【Makuake People #7】走り抜けたベンチャーでの経験。いままた、静かな情熱がふつふつと

引っ張っていくタイプじゃない。過去のコンプレックスが今は自信に。

「いま、つまらなそうだよ」――妻の言葉で再チャレンジを決意した。

Makuakeが世界を取るためには、「攻めを守る」チームが必要。

――田村祐樹(執行役員 経営管理本部長)

キャプテンとしてサッカー部をまとめる役割

やり切ったと思っているのは、6年間に渡るベンチャー時代の経験です。そのルーツは、サッカーに明け暮れた学生時代にあったのかもしれません。小中高はサッカー部でキャプテン、小中では生徒会長と、リーダーを任されることが多い学生時代でした。でも実は、「俺についてこい」というタイプじゃない。先輩たちはぐいぐい引っ張るタイプだったので、「自分もあんなキャプテンでありたいのに」と、多少のコンプレックスを感じていました。

ただ、「よくチームをまとめていた」と監督やOBから言われたり、僕の代だけチームが強いという事実がありました。その時は気づいていませんでしたが、今なら、自分は下から支えるタイプなのだとわかる。それは、社会に出て働きながら自信が付いてきたんだと思います。



会計事務所から飲食系のベンチャーへ

大学卒業後は会計事務所へ。親類に税理士が多く、「経営に近くて面白い」と聞いていたのが大きかった。大手に行く選択肢もありましたが、1から10まで見たいと思い、中堅事務所に就職。お金や社会のルールをはじめ、「知らないと損をする」事実を知り、スキルも身につきました。

ただ、4年目くらいから、満足感や充実感に疑問を感じるように。税理士とは中立的な立場なので、意思決定は社長にしてもらうしかありません。「社長が決めたのだから責任は負わなくていい」というスタンスが、無責任に思えてしまい……。僕の性格なんでしょう、もっと責任をもって関わりたいと思うようになってきたんです。

そんな頃、クライアントとして飲食系のベンチャー企業を担当することになりました。社長が大変カリスマ性があり、情熱も勢いもある人だった。「5年で売上50億を目指したい」というビジョンがあり、すごく共感したんです。業務範囲を超えて夜中に連絡を取り合うことも……。僕としては二人三脚で歩んでいるつもりでしたが、重要な決定事項を後で聞かされることがあった。「やはり社外の人間なんだ」と寂しく感じたのを覚えています。

案件がスタートして1年後、その会社に誘われたんです。嬉しかったですね。タイミングは、結婚した直後。大変だったのは、妻の実家への説得です。親御さんとしては「結婚したばかりなのに、飲食のベンチャー企業へ行くなんて」と思ったはず。妻の実家へは、何度も通いました。最初はなかなか首を縦に振らなかったご両親も、最後は熱意に負けて了承してくれたんです。



朝も夜もなく働く。やりきった日々

入社してからは怒涛の日々です。朝4時にタクシーで自宅へ帰り、少し寝てから7時くらいに家を出る。大げさでなく、そんな生活が5年ほど続きました。子どもはいま5歳と3歳ですが、妻には頭が上がりません(笑)。

何もない状態から会社の登記をし、フランチャイズの本部として6年間で90店舗ほど出店。年商は約25億まで行きました。大手の会社と提携したり、賞をいただいたりと、破竹の勢いで成長していったんです。海外にも店舗を出し、初めての店舗はインドネシア。契約書にハンコをついたときの興奮は、今でも覚えています。

ただ、資金繰りはいつもギリギリ。さらには、成長スピードに人材育成が追いつかない。もともと社長のビジョンやイズムで進んできましたが、人数が多くなると浸透が難しいんです。分裂しそうになると、対面で話して乗り切る。資金も人も、やりくりに苦労をしていましたね。

僕は取締役CFOとして会計を見ていたので「もうダメだ」というタイミングが最初にわかる。社長と弁護士に相談をして、破産手続きを始めました。直前まで実感がわかないのですが、終わってみると正直ホッとした気持ちの方が大きかった。それくらいギリギリで、大変だったのでしょう。多くの方に支えられ、会社の皆と一緒に、好きなことに没頭して最後までやり切ったのは、かけがえのない経験だったと思っています。



安定志向の企業へ入るも、空回りしてしまう

その後、いくつかの会社を検討しました。そのうち、知人から紹介されたのがマクアケです。取締役の木内と会い、成長に魅力を感じましたが、他の企業でも最終選考まで行っていた。ベンチャーのマクアケと、スクール事業を手掛ける安定した企業。妻に相談すると「もうベンチャーは無理」という返事だったので、違う会社に行ったんです。

ところが、僕の体にはベンチャーマインドが沁みついていて、物足りなくなってしまった。頑張っていると、周囲と雰囲気が違って空回りしてしまう。充実感もなくて、妻に「今の仕事はつまらなそう。楽しそうな方がいい」と言われていました。よく見ているんだなと感心します(笑)。

一度断ったので申し訳ないとは思いつつ、初めて会った半年後、木内に「もう一度チャンスをください」と申し出ました。倒産した前の会社で実現できなかったことを、リベンジしたいという思いもありましたね。



みんなで前を向いている喜び。それを支え、守っていきたい

マクアケには今年の1月にジョインしてまだ数か月ですが、みんなが同じ方向を向いていると感じています。また、社会的にも正しいことを100%やっているという気持ちよさがある。僕の中で一度冷えてしまったエンジンが、もう一度かかり始めていると感じています。

クラウドファンディングという仕組みのすごさは、事業をやっていた経験からも強く感じます。飲食店では、物件の選定がすごく難しいから。この場所で収益が上がるのか、店を出す前に判断しなくてはなりません。ところが、クラウドファンディングはスタートする前に店を出せるようなもの。作り始める前から常連が付き、予約も取れる。こんないいシステムはないと思いますね。埋もれがちなメイドインジャパンの技術にチャンスを与えることもできます。

今まで、経営管理部門は、親会社であるサイバーエージェントにありましたが、マクアケとして経営管理部門を立ち上げた。まだいろいろなことが固まり切っていないので、メンバーの想いや希望を踏まえて将来のビジョンを描いていきたい。マクアケは世界を目指しています。だからこそ、会社としては攻めていく必要がある。その「攻め」を守るチームが僕たちです。一番前で引っ張るわけではない。でも、誰よりも会社のこれからを考えているチームでありたいです。



取材・執筆:栃尾江美
撮影:佐藤啓(OJ) Instagram

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