労働集約型の人材紹介を脱却し、テクノロジーの力で個人と企業の可能性を最大化する「産業のOS」へ──。
行政や公共セクターにおけるDX停滞の本質は、技術的なスキル不足ではなく、組織構造そのものを刷新できる「変革の設計者」の不在にあります。この国家レベルの難題に対し、自社メディアとAIを掛け合わせた新プロジェクト『KIKKAKE Talent OS for Gov』を引っ提げて切り込むのが、IT・デジタル領域に特化した人材エージェント事業を展開するキッカケクリエイションです。
今回は、通商産業省(現・経済産業省)や内閣官房で、約20年にわたり、国の政策に携わってきた当社の政策統括顧問・石川和男氏と、新卒入社2年目のTさんによる対談をお届けします。
国家の政策を動かし、現在は政策アナリストとして第一線で活躍する石川氏が、なぜこの若いベンチャーの思想に共感したのか──。その理由をお伝えするとともに、行政DXが直面する課題構造や解決策、そして、石川氏の鋭い提言からTさんが現場目線で再認識した「人材紹介会社の介在価値」について迫ります。
また、還暦を迎えた今も自らYouTubeやTikTokといったSNSを駆使し、「下の世代から素直に学ぶ」という石川氏の尽きない好奇心、さらには若手ビジネスパーソンへ贈る等身大のアドバイスまで、見どころ満載の内容です。
1989年に東京大学工学部を卒業し、通商産業省(現・経済産業省)へ入省。資源エネルギー庁、中小企業庁、大臣官房などで一貫して政策立案の最前線で活躍。2007年退官後は、内閣官房企画官(国家公務員制度改革などを担当)や内閣府規制改革会議専門委員などを歴任。現在は政策アナリストとしての活動に加え、社会保障経済研究所代表、キッカケクリエイション政策統括顧問を務める。
※石川氏が出演している動画メディアの一部
法政大学卒業。在学中はイギリスの路上で「漢字販売」を行うなど独自の経験を持つ。2025年4月株式会社キッカケクリエイションに新卒入社。現在はRA(リクルーティングアドバイザー)としてエンタープライズ企業を担当する傍ら、代表直轄のCoS(Chief of Staff)として顧問陣とのプロジェクト推進を担っている。
参画の背景と行政DXのリアル──スキルではなく「組織変革の担い手」が求められる理由
ーー本日は、新たに始動した政府・公共セクターの採用支援プロジェクト「KIKKAKE Talent OS for Gov」をテーマにお話を伺います。石川さん、まずは今回、当社へ参画を決められた理由を教えていただけますか。
石川氏:
きっかけは、元メガバンクのトップの方からのご紹介だったんです。代表の川島さんに初めてお会いしたとき、年齢としては私の子どもと同じ世代なのですが、「これからの日本のために、本気で人を育てる土台を作ろうとしている」という会社の目標やこれまでの成果を知って、「この経営者は、これからの時代に絶対必要なリーダーだ」と直感したんですね。
他にもいくつか顧問や役員を引き受けていますが、目先のマッチングで手数料を稼ぐだけの人材紹介会社であれば、おそらく関わっていなかったでしょう。川島さんたちが最初から見据えていたのは、デジタルやAIという、近未来の経済社会に必要不可欠な「新たなインフラ」を構築し、そこへ適切に人を育てて配置していく「AI・DX時代の人づくり」。
そのスケール感と大義名分に触れたとき、ある種の親心にも似た心情が湧き上がってきましてね。新しい時代を拓く彼らのインフラ作りに向けて、私がこれまで培ってきた知見や経験を少しでも還元できれば、と純粋に思ったのが顧問を引き受けた理由です。
ーー長年、霞が関にいらした石川さんから見て、世間で「行政DXの遅れ」が指摘される背景には何があるのでしょうか。
石川氏:
よく世間では「役所の人間はお堅くてIT音痴ばかりだ」なんて誤解されがちですが、実態は全く違うんですよ。実際、現場を見てみると、ピアニストかと思うくらいタイピングが早かったり、PCの画面操作が驚くほど機敏だったりする職員が少なくありません。
ただ、それは「個人の処理能力」という局所的な話です。行政DXが停滞している本当の理由は、職員のスキル不足ではなく、デジタルを使って「組織全体の仕組みやルールをどう変えるか」をデザインして変革を半ば強引にでも実行する政治的な力が弱いことなんです。
Tさん:
石川さんのお話を伺って、すごく腑に落ちました。僕自身、普段大手企業を担当するなかで、組織の壁や一筋縄ではいかない難しさを痛感することが多いからです。
