リバネスキャピタルは、「ヒューマンキャピタルの力で効果的な組織経営をデザインする」をミッションに掲げ、ディープテックベンチャーの仲間となり、組織開発やバックオフィス構築をハンズオンで支援しています。
今回は、高専出身というバックグラウンドを持ち、テストエンジニアやCADオペレーターを経てリバネスキャピタルへ参画した渡辺さんにインタビュー。未経験から環境開発業務に従事し、現在は投資開発で多岐にわたるプロジェクトを進める彼女のキャリアやリバネスキャピタルに対して感じる魅力など幅広く伺いました。
渡辺桂子 / 投資開発事業部
高専を卒業後、組み込み系ソフトウェアの開発会社のテストエンジニアや、土木設計会社でのCADオペレーターに従事。2019年、リバネス(現リバネスキャピタル)に入社。当初は総務・事務領域からスタートしたが、現在は投資開発事業部のリーダーとして、70社を超える出資先の管理やファンド運営、投資起案書のチェックなどを担当する。2023年末からは社内で共同研究の予算を得て、ミドル層の離職防止に関する研究も行っている。
専門性を限定せず何でもやってみる。柔軟なキャリアが拓いた新しい道
ーーまずは、渡辺さんのリバネスキャピタルに参画するまでの歩みについて教えてください。もともと理系分野のご出身だったんですよね?
はい。父親が高専卒だった影響もあり、私も高校課程の3年間を高専で過ごしました。高校1年生の頃からパソコンを使ってレポートを出すような環境にいたので、当時からPCスキルを活かせる仕事に興味があったんです。その後、結婚・子育てが一段落したタイミングで働き始めたのが、組み込み系ソフトウェアの開発会社でした。
そこではExcelのマクロを組んだり、カーナビの試験データを作成したりといった業務を担当し、その後、紹介を通じて電話機のシステム評価を行う会社へ転職して、テストエンジニアとしてシステムの不具合を洗い出す役割を担っていました。直近では実家の家業である土木設計の会社で、CADのオペレーターやドローンで撮影したデータの整備などを行っていました。
ーーテストエンジニアにCADオペレーターと、かなり専門的かつ多様な経験を積まれていますね。新しい分野へ飛び込むことに抵抗はなかったのでしょうか?
不思議と抵抗はありませんでしたね。私は自分自身のことを「何者でもない」と思っているんです。「私はこれが売りです!」という特定の武器に固執していないからこそ、誘われたら「とりあえずやってみよう」という柔軟なスタンスでいられました。
ーー各環境に対してしなやかに適応できるのは、渡辺さんの大きな強みですね...!
ありがとうございます。ただ当の本人は、一つのことを極めたいなと思っているうちに、いつも新しいものが目の前に差し出されるという感覚なんです(笑)。「私は一体何に強みを持つ人なんだろう?」と思いながらも、環境の変化や挑戦の機会を受け入れ続けてきた結果、気づけば幅広い専門スキルが身についていました。
思い返せば、どの現場においても、自分が何者であるかという主観的な定義より、その場所で「今、何を求められているか」を汲み取り、その役割をどう全うするかということに関心があったなと思います。自分自身の可能性を限定しないことで、結果としてキャリアの幅が広がっていきましたね。
ーーリバネスキャピタルとの出会いも、そうした「紹介」がきっかけだったとお聞きしました。
友人がリバネスのグループ会社で働いていて、代表の池上さんが人を探しているという話を聞いて紹介してくれました。当時は父が経営する会社で働いていましたが、親族ということで周囲が私に気を遣ってしまい、本来期待される役割が十分に割り振られないもどかしさを感じていた時期でもありました。
「もっと責任を持って、しっかり仕事ができる環境で働きたい」という漠然とした思いがあったときに声をかけてもらい、面談に進むことになったんです。面談では、まだリバネスキャピタルという会社ができる前でしたが、バックオフィス全般を見てほしいというお話をいただきました。
組織を支える土台としてスタートした新たなキャリア
ーー入社の決め手は何だったのでしょうか?
池上さんから言われた、「総務といっても大企業のIR対応のような堅苦しいものではなく、社内を綺麗に整えて、フロントのメンバーが気分良く働けるようにするような仕事だよ」という言葉が心に刺さりました。「それなら私にもできそうだ!」と感じたんです。
また、選考の過程でバックオフィス部門のメンバーが主体となって運営するイベントに遊びに行かせてもらったのですが、その雰囲気がとてもアットホームで楽しそうだったのも大きな魅力でした。当時、親会社であるリバネスが3代表制に移行するタイミングで、新しく代表に加わるメンバーを祝うためにバックオフィスの人たちが自作のくす玉を用意していたんです。イベント中にその代表にくす玉を割ってもらってみんなでお祝いするような温かい社風に惹かれましたね。
ーー研究者が中心となって活動している組織ですが、その独特な環境に飛び込むことへの期待や不安はいかがでしたか?
私自身、研究者という人種がもともと好きなんです。面談の際、「研究に没頭するあまり身の回りのことに無頓着なメンバーもいるけれど大丈夫?」といったお話もいただきましたが、高専時代に研究者気質の教授や学生たちの姿を間近で見てきましたから、全く抵抗はありませんでした(笑)。
むしろ、彼らが何かに熱中している姿を支えるのは、自分の性に合っていると感じていました。私自身は研究者ではありませんが、新しい技術の発見やニュース、博物館に行くことが大好きです。最先端の科学技術や未知の知見に日常的に触れられる環境は、純粋にワクワクする面白い場所だと思いました。
ーー入社後は、どのような業務から取り組まれたのですか?
