収穫量<廃菌床
きのこを収穫したあとに残る「廃菌床」は、収穫できたきのこの2〜3倍の重さで発生すると言われています。
椎茸を育てれば育てるほど、その裏側で同じくらいの量のゴミが増えていくということです。ある県の推計では、きのこ生産が盛んな地域だけで、年間11万トン近い廃菌床が発生しているというデータもあります。
想像以上に大きな量が、日々どこかで行き場を探しているということです。
多くのきのこ農家にとって、この廃菌床は正直厄介な存在です。
放っておけば産業廃棄物として処分費用がかかりますし、焼却すれば二酸化炭素が発生します。
埋め立てるための土地を確保するのも簡単ではありません。
再利用せずにそのまま処分業者へ費用を払って引き取ってもらっている農家が、今も多いと言われています。
せっかく手間をかけて育てたきのこの、いわば副産物にお金を払って捨てているという状態です。
再利用
一方で、この廃菌床を資源として活用しようという動きも、全国で少しずつ進んでいます。
もっとも広がっているのは堆肥化です。
廃菌床には木材や米ぬかなど、堆肥に向いた材料がもともと含まれていて、数カ月かけて発酵させることで畑に使える有機資材になります。ただ、これも簡単な作業ではありません。
ブロック状に固まった菌床を崩す作業には重機が必要になることが多く、手作業だと想像以上に手間がかかるとも言われています。まぁ固いんですこれが。
さらに一歩進んだ取り組みも出てきています。
宮城県の農業研究機関では、廃菌床を発酵・熟成させたものを、いちごやナス、ミニトマトを育てる養液栽培の培地として使う実証試験が行われました。
一般的に使われるヤシ殻の代わりに廃菌床を使っても、収量に大きな遜色がないことが確認されています。
90日以上かけてしっかり熟成させることが、品質を安定させる一つの条件になっているようです。
レンチナスは
私たちがいちご事業で取り組もうとしていることは、この流れの延長線上にあります。
捨てるのではなく、育てるための土台に変える。
廃棄物を資源に変えられれば、処分費用そのものが減らせる可能性もあります。
ただ、全国的に見てもまだ研究段階の取り組みが多く、確立された方法として広く普及しているわけではありません。
宮城県の事例も、あくまで一つの実証結果であって、地域や菌床の種類が変われば、同じようにうまくいく保証はありません。
私たちも手探りです。
椎茸の廃菌床が、いちごの栽培にとって本当に最適な培地なのか。
どんな配合や熟成期間が合っているのか。
答えを持っているわけではなく、これから自分たちで検証していく段階です。
他の産地の実証結果を参考にはできても、そのまま真似すれば同じ結果が出るとは限りません。
それは、菌床の原料も、気候も、水も、レンチナスがある八峰町では条件が違うから。
一つひとつ試しながら、自分たちなりの答えを見つけていくしかないと思っています。
ゴミとして捨てられていたものが、次の作物を育てる土台になる。
全国的にもまだ答えが出きっていない領域だからこそ、レンチナスがそこに挑戦する意味があると思っています。
うまくいくかどうかは、正直やってみないと分かりません。
それでも、この手探りの過程を、一緒に面白がってくれる人を探しています。