「ゲームで人を心を動かす」——。
株式会社Bufffは、このミッションのもと、ゲームを“遊ぶもの”から“つながるための手段”へと進化させようとしています。Bufffのストーリー、初回はまずその原点を知るべく、代表の成瀬に話を聞きました。
なぜ今、ゲームなのか。そして、AI時代において、どんな価値が残ると考えているのか。これまでのキャリアから、現在の事業、そして未来の構想までを語ってもらいます。
目次
「起業したかった」わけではない
AI時代に残るもの「コミュニケーション」と「創作」
「うまくなくていい」創作の価値
現在地と、その先に描いているもの
「起業したかった」わけではない
—なぜこの事業を立ち上げたのでしょうか?
正直に言うと、最初から「起業したい」と強く思っていたわけではありませんでした。それよりも、「自分たちでサービスを作りたい」という気持ちの方が大きかったです。
これまでカプコン、LINE、アクセンチュアとキャリアを歩んできましたが、それぞれで感じたことが今につながっています。
カプコンでは、「会社がトレンドを作り、ファンがついている状態」を目の当たりにして、すごく感銘を受けました。次のLINEでは、ツムツムやポコポコのようなゲームが、日常の隙間時間に当たり前に遊ばれている。エンタメが日常に溶け込んでいるtoC(一般消費者向け)向けサービスの価値を強く感じました。そしてアクセンチュアではBtoBの仕事も経験しましたが、 やはりユーザーが楽しんでいる姿が見えるtoCサービスの感覚は、他では得られないものでした。
だからこそ、自分たちで仲間を集めて、起業という選択をしました。
—数ある領域の中で、なぜゲームだったのでしょうか?
ゲームは、エンタメの中でも特に“日常に入り込める存在”だと思っています。動画やSNSは「見るもの」ですが、ゲームは違う。自分が参加して、体験して、誰かと一緒に楽しむことで、記憶に残る。
今は情報が溢れていて、「見られない・覚えられない・行動されない」という状態が当たり前になっています。その中で、人の心を動かせる数少ない手段の一つがゲームだと考えています。
また、テクノロジーの進化によって、多くのことが効率化されていく時代だと思っています。特にAIによって、「作ること」や「届けること」のハードルは大きく下がっていく。
その中で、「人にとって本質的な価値は何か」が、より重要になっていると感じています。
AI時代に残るもの「コミュニケーション」と「創作」
—これからの時代において、どんな価値が残ると考えていますか?
AIが進化する中で、多くの仕事や機能は置き換わっていくと思っています。
その中で残るものは、大きく2つあると思っています。それは、人と人が関わることと、自分で何かを生み出すことです。
どれだけ技術が進んでも、誰かとつながることや、何かを作る体験はなくならない。むしろ、そういった“人間らしい行為”の価値は、これからさらに高まっていくと思っています。
ゲームは、この2つを同時に満たせる数少ない手段です。だからこそ、ゲームをコミュニケーションの中心に据えることには意味があると考えています。
—なぜゲームUGCという領域に着目したのでしょうか?
これまで、文章はSNS、動画はYouTubeやTikTokによって民主化されてきました。誰もが発信できる時代になっています。その次に来るのは「ゲーム」だと思っています。
Robloxのようなサンドボックスやフォートナイトのようにクリエイティブ機能が拡張されているなど、ゲーム業界でも事例はすでにありますが、まだまだハードルが高く、誰もが気軽に作れる状態ではない。だからこそ、もっと短時間で、もっとライトにゲームが作れるようになれば、ゲームは“次の自己表現の手段”になる可能性がある。
つまり、SNSの次に来る存在になり得ると考えています。
「うまくなくていい」創作の価値
—創作にこだわる理由は何ですか?
原体験として大きいのは、小学生のときの図工の時間です。木材を組み合わせて、立体的に繋ぎ合わせて天井に吊るす「無敵の三兄弟」というダイナミックな作品を作ったのですが、それを親に褒めてもらった記憶が今でも残っています。
みなさんの中にも、例えば幼少期にペットボトルやトイレットペーパーの芯でロケットを作ったり、家にあるものでいろいろなものを作り、親に見せて、飾ったりする。その一連の体験が楽しかった思い出があるのではないでしょうか。
ただ、大人になるにつれて、そういう体験ってどんどん失われていく。今は、何かを作るにも「上手いかどうか」「評価されるかどうか」が先に来てしまう。自分の中から出てきたものを、素直に楽しんで、誰かに見せるという感覚が薄れている気がしています。
本来、創作ってもっと自由なものだったはずです。だからこそ実現したいのは、「うまいかどうか」ではなく、「その人にとって意味があるかどうか」で価値が決まる世界です。
例えば、家族のために作ったゲームや、友達との思い出を使ったゲーム。それは他人から見たら完成度が高くなくても、当事者にとってはすごく価値がある。誰かとの関係性の中で“いい”と認められるものが、そのまま価値になる。そういう創作のあり方を、もう一度当たり前にしたいと思っています。
ゲームは、それを実現しやすいフォーマットです。だからこそ、ゲームを通じてこの価値観を広げていきたいと考えています。
現在地と、その先に描いているもの
—現在の事業について教えてください。
Bufffでは、「ゲームをつくる・届ける・つながる」までを一気通貫で設計しています。誰でもゲームを作れるUGC基盤、ショートゲームのプラットフォーム、パーソナライズドゲーム「Gibit」、そして企業向けのゲーム開発。
個人・クリエイター・企業がすべてつながる「ゲームコミュニケーションワールド(JAMMM)」という経済圏を作ろうとしています。
—今のフェーズをどう捉えていますか?
コアとなるゲーム生成の仕組みはほぼ完成しています。今は一般化した体験設計とエコシステムを作っているフェーズです。特に、「誰でも作れる」と「面白い」をどう両立するか。ここはかなり難しいポイントですね。
—今後の展望を教えてください。
グローバル展開は前提にありますが、ステップとしてはまず日本、次にアジア、そして最終的にグローバルという順番で考えています。
その理由の一つが、日本の持つ独自の文化です。日本はキャラクター大国であり、同時にクリエイター文化が非常に根強い国でもあります。
IPホルダーの方々が大切にしている価値観や、二次創作におけるガイドラインなど、単なるビジネスではなく“文化として守られている領域”がある。そしてこの「文化」は、国や地域ごとに寄り添い方が異なるものだと思っています。同じキャラクターでも、受け取られ方や愛され方は文化圏によって変わる。
だからこそ、まずはこの日本の文脈の中でしっかりと価値を作り、文化的な前提を理解した上で、アジア、そしてグローバルへと展開していく。単純にスケールさせるのではなく、それぞれの文化に寄り添いながら広げていくことが重要だと考えています。
—どんな人に仲間になってほしいですか?
共通しているのは3つです。素直さ、チャレンジ精神、そしてエンタメが好きなこと。
その上で、「エンタメの力を信じている人」と一緒に働きたいです。 エンタメは単なる娯楽ではなく、人を豊かにする力があると思っています。
AIが進化しても、 人が人と関わること、そして何かを作ることはなくならない。
Bufffは、その中心に“ゲーム”を据え、新しいコミュニケーションの形をつくろうとしています。この挑戦にワクワクした方、同じ未来をつくりたいと思っていただけた方は、ぜひ一度お話しできると嬉しいです。