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【カウンセラーの想い】人事経験を活かし働く人に寄り添うカウンセリングを|濱崎恵理子さん

目次

  1. 人に関わる人事の仕事
  2. 思えばあれが最初の傾聴だった
  3. 両立の当事者であり担当者であるということ
  4. 同じ目標、異なる立場と感情に葛藤した日
  5. 社内の提案で初めて知った、産業カウンセラーという資格
  6. 養成講座で出会った、年齢も経歴も異なる10人の仲間
  7. キャリアを考えるきっかけをくれた尊敬する上司の存在
  8. 新しい会社で、国家資格キャリアコンサルタントにも興味を持つように
  9. 9人の仲間がいたから頑張れた
  10. これまでの経験を社内外問わず活かした
  11. 絶対的な安⼼感の中で⼼を休める時間になってほしい
  12. Smart相談室は、企業から社員へのエールのような存在
  13. カウンセラーは天職かもしれない


濱崎 恵理子(はまざき えりこ)
産業カウンセラー・国家資格キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士2級

1. 人に関わる人事の仕事

⼈事の仕事に魅⼒を感じ、これまで20年以上、⼈事の仕事を続けています、濱崎 恵理子です。 テーマパークやIT/ゲームなどのエンターテイメント業界やキッズアパレルなど、⼤⼿からベンチャーまで会社の規模や業種も様々ですが、絶対に必要な存在が「人」です。人に関わる仕事は難しくもやりがいとおもしろさを感じています。
柔軟でおもしろい取り組みができる企業で人事の経験ができたこと、メンタルや人間関係の相談対応や研修、採用面接などで経験したことは、カウンセラーとしての私の力になっていると思います。

私⾃⾝も働きながら悩むことが多く、仕事のことはもちろん、子どもが小さいときは特に両⽴の⼤変さにくじけそうになりなりましたが、なんとか頑張ってこられたのは、いつも誰かが話を聞いてくれて、理解してくれて、支えてくれたおかげだったと感じています。

2. 思えばあれが最初の傾聴だった

まだ20代前半の頃、職場でもやもやする気持ちや不満をある上司に話した時、その方はなだめるでもなく、咎めるでもなく、私たちの話を最後までしっかり聴いて気持ちに共感してくれました。その時、⾃分の中のもやもやがすーっと消えていくのを感じたのです。
聴いてくださったことで、自分の⾔葉がそのまま自分に返ってきて、素直に自分の気持ちを深く考えることができました。今思えばあれがはじめての傾聴体験だったのかもしれないと、カウンセリングを勉強したあとに思いましたが、話の聞き方や考え方が大きく変わるきっかけとなりました。

3. 両立の当事者であり担当者であるということ

産業カウンセラー資格取得を⽬指したのは、あるテーマパークの⼈事で働いていた時でした。
その企業で働きたいと思っていたものの人事の募集がなかなか出ず、1年以上経ってやっと募集があり応募、実際に働き始めてからは期待とのギャップや、忙しさや環境に苦労することも多々ありました。
そんな中での妊娠。当時はまだ⼈事部の中で妊娠・出産・復帰をした⽅はおらず、私も⼊社 1年未満だったので、育児休業はとれない状態。でも、妊娠したら女性は退職するなんて、そんな歴史を人事が作るのは嫌でした。それに自分が小さかった頃の記憶も影響しているのですが、母は専業主婦で父は亭主関白なタイプ、自分が稼いでいるんだから妻は黙ってついてこい、という姿勢に対する反発もあったのだと思います。ここで辞めてしまって、あんな風に旦那さんを偉そうにさせる環境を作るなんて絶対に嫌だとも思いました。もちろん父親と旦那さんは別の存在で、偉そうにするなんてことはないのですが、小さな頃の記憶はとても影響力が強かったのです。
そこで決意しました。私は産後休暇だけで復帰して、子育てしながら働き続ける!と。決意はしたものの、産後2ヶ⽉での復帰は身体的にも精神的にも相当ハードで、もちろん毎⽇眠れない、⼦供にも申し訳ない気がする日々。家族にも助けてもらいながら、なんとか毎日を過ごしていました。

