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800万人のエッセンシャルワーカーの経済的不安を無くすために。9期連続黒字、2桁成長の敏腕経営者、森本さんにインタビュー!

プロフィール

代表取締役社長

森本 新士

アリコジャパンを経て、スカンディア生命にて長期投資の可能性を学び、グローバル株式への積立を通じた資産形成を、まとまった資産を持たない個人でも行えるようにと、かいたく投信株式会社を創業。

その後、法人経由での従業員の投資教育と資産形成を目指す為、株式会社ベター・プレイスを創業。

主力サービス はぐくみ基金にかける想い

横田:今、ベター・プレイスのメインサービスとなっている、「はぐくみ基金」について簡単にご紹介いただけますでしょうか?

森本:そうですね、簡単に言うと、ユニクロとかヤマト運輸とかそういう大企業で使われている退職金や福利厚生サービスを中小企業の人たちでも使えるようにしている仕組みです。

横田:もともとそういう仕組みってなかったのでしょうか?

森本:はぐくみ基金みたいなコンセプトのものはありませんでした。

横田:どのようなコンセプトなんですか?

森本:税制優遇の仕組みを利用しながら積立を行い、その積み立てたお金を退職したときに受け取れるというのがはぐくみ基金でして、

ユニクロとかそのヤマト運輸で使われている仕組みでは、積み立てたお金が60歳まで受け取れないんですね。

はぐくみ基金のターゲットは福祉医療業界の中小企業でして、あまりお給料も高くなく、退職したタイミングでお金がないっていうことに苦労される方が多いんですよ。それを60歳じゃなくて退職したときに受け取れるようにしているという点が大きな違いです。

横田:なるほど。業界を福祉医療業界に絞っていらっしゃいますが、業界に対して森本さんが課題に感じていることってありますか?

森本:それはめちゃくちゃあってですね。

まず福祉業界ってエッセンシャルワークって言われているように、社会のインフラを支える必要不可欠な仕事なんですけども、そういう大切な仕事にも関わらず、給与水準が低いですよね。

本当に大事な仕事なのに年収300万円から350万円ぐらいが普通でして。

じゃあ給与をあげればいいかっていうと、やっぱり税金で運営されているサービスなのであげたくてもあげられない。あげたとしても働き盛り世代にその分社会保障費の負担が付け回されることになるので 非常に大変な課題を抱えている業界だと思います

横田:大変ですね。やっぱり業界の給与水準が低いことで、参入者が減り人手不足も進んでいるのでしょうか?

森本:進んでいますね。参入者が少ないことに加えて、急激な高齢化による人手の需要の増加もあり、猛烈な人手不足です。

横田:そういった課題をベター・プレイスさんははぐくみ基金を通して解決していこうとしているのですね。

森本:はい、はぐくみ基金を導入することで、そういったエッセンシャルワーカーさんの将来的な経済不安を解消することが目的です。

横田:実際にはぐくみ基金が設立されてから2年ほどになりますが、順調でしょうか?

森本:そうですね、コロナの制約もあったのですが、設立して大体2年半で10倍ぐらいの伸びです。 現在加入者は1万7000人以上で、売上高で言うと2億4000万円を突破しました。

横田:すごい伸びですね。ニーズありまくりです。ちなみにターゲットとなる福祉医療業界の方ってどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

森本:福祉で400万人、あと医療で同じく400万人ですね。合わせて800万人ですね。

横田:800万人!マーケットも大きいですね!

ちなみに森本さんはどういった想いではぐくみ基金だったり、今の会社を創業したりしたのでしょうか?

森本:実は、僕自身が小学校の時に親が離婚をしていまして。

最初は年子の弟と二人で母親に引き取られて育てられました。ただシングルマザーで子供2人育てるって相当大変で、最終的に親父の方に引き取られたっていう経験があったんですね。

当時は塾とかもいけないし、お金の面で我慢することも多く、また小学生の多感な頃に離婚を目の当たりにすると精神的に安定しないってこともあって、本当に経済的にも精神的にも追い詰められました。

その経験もあって、親のせいだけで子供の将来が閉ざされることはきわめて不公平だなっていう課題感を持っていました。

社会人になり、その課題感をなんとか自分たちのサービスを通じて解決したいと思い会社を創業しました。

横田:そうだったんですね。

森本:日本って7人に1人が相対的貧困とされていて、ほとんどがシングルマザーなんですよね。

横田:7人に1人!そんなにいるんですね!