弊社でも、まさにその課題に挑むべく、政府や公共セクターのDXを支援する新プロジェクト「KIKKAKE Talent OS for Gov」を立ち上げ、第一弾として日本年金機構様のエンジニア採用支援をスタートさせています。
今後はこの動きをさらに加速させ、登録者3.5万人を超える自社YouTubeチャンネルなどのメディアの力も掛け合わせながら、経済産業省をはじめとする行政へDX推進人材の供給を加速させていく考えです。その第一歩を僕たちが先頭に立って踏み出しているのだと思うと、本当に身が引き締まる思いがしますね。
行政DXの具体策と解決への道──必要なのは「効率化の成功体験」を持つ人材バンク
ーーでは、行政がDX化を成し遂げるために、具体的にどこにメスを入れるべきなのでしょうか。
石川氏:
私個人の見解を申し上げれば、とてもシンプルでありながら、インパクトが絶大な領域が2つあると思っています。
まずは何と言っても「国会審議のオンライン化」です。これは、議員側のメリット以上に、国会対応のために夜中までずっと役所に拘束されている官僚たちの負担を減らすために絶対に必要でしょう。ここをデジタル化できれば、国会関連業務はもちろんのこと、他の公務の効率化に寄与し、物理的にも精神的にも余裕が生まれるはずです。
もう1つは、給与や、かつてのコロナ給付金のような公金の「電子マネーによるデジタル送金」ですね。国や自治体が市民にお金を振り込む際、実はその裏側で、職員の莫大な事務工数や、旧来の金融システムにかかる巨額の手数料が発生しています。これをデジタル送金に切り替えるだけで、これまでの重い事務負担と膨大なコストを解消することができます。
ーーそれほど合理的な手法がありながら、なぜこれまで実行されなかったのでしょうか。
石川氏:
そこには技術の壁ではなく、もっと泥臭い「既得権益や前例踏襲の壁」が立ちはだかっているからでしょう。国会のオンライン化なら「セキュリティの懸念」や「対面原則」、デジタル送金なら手数料ビジネスを守りたい既存の金融機関の反発といった、現状維持を望む声が必ず出てきます。
つまり行政DXの成否は、システムの高度さではなく、この泥臭い摩擦に立ち向かうリーダーシップがあるかどうかにかかっていると言えます。
だからこそ、いま公共セクターが採用すべきなのは、綺麗なコードが書ける技術者ではなく、民間企業で「1時間の作業を10分に縮めた」というような、具体的な業務効率化をやり切った経験のある人材です。そうした変革のマインドを持つ人材のデータベースを構築し、国家の中枢へ適切にマッチングしていく。この基盤を創ることこそが、行政改革を確実に前進させる最も有効なアプローチの一つだと考えています。
Tさん:
今のお話を伺って、僕たちの役割の重要性を改めて突きつけられた気がします。
これまでのIT領域の採用市場では、どうしても「このスキルがあるから、このポジションに」という表面的なマッチングに終始してしまうケースが少なくありませんでした。でも、本当に必要なのはそこではなく、その技術を武器に「どう周りを巻き込んで、業務を効率化させたか」という泥臭いストーリーの部分なんですね。
スキルのマッチングを超えて、過去の業務改善を実現した経験を丁寧に見極めて届けていく。そうやって組織の変革を支えるプロフェッショナルを送り出すことこそが、これからの時代、採用支援に求められる本当の役割だと感じました。
年齢の壁を越える組織論──「下から学ぶ」マインドと、Z世代が活きる共創カルチャー
ーーお二人のフラットな対話が印象的です。石川さんが、これほど若い世代と同じ目線に立って向き合える理由はどこにあるのでしょうか。
石川氏:
私は常々、「年を取れば取るほど、下の世代から積極的に学ばなければならない」と思っているんですよ。過去の経験にあぐらをかいて昔の自慢話ばかりしている人間は、その時点で成長が止まってしまいますよね。
私は、キッカケクリエイションの皆さんとはもちろんそうですが、他にもテレビのバラエティ番組でインフルエンサーやアイドルの方々とご一緒するなど、日々さまざまな若い世代との接点を持っています。彼らの何気ない情報収集のやり方や、独自の視点をすぐそばで見ていると、特にSNSやAIという領域においては、デジタルネイティブである彼らの感覚の方が、僕らよりも遥かに進んでいるなと感じます。
だからこそ、彼らの意見や行動トレンドにはいつも新鮮な気持ちで耳を傾けるようにしているんです。実際、私もXなどSNSで発信をしていますが、若いメンバーから「今のトレンドはこれですよ」と教えてもらったときは、そのエッセンスをすぐに自分のアウトプットにも活かす柔軟性は常に持っていたいですね。
▼石川氏のSNSはこちらから!
