チャレンジを後押ししてくれたのは、“制度”ではなく“文化”だった。 AWS re:Invent 2025参加レポート
KINTOテクノロジーズが手掛けているサービスは、車のサブスク「KINTO」のみではありません。社内では、さまざまなプロダクトの開発が進行しています。
そのようにして生み出されているサービスに欠かせないのが、Amazon Web Services(AWS)に代表されるクラウドサービスの存在です。KINTOテクノロジーズでは2024年より、その利活用を推進するための学びの機会として、AWSが開催する技術カンファレンス「AWS re:Invent」に参加を希望し、社内選考を経て参加することができます。
今回のインタビューでは、昨年12月開催の「AWS re:Invent 2025」に参加した森本さん、古代さんにお話を伺いました。アプリケーションエンジニア、クラウドエンジニアと、それぞれに役割は違いながらも、「特別な体験になった」と口を揃える2人。現地ではどのような時間を過ごしたのでしょうか。参加から感じたKINTOテクノロジーズの魅力、経験を生かして今後取り組みたいことなどにも迫ります。
▍森本 KINTOバックエンド開発グループ Goku契約チーム バックエンドエンジニア
新卒で損害保険系のSIerへと入社。エンジニアとしてのキャリアをスタートする。この企業では、Webアプリケーションエンジニアとして、大小さまざまなプロジェクトに参画。数年の勤務ののち、よりモダンな環境での開発に憧れ、KINTOテクノロジーズへと入社する。志望の決め手となったのは、創業期から成長期へと歩みを進めるKINTOテクノロジーズの事業フェーズが自身の成長にプラスに働くと考えたから。社内では、KINTO関連サービスのバックエンドエンジニアとして活躍する。
▍古代 Cloud Infrastructureグループ カイゼンチーム リーダー/シニアクラウドエンジニア
新卒でSES企業へと入社し、エンジニアとしてのキャリアをスタート。テスターやネットワーク構築、toB/toE向けのアプリケーション開発など幅広い業務に従事したのち、Webシステムの受託開発事業の立ち上げに携わる。その後、SIer、Web系の事業会社へと転職し、主にクラウド領域の開発や運用、保守を経験。2025年1月にKINTOテクノロジーズへと入社した。志望の決め手となったのは、トヨタグループの取り組みがこれまでやってきたこと、これからやりたいことにマッチしていると感じたから。「社会にインパクトを与えるサービスを作りたい」。その想いを胸に、日々業務へと向かっている。
役割の違う2人がAWS re:Invent 2025に参加したいと考えた理由とは
――最初に、今回お二人が参加した「AWS re:Invent」について教えてください。どのようなイベントなのでしょうか。
古代:AWS re:Inventは、AWSが例年11月末から12月初旬にかけてアメリカのラスベガスで開催する、世界最大級のクラウドコンピューティングの技術カンファレンスです。ワークショップやハンズオンなど、構成するセッションは数千に及び、基調講演では新製品も続々と発表されます。特にクラウドの分野に携わるエンジニアにとっては、AWSとその関連サービスの最前線を知ることができる貴重な場となっていますね。
――なるほど、世界最大級のクラウドサービスのイベントなのですね。KINTOテクノロジーズから派遣するメンバーの選抜はどのようにして行われたのですか?
森本:技術広報を担当しているグループが全社向けにSlackチャンネルで公募をかけ、希望者が手を挙げる形でした。現地でのコミュニケーションに英語が必要となるため、応募にはTOEICで750点以上など、いくつかの条件が設定されていましたね。志望理由をもとに書類ベースで選考が行われ、10名の応募者のうち、私と古代さんを含めた5名が派遣されることになりました。
――森本さん、古代さんは以前から参加したいと考えていたのですか?
森本:私はイベントの存在自体は知っていましたが、参加を現実的に考えたことはありませんでした。機会がいただけることを知り、「それならば…」と応募することに決めました。
古代さんの言葉にもあったとおり、AWS re:Inventは、クラウドコンピューティングの技術カンファレンスであるという性質を持っています。社内でアプリケーションエンジニアとして働く私にとって、この領域は主戦場ではありません。しかし、ここ数年の開発環境では、クラウドや生成AIが大きな技術トレンドとなっています。私がAWS re:Inventの公募に手を挙げたのは、クラウド技術の最先端を知っておくことが、私の携わるアプリケーション開発にもプラスに作用するのではないかと考えたからでした。
古代:私は以前から、クラウドエンジニアにとって学びの場、コミュニケーションの場として機能するAWS re:Inventの存在に関心がありました。いつかは自分も参加してみたいと考えていましたね。前職の同僚で親交があり、私より先に入社していたクラウドDBREエンジニアの粟田さんには、「KINTOテクノロジーズには、AWS re:Inventに社員を派遣する制度がある」と話を聞いていました。そのことがKINTOテクノロジーズを志望する決め手のひとつにもなりました。
規模の大きさに圧倒された5日間。体験型セッションの受講が何にも代えがたい経験に
――実際に肌で感じた現地の様子はいかがでしたか?