森本:はい、それで大体シングルマザーの平均年収って240万ぐらいなのでめちゃめちゃ大変ですよね。

そういったシングルマザーの方が多い業界として、飲食業界と福祉医療業界があって、実際に自分たちのサービスで解決できそうな福祉医療業界の経済的不安の解消を会社のテーマとしています。

1社目での大失敗から復活し、9年連続黒字、増収増益の企業の経営者になるまで

横田:ここから森本さんについてお伺いしたいんですが、2011年にベター・プレイスを創業したとのことですが、それまでは何をされていたのでしょうか?

森本:僕は大学を卒業したあとサラリーマンを10年ほどやりまして、その後独立してベター・プレイスとは別の1社目の会社を作りました。

1社目の創業の時からやりたいことの想いは同じで、いわゆるあまりお金を持ってない個人の方が本当に小さな金額からお金を貯めて資産形成できるサービスをと思って運用会社を作りました。

しかし、結果として1社目の会社は失敗してしまったんですよね。

横田:失敗だったんですね。

森本:1社目の会社を作ったのが2008年でして、ちょうどリーマンショックでした。

本当に大変で、全然お金が集まらなくて。

経営者というポジションも初めてでまだまだ未熟だったこともあり、結果として会社を追い出される形になりました。

横田:なるほど、大変な経験ですね。

森本:振り返ってみると、失敗した要因として、経済の状況もそうですが、メンバーとのコミュニケーションも全く足りていませんでした。

資金が必要なので、外に出てセールスしたりお金集めに走っていたんですけど、頑張ってるメンバーの話をしっかりと聞いてあげることが本当は1番優先だったなと思います。

ずっと金策に走って、出ずっぱりだったので、社内の雰囲気も不安でいっぱいみたいな感じになりました。結果として、従業員の雇用を守るためにM&Aすることで手を打ったのですが、僕はそれで会社を辞めてしまいという形ですね。

横田:社内でのコミュニケーションと信頼関係って大事ですよね。その大失敗があったのにも関わらず、折れずに2社目のベター・プレイスを創業した理由はなんだったのでしょうか?

森本:これ全然かっこよくなくて(笑)サラリーマンやりたくなかったんですよね。

サラリーマンから独立して経営して、まあ本当に辛酸をなめ尽くしましたけど、

そこで再度サラリーマンになって自分が心から売りたいと思えないものを売るのは嫌でした。

苦労してでもいいから、“あまりお金持ってない個人の方でも資産形成できるようなサポートをしていく“という自分の想いを貫いていき、自分の心に素直に生きて行きたいなあってそのまま経営者を続けました。

横田:貫いていますね(笑)そこからベター・プレイスを2011年に創業し、9年間連続で黒字で増収増益と素晴らしい結果を残していますが、要因があるとすれば何でしょうか?

森本:うん。経営者として大失敗しているからじゃないですかね。1社目ですね。

やっぱり当時は心に穴があいてその穴に風がピューピュー吹きこんでくる感じで、何日も眠れずとても辛い経験でして、もう二度とそういう思いをしたくないと心から思っています。

そして、1社目の経験を経て学びも膨大にありましたので。

横田:そうなんですね、実際に1社目の失敗から学び、今の経営で心掛けていることってありますか?

森本:たくさんありますが、絞って言うと2つあります。

まず“顧客目線に立つ”っていうのを、本当にお題目じゃなくてやり切ることです。

うちはBtoBのビジネスなので、法人のクライアントが何を欲しているのかを徹底的に考えて、それをサービスにして提供しています。それが受け入れられて結果として数字に結びついていると思います。

“顧客目線に立つ”ってどこの会社も言っているのですが、もし徹底できているのならもっといい世の中になっています。だから実際は顧客目線に立てていないんです。

口だけでなくやり切ることが大切なんです。

横田:確かに。顧客目線に立つって当たり前ですが、それを徹底するのってとても難しいですよね。

森本:はい。実は僕らもこの前お叱りをいただいて。

まあやっぱりすごく売れるサービスなんですね。

サービスを社員さんが利用していただくと税制優遇受けながら積立ができ、かつ低コストでサービス提供していますので、中小企業とかでも使って頂けるっていうところで、まあすごく伸びてるんですけど、

