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Mix Leap Study-駆け出しデザイナーの戦い方-@ヤフー大阪オフィス

こんにちは。コピーライターの高島です。

5月9日、ヤフー大阪オフィスで週に1回開催されているイベント「Mix Leap」に、フェンリルのデザイナー髙岡が登壇しました。

今回のMix Leapは“Study”として、社会変化や技術革新、ますます多様化する新しい時代における「デザイナーの役割、デザイナーに求められる経験やスキル」とは何なのかを、様々な業界で長年活躍してきた4名のシニアデザイナーが、令和時代を生きる駆け出しデザイナーに向けて講演をしました。

私はデザイナーではないのですが(しかも駆け出しというわけでもない)、今後の仕事との向き合い方を含め、ヒントをたくさん得ることができてめちゃくちゃタメになりました。そしてなんかすごくスッキリした!

このスッキリ感を一人でも多くの方に味わっていただきたく、僭越ながら要点をまとめさせていただこうと思ったのですが、どのお話も素晴らしく短くまとめることができない。。

少し長くなってしまいますが、駆け出しデザイナーのみなさん(以外の人にも!)のお役に立てたら幸いですmm

「どんな状況でも楽しめるデザイナーになる!」

登壇者:菅原一郎氏(ヤフー株式会社)

これまでのご自身の経験を踏まえ、「どんな状況でも楽しめるデザイナーになる!」をテーマに、仕事を楽しむためのヒントをお話されました。


1.体験したこと以上の体験はデザインできない

競合がすでにデザインしているような、分かりやすいポジティブな感情ではなく、絶妙な「うれしい」「楽しい」という体験をつくることが大切。それは自分自身が体験しないとできないことなので、今は身の回りの色んなことを体験し、備えておくこと。

2.“ペルソナ自分”でストーリーをつくる

詳細なペルソナをつくっても自分が共感できないとうまくいかず、なにが正しいか分からなくなって楽しめなくなる。駆け出しのうちは、「自分が満足できる」というストーリーをつくってみる。

3.とにかく見えるようにする

「人に見せることが楽しい」と思えるデザインをすること。楽しくないと感じるのは、イケてないプロダクトなのかも。実現可能性は後から考えればいいので、身近なものをかっこいいデザインに変えてみたりして腕試しをして。

4.仕組みのデザイン

チームで仕事をする際、みんながテンションをあげて仕事できるように、ドキュメントをかっこよく配置したり、Slackのアイコンをイケてるもの変えたりする。

5.できる範囲のことをする

色んなことをやろうとしすぎると分からなくなってくる。困難なことに向かうことを楽しいと思える人はいいが、そうでない人は「早く」「楽しく」できることを大切にして。

6.自分かっこいい!すごい!と思えるように

できないことにがっかりして辛くなる時期が来るかもしれないけど、できていないことではなく、できている自分に満足するようにしてほしい。

7.空っぽになれる趣味と成長実感

仕事を一切置いて、熱中できることがあるのは素敵。損得勘定なしで飽きずにできることを見つけてほしい。

8.メンタルヘルスの話

人の期待に応えなければならないという義務感が強く、できないことも「できる」と引き受け、結果うまく回せず「自分のせいだ」と自信喪失したことがあり、半年間休職した。休職中は自分を客観的に見ることができ、「できないことを認めよう」と思えるようになった。期待されてがんばりすぎることもあると思うが、とにかく楽しめない状況であれば、環境を変えてみて。

<まとめ>

がんばるのではなく「楽しむ」上手くやるのではなく「楽しむ」

「楽しい」環境を大切に どんな時にも作り出せるようにしよう。

「デザイナーの続け方」

登壇者:浄閑 洋一氏(株式会社ZIZO DESIGN)

いいデザインについてではなく、どうすればデザイナーを続けられるかについてお話いただきました。進行に際しては、プラネタリウムでのアナウンス経験がある同ZIZO DESIGNの女性スタッフの方が、美しい声で表題を読み上げるシュールな演出で会場を盛り上げていました。

1.まずは自分づくり

自分は何が得意で何がしたいのかを考える。ない環境は自分でつくろう。お金は大事だよ(自分が稼いでいるお金を知ることで自分に何が足りていて足りていないのか)

2.人前はこわくない

デザイナーはあまり客先に出ないことが多いが、失敗してもいいので積極的に人前に出よう。外に出て比較することで自分の環境が分かり、転職を含めいざという時のチャンスにつながる。