郵便物の仕分けや名刺作成、契約書の管理、そして経費書類の紐付けといった今のリバネスキャピタルでいう「環境開発」に分類される業務からスタートしました。リバネスグループはSalesforceを徹底活用しているのですが、書類とデータの紐付けなどを通じて、組織の裏側がどう動いているのかを学んでいきましたね。
どんなに細かい雑務でも、それがフロントメンバーの働きやすさに直結していると思えば苦ではありませんでした。むしろ、自分の「何者でもない」という特性を活かして、こぼれているボールがあれば何でも拾いに行った積み重ねが、今の役割に繋がっているのだと思います。
未経験から投資開発領域のリーダーへ。1つひとつの物事に向き合い続け、理解を深める
ーー現在は投資開発事業部のリーダー的な役割を務めておられますが、投資領域への転換はどのような経緯だったのでしょうか。
リバネスキャピタルが設立されるタイミングで、組織として投資開発と環境開発の2つの事業部が明確に分かれることになりました。当初、私は環境開発チームの取りまとめを打診されていたのですが、組織の最適化を考える中で、最終的に投資開発を見ることになったんです。
「渡辺なら、新しいことが降ってきてもやるだろう」という期待もあったのかもしれません。投資の知識はゼロからのスタートでしたが、まずは会社にある推薦図書を読み込み、現場の会議に全て出させてもらいました。一人で全ての会議に出ていると、嫌でも用語やスキームが耳に入ってくる。加えて、実務で様々な資料に触れながら、少しずつ知識を定着させていきましたね。
ーー現在は、具体的にどのような業務を担っているのですか?
出資の可否を判断する「投資委員会」に向けた書類の準備や、出資後に行われる各社の株主総会への対応、そしてファンドの管理業務などがメインです。現在、リバネスキャピタルの出資先は74社にのぼるため、毎月かなりの数の株主総会が発生していますね。
また、投資チームは現在、日本人と外国人のメンバーが半々の構成になっています。投資用語や日本の商習慣を彼らに教える、教育的な役割も私の大切な仕事の一つですね。
ーー各社細かく管理されているんですね。
はい。リバネスキャピタルの投資は、一般的なVCのように売却益を目的としているわけではありません。「無期限」でベンチャーを支え続け、彼らが大きく育つまでじっくり待つという独自のスタンスを貫いています。だからこそ、管理側としても単なる数字のチェックに留まらず、各社がどのようなフェーズにあり、何を必要としているのかを常に一元管理しておく必要があります。
ーー未経験からここまで専門性を高めることができた要因についてはどう考えていますか?
会議中に飛び交う言葉を逃さず、将来的に必要になりそうな数字を目星をつけてあらかじめ準備しておく習慣が役に立ったかなと思います。代表から「あの会社のあの時の売上は?」と急に聞かれたときに、リストをパッと出せると、「やっててよかったな」と心の中で小さくガッツポーズしてしまいますね(笑)。
実務の中で学ぶことは多いですが、分からないことをそのままにせず、代表である池上さんに壁打ちをしたり相談したりできる環境があったことも大きいです。リバネスキャピタルでの仕事は、「雑な人でなければ誰でもできる仕事」だと言えるほど、地道に積み上げた時間がそのまま力になるものだと感じています。努力した分だけ視界が開け、事業や経営の全体像が見えるようになる面白さがあるはずです。
共同研究への挑戦も。自ら機会を創り、長く働ける組織をデザインする
ーー渡辺さんは現在、業務の傍らで「共同研究」も主導されているとお聞きしました。
そうですね。2025年末に会社から予算をもらって、外部の研究者の方々と共同研究を始めました。テーマは「ミドル層の離職防止」についてです。リバネスグループでも、組織が拡大する過程で頼りにしていたミドル層のメンバーが卒業していくタイミングがあり、本人にとっても組織にとっても、より良い形で長く活躍し続けられる仕組みをデザインできないかと考えたのがきっかけです。
単に「会社に引き止める」ということではなく、どうすれば一人ひとりがさらに輝きながら、未来へ向かって共に走り続けられるのか。その問題意識をぶつけたところ、池上さんが「いいじゃん、やってみなよ!」と背中を押してくれたんです。投資開発のリーダーという役割を超えて、自ら問いを立てて組織の未来を創る研究に向き合う機会をもらえたことは、とても大きなやりがいになっています。
ーーバックオフィスのメンバーが自ら研究を行うというのは非常に斬新ですね...!
やりたいことがあれば言ってみる。そしてそこに対するチャレンジの機会もしっかり与えてもらえる。これはリバネスキャピタルならではの魅力だと思います。
ーー主体的に発信し、変化を楽しめる渡辺さんのような方には、魅力的な環境だと感じました。
そうですね。ただ、私たちの組織には、表立って自分をアピールするタイプではないメンバーも多く在籍しています。目立つことはしていなかったとしても、みんな手堅く着実に仕事を進めていて、その積み重ねが支援先のサポートに深く繋がっている。そういう「アピールよりも実行」という人たちが、正当にリスペクトされるリバネスキャピタルの環境が私は大好きです。
また、多様な背景を持つメンバーが自分らしくいられる柔軟さも、この組織の強みだと思います。特別な特性や資格を誇示しなくても、誰もがそれぞれの持ち場で着実に活躍できる。それこそが、リバネスキャピタルという組織の本質であり、最大の魅力なのだと感じています。
ーー最後に、渡辺さんが今後描いている展望を教えてください。
リバネスキャピタルを「人が長く働ける組織」にしていきたいです。そのために、今取り組んでいる研究の成果を組織運営に還元し、「ここは安心して長く働ける会社です!」と胸を張って言える状態を作りたい。組織が大きくなっていく過程で、一人ひとりが無理なく、でも成長を実感しながら走り続けられる仕組みをデザインしていきたいですね。