Tokyo Pride 2026
2026年6月、プライドマンスに開催。パレードやフェスティバルを中心に、多様性と平等の実現を目指すLGBTQ+イベントです。
https://pride.tokyo/
平成医療福祉グループは、2026年6月6日(土)・7日(日)に代々木公園イベント広場で開催された「Tokyo Pride 2026」(主催:特定非営利活動法人東京レインボープライド )に参加しました 。
これまでグループでは、ダイバーシティ&インクルージョン推進室(以降、D&I推進室)を中心に、多様性を尊重し、あらゆる差別のない組織づくりを進めてきました。
活動の一環として、これまでTokyo Pride Paradeに継続して参加してきましたが、今回はFestivalエリアにおいて初のブース出展を実現しました。
2日間にわたり、1,397名の来場者が訪れたブースやParade参加の様子とともに、来場者との対話から見えてきたこと、そして職員たちが感じたことなどをお伝えします。
多様性について対話ができるように ーTokyo Pride出展への準備
来場者と共に考える「安心して利用できる医療・福祉」
多様性を祝福するParadeへ
現場でのケアへ生かしたい、職員それぞれの気づき
Tokyo Prideで見えた、医療・福祉に求められること
「出展しない」という選択肢はなかった
来場者の声から見えた、医療への期待と課題
出展の経験を医療・福祉の現場へつなげていくために
Tokyo Prideブース出展に向けた準備は、D&I推進室メンバーを中心とした準備委員会により、今年3月からスタートしました。
会議では、「LGBTQ₊の方はもちろん、さまざまな方と多様性について対話する機会を持ちたい」「来場者から、医療機関にどのようなことを求めているのか、そのリアルな声が聴きたい」などの意見を交わしながら、医療・福祉グループとして何を発信するべきかを検討しました。
当日の参加者には、準備委員会のメンバーに加え、グループのアライ職員(※)を始めとする有志を募りました。さらに、事前にオンライン研修を実施したうえで、Tokyo Prideに臨みました。
オンライン研修画面。研修は参加者全員に実施しました(ブースのみの参加者、Paradeのみの参加者、その両方に参加する人など参加形態はさまざま)。SOGI / LGBTQ₊に関する基本的な知識をあらためて学び直しました。
※グループには「LGBTQ₊アライ制度」があります。この制度は、どのようなSOGI(性的指向・性自認)の人であっても、安心して医療・福祉などのサービスを受けられる環境を整備するために設けた、グループ独自の制度です。研修などを受けて知識を深めた職員がアライであることを表明し、グループで制作したオリジナルのアライグッズを身につけることで、LGBTQ₊などの患者さん・利用者さん・職員に対するサポーティブな姿勢を示し、相談しやすい環境作りを目指しています。
Tokyo Pride当日、いよいよブース出展がスタート!
ブースには、グループのSOGI / LGBTQ₊に関する取り組みを紹介する展示物を掲示しました。
平成医療福祉グループのブース。
また、来場者のみなさまと共に、「誰もが安心して利用できる医療・福祉」を考えるための来場者参加企画も用意しました。
①「安心して利用できる医療機関はありますか?」②「どのような医療機関を望みますか?」の二つの質問を用意。①には「はい・いいえ」でシールを貼ってもらい、②には付箋にメッセージを書き込んでもらいます。
来場者のみなさまには、付箋に自由にコメントを書き、ボードへ貼っていただきました。
この企画に参加してくださった方には、オリジナルグッズもお渡ししました。
今回のイベント用に作成した、グル-プオリジナルのリストバンド。
同じく、オリジナルサコッシュ。
これらのグッズが好評で、開始直後から多くの方が足を止めてくださいました。
ボードに、次々にシールと付箋が貼られていきました!