古代:最初に感じたのは、イベントの規模の大きさでした。開催中はラスベガスにある5つのホテルのカンファレンスルームが貸し切られ、同時進行で基調講演やワークショップ、ハンズオンなどが行われていました。各ホテル間は少し距離が離れているため、歩いて移動するのは現実的ではないのですが、会期中は臨時で無料のシャトルバスが運行されており、参加者はこのバスを利用し、関心のあるセッションを次々に渡り歩きます。移動時間は、バス停留所までの徒歩を含め、20分弱ほどでしょうか。ラスベガスの街全体がAWS re:Invent一色になっているさまを目の当たりにし、気分が高揚するとともに、その規模感に圧倒されました。
――お二人はどのようなセッションを受講したのでしょうか。
古代:私は、ディスカッションやハンズオンなど、参加者を巻き込んだ体験型のセッションを中心に受講しました。主要な基調講演、セミナーの一部は、オンラインで配信され、後からアーカイブを視聴できると事前に知っていたからです。森本さんも同様の観点で参加するセッションを選んでいましたよね?
森本:そうですね。おかげで密度の高い体験になりました。とはいえ、一般的なセッションが45分から1時間ほど、なかには2時間ほどの長丁場になるものもあります。移動が必要だったり、英語を翻訳しながら理解しなければならなかったりと、時間的にも体力的にも、1日に3セッションほどを受講するのが限界でした。もしまた参加することがあれば、より効率的に回る方法を考えたいですね。
――イベント全体を振り返り、印象に残っていることがあれば教えてください。
森本:GameDayと呼ばれるセッションが楽しかったです。このセッションでは、参加者が3人ずつのチームにわかれ、与えられた開発課題のクリアを目指します。私が臨んだのは、Amazon Q DeveloperというAIエージェントを用いて各AWSリソースにアクセスし、Javaバージョンアップやパフォーマンスの最適化、疎通確認・テストを行い、最後にその結果を用いてクイズに回答する」という課題でした。
このように楽しみながら学べるセッションを受講できたことは、世界的なイベントであるAWS re:Inventならではだったのかなと感じています。苦労したポイントを含め、良い経験ができました。
古代:私は普段出会えない人たちと交流できたことが特に印象に残っています。たとえば、「Executive Briefing Center meeting(EBC meeting)」と呼ばれる集まりでは、AWSの開発や運用に携わる方と、特定の議題についてディスカッションさせてもらいました。セッション外の雑談では、AWSの活用に関して私たちが困っていることを共有する機会もあり、「有意義なアプローチだと思う。参考にできないか社内で話し合ってみる。」と、前向きな回答をいただくこともできました。
また、AWSの担当者の方には、生成AIの領域の主要企業であるAnthropic社のメンバーとのミーティングも個別に設定していただきました。この場には、現地の事業マネージャーの方、日本法人の代表の方が参加しており、AIの活用に関して、意見交換・情報交換の機会をいただきました。
EBC meetingと同様の観点では、「チョークトーク」と呼ばれるセッションも印象的でしたね。このセッションでは、参加した30~50名ほどのメンバーが、自社で抱える技術課題を共有し、全員でその解決方法を考えました。
基調講演を生で聴いたり、新製品の情報をいち早くキャッチアップしたりすることも、現地を訪れる魅力なのですが、私はそこで生まれるインタラクティブなコミュニケーションに価値を感じていました。すべてが現地でしか体験できない有意義な時間でした。
個人を尊重する組織風土が背中を押してくれた。今後は“得た経験の標準化”に取り組んでいきたい
――AWS re:Invent 2025への参加を振り返り、なにか感じたことはありましたか?
