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「Mission、Valueをアップデートしてきた私たちが、カルチャーを明文化しようとする理由(後編)」

Diverseではカルチャーの明文化「Diverse Deck(ダイバース デッキ)」の制作を進行中です。前回、「なぜカルチャーが大事なのか」をデッキづくりを推進してきた池上さんにインタビュー。
後編となる今回は、「カルチャーを明文化しようとする理由」について、また今後の展望についても池上さんに語っていただきました。

Diverseには「デッキ」が必要だった

――ユーザーさんに認められる価値を生むために「仕事の進め方の指針をおくことが大事」ということがよくわかりました。

池上:はい、デッキでは、仕事を進める時の判断の拠り所となる「大事にしたい価値観」をまとめています。加えて、日々の行動とコミュニケーションに関する指針を定義しています。既に定義していた行動指針であるValueはデッキにおさまる形になりました。ちなみにカルチャーを明文化するにあたって、Netflixのカルチャーに関する文書がとても良いもので、かなり参考にさせてもらっています。「デッキ」という単語もそうですね。

――Diverse Deckを改めて拝見した感想を正直に言うと、「え、ここまで必要なの?」と思う表現もあると感じました。なぜ、ここまで明文化する必要があったのですか?

池上:そうですよね、そう感じるかも、と思っていました。ここで少しDiverseの歴史もご紹介しておきますね。Diverseの前身となる組織は、いくつかのネット企業の下を渡り歩いてきた経歴を持っていました。そのため、さまざまな企業カルチャーを断片的に受けながらバラバラの考え方が存在している状態だったんですね。これはボードメンバーも同様でした。
そんな中で、IBJグループにジョインした2018年頃から、代表である津元がカルチャー醸成に向けた取り組みを本格化しはじめました。まず行動指針であるValueを再定義。これがDiverseに初めてできた「自覚できているカルチャーのかけら」だと思います。しかし、前回のインタビューでもお話したように、行動指針だけではまだまだ足りない。そこで、みんなの気持ちと目線をさらに合わせられる「デッキの作成」が求められたんです。

「っぽさ」の表現にこだわることは、Diverseらしさを追求すること

――なるほど…具体的には、どのようにデッキに落とし込んでいったのですか?

池上:私がたたき台をつくり、ボードメンバー中心にフィードバックをもらいながらまとめていきました。一番最初に行ったのは、Diverseとして大事にしたい価値観、考え方のようなものを整理していく作業です。個々人として大事にしたいものと、Diverseとして大事にしたほうがよいものを混同しないようによく考える必要がありました。この作業と同時にデッキ全体の設計も進めました。
デッキが機能するためには、どのような情報が必要か、まとめた情報がどのように連動してチームのアウトプットの成長につながるか、その時に組織はどのような形が良いか、採用はどのような方法になるか、そしてこれらのことは「現実的なのか」どうか。

――かなり細かく検討していったんですね。情報の整理→必要なエッセンスの取捨選択の繰り返しに思えます。

池上:はい、そうですね。そういった繰り返しを数十回は行いましたね(笑)。そしてこの一連の作業を行った後、1つのドキュメントとしてまとめ、ボードメンバーに一度レビューをお願いしました。そこで出てきたフィードバックが「ここに書いてあることが全部できたらたしかにすごく良いと思うけど、ここでまとめられているDiverseっぽさって何ですかね?」でした。それなりにまとめられたと感じてはいたのですが、すぐに答えられなかったのでハッとしましたね。
Diverseがどんなチームなのかを表せるような「Diverseっぽさ」の視点が足りていなかったな、と。そこから、しっかりと「Diverseっぽさ」を出すための仕上げを行いました。さらには、Diverseっぽくはないのだけれど必要だと考えられるものもあります。「長所が飛び抜けているだけで他は全部ダメ」だと、チームの強さって安定しないんですよね。長所と相反するような部分でも、チームにとって大事なところは最低限しっかりやれるのが強いチームだと思います。
Diverseで言えば、大きな長所の1つを「スピードがある」にしていきたいと考えていますが、逆に「丁寧さ」は不足がちになります。全部を長所にしようとしてもそれは非現実的です。であれば最低限押さえるべきラインはあるのか、ないのか。そういった視点でも検討を繰り返しました。

