京都から世界にスペシャルティコーヒー文化を発信するKurasu。カフェ事業以外に、コーヒー豆から国内外の器具、食器や雑貨まで、様々な販売も行っています。その幅広い商材を一貫して扱い、事業の根幹を支えるのが、PM(プロダクトマネジメント)チームです。
今回は、チームの中核を担うAyuとOsha、そして、PMチームのマネージャーを経て、現在はPMM(プロダクトマーケティング・マネージャー)としてマーケティング視点でPM業務を支えるKangの3名に、仕事内容やチームワーク、未来への展望を語っていただきました。
Kurasuの成長とともに変化し続けるPMチームの「今」と、そこにある揺るぎない理念。カオスの中から新たな仕組みを生み出す、創造と破壊の最前線に迫ります。
それぞれの道が交わるまで。PMチーム誕生の経緯
—— 本日はよろしくお願いします。まず、皆さんがKurasuに入社されたきっかけや、PMチームに所属するまでの経緯を教えていただけますか。
Ayu:2年前、パッキングチームの求人情報を見つけて応募したのが始まりです。前の職場からブランクがあったので、パッキング作業ならあまり人と話さずに済んで気楽かな、と思って(笑)。
入社して最初の3ヶ月は、Ebisugawa店の2階で豆を詰めるなど、国内発送のパッキング作業をしていました。しばらくしてNishijinにパッキングチームの拠点が移ってからも、同じような業務を続けていました。その頃は抹茶の発送も1週間に5個ぐらいしかなくて、自分たちで箱詰めしていたんです。今では何トンもの量を発注するようになったので、すごい変化ですよね。
パッキングチームの一員として働く中で、本当にいろいろな業務を任せてもらうようになりました。コーヒー豆の在庫管理、商品の発注、発送、そして商品ページの作成まで、幅広い仕事を担当しました。他の部署からたまに手伝いにきてくれる方々も、「パッキングチームの仕事って、パッキングだけじゃないんだ」と驚いていましたね。
その後、組織変更があり、当時私が担当していた業務を土台として、今のPMチームができました。
—— AyuさんがPMチームの原型を作られたんですね。Oshaさんは、バリスタからPMチームへというユニークな経歴をお持ちです。
Osha:私も最初はパッキング担当として入社しました。2020年7月のことですね。もともとバリスタになりたかったのですが、当時は大学生で未経験だと、スペシャルティコーヒー業界で働くのが難しくて。でも、どうしてもこの業界に入りたくて、Kurasuのパッキングチームの募集に応募しました。
コロナ禍での入社でしたが、海外配送の需要はあったので、パッキングの仕事はたくさんありました。当時はカフェ店舗のすぐ後ろで作業していたので、バリスタさんとの距離が近く、「いつか自分も」という思いは常にありましたね。
その後、飲食店への休業要請が少しずつ緩やかになり、お店が忙しくなるにつれて、休憩を回すために店舗に立つ機会が増えていきました。そこで、自分の意思を改めて伝えて、バリスタとして働かせてもらうことになりました。
Ayu:そんなOshaさんにPMチームから声がかかったのは、去年の周年パーティーの時でしたよね。
Osha:そうそう。パーティーの途中、階段の踊り場で休んでいたら「PMチーム、どう?」って(笑)。びっくりしましたが、実はちょうど私自身、次のキャリアを考えていたタイミングだったんです。Kurasuという会社はこんなにいろいろなことをやっているのに、ずっとお店に立ち続けるだけではもったいないと感じていて。もともと器具にも興味があったので、PMチームで幅広くプロダクトを扱えるのであれば、すごく良い機会だと思いました。
—— OshaさんがPMチームに参加することになって、どんな感想を抱きましたか??
Ayu:OshaさんはKurasuの中でもっと幅広く活躍できると思っていたから、嬉しかったですね。それと、会社の規模が急拡大している状況の中、特にPMチームではこれまでやってきたフローが通用しなくなることも多く、常に新しい仕組みを作っていかなければいけない。Oshaさんは商品知識もお客様への解像度も高いし、そういうカオスな状況の中でもタフに、楽しみながら仕組みづくりをやっていけそうだな、と。
—— Kangさんもまた、お二人とは全く異なるキャリアをお持ちですよね。
Kang:私はもともとECやテーマパークなど、コーヒーとは全く異なる業界でキャリアを積んできました。Kurasuにジョインした当初は新規事業を担当していましたが、その後PMチームに入り、チーム全体の動きを見ながら、貿易業務などを担当していました。
そしてこの夏からは、PMMとしてMarketing Planningチームに移り、PMチームをはじめとするプロダクト部門と各販売チームとを繋ぐハブのような役割を担うことになります。商品販売や情報発信の全体的な方向性を作っていく、新しい挑戦ですね。
事業の「心臓部」でカオスの仕組み化に挑む
—— PMチームは、サプライヤーとのコミュニケーション、商品の取扱い判断、在庫管理など、商品にまつわる様々なプロセスに関わる部署です。今、チームとして特に力を入れていることは何ですか?