森本:最初に感じたのは、私たちが環境に恵まれていることでしたね。KINTOテクノロジーズでは2024年から、AWS re:Inventへのメンバーの派遣がスタートしていますが、当初は海外への出張に関する制度設計が十分ではなく、いろいろと煩雑な部分があったと伺いました。社員なら誰でも応募できる仕組みづくりや、手続きの簡略化など、環境の整備がこの1年で急速に進んできました。全社員に平等に機会をいただき、また取りまとめまでしていただいて感謝しています。
古代:私が現地での交流に積極的に動けた理由のひとつには、社内にネガティブなしがらみが少ないことがありました。一般的な企業であれば、一介のエンジニアに開発ツールの取捨選択はできませんし、1人のメンバーとして他の企業の方と具体的な話を行うことは認められないのではないでしょうか。エンジニアファーストを掲げるKINTOテクノロジーズだからこそ、私は1人の開発者として、萎縮することなくトライすることができました。森本さんのお話にあった制度設計を含め、すべてが柔軟な企業ならではの体験だったと思います。
森本:KINTOテクノロジーズ社内には「合理的、生産的な選択であるなら、一人ひとりの判断を尊重する」というカルチャーが確立されています。多くの場合、各エンジニアは業務に使うツールを自由に提案できますし、そうしたボトムアップが頭ごなしに否定されることもありません。「より良い開発のためなら手段は選ばない」。そうしたカルチャーが定着/浸透していることが、AWS re:Inventへの参加、現地での私たちの体験にも良い影響をもたらしていると感じました。
――AWS re:Invent 2025への参加から学んだことを、今後どのように実務に生かしていこうと考えていますか?
古代:2021年4月の創業から5年。KINTOテクノロジーズは、着実な成長を遂げつつ、いよいよ事業の次のステージに差し掛かっています。しかし業界では、プラットフォームの進化が日々加速。設立当初のプロダクトにも、刷新や改善が必要となる局面が増えてきました。
そこで2026年、私たちは「Agentファースト(Agentic AI)」「AIエンジニアリングファースト(AI-Native Dev)」という新たな旗印のもと、AIエージェントを開発の中核に据えてます。トヨタグループの内製開発組織として柔軟性と生産性を両立し続けるため、AWS re:Invent 2025で得た経験を、次のチャレンジへとつなげていきたいと考えています。
森本:AWS re:Invent 2025で新たに発表されたサービスの中には、現在KINTOテクノロジーズが直面している課題を解決できそうなものも多くありました。とはいえ、そのことを私だけが知っているのでは意味がありません。今後はイベントへの参加を通じて得たノウハウを社内に共有し、浸透させていきたいですね。私は組織全体の感度の高まりが開発力を底上げしてくれると信じています。経験の標準化は、古代さんや私を含めた参加メンバーに課せられた使命であると感じていますね。
求めるマインドセットはチャレンジ精神があること。大企業とベンチャーの良さを両立する環境で、社会が驚くサービスを開発する
――最後に、KINTOテクノロジーズは現在、エンジニアのキャリア採用を強化しています。お二人は社内でどのような方が活躍できると感じていますか?
古代:最も重要なマインドセットは、チャレンジ精神だと考えています。KINTOテクノロジーズは、トヨタグループに所属する内製開発組織として、豊富なグループ資源や知見を活用できる環境にあります。私は日々、その恩恵を受けながら業務に向かっています。だからこそ、安定した土台に甘んじることなく、実証から迅速に実装へとつなげる姿勢が求められます。今回のインタビューは、AWS re:Invent 2025への参加に関するものでしたが、この背景にもKINTOテクノロジーズならではの柔軟な開発姿勢が息づいています。こうしたカルチャーを形作っているのは、代表取締役社長の小寺、代表取締役副社長の景山を中心としたメンバーの一人ひとりです。私たちとともに、KINTOテクノロジーズの推進力を生み出していける方がジョインしてくれたら、これほど心強いことはないですね。
森本:KINTOテクノロジーズには、IT業界でもWeb系以外からのさまざまな出身のメンバーが多くいます。さまざまなバックグラウンドを持つメンバーたちが、ときに意見をすり合わせながら、one teamで課題に向き合っていく。私は、そのような開発体制がKINTOテクノロジーズで働くことの面白さだと感じています。
大企業の一部でありながら、ベンチャーらしさも併せ持つKINTOテクノロジーズですから、なかには特有の苦労もあるかもしれません。けれども、そのようなドタバタもまた、企業としての成長期に足を踏み入れつつある今しか味わえないものだと思います。「社会があっと驚くようなサービスを作りたい」。そう考える方がジョインしてくれたら、より刺激的で楽しい職場になると思います。みなさんのご応募をお待ちしています。