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女子大生が1万人の過疎地に飛び込んで分かった『自分』

昨年、約5ヶ月間、イツノマでインターンをしていた大学生、内田唯さんによるインターン体験記です。

目次

  1. 200人の離島で感じた疑問
  2. 1万人の過疎地に飛び込むことに
  3. 大きな期待と疑問を抱えて都農町へ
  4. がむしゃらに走った8月
  5. 自分と向き合い始めた9月
  6. ワクワクが分かってきた10月
  7. 自分を見失った11月
  8. なぜ都農に来たのか再認識した12月
  9. インターン生活が終わった今

200人の離島で感じた疑問

まずは自己紹介をさせていただきます!内田唯です。現在大妻女子大学家政学部ライフデザイン学科3年で大学では心理学や地域について学んでいます。高校生の時から漠然と子どもが好きで、小児虐待や子どもと地域の交流が少なくなってしまっていることに興味がありました。そんな高校生活を送り、大学では学びの軸をまちづくりと教育の2つに置くことにしました。

まちづくりを学びたいと言ってもただ大学に行って講義を聞くだけではまさに机上の空論になってしまうのではないかと思った大学2年生の夏、私は北海道にある焼尻島という人口200人の離島に飛び込みました。外周12kmの島は原生林に覆われていて、サフォーク牧場もあるような自然あふれる離島で島おこしのボランティアをしました。

サフォーク牧場での様子

羊への餌やりや牧場の看板づくりの牧場関係と海岸清掃や草刈りなど様々な角度から島を理解することになります。当時コロナ禍ということもあり、島民とあまり話すことができない時間が過ぎていき私の中で感じた疑問、『よそ者はまちづくりができないのか』。ただの大学生でしかない私が地域に入ったとしても、草刈りといった力仕事しかできないのではないか。自分の力不足を感じるとともに、今まで感じた事のないモヤモヤを東京に持って帰りました。

1万人の過疎地に飛び込むことに

1年間、離島で感じたモヤモヤが消えることはなく段々ともっと地域に入ってまちづくりについて学びたいと思うように。そんな時に出会ったのが、宮崎県都農町にある株式会社イツノマでした。都農町は、人口1万人。電車は1時間に1本しか来ない、関東で育った私からするとど田舎とも言えます。イツノマは商店街再生や古民家のリノベーション、ホステル運営から小中学生のキャリア教育・まちづくり教育まで行っているまちづくり会社です。

まちづくりを学べる地域がないか、4月インターネットを見ていると偶然イツノマが出てきました。ホームページを見た瞬間、面白そう!ここで学びたい!とビビッときたのです。そのままwantedlyで応募申し込みをしたのを覚えています。とんとん拍子に進んでいき、社長の中川敬文さん(以後いつも通り中川さんと書きます^^)との面談に。ZOOM越しでしたが、私に伝わる熱量で会社の説明をしてくださりワクワクがマックスになりました。「明日から来ちゃいなよ!」と言われましたが、大学に通っていたためその3ヶ月後に都農町でインターンをすることになりました。

大きな期待と疑問を抱えて都農町へ

7月の末、初めての九州・宮崎県に上陸しました。ここで自分が納得するまちづくりを学んでやる!という期待と希望と同時に、自分が感じた『よそ者がまちづくりができないのではないか』という疑問が本当だったらどうしようという少しの不安も抱えていました。悩んでいてもしょうがないと思いつつ、考えていたことが覆されることが怖かったというのも本音としてあるのです。

都農町に来て2日後、私の中での転機が訪れました。その日は都農町で夏祭りが行われた日でした。人口1万人の都農町ですが、この夏祭りの日は人口が2万人になると言われています。お盆ではなくこの夏祭りの日に帰省する人が多いんだとか。特に今年は四年ぶりの開催で、今考えると信じられないくらいの人が都農町に集まっていました。

私が5ヶ月間生活していた、HOSTEL ALAにたまたま約40年ぶりに都農町に帰ってきた男性が泊まっていたのです。他愛もない話をしていく中で私はそのお客さんに自分がモヤモヤした気持ちをぶつけてみることにしました。するとその男性は「いやいや、俺はほんとうにうれしいよ。町のためを思ってやってくれてるのが伝わるし、まちが変わっていくことはすごくうれしい」と涙ぐみながら伝えてくれました。その時感じてたモヤモヤはスッキリして、これからのインターン生活へのやる気がメラメラと湧いてきました。

がむしゃらに走った8月

この出来事が起きてから私は幅広いイツノマの業務に必死でついていこうとしました。建築も教育も宿泊も知識が全くなかった私は、少しでもイツノマのことを理解するため、がむしゃらという言葉がぴったりなくらい走り続けました。