3.アーティストの顔がちらほら

アーティストの顔を出しすぎると、仕事では「厄介なやつ」と認定されてしまう。しっかり要求に応えながらも要所要所で個性を出していこう。

4.言語化が大事

デザインには必ず主観が入るし、主観は必要なこと。誰かには正解でも別の誰かには不正解なことが多いが、それは言語化できるはず。

5.エスパーを目指そう

デザイナーは課題を解決する仕事。打ち合わせでいかに相手の心を読むかが重要!その場で提案できることがあるならするべきで、もしそれが全然ダメだった場合もその案をそこでボツにすることができて作業の手間が減る。自分がつくったデザインはどれだけ核心をついているかを感じ取ろう。

6.リーマンぶってみる

会社のスタッフに「根回しがうまいですね」と言われる。そういうことをするのはダサいと思っていたがやってみるとおもしろいし仕事がうまくまわる!

7.デザイン共有サイトはもういいよ

同ジャンルのデザインをたくさん見ていても、革新的なデザインを生み出すことはできない。良いもの悪いものを含め、街はデザインにあふれているので、街を歩いて観察することで、これまでにはないデザインができる可能性がある。

8.才能に嫉妬し受け入れよう

経験も大事だけど才能がものをいう世界。そこに嫉妬して受け入れ、何か1つでも自分の武器を見つけよう。

9.感覚が古くなるのが怖い

年を追うごとに感覚が古くなっていることに僕は怯えています。「なんか古い」などと陰口を叩かれているのではと考えてしまう。駆け出しデザイナーのみなさんは、「若い人がこわいんだね」という目で上司を生暖かい目で見てあげて。

10.どんな経験も無駄じゃない

いろんな経験や感覚を持っている人が集まって会社はできているというメッセージを込め、ZIZO DESIGNで働く多様なスタッフを紹介。

11.「ありがとう」でうまくいく

そういう気持ちを持って仕事に取り組むことが長くデザイナーを続けて行くコツ。

「ずっと続けていくことの大切さ」

登壇者:髙岡 尚司(フェンリル株式会社)

20年間のデザイナー生活での苦悩や喜び、その時代ごとに学んだことや気づきを通して、これから多くのことを経験するであろう駆け出しデザイナーの方へ「ずっと続けて行くことの大切さ」を語りました。

〜第1章「ケツが青いくせになにイキっとんねん」な時代〜

<考えていたこと/気づき>

・「普通」に魅せることの難しさ
・ダサく見えるデザインにも「理由」がある
・デザインは「引き算」である

<自主練的にやっていたこと>

・自主制作しながら公募展、展覧会に参加→表現力の強化/自分の意思の確認
・本屋巡り、パンフレット/チラシ収集→意識して「見る」ことの訓練
・美術館巡り→デザイナーの美意識の高さはイビツなので一般的な「綺麗」は何かを知る

<第一章まとめ>

この時期に先輩から教わったことは今でもやっていて、デザイナーとしての土台づくりの一番大事な時期。デザインしてお金をもらえることがうれしかった。

〜第二章 「デザイナーらしくなってきたが時々ダークサイド」な時代〜

<考えていたこと/気づき>

・一人では仕事を回せない
・お客さんと仲良くなると仕事が有利に進む
・社外への意識の高まり(自分がやっていることが物足りなくなってくる)

<自主練的にやっていたこと>

・イラスト塾/広告スクールに通う→表現力の強化
・デジハリに通う→ウェブデザインの勉強と印刷業界の陰り
・転職活動→メディアに載る仕事がしたい!(有名になりたい)

<第二章まとめ>

一番多感な時期。技術よりも気持ちが先走っていた。

〜第三章「精神と時の部屋」な時代〜

<考えていたこと/気づき>

・基礎があれば対応できる
・スキルアップに効率などない
・ライバルは大事
・仕事はまきこんでいくもの
・個人の制作活動が役に立ちまくる

<自主練的にやっていたこと>

・映画/アニメ/ゲームをやりまくる→動きの中での「魅せ方」、動きのデザインの勉強

<第三章まとめ>

転職を経験し、環境を変えるメリットを知り、やればやるだけうまくなる実感があった。デザイナーとして一番脂が乗っており、今のスタイルの基礎ができた時代。

〜第四章「くりかえされる諸行は無常」な時代〜

<考えていたこと/気づき>

・37歳、デザイナー不要説
・デザインって言葉の形骸化
・デザインを見る視点の変化

<自主練的にやっていたこと>

・つながりづくり→今後を見据えての活動
・人に色々と教える→同士を集める

<第四章まとめ>

マネージメントとデザイナーの分岐点であり、40歳からのデザイナーの働き方を考える時期。今まで培ってきたものを展開し、デザインを大きい視点で「創る」から「企てる」への移行。