Ayu:国内業務に関しては、私がまず新商品リリースに関するあらゆる業務を、何も考えなくても自動的にできるようになるまで、とにかく数をこなしました。
PMチームはいろいろな器具を取り扱う華やかな部署と思われることもあるのですが、在庫管理、発注、商品マスターの作成など、地道な作業も実はたくさんあります。そういった業務も含め、PMチームに任されている一連の仕事の「リズム」を掴むような感じで、1年ほどかけて、自分の中に「型」を作ってきました。
そうやって構築してきた仕組みを、Notionを利用して可視化し、今はその「型」をOshaさんにも使ってもらって、仕組みの有効性を客観的に確認しているところです。Oshaさんは率直に意見をくれるので、信頼して任せられています。
Kang:海外業務のほうは、国内業務以上に複雑です。サプライヤーが海外に点在していますし、メーカーとのやり取りや輸入にかかる原価計算、フォワーダー(輸送業者)への連絡など、手作業が多く、ミスが許されない業務がたくさんあるんですよ。
そこで今は、輸入業務のフォワーダーを一本化したり、輸出業務を代理店に任せることを検討したりと、仕組み化を進めている段階です。
—— 幅広い業務に対応するにあたって、仕組みの構築は重要ですよね。日々の仕事の中で、特にやりがいを感じるのはどんな部分ですか?
Ayu:商品の「検証」プロセスですね。まずはチームみんなで「どんなお客様が買いそうか」「これを仕入れるとどんないいことがあるか」といった仮説を立てます。その後、実際にサンプルを使ってみて、Kurasuの他のラインナップとの組み合わせを考えたり、仮説が正しかったかを検証したりします。
Kang:ユーザー視点は絶対に欠かせません。「どんな人の、どんな悩みを、何で解決するのか」という価値を突き詰めて検証していきます。
Ayu:ここで妥協はできませんね。自信を持ってお客様に勧められないものは、仕入れませんから。
Kang:仕入れにはミニマムの発注数量があり、時には数千万円規模の投資になることもあります。会社して何を優先すべきか、常にシビアな判断が求められている。大変ですが、それがやりがいでもありますね。
Osha:そういう厳しい目で見つつも、私たちならではの視点で商品の良さを発見しよう、という姿勢で臨んでいます。最近は世界中で面白い器具が登場しているんですよ。今、検証している商品も本当に面白くて、早く皆さんに紹介したいです。
異なる視点の融合がチームを強くする
—— 皆さんは異なるバックグラウンドをお持ちですが、それがチームの強みに繋がっていると感じますか?チームワークで大切にしていることも教えてください。
Osha:私はPMの仕事が何かもわからないまま入ってきたのですが、Ayuさんが磨き上げてきたフォーマットがあったから、3〜4ヶ月でなんとか商品のリリースまでを担当できるようになりました。
Ayuさんは「マネージャー」という肩書きではないのに、私の業務の棚卸しや振り返りの時間を設けて、タスクの進捗を管理してくれているんです。本当にすごいな、と。
Ayu:私は「自分」が主語ではなく、常に「チーム」を主語に仕事をするようにしています。だから、Oshaさんの仕事も自分の仕事の一部。状況が見えた方がお互い働きやすいし、評価もしやすいじゃないですか。チームに先にいた人間として、できることは何でもしたいと思っています。
Kang:周りから見ると、PMチームはいろいろな器具で遊んでいるように見えるかもしれません(笑)。でも実際は、膨大な量と質の業務をこなしています。
Kurasuの売上の7割は器具から生まれていて、会社の投資計画にも大きく関わっています。PMチームは、会社全体の業務の「起点」であり、財務やカフェ、オンラインなど、あらゆる部署と連携する「事業のハブ」でもあります。
それをこの人数で、仕組み化しながら回しているのは本当にすごい。これから仕組みが整ったら、もっとメンバーを増やして、さらに成長を目指せるとも思います。
PMチームが見据えるKurasuの未来
—— チームとして、また個人としてこれから挑戦したいことや、Kurasuの未来についてお聞かせください。
Osha:私は店舗出身ですが、店舗のバリスタもオフィスのメンバーも、Kurasuのメンバーみんなが垣根なく、一つの商品に向き合えるようになったら嬉しいです。今はPMチーム内で体制や仕組みを整えている段階ですが、いつか現場の知恵が商品開発に活かされたり、経営の視点が現場の気づきになったり、そんなサイクルが生まれたら最高ですね。
Ayu:私は、チームが持っている情報の粒度を社内で揃えていきたいです。PMチームには多くの情報が集まっているので、それを余すことなくみんなに共有できれば、必然的にコミュニケーションやディスカッションが活発になるはず。新商品のリリースのような華やかな仕事だけでなく、在庫管理のような地味な仕事の重要性も伝えながら、会社全体のボトムアップを目指したいです。
Kang:Kurasuはすでにグローバルな会社ですが、世界のどこへ行っても通用するブランドを目指したい。そのために、グローバル水準でのオリジナルプロダクトの企画や、抹茶のように世界的に需要が高まっている商材の安定供給などに、どんどん貢献していきたいと考えています。そのために、社内のチーム連携もより積極的に進めていきたいですね。
Osha:みんなで、ニコニコしながら働きたいですね!