その中でも1番思い出深いのは、京都の高校生が26人都農町にやってきた2泊3日のスタディツアー。企画からロジ作成、どうやったら高校生が盛り上がるのかを考えたコーナーやたくさんの制作物を作ったりもしました。もちろん企画もロジを作成するのも初めて。分からないことも多かったけど、高校生が楽しそうにしている顔を想像したら不思議と頑張れました。

京都の高校生×都農町の中学生と大人×東京の大学生

3日間のテーマは『情熱を、伝える』。どうしたら自分たちの情熱が伝わるのかひたすら頭を悩ませましたが、いざ始まってみると高校生たちの熱量と、都農町民の温かさを肌で感じ全力投球が出来たのです。初めて何かに全力で向き合えた気がしました。

ワークショップの様子

しかし初めてやったワークショップのファシリテーションは上手く出来ず、高校生の良いところを引き出すことが出来なかった自分に情けない気持ちになりました。居ても立っても居られずワークショップ後の夜遅く中川さんに「悔しいです…」とへばったり、徹夜してサプライズ動画を作ったりと自分の中での感情の動きを感じました。

自分と向き合い始めた9月

イツノマでは毎週月曜日にまちづくりゼミナールを開催しています。インターン生が問いを社員の方にぶつける探究の時間です。
8月の末、どんな問いを投げかけたのかは忘れましたが「ゆいちゃん、もう自分から解放されたら?」と言われたのです。自分自身に向き合ったことがなかった私は解放する自分さえ分かりませんでした。自分自身を知るのが怖い。そんなことを無意識のうちにそう思って逃げていたのだと思います。しかし、今しかないと決意しました。都農町という場所で、自分自身や蓋をしていた過去に向き合うのを。
それから、イツノマ社員の方を始め、まちの人、HOSTEL ALAのお客さんとたくさんの会話を交わすようになりました。焚き火と満点の星空を眺めながら、都農ワインを飲みながら、広い空を見ながらたくさん対話をしました。

都農町でわかった『自分』を少しここに。

イツノマ最終プレゼンより

自分の良いところも、悪いところも理解し始めました。
自分の悪い所なんて、東京にいたときは聞いたことも向き合おうとしたこともありませんでした。正直自分の悪いところと向き合うのは辛いし逃げたくなりました。夜な夜なひとりになると、漠然としすぎている『自分』が嫌になって涙を溢したり、どうしたら良いのか分からなくなり自信を失いかけもしました。でも、ここで逃げていたら一生変われないと思い全力で向き合いました。

ワクワクが分かってきた10月

10月の上旬、VIVI STOP NITOBEの山内佑輔さんを招いて行われた図工の特別授業。この日、人生で1番心が動きました。自分でも驚くくらい。

あ!とひらめくこと
あ!とおどろかせること
あ!とおもしろがること

この3つだけを目標に、1ヶ月分の新聞紙とマスキングテープでなにつくってもいい『造形あそび』を授業として行いました。

最初は新聞紙をただ長くして教室中に貼っていく子どもたちでしたが、だんだん教室を飛び出して廊下にも新聞紙のトンネルを作ったり、新聞紙で洋服や猫耳を作ったりとワクワクした表情をしながら手を動かしている姿が私の中で胸を打たれました。ひとりひとり全く違うものを作っている、あの場に正解などなかったのです。

廊下にトンネルを作っていく子どもたち

ずっと正解を求めてきたし、相手の顔色を伺って生きてきた私にとって、衝撃的なことでもありました。自分がワクワクしたものをカタチにする。簡単そうだけど、難しかったことを学べたのでした。

もうひとつ、ワクワクしたことが。
イツノマのまちづくり教育のひとつとしてまちづくり部があります。今年の5月に創部して、中学1年生が5人いる地域クラブです。現在進行形で模索しながら活動しています。

活動の様子。部室改造をしようとしていました!

8月から週4日ある部活の中で私なりの試行錯誤をして彼らと関わっていましたが、まちづくりという少し固いワードにワクワクした表情を浮かべることが少なくなっていきました。
もういっそのこと私がワクワクすることを「私と一緒にこれやらない!?」と言ってみると「うっちー、しょうがないなあ」と言いながらもワクワクした表情で部活にやってくるようになりました。

ハロウィンの飾り付けを手作り


自分の中にあったワクワクを理解してカタチにできるようになっていきました。そして、自分は子どもたちにワクワクや楽しさを伝えることにやりがいを感じることに気づきました。

自分を見失った11月

そんなこんなで10月はずっとワクワクした気持ちでいました。毎日あしたはどうしようかななんて考えていました。

そんな時、ある企画書を書かせてもらったり東京の高校生のスタディツアーの準備をしている中で中川さんから「全くワクワクしない。ただの業務になっている」というフィードバックが。こんなにも自分はワクワクしているのに、これを上手く伝えられなくなっていました。なんでこの気持ちを伝えられないんだと自分を責めるようになり、そして段々と自分のワクワクを見失っていきました。