ーーそんな石川さんから、若者に向けて、「上世代との付き合い方」についてアドバイスはありますか。
石川氏:
確かに、上の世代が持つ「経験の厚み」や「くぐってきた修羅場の数」には、若い世代は勝てません。そもそも、生きてきた時間に大差はあるのですから。それは厳然たる事実ですが、だからといって彼らのやり方に盲従する必要は全くありませんよね。
そもそも人類の歴史というのは、常に「先人の優れた部分を学び、アップデートする」というプロセスの連続でした。上の世代を恐れるのではなく、彼らの経験を自分のための資産にしていく。それくらいのポジティブな姿勢を持って、自分たちの発想で新しい形へ進化させていってほしいなと思います。
Tさん:
そう言っていただけると、すごく勇気が湧きます!まさに石川さんがおっしゃるような、上の世代の知見を吸収しながら、自分たちの感性で新しいものを生み出していくカルチャーこそ、僕がこの会社で日々実感している魅力です。
国を動かしてきた石川さんのような方々と直接ディスカッションができるなんて、普通の社会人2年目ではあり得ないことですし、本当にありがたい環境だなと思います。
さらに、その貴重な知見をいただいた上で、社長の川島も巻き込みながら「明日からの新プロジェクトをどう動かしていくか」という具体的な戦略構築にまで、若手がダイレクトに携わっていける。年次にとらわれず「自分が新しい産業のインフラを構築していくんだ」という当事者意識を持ち、スピード感あふれる成長環境を日々味わえるのは、贅沢なことだと感じていますね。
未来への期待──若手特化から全世代へ。キッカケクリエイションが日本の「人材OS」になる日
ーープロジェクトの始動により、会社の未来のスケールはさらに広がっていきますね。石川さんが見据える、今後のキッカケクリエイションへの期待とエールをお願いします。
石川氏:
この会社には「若手IT人材の採用支援」という今のドメインに留まらない、日本全体の構造そのものを塗り替えるポテンシャルを確信しています。
というのも、現在の日本の労働人口におけるボリュームゾーンは、20代ではなく、50代や60代のシニア層に集中しているのが現実だからです。であれば、今後は現在のモデルからさらに舵を切って、「アラフォー」「アラフィフ」、そして私と同じく還暦を迎えた「アラカン」といった、各年代を網羅するマッチングプラットフォームへと対象を拡張していくべきだ。そう強くアドバイスしたいですね。
ーーアラカンまでですか…!まさに全世代を網羅するインフラへの拡張ですね。非常にワクワクします。
現在、日本の終身雇用制度は崩壊しつつあります。40代から50代を迎えて、キャリアの頭打ち感や次のステップへの不安を抱えている層は、霞が関のシニア官僚や大手企業のベテラン層を含めて、ごまんと存在するんです。
もしキッカケクリエイションが、そうした専門知識を持つハイクラス層の「効率化の成功体験」を正当に評価し、DXを本気で進めたい企業や役所へと繋ぐインフラになれたら、その価値は計り知れません。
皆さんが創る次世代の人材インフラが、日本社会全体を最適化していく日を、私は政策統括顧問として心から楽しみにしております。
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