「どのような医療機関を望みますか?」という問いには、準備した職員たちの予想を大きく上回る数のメッセージが寄せられました。多くの方が、自らの経験や想いを付箋に書き残してくださいました。
そのなかには、「同性パートナーと一緒に受診できる病院」「トランスジェンダーの医療がどこでも受けられるようにしてほしい」「性的マイノリティを想定できる医療スタッフが必要」など、当事者の悩みが浮かび上がる声が多数見受けられました。
LGBTQ₊の方もそうでない方も、日本人も外国籍の方も、多くの方が丁寧にメッセージを書いてくださいました。
さらにブースの奥へと進んで展示をじっくり見たり、当事者として感じていることを伝えてくださったり、グループの取り組みに興味を持たれたりと、多くの方が職員と会話を交わしました。
ブースを担当した職員のなかには、普段LGBTQ₊の当事者と接する機会があまりない人も多く、「当事者の声を直接聴くことができてよかった」という声が聴かれました。
また、LGBTQ₊の当事者に限らず、「障がいをお持ちの親御さんから医療機関への不安を話していただいた」という職員もおり、「さまざまな方の医療機関へ対する想いが聴けたことに大きな意味があった」と話していました。
イベント2日目はブース出展と並行して、ほかの医療系団体と一緒に「Medical Pride」としてParadeにも参加しました。
沿道には多くの人々が集まり、パレード行進者に拍手や「Happy Pride!」の掛け声が送られました。
Paradeに初参加した職員からは、「沿道からの声援がとても温かく、楽しかった」「来年も参加したい!」「これを機にアライ制度に登録しようと思った」といった声が聴かれました。
Paradeのコースは、渋谷~原宿エリアにかけて約2km。行進者も沿道から声援を送る人も、子どもから高齢者まで年齢層が幅広く、外国籍の方の姿も多く見られました。
そしてどの人もじぶんらしく、生き生きとした表情でその時間を楽しんでいる姿が印象的でした。
そこには、平成医療福祉グループが目指す、多様性を尊重する社会が広がっているようでした。
Tokyo Prideへの参加後に、参加した職員にアンケートを実施しました。そのなかから、寄せられた感想の一部をご紹介します。
「研修だけでは気づけなかった一人ひとりの悩みに触れ、『多様性』という言葉の重みを感じた」
「安心して利用できる病院がないという声の多さを受け、医療業界にはまだまだやるべきことがあると感じた」
「日々の生活のなかで、自分がマジョリティであることを忘れてしまうことがある。こうした体験型の参加は、自分自身をアップデートする機会にもなると思った」
「多様性について最小限でもいいから、知識を持つほうがいい。それが日々のケアにつながると思った」
「LGBTQ₊の高齢化も社会問題。このイベントで、高齢者施設がLGBTQ₊の当事者へ提供できるサービス情報なども伝えらえるようにしたいと思った」
「当事者の声を聴く機会に恵まれたので、これを少しでも医療現場に届けたい」
― D&I推進室メンバーに聴く、出展の意義とこれから ―
企画・運営に携わったメンバーは、この出展をどのように振り返っているのでしょうか。
Tokyo Prideのイベント実施を統括した、D&I推進室の稲垣さん、松本さんに話を聴きました。
写真左:松本 武士さん(D&I推進室/大内病院 リハビリテーション部 課長)、写真右:稲垣 光義さん(D&I推進室/法務部 部長代理)
ー あらためて、平成医療福祉グループがTokyo Prideにブース出展した理由を教えてください。
稲垣さん:グループでは、LGBTQ₊に関する職員向けの研修や「同性パートナーシップ制度」の運用など、さまざまな取り組みを進めています。その一環としてTokyo Pride Paradeへの参加も続けてきました。この流れで考えると、今回の出展は特別なことではなく、自然だったと感じています。
当事者の方々と直接交流し、私たちの取り組みを知っていただくと同時に、現場職員も当事者の声を聴きながら今後の改善につなげていく。そのような機会を持つことは、私たちにとってごく自然な選択だったと思います。
松本さん:私たちが出展した背景には、もう一つの想いがあります。これまでTokyo Prideには医療関連のブースが数多く出展され、その多くは性感染症やHIVなど、LGBTQ₊の方々が直面しやすい健康課題をテーマにしていました。
一方で、LGBTQ₊の方々も年齢を重ねれば、当事者以外の方と同じように病気や介護などの医療・福祉サービスが必要になります。しかしその際、同性パートナーとの関係性が適切に尊重されるのかなど、マイノリティであるがゆえの不安や課題に直面することも少なくありません。
