新プロダクト「CLINICSカルテ」の舞台裏を、エンジニア&デザイナーに聞いてみた

みなさんこんにちは、エンジニアの平木です。4月末にリリースした「CLINICSカルテ」について、その裏側についてエンジニアとデザイナーの視点からDeveloper Blogにて紹介しました。

電子カルテシステム開発の難しさを解決するためのフルマネージドサービスの活用 - Medley Developer Blog
4月末に新たにリリースした クラウド型 電子カルテ「 CLINICSカルテ 」の開発を担当している田中です。 電子カルテという医療行為を支えるプロダクト開発ならではの醍醐味や難しさを感じる日々を過ごしています。前回は CLINICSカルテのデザインについてマエダが紹介しました が、今回はエンジニアから見た苦悩と葛藤についてお話します。 苦労した点としては、医療事務の業務そのものの複雑さやそれに伴うアプリケーション開発の複雑さはもちろんのこと、電子カルテ開発の特徴として関連省庁のガイドラインの準拠やレセプト
http://developer.medley.jp/entry/2018/05/21/180652

「電子カルテ」というと自分からは遠いものと感じるエンジニア・デザイナーの方も多いと思いますが、こうして公開してみると、複雑な仕組みをいかにプロダクトに落としていくか? 等、共感していただける点も多いようです。

そこで今回はもっと突っ込んだ裏話も聞いてみようと、ブログ執筆者のエンジニア・田中デザイナー・前田、そして一番最近チームに加入して医療業界をフレッシュな目線でみている(であろう)エンジニア・有馬に、開発裏話を聞いてみました。(トップ画像の左から、前田、有馬、平木、田中)

(平木)みなさんが開発しているCLINICSカルテは、医療に関わっている人じゃないと、他の電子カルテと何が違うの?と思いそうですよね。そこからまずは教えてください。

(田中)思い入れが違います。

(平木)おお、そう攻めるかー。

(前田)真面目に話しますと(笑)、みなさんが通院する時って、例えばインターネットから診察予約ができたりしますよね。予約したあとに医療機関の診察室に行くと、電子カルテや紙カルテが置いてある。診察がおわったら会計をしますよね。この予約や診察、会計ってそれぞれ独立したシステムを導入しているところも少なくない。システム間で連携がとれていればいいですが、とれてないと医療業務の負担も大きいですよね。

CLINICSカルテはこれらが全てワンストップで管理できる電子カルテです。医療現場の方の効率性も上がって、診療自体に注力できる時間も増えると思いますし、実は患者さんにとってもメリットがあります。

CLINICSカルテはオンライン診療アプリ「CLINICS」とも連動できるので、例えば患者さんは、予約をCLINICSアプリから取ったら、診療の時に見せてもらった検査データをアプリで受け取ることもできる。クレジットカード決済もできるので会計待ちの負担軽減にもなります。

(この辺りの詳しいことはニュースリリースCTO平山がお伝えするCLINICSカルテの未来についてのブログをご参照ください)

(平木)説明ありがとうございます。 患者側からみると、診察予約をアプリで管理できたり、検査データをもらえたりというのは便利ですよね。

開発初期は、とにかく勉強

(平木)この中で、一番プロジェクトの古株はたなきよさんですよね。プロジェクト初期の頃の話を聞きたいです。

(田中)開発チームが立ち上がったのは、昨年の春くらいだったかと。CTOの平山から構想を聞き、そこから初めて電子カルテの世界に触れましたね。その仕組みを知るにつれ、これは凄い大変な世界なんだと焦り、実際に電子カルテを触ってみたり関連する書籍を読んだりしながら仕組みを学びました。ブログにも書いたんですが、医療情報を扱うシステムだから、セキュリティ要件などについてもガイドラインとして定められているんですよ。それを読み込んで整理したり、というのも同時にはじめましたね。

CLINICSカルテのエンジニアリング全般をリードした田中

(平木)開発にいきなり取り掛かる、というのではなくて、まずは調査からと。

(田中)全体のシステム設計もしつつ、そうした期間が3ヶ月くらいですかね。CLINICSカルテは、日本医師会ORCA管理機構株式会社が提供している「ORCA」というレセプトソフト(医療会計専用のシステム)を内包してるんですが、このORCAについても、最初は何も分からなくて。

(平木)医療会計の仕組みも複雑ですよね。

(前田)自分もORCAを触りまくるところから始めましたね。そもそも、会計の仕組みってどうなっているのか?ORCAとは?というのを、まずしっかり知ろうと。それと同時に、周辺の医療知識も学びながら、デザインに取り掛かりました。

(田中)そうやって調べながら実装する、というのを繰り返して、秋頃にβ版レベルまで作り込み、年末にトライアルをしてもらえるところまで持っていきました。

(平木)秋までは、どういったチーム体制だったんですか?