仕事は育児短時間勤務制度を⼀定期間は利⽤したものの、たまたま仕事が忙しく、いつもより遅く保育園にお迎えにいったとき、「おかあさん、おつきさまきれいだねぇ」と満⽉を⾒て⼦どもが⾔ってくれたときに、私はこんな遅い時間まで何をやってるんだ︖この⼦との時間を割いてまでした仕事で、本当に充分な成果は上げられているのか︖と⾃問⾃答して泣いた⽇もありました。かなり追いつめられていた時期だったと思います。今辞めたら、何になるんだと、なんともいえない葛藤の中でがむしゃらになっていました。でもそんなときも理解ある社内の人、友人と話すことで、頑張り続けることができました。

その後、⾃⾝の両⽴の経験も活かして、全社の両⽴⽀援の担当になりました。 育児や介護をしながら働く社員のための専⾨の担当者です。ママクラスを作り、部⾨も⼈事も巻き込む。働く人の人数も多く、雇用形態、勤務時間も様々、1人1人の状況を理解してサポートをする。
お⺟さん自身も両⽴するからこその覚悟が必要ですが、そのためのサポートを約束し、同じ状況にあるお⺟さん仲間と交流できるツールや、ママクラスを開催して上司にも参加してもらい、安⼼しながらもお互いに前向きなサポートをするための場づくりを⾏いました。
当時は、私がなんとかやるんだ!という強い気持ちを持ちつつも、時には気持ちが⼤きく揺らぐこともありました。

4. 同じ目標、異なる立場と感情に葛藤した日

あるミーティングで、「産んじゃった⼈をなんで助けてあげないといけないの︖」と率直な質問が出ました。その時、黙ってしまった⾃分。⼼が折れそうな感覚で、当事者であり、担当者であるからこそ、きつかった。もし言えるならば、「ただ助けて欲しいわけじゃないんです。子どもがいる⼈も会社の⼤事な戦⼒。その⼈たちも責任感を持って、⾃⽴して⾃分のキャリアを考えて動いていくこと、そう思えるように仕組みを整え、その人達を支えるために困っている部⾨や上司をサポートすることをみんなで考えたいんです!」とその場で伝えたかったんです。
でも⾃分も実際に迷惑を掛けているかもと思うと⾔えませんでした。その⾔葉を発した⼈も、攻撃したいわけではありません。まわりで⽀えている⼈の状況や気持ちを考え、なぜ︖と浮かんだことを伝えたに過ぎないのです。お互いに思いや感情は違うけれども、最終的に向かいたいのは、個人や組織が成⻑することで、1⼈1⼈のキャリアややりがい、⽣活すべてにおいて、みんなが⽣き⽣きと過ごせる場を作ること。

もしその時にそれぞれの思いを受け⽌めてくれる人がいれば、もっと違うコミュニケーションがとれたかもしれない。単に傷つく時間を⻑引かせずに、積極的な動きがとれたかもしれないとも思うのです。

5. 社内の提案で初めて知った、産業カウンセラーという資格

同じ頃、ある社内の取り組みで、他部署の方が「社内に産業カウンセラーがいたらいいんじゃないか」という提案を持ってきてくれました。
社内のお母さんたちや、人間関係などで悩んでいる方の相談を聞く機会は多かったものの、その時は産業カウンセラーがどんな資格かもよく知りませんでした。
受験資格を得るための講座は約7ヶ月、毎週末授業もあって、実践練習もあり、課題もたくさん出る。子どもも小さく、両立でただでさえ忙しい状況で、それらをやりきれるか?という時間的な心配はありましたが、「資格をとってカウンセリングをする、そんな人がいてほしい」という言葉にピンときたものがありました。
週末の1日が研修でつぶれてしまうし、子どものこともまた家族に頼まなきゃいけない、子どもにも家族にも心苦しい思い、でも他に受ける人もいない様子。誰も受けないなら私が受けよう!覚悟を決めて、社内で1人だけ申し込みをしました。当時子どもはまだ2才でした。