ここからネガティブ思考になるのに時間はかかりませんでした。4泊5日のスタディツアーを通して出会った高校生はキラキラしていて自信があり、その当時の私は真逆の存在に感じてしまいました。そしてわざわざ東京から来た高校生を満足させなければ、とどんどん自分を追い込んでいきました。正解がないことがこんなにも辛いのか。と毎日思うようになりました。
追い討ちをかけるように、中学校で行っているつの未来学のファシリテーションでワクワクするアイデアを出すことができず、毎週の退屈そうにしている中学生を目の前にして、自分自身になにもないと感じる日々が続きました。

毎朝起きてスケジュールを確認しては不安で手が震え、私は今ここにいる必要はあるのか?と自問自答し続けました。でもどこかで逃げるのは嫌だと思っていたのでしょう。もう少し、もう少しと都農町でもがき続けることにしたのです。

なぜ都農に来たのか再認識した12月

12月4日、9月に町長選があり新町長が就任してから初めての町長・副町長・教育長へのプレゼンに同行させてもらいました。2時間半のプレゼンの一言一言に中川さんの都農町でするまちづくりへの情熱がこもっていて、稚拙な言葉になってしまいますが輝いて見えました。その時、私もこんなもんじゃ終われないと強く決意しました。

そしてその夜のまちづくりゼミナール、私の問いは『豊かさとはなにか』。
その日私が1番心に残っているのは、『豊かさとは自己実現すること』という言葉でした。希望を抱いてきた8月のことを思い出してハッとしました。なぜ私が縁もゆかりもないこの地にやってきたのか、それは自分が選んだ道で自己実現がしたかったからなのだと。どうなるかなんて分からなかったけど、自分の目で肌でまちづくりを感じたいという自己実現をしにきたのだと再確認しました。そして、本当の自分とは何なのかを模索しにきたのだと改めて思い出しました。

この出来事があってから、段々とワクワクとポジティブを取り戻していきました。自分でも驚くくらいの感情の回復でした。

インターン生活が終わった今

このnoteは、都農町を出た電車とホテルの中で書いています。
都農町で過ごした5ヶ月、想像もしてなかったくらいたくさんの出来事がありました。イツノマの社員のみなさんや一緒にもがき続けてくれたインターン生のみんな、都農町の方々、HOSTEL ALAのお客さんなど、素敵な出会いがありました。


8月末に言われた『自分からの解放』。自分を解放したことで変わったことがたくさんあります。正直、変わらなかった自分の強い軸もあります。でもインターン生活が終わった今、どちらも私であり正解はないと言えます。
都農町で知った自分も、ワクワクしたことも、自信を失くし心が折れてしまったことも、情熱を感じてポジティブになったことも全てが大切で愛おしい私であると胸を張って言えるのです。

都農町でのインターン生活は終わりましたが、私が自分と向き合うのはまだまだ終わりません。なんならこれからの方が長いですね。ここで分かった『自分』を大切にこれからも、もがき続けていきたいと思います。

改めてになりますが、私に関わってくれている全てのみなさん本当にありがとうございます。
これからも皆さんに支えられながら成長していきますので、よろしくお願いします!!

私がインターンをしていた、株式会社イツノマでは長期インターンを募集しています!まちづくりに興味がある人、教育に興味がある人、宿泊施設の運営に興味がある人、あるいは幅広く関わりながら自分のやりたいことを見つけたい人。濃い経験ができることは私が胸を張って言えます。是非、都農町で数ヶ月過ごしてみてください。



最後に、私を5ヶ月間ずっと支えてくれた曲を紹介させてください。

「いつか見た夢」と 振り返るのは簡単
「今も追いかけている」と 受け入れるのは困難
汗を垂らして 涙流して 必死な姿が 恥ずかしくなる
そんなときもあるから

「いつかはきっと」期待するのは簡単
「いつか」をずっと 信じ続けるのは困難
挫折があって 否定があって 迷いになって 自分自身を疑うから

だから あなたがいて本当に良かった
「頑張れ、大丈夫だよ」根拠なんて無いくせに
だけど あなたがいて本当に良かった
背負いたい 応えたい 思える人に出会えて良かった

一人一つの人生を 自分のために生きる そんな 大前提を理解して
一人一つの人生を あなたと共に生きる なんて 思えたとき
投げ出せない夢がある 変わりゆく夢もある
間違いはない 素敵だよ
ただ 疑うことなく 歩いて欲しい

『ひとつ』/ SUPER BEAVER

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