(田中)平山と僕と前田、もう一人宮内というエンジニアとで作っていて、エンジニアとして秋頃から竹内、年始から大岡が加わりました。有馬さんが入ってきたのは今年の3月ですよね。

(有馬)そうですね。結構経ってる気がしますが、実はまだ、入社して2か月ちょっとです。

入社直後からチームにジョインし、リリースまでのラストスパートを支えた有馬

(平木)もっといる感じがしますよね(笑)。 入っていきなりCLINICSカルテチームというのも、慣れるまで大変そうですよね。

(有馬)やっぱり、医療知識がすごく必要なことが最初の難しさですね。自分はずっと医療と違う世界だったので、大変でした。でも、小さい頃から病院って行ってるじゃないですか。だから聞く言葉自体は身近で、なんとなく想像できる。全くゼロからの世界ではないなということも、勉強しながらわかってきました。

(平木)確かに、言葉自体とっつきづらいものは多くないですよね。一方で、聞き慣れた言葉で「それについては知識がある」と思ってみても、実際は内容が思っていたのとは全然違ったりしますよね。医療従事者が使っている知識までは知らなかったりとかが原因だろうけど。

(田中)「保険」や「公費」とかって言葉自体はもちろん分かるんですけど、じゃあ実際にどれだけ種類があって、どのような業務の流れがあるかなど深く知っていくと、全然知らなかったなと思うこともしばしばでした。

ガイドラインを前提にした開発とは?

(平木)電子カルテが出来上がるまでの難しさは伝わってきたんですが、逆に面白かったとことか、やってよかったことはありますか?

(田中)医療情報システムについてのガイドラインが明確に決まっている中で、開発した経験は貴重でした。まずガイドラインに準拠したシステム設計を踏まえた上で、プロダクトとしてこうあるべきという議論が初めてできるという世界です。これを成長と言えるかは分からないけど、そういう思考での設計ができるようになりました。

(前田)デザインも、ガイドラインやシステム全体を理解したうえでないと機能的に使いやすいUIをつくれなくて。エンジニア陣とコミュニケーションをとりながら、どういうプロダクトに仕上げていくべきかというのを固めていきました。そういったことを理解することで、よいプロダクトのイメージが徐々に膨らんで、もっといいプロダクトに成長させていきたいという想いが強くなっていきました。

CLINICSカルテのデザイン全般をリードした前田

(有馬)CLINICSカルテは、そのガイドラインの中で定められている「クライアント証明書を利用した TLS クライアント認証」を実施しています。私はもともと、コンシューマー向けサービスの開発経験が長かったのですが、そういったシステムだと、クライアント認証ってあまりやらないと思うんですよね。なので、最初はすこし戸惑いましたが、馴染みが深いTLSサーバー認証の知識を応用すれば良かったり。これまでにない色々な視点が必要になる開発でしたが、今までの知識も活かすことができた点は良かったと思います。

(平木)どういう風に進めたのかについてはブログでも書いてましたね。

(田中)そうですね、当時苦労していたと(笑)。電子カルテってSIer的な視点も必要になるプロダクトだと思うのですが、そんなプロダクトにWebの視点を入れることで、複雑で個別最適になりがちな設計をシンプルに整えていくこともできる。WebとSIerの両方の技術や視点を用いて開発しています。

ドッグフーディングができない世界

(平木)電子カルテならではという「今までにない苦労」はどんなことがありました?

(前田)デザイン面でも、Webデザインのセオリー的にはなかなか見ない構成とかもあって。例えば、Webサービスだと決定までの導線をいかにシンプルにするかが重要なのですが、カルテの場合、業務フローを考えるとどうしても複雑にならざるを得ない。なので、複雑なフローをデザインでどうシンプルで使いやすいものにするかという葛藤が常にありました。

(田中)自分たちが日常的に使うサービスではないので、納得できるプロダクトになるまで時間がかかりましたね。年末に大枠ができて、2月から最初の医療機関に、4月からはさらに違う医療機関にトライアルで利用してみてもらったんです。自分たちとしては、これは結構できてるぞと思っていたのに、実際の医療現場で使ってみてもらうと、想定していなかったイレギュラーな運用が起きたりする。できた!と思っていた分、すごく凹んだりしました。

(平木)ドッグフーディング(社員が自社製品・サービスを日常的に利用してみること)ができないですもんね。そういう領域であることも、SIer的ですね。

(田中)会計周りや処置行為入力周りは結構作り直しました。例えば会計で言うと、今日は保険証を忘れたので全額払って後日返金、とかもざらにある世界ですからね。あと、保険証の番号を打ち間違えていたとか。