6. 養成講座で出会った、年齢も経歴も異なる10人の仲間

養成講座で同じグループになった10人は、年齢も経歴もみんなバラバラ。いっしょに学ぶことで刺激もあり、話せる場があることで毎週気持ちがリフレッシュできる、本当に充実した時間でした。課題もあって睡眠不足になることもありましたが、講師のみなさんはもちろん、全員がカウンセラーとして、誰かの役に⽴ちたいと願う⼈ばかり。そんな安⼼感のある場に毎週通い、学ぶことは私の心の安心にもつながりました。
傾聴を学ぶ中で気づいたのは、傾聴は普段の「聞く」とは違うものだということ。

ある時、実践練習の中で、私がクライエント役として相談したことに対して傾聴してもらったとき、意図せず急に泣いてしまったことがありました。気にしていないと思ってやり過ごしていたことに気づかされ、自分の気持ちを再確認することができたんです。気づくことで、自分でその問題に向きあったり、自分を労わってあげることができたり、話し終わった時にふぅっと力が抜けて楽になるような気がしました。
それまでの私は、良かれと思って、知らず知らずのうちに、逆のことをしていたのかもしれない。アドバイスや励ましを伝えたくなるのは私の気持ち、でもそれは私の気持ちでしかなかった。確かにうれしいものではあるけれど、傾聴は自分で解決する力をくれました。

カウンセラーとクライエントの間に信頼関係があって、共感され、その安⼼できる関係性の中で⽣まれる感情は、次に向かう勇気にもなります。私も人事としてそんな⾵に⼈と関わり、個人にとっても会社にとってもWin-Winの関係作りができる⼈でありたいと思いました。 誰も敵ではなく、共感から⽣まれる気づきや成長。それこそが⽬指したいものでした。

産業カウンセラー試験に合格し、社内での相談対応にも変化が生まれ、傾聴は私にとって大きな強みになりました。

7. キャリアを考えるきっかけをくれた尊敬する上司の存在

両立支援やメンタルヘルス、相談対応にもやりがいを感じる日々でしたが、それから何年か経ち、また新たな会社に転職をすることに。人事の経験をさらに深めたいと思い活動していましたが、子どものことを考えると働き方にもまだまだ制限が多く、動きづらい状態。
そんな中で出会ったある会社、そこで私の視野や可能性を広げてくれたのが、尊敬する上司の存在でした。チームメンバーの個性や強みを理解し、その人にあった関わり方をしてくれたことで、自分の強みを再認識し、それを活かした動きがとれるようになりました。

それまでは、知らず知らずのうちに自分の領域や限界を決めてしまっていたような気がします。信頼関係の中でチャレンジできたことで、仕事のおもしろさが増していき、自分自身にも力がついていくのを感じました。
その後、会社の組織体制の変更で、大阪の事業所がクローズされることになりました。転居を伴う異動か転職かで悩みましたが、子どもの学校のこともあって転職を決意。楽しく働いていただけに突然の寂しさはありましたが、人事として、そこから離れていくかどうか迷う方の相談対応を行ったこと、自分自身の今後のキャリアを改めて考えたことも、貴重な経験だったと思います。
上司のおかげで、自信をもって次の会社でも人事の幅をさらに広げていこうという意欲もありました。

8. 新しい会社で、国家資格キャリアコンサルタントにも興味を持つように

次に取り組んだのはキッズアパレルのベンチャー企業での⼈事部門の⽴ち上げ。
人事全般に携わりましたが、その中でも特に採用活動において、多くの方とお話する機会がありました。応募してくださったみなさんと話す時間は、その⼈のキャリアに関わる時間。単なる面接ではなく、お話を深く聴き、本当にその方にとってマッチするキャリア選択になるのかをいっしょに考えるような時間に。入社してくださった方とはもちろん、その時には入社されなかった方でも何人かの方とは今でも交流があったり、面接とはいえ、人生に関わらせていただく時間でした。

それまでは産業カウンセラーとして学んだことと、人事としての経験があれば⼗分にどんな対応もできると思っていたのですが、採用活動や研修企画等を行う中で、キャリアコンサルタント資格にも興味を持つようになりました。

