※世界でもわずか3か所(多分(笑))という、橋の上を登るアクティビティ『ブリッジクライム』
第2回 都市が成長するように、組織も育つ。ブリスベンの街づくりから考えた「採用と組織開発」
前回、ブリスベンで過ごしているうちに、気候や自然だけではなく、街のあり方そのものが、この心地よさにつながっているのかもしれないと感じたことを書きました。
特に印象に残ったのが、自然と都市の重なり方です。
川があって、地形があって、植物や動物がいる。
その中に、人が暮らす街がつくられている。
そして街を歩いているうちに、なぜか普段の仕事のことが頭に浮かびました。
都市開発と組織開発って、ちょっと似てない?
街を歩いていると、何度も同じ川に出会う
ブリスベンを歩いていると、何度もBrisbane Riverに出会います。
「あれ、また川だ」
というくらい。
大きく蛇行している川に沿ってRiverwalkがあり、公園があり、橋があり、レストランがある。
街が川を無視してつくられているというより、もともとそこにある川を、街の骨格として使っているように見えました。
これ、組織も同じなのかもしれません。
組織開発というと、制度をつくる、仕組みを変える、組織図を変える……といった話になりがちです。
でも、その前に「人」がいる。
経験も違う。得意なことも違う。考え方も違う。
都市に川や地形という「すでにあるもの」があるように、組織には人という「すでにいるもの」がある。
だったら、理想の組織図に人を当てはめるだけではなく、そこにいる人が持っているものを、どう活かすかを考える必要がある。
川を見ていたはずなのに、完全に仕事のことを考え始めました。
※CBD側からみたサウスバンク側の景色 Streets Beachto(人工ビーチ)と緑道
「うちに合う人」を採用し続けたらどうなる?
HRとして採用をしていると、「組織に合う人」は当然考えます。
会社の価値観をまったく理解できない人を採用しても、お互いに幸せではありません。
でも一方で、
「うちに合う人」だけを採用し続けたら、どうなるんだろう。
とも思います。
今いる人と似た経験。
似た考え方。
似た価値観。
そういう人だけが増えていけば、組織は安定するかもしれない。
でも、新しい能力や視点は、どこから入ってくるのでしょう。
採用って、単に一人増やすことではないはずです。
今まで組織になかった経験や能力、視点を持つ人が入ってくる。
それによって、"「人数が増える」だけではなく、「組織そのものが成長する」"こともある。
ただし、ここにはもう一つ難しい問題があります。
新しく入った人が正しい、でもない
新しく入った人が、
「前の会社ではこうだった」
「こっちのやり方の方がいい」
「この会社が変わるべき」
と言い続けても、たぶんうまくいきません。
既存の組織には、そこに至るまでの歴史や背景があります。
新しく入った人にも、それを理解する努力が必要です。
一方で、新しい人が既存のやり方に100%合わせてしまったら、その人が持っていた新しい能力や視点まで消えてしまう。
それでは、せっかく違う人を採用した意味が薄れてしまいます。
新しい人も組織に馴染む。
組織も、新しい人から影響を受ける。
どちらか一方が相手に合わせきるのではなく、お互いに影響し合う。
その結果として、組織そのものが少しずつ進化していく。
これって、ブリスベンで見ていた街のつくられ方と、少し似ています。
※そのままの地形を活かした市街地すぐの川沿いにあるロッククライミングポイント(Kangaroo Point)。金曜日の夜に余暇を楽しむ人びと
残す。でも、止まらない
ブリスベンでは、もともとある川や自然が街の一部になっています。
だからといって、何も変わっていないわけではありません。
むしろ、街のあちこちで工事をしている。
古いものを全部なくして、新しくすればいいわけでもない。
でも、今あるものを守ることだけが目的でもない。
残す。でも、止まらない。
もともとあるものを理解しながら、その時々に合った形へ少しずつ進化していく。
組織も同じなのかもしれません。
組織が成長してから、新しい人を採用するのか。
新しい人が入るから、組織が成長するのか。
考えていたら、ニワトリと卵みたいな話になってきました。
たぶん、どちらかが先ではありません。
人が組織に新しいものを持ち込み、組織も、その力を受け止められるように進化する。
採用と組織開発は、同時に進んでいくものなのだと思います。
そう考えると、大事なのは「変えること」そのものではありません。
馴染むことと、新しいものを持ち込むこと。
残すことと、進化すること。
その両方が共存できる"「場」"をどうつくるか。
ここまで考えたところで、別の疑問が出てきました。
じゃあ、自律できる人を採用すれば、自律的な組織になる?
「自律してください」と言えば、人は自律できる?
この問いの続きは、ブリスベンから日本へ帰る飛行機の中で、偶然隣に座った人との会話につながっていきます。
最後まで、仕事の話から逃れられない旅でした(笑)。
次回(来週)は、ブリスベンでの滞在を通して改めて考えた、「自律を支える組織と『場』づくり」の話です。
※この連載ブログの写真は、私が撮影したものをAIによって少しだけ綺麗に加工したものを使用しています(時代ですね)