(有馬)ただ、メドレーは社内に医師はもちろん、医療事務として細かな実務に携わっていたメンバーもいて、彼らに相談しながら進められるのは、すごく心強いなと思いました。社内医師によるレビューは、ある意味ドッグフーディングに近い感じですよね。

電子カルテは、絶対に止められないシステム

(有馬)自分はリリース直前から入りましたけど、いざリリースしてみて改めて実感しているのは、電子カルテって、これまで関わっていたシステムの中で一番止められないシステムだなということ。すごく責任を感じています。

(平木)ちょっと今トラブっているから、患者さん情報の入力明日にしてください!なんて言えないですもんね。直接患者さんに触ったりするものではないけど、命に大きく関わっているシステムですね。

(前田)2月からトライアルを始めて、いろんな機能やUIの改善を進めています。使いやすさを考慮してUIを設計したとおもっていても、実運用をしてみるとかえって使いづらいと気づかされたり。よりいろんな視点をもって改善していく必要があるなと痛感しました。

さらに診療科によって必要な機能も異なるので、それらを踏まえて統一されたUIに仕上げていくところは苦労しています。既存の電子カルテは医療機関ごとに独自のカスタマイズに対応していたりするのですが、CLINICSカルテでは一貫した操作性を確立したうえで、オプション要素なども検討したいと考えています。

(平木)オンライン診療アプリのCLINICSも同じ考えで、カスタマイズの要望が来ても基本としては受けないですもんね。カスタマイズに対応することで、やっぱりプロダクトを良くするために注力するパワーなんかがそちらの方に取られてしまうのも本末転倒ですし。何より医療機関や患者さんに向けたカスタマーサポートも均一に行えなくなって、結局良い結果にはならないだろうと。

(前田)電子カルテも基本的にはユニバーサルデザインを示して、診療科ごとのオプションプランを持つくらいにするのが良いと思っています。ただ難しいのは、ユニバーサルデザインの前例がないから、医師からの要望を聞いても、それが多くの医師に役に立つ本質的な改善なのか、その医師のみに役に立つ個別最適なものなのかが、すぐにはわからない。ジャッジの基準が難しいんです。

(田中)利用者である医師の方々の意見も聞きながら、ジャッジの基準を作って行くしかないかなと。そういう点でも、オンライン診療アプリを使っていただいている医師が沢山いらっしゃることは、とても助かりました。

「医療のプラットフォーム」づくりは、エンジニアの総合力が問われる

(平木)CLINICSカルテのチームや役員とWantedlyの対談した記事では、電子カルテを将来的には医療のプラットフォームにしたいと話していましたよね。検査データとか、色々な医療システムを電子カルテに繋いでデータ連携をしたり、患者さんや医療機関同士でデータのやりとりをしたいと。これって、実際には乗り越えないといけない壁も多いですよね?

(前田)国としても、こうした医療情報の連携を検討はしていますが、本格的な実現はまだこれからという状況です。(参考:総務省「平成29年版 情報通信白書」第5節 ICT利活用の推進(2)医療・介護・健康分野におけるICT利活用の推進

(田中)電子カルテは院内のPACS(医療用画像の管理システム)や検査会社などと様々な連携が必要になってくるんですが、標準フォーマットの活用が進んでいないという壁もあります。でも医療の将来を考えると、そこを改善していかないといけない。こうした中でプロダクトを成長させていくのは大変ではありますが、関わるエンジニアとしても総合力を問われる分やりがいがあります。

(有馬)メドレーに入る前は、結構ベテランなエンジニアが多いと聞いていて、実際に入社してもそれは感じます。でもそれは、医療という分野がやっぱり、ベテランと呼ばれる人たちの年代が、子どもができたり親などの体調が悪くなったりなどの出来事がおきやすくて、医療に興味を持ちやすいからなのかもしれません。複雑な分野だからこその醍醐味もあると思うので、ぜひ色んなエンジニアに医療×ITの世界を知ってもらえると面白いですね。

(平木)すごく真面目にカルテの話をしましたね。

(前田)じゃ、そろそろ飲みに行きますか(笑)!

(この後本当に飲みに行った4人)

※編集担当・阿部からのお知らせ

新しい医療体験を生み出す開発に興味がある方、こんなエンジニア・デザイナーとお酒を飲み交わしたい方、ぜひご連絡くださいね。5/31から開催されるRubyKaigi2018にもブースを出しておりますので、ぜひお立ち寄りください!

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