「ずっと続けて行くことの大切さ」

今になって思うのは、「続けていく」こと自体がとっても「難しい」こと。「状況」「現実」「環境」などによって「続ける」上来を維持できなくなったりするが、この20年間でずっと大切にしてきたことは、【強みを生かす】ということ。みなさんも自身に何かしらの強みを持ってほしい。

「デザイナーのキャリア計画」

登壇者:佐藤 啓一郎氏(株式会社フィラメント)

デザイナーのキャリアのつくり方について、様々な経験を積んでこられた自身の経歴を通して、“変化”していくことの大切さを伝えられました。

自身の経歴を振り返って

・学生時代

大学は教育学部で絵の先生を目指して日々絵を描いていたが、節約のためにキャンバスを手作りしていたことから木工に興味を持ちそちらの道へ。
その後、友達に誘われて映画に関心を持ち、映画をつくるのにCG、効果音のために音楽を学び、制作費を作るために雑誌編集のバイトをし、色んなことに興味が増えていった。
将来のことは特に考えず無計画のまま卒業したが、大手メーカーのワークショップに参加したところ合格通知が届き、そのまま就職。

・社会人デザイナー時代

MD、FAX、オーディオなどをデザイン。表示部がつきはじめたのでそれもデザインしたのがUIの最初(エンジニアとかにされるのが嫌だった)
UIの仕事がメインになり、携帯電話、デジタルテレビ、スマホ、PCソフトウェアのデザインを手がける。
与えられた仕様でデザインするよりも、ユーザーの体験をつくらなければと、2010年にUXの部門を立ち上げる。

これまでのキャリアで分かったこと

プロダクトからサービスへ、デザイン領域の変化は10年ごとのサイクルだったが、これからは30年分の変化が10年でやってくる。今やってることは10年後には役に立たないと思った方がいい。

「今の世の中に変化しない仕事はない」

30年間同じ仕事をしているのはその道を極めた職人だけであり、多くは常に変化していかなければならない。
デザイン領域については、今後はAdobeSenseiのデザイン提案もより進化し、デザインスキルがない人もオペレーションできるようになる。生き残りをちゃんと考えていくことが大事。

「これからをどう戦えばいいのか」

デザイナーとは、現在には存在しない“未来”を作り出す人々。それに応えるデザインマインドを持たなければならない。

デザインには様々な期待がかかっており、デザインをするだけではなく、デザイナーの発想を取り入れた経営などデザイナーに期待される領域が拡大していく。
そのためには、法律、経済、政治、儀礼、など、周辺領域に目を向けることを意識する。「自分はデザイナーだから知らなくていい」ということはなく、デザインは社会と密接に関わっていることを忘れてはいけない。

「学びを続けて仲間を増やして行く」

社会に出ると勉強しなくなるけど、仕事の領域はせまいので世の中においていかれる。学びと実践を繰り返し、一生続けて行くもの。

部外、社外の仲間をつくり、お互いに助け、助けられていくような関係性を築けるようにして。
とくに、エンジニアやプランナーなど、デザイナー以外の仲間をつくるのがおすすめ。
個人のキャリア計画ではなく、社会のビジョンのためにできることを模索していってほしい。その中で、マネージャーポジションを目指していってほしい。

かなり長くなってしまいましたが…最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます!

文章だけでは全てをお伝えしきれないのが残念でなりませんが、登壇されたシニアデザイナーのみなさまの想いを、少しでも感じとっていただけたら幸いです。

最後に、株式会社フィラメント佐藤氏が締めでおっしゃていた言葉をお借りして…

みなさん、「よき令和のデザイナーライフを!」


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こんにちは。コピーライターの高島です。お盆休みが終わってしまいましたが、みなさんは帰省や旅行などでリフレッシュされましたか?私は長めのお休みをいただいていたので、まだ心と体が現実逃避しがちです......
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