伸びているがゆえに、「ちょっと上から目線になってないか」と。

お客さんと話す時にどこかでそういう中小企業とかエッセンシャルワーカーに“施してやってる”という節が垣間見えるという風にお叱りを頂いて。

それは僕自身も本当にそういったおごりがゼロかって言われたらゼロじゃなかったので。本当に反省しました。

顧客目線って最初はそうでも気づくとそうでなくなっていたりするもので。

徹底的に顧客目線であることは、常にお客様の声を真摯に聞くことかなと本当感じますね。

横田:なるほど、とても勉強になります。

森本:学びの2つ目が、社内コミュニケーションですね。本当に大事です。中でも心理的安全性を常に意識しています。

要は社員1人ひとりスタッフ1人ひとりが何の気兼ねもなく、経営に対して思っていることを口にできる環境づくりが心理的安全性と言うんですけども、そういう環境づくりに努めています。

横田:なるほど。森本さんも役員の皆様も社員と同じ執務室でお仕事されているのもそういう話ですかね。

森本:そうですね。コミュニケーションを取りやすくしています。

役員室とかを作るとやっぱり壁ができるので、それよりも私が同じ部屋で隣にいたら、「あの、森本さん」って声かけれてコミュニケーションがとりやすいですよね。

今後の展開:エッセンシャルワーカーと若者の経済不安を無くすために…

横田:そしたら、最後になるんですけども今後の展開、目標みたいなものをお聞かせください!

森本:はい。まず、はぐくみ基金は100万ユーザー突破を目指しています。そして、2024年度、上場を考えてます。上場が目的ではないのですが。

またうちの会社として、もっと長い目で達成していきたいテーマとしては、エッセンシャルワーカーの皆さんの経済的不安をなくす、ということと、同時に将来の若者世代の経済的負担をなくすということです。

横田:はぐくみ基金はエッセンシャルワーカーの経済的な不安を無くすための手段ですよね。同時に若者世代の経済的負担を無くすこともミッションとしていらっしゃるのですね。

森本:はい、そうです。これはもう絶対に解決しないといけない課題感がありまして。

横田:どのような課題でしょうか?

森本:社会保障費と将来の若者の負担の話です。

今の日本って社会保障費が年間で127兆円かかっていまして、日本の国家予算が100兆円くらいなんですよね。27兆円足りていないんですよ。さらに高齢化が進むので社会保障費は増えていき、20年後の2040年には190兆円になるんですよね。

それをどう支えるかというと、最低でも消費税を20%まで上げないといけなくて、社会保険料も今の1.5倍の25%くらいまで上げないといけないんですよね。

これって若者どう考えても負担大きすぎるじゃないですか。

社会保険料が25%、他税金と含めると40%くらいがお給料から天引きされて、6割しか残らず、そのお金で買い物したら消費税20%みたいな。

横田:確かに、40%給料から天引きってとんでもないですね。

森本:本当に、絶対なんとかしないといけなくて。

じゃあ、社会保障費下げるためにはどうすればいいかというと、方法は2つで、1つは病院や介護施設を利用する人の利用頻度を減らすこと。ただ、これは高齢化が進んでいる時勢で実際問題厳しいですよね。

それで2つ目がそこに関わるコストを下げていくことです。

横田:なるほど、そこに対してのアプローチをされているのでしょうか?

森本:はい、新規事業で僕らが取り組んでいるのはまさにその領域で。

今まさにエンジニア募集してる所なんですけど、

例えば、介護の記録システムを作っています。

音声やQRコードで簡単に利用者さんが食事や排泄の一部始終を記録するサービスなんですけど、これを撮りためていくとビッグデータになり、例えば“食事をしたら何時間後にトイレに行きたくなる“みたいなことがわかるようになるわけですね。

そうすると今までは24時間ずっと張り付きだったのが不要になり、人材コストを抑えることができます。

こういったアプローチを積み重ねることで、今127兆円かかっている社会保障費を100兆円くらいまでに抑えることができ、消費税の増税も食い止めて、若者の将来に対する絶望感を無くすことに繋がります。

横田:見ている範囲がとても広く…。はぐくみ基金の動きと同時に、そういった別の種も仕込んでいるのですね。

森本:はい、はぐくみ基金は一手段です。やっぱり掲げているミッションの達成のためにできることは全てやっていきます。

横田:「エッセンシャルワーカーの将来的経済不安を無くすこと」と「若者世代の将来的経済不安をなくすこと」の2つのミッションですね。はぐくみ基金の話だけでもとても社会課題の解決に尽力されている会社さんだと感じたのですが、もっともっと広範囲で先を見据えており、非常に聞いていて胸が熱くなりました!

森本さん、本日はとても参考になるお話しありがとうございました!

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