――何より「Diverseっぽさ」にこだわられているのがとても印象的です。

池上:どんな企業にも、どんな組織にも「っぽさ」ってありますよね。言語化する機会が無かったり、言語化しづらかったりするので自覚することは少ないのですが、絶対にあるものです。当然、Diverseっぽさはあるわけで。その「っぽさ」と「理想像との親和性」は常に考えましたね。
たとえば、Diverseは完全にいわゆるチャット文化です。ここ数年だとSlackですね。チームでコミュニケーションをとって何かを決定している姿を想像する時に、常に会議で議論し合うのは、これはDiverseではないだろうな、と。それよりも、Slackでポンポンとコミュニケーションをとって決定していくこともよくある。そんな事を想像したりしながら、Diverseっぽくて大事なことは何なのか?をまとめていきました。「これはDiverseっぽいのか?」
「これは大事にしたいことだけれど、すごくDiverseっぽい訳ではない。なら無くすか?無くした時に良いチームとして成立するのか?」
「これは個人的には好みのチームではないが、理想のDiverseっぽい気がする」
「これはDiverseっぽいが、もっとDiverseっぽさを表す言葉があるのではないか?」などなど。
デッキの文章量はそれほど多いわけではないのですが、その文章を選ぶ裏側で、そういった様々なことに考えをめぐらせました。

判断の拠り所の明文化は、「迷わない地図」をつくるようなもの

――改めて、曖昧なものを明文化するのは大変なことなんだなと感じます。なぜ、それほどまでに強く明文化を求めたのですか?

池上:定性的で抽象的な「見えないもの」を見えるようにするというのは、とても重要なことです。実は他者と自己との認識って、驚くぐらい合わないものなんですよね。認識が合っていると思っていても実は思い浮かべているものが全然違ってたりする。だから、みんなの目線や方向性を合わせるためには、明文化するのは重要なことだと思います。かつ、「うざい」と思うぐらい丁寧に言語化するのが大事ですね。もちろん、言語化しても100%認識が合うものではありませんし、今回のデッキも一度読んだだけで、理解して、意識できるものではないと思っています。繰り返し触れることで少しずつ理解が進む。明文化しておけばいつでも見返すことができます。

――今後についてはどう考えてらっしゃいますか?

池上:今後はまず、マネジメント層がデッキの理解を深めて先んじて実践していくことが重要ですね。「デッキに書かれていることって、こういうことだよ」とやって見せられるように、マネジメント層の理解と実践に取り組んでいきます。会社全体では、デッキの全体感をぼんやりとでよいので頭に思い浮かべられるようになったら、デッキからいくつかピックアップして実践してみることを考えています。実際にやろうとしてみないと理解しづらいものですしね。
実践に取り組みやすいように、例えばプロジェクトの進め方の中にデッキを意識できる仕掛けを入れてみたり、工夫しながら進めていきたいですね。併せて、採用におけるカルチャーマッチの見方や、入社してくれたメンバーのオンボーディング、目標設定の制度などもデッキを踏まえたものにアップデートしていく予定です。

――今年は、Diverse Deckの浸透・実践の年になりそうですね。

池上:はい、そうしていきたいですね。ただ、これだけ時間をかけて考えてきたデッキですが、現時点で公開したものは「ドラフト」として位置づけています。

――え、そうなんですか?ドラフトとした理由を教えてください。

池上:「ドラフト」である理由は、2つあります。
・Diverseのカルチャーの「発射台」だと捉えていること
・カルチャーはアップデートしていくべきものであること
現時点のデッキは「正式版初版の一歩手前」です。完成させるためには、これから実践に落とし込んでみることが必要だと考えています。
デッキって、社員のみんなそれぞれに手渡す「本」のように思っていて、人によってはそれにマーカーを引いたり、これってどういう意味なんだろう?って調べてみたりできるものだと思うんです。そうやって使っていってみてはじめて「ここはもっとこうしたほうがいいかも」という気づきが出てくるのかなと。そういった気づきも積み上げて、1冊の本にしていく。そういうイメージです。

――池上さん、ありがとうございました!


時間と熱意をかけて完成しつつあるDiverse Deck。Diverseは間違いなく新たな一歩を踏み出しました。デッキを装備したDiverseに期待を込めて。

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