った方がいいと考えて、事業として位置づけました。
─── 調達支援やM&A支援があるのは、起業家にとっても選択肢が増えていいですね。
日本には、「成長も出口も描けないまま、停滞してしまうスタートアップ」が生まれやすい構造的な課題があります。本来であれば、IPOかM&Aか、出口戦略を描くべきです。そうすれば、起業家が一つの挑戦を終えたあと、次の挑戦にスムーズに向かえる土壌ができます。この循環こそ、今の日本に必要だと感じています。
そもそも日本には挑戦する人がまだ多くないからこそ、一度挑戦した人がもう一度、次の挑戦に進みやすくなる仕組みは社会全体にとっても重要です。
そのために、ISSUEは3つの事業を柱にしています。
新規事業・M&A・スタートアップファイナンスの3つを揃えることで、
・挑戦者の選択肢を増やす
・事業の入口から出口まで一気通貫で支援する
・2回目、3回目の挑戦が当たり前になる環境をつくる
これらを通して、「挑戦者の火を、絶やさない」仕組みを、事業として形にしたいという想いがあります。
─── 確かに、この3つを揃えることで、挑戦者にとっても選択肢が広がりますし、社会にとっても良い循環が生まれそうですね!