9. 9人の仲間がいたから頑張れた

国家資格キャリアコンサルタントの取得を目指すならば、産業カウンセラー養成講座と同様に、対面のグループでいっしょに学びたいと考えていました。ただ当時はコロナ禍で、講座も開催されるかどうかわからない状態。計画してから半年後にやっと対面での実習も再開され、受講することができました。

学ぶことも多く、産業カウンセラーとはまた違う点もあり、当初は難しさも感じましたが、グループみんなで集まってロールプレイング練習をしたり、お互いにフィードバックをして気づきを共有したり。学科試験が近づくと毎日深夜まで勉強を続けました。仲間同士で情報交換をし、仕事も忙しい中で、やはり仲間がいないと最後まで頑張りきれなかったと思います。合格できたときは、本当に感激しました。勉強時間の確保に協力してくれた家族にも感謝です!

10. これまでの経験を社内外問わず活かしたい

Smart相談室には、2021年12月にカウンセラーとして参画させていただきました。
人事としての経験や、カウンセリングやキャリアコンサルティングで学んだことを社内外問わず、活かしたいと思ったからです。
カウンセリングの時間は、⾔葉、感覚、知識、経験、すべてを使って、クライエントに集中する時間だと感じます。絶対的な安⼼感、その中で⽣まれるものを⼤切にしながら、クライエントの⼈⽣に寄り添うこと。

採用活動を通じて、多くの方とお話させていただいたことも、転職を通じて様々な業種・職種の方といっしょにお仕事できたことも、相談対応やメンタルヘルスに関する業務を経験できたこともSmart相談室でなら、きっと誰かの役に立てる、経験を活かすことができると思いました。

11. 絶対的な安⼼感の中で⼼を休める時間になってほしい

Smart相談室で出会うみなさん、お1⼈お1⼈の時間が、その⽅にとって安心できる時間であるように心掛けています。社内人事の立場での相談対応ではないため、解決まですべてを⾒届けることはできませんが、カウンセラーとして、私がいない時間の分まで集中すること。絶対的な安⼼感の中で⼼を休めることも、成⻑に向かって進むこともできる⾃由な時間をつくることを大切にしています。

きっとお聴きすることで、元気になったり、ほっとしたり、次のキャリアをいっしょに考えることができるはず。 もやもやした気持ちを安心できる場所で誰かに話せることも、働き続ける上では必要だと感じています。そんな相⼿に私もなっていたいのです。

12. Smart相談室は、企業から社員へのエールのような存在

Smart相談室を利用してくださるのは、企業で働く⽅々。
社員に安⼼して仕事に取り組んでもらいたい、会社で相談できない悩みがあっても、その悩みを聞いてくれる場を⽤意してあげたい、不安が早期に解消されることで、その⼈らしさを取り戻すことができたり、前向きにキャリアを考えられるようになってもらいたい。そんな風に考える企業が、このSmart相談室の導⼊を決められたのだと思います。

気軽にいつでも人事に相談できれば良いのですが、どう相談していいかわからないときや、相談窓口そのものがない場合もあるかもしれません。そんな時、いつでもどんなことでも気軽に話せるのがSmart相談室です。企業から社員へのエールのようにも感じます。

13. カウンセラーは天職かもしれない

人事の仕事はこれからもずっと続けたいと思っています。 でもカウンセラーは私の天職かもしれません。 社内だけにとどまらず、多くの方のお話をお聴きすることができる、新しい取り組みを作ってくれるSmart相談室のカウンセラーとして参画させていただけたことにとても感謝しています。働きながら悩みを抱えている人、問題を解決したいと考えている方にはぜひ一度カウンセリングを受けてみていただきたいと思います。




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次回の【カウンセラーの想い】

[前編]CEO藤田×カウンセラー水杉さん | 1人目カウンセラーが語る、Smart相談室誕生の軌跡

[後編]CEO藤田×カウンセラー水杉さん | 1人目カウンセラーが語る、Smart相談室誕生の軌跡

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