LGBTQ₊に特化した健康課題への支援はもちろん重要ですが、長期的な視点で見た時に、医療・福祉の現場が誰もが安心して利用できる場所であることも大切です。だからこそ、慢性期医療や生活期の医療・福祉を担う私たちは、多様性に対応できる環境づくりを進めていく必要があります。今回の出展では、そうしたグループの姿勢を発信することにも意義があったと感じています。
D&I推進室メンバーのブース出展準備段階の様子。
ー実際に来場者との交流を通して、印象に残っていることはありますか。
稲垣さん:私はブース内にいる時間が短かったので、実際のやりとりは少ないのですが、非常に多様な方々が参加されていたことが印象的でした。年齢や国籍、性的指向・性自認といったさまざまな属性を持つ方がたくさん来場されており、Tokyo Prideそのものが多様性を体現している場だと感じました。
また、ブースで配布したオリジナルグッズが大好評だったのですが、来場者のなかには「グッズはいらないけど、メッセージを書きたい」と参加して下さった方もいました。それだけ医療機関に対して伝えたい想いがあるということや、今もなお困りごとを抱えている方が少なくないということを感じました。
また、メッセージのなかには当事者に「性についての説教をする医師がいる」という内容も見られ、「今の時代にもこんなことがあるのか」と、驚きました。後日あらためて、アライの会の職員と一緒にメッセージを読み直す機会を設けたいなと考えています。
松本さん:私が交流した方々を思い出すと、「属性」によって医療機関に感じる不安や悩みごとの違いがあるという印象を受けました。
例えば若いゲイ(※)の方は、医療機関への悩みがすぐに浮かばない様子でしたが、ノンバイナリー(※)やトランスジェンダー(※)の方は、差し迫った困りごとを抱えている様子が見受けられました。メッセージにも「見た目で性別を決めつけられる」という悩みが多くあり、そうした理由などから「病院へ行きたくない」という声もありました。
グループでは現在、問診票の見直しや施設環境の整備などに取り組んでいますが、安心して利用できる環境づくりには、まだ改善の余地があるとあらためて感じました。
一方で、「予約したのに長く待たされる」「説明がわかりにくい」といった、誰もが感じる医療機関への不満も多く見られました。
多様性への配慮だけでなく、すべての人にとって利用しやすい医療・福祉を目指していく必要があると感じました。
※ゲイ:性自認が男性で、男性に恋愛的・性的魅力を感じる人 。ノンバイナリー:自分で感じる性別の認識が「男性」「女性」の性別二元論に当てはまらない人。トランスジェンダー:出生時に割り当てられた性別と異なる性自認をもつ人
ー最後に、出展全体を通して感じたことや、今後の展望などを教えてください。
稲垣さん:今回の出展を通じて、日頃のD&Iの活動が社会とつながっていることを実感することができ、活力になりました。また、当事者の方に医療機関に対して抱えている困りごとや期待を直接伺えて、大きな学びがありました。
私たちのグループは、誰もが安心して利用できる医療機関や福祉施設を目指しています。その進捗を今後もTokyo Prideの場でお伝えしていきたいですし、当事者の方の声を受け取りながら改善を重ねていけたらと思っています。
松本さん:医療福祉の領域にも、「多様性を尊重する取り組みがある」ことをさまざまな方に知っていただくために、今後も出展を継続できたらと思います。
次回以降は、より具体的な取り組みを届けることも必要だと感じています。当事者の方が安心して医療・福祉を利用できるよう、「グループのこの病院では〇〇に対応している」といった情報を整理して発信していきたいです。
また、私たちの目標は、平成医療福祉グループだけが良くなることではありません。医療・福祉は、誰もが関わる公共性の高い領域です。だからこそ、一つの組織の取り組みにとどまらず、事業体の垣根を超えて、日本の医療・福祉全体が多様性に開かれたものになっていくことが大切だと考えています。
今後も出展しながら、ほかのブースと交流し、当事者の方々との対話の機会を通じて、その広がりを後押ししていけたらと思います。
今回得た気づきを一過性のものにせず、日々の医療・福祉の実践へとつなげていくこと。そして、誰もが安心して利用できる環境づくりを進めていくこと。平成医療福祉グループは、その積み重ねを、これからも続けていきます。
D&I推進室の今後の取り組みにご期待ください! D&I推進室の日頃の活動を伝えるnoteはこちら!
ダイバーシティ&インクルージョンに関する当グループの取り組みについて、以下の記事もぜひご覧ください!