「CLINICSカルテ」が目指す ”医療のプラットフォーム” とは?

お久しぶりです。メドレーで採用と広報を担当している加藤です。

昨年よりはじめた「そのテーマ、役員みんなで話しました。」のコーナーですが、昨年と状況も変わりいろいろなメンバーにJOINしてもらえるようになったので、経営陣に限らず、メンバーの思いを紹介できる場所にしていくことにしました。

ということで、

「そのテーマ、チームみんなで話しました。」

さっそくのピボットですね。笑

さて今回は、メドレーで2年ぶりに立ち上がった新規事業「電子カルテ」についてです。

4/29、メドレーはクラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」をリリースしました。今まで医療機関では、「予約システム」「カルテ(紙・電子)」「オンライン診療システム」「レセプト(医療会計システム)」と複数のツールを使って診療するのが普通でした。CLINICSカルテは、これらを全て内包しワンストップで管理できることが特徴です。

しかしCLINICSカルテの開発チームは、従来の電子カルテの機能にとどまらず、医師と患者、さらに医療を取り巻く人々をつなぐ ”医療のプラットフォーム”を実現したいと考えています。その詳細や、目指している医療の未来の姿などについて、代表取締役医師の豊田と、CLINICSカルテの開発チームみんなで話しました。(写真左から、豊田、島、田中、前田、平山)

チームメンバーのご紹介

取締役CTO 平山:日立、グリー、リブセンスCTOなどを経て、メドレーに入社。

執行役員・電子カルテ推進室長 島:消化器内科医として病院勤務後、ボストンコンサルティングを経て、メドレーに入社。CLINICS事業部長を経て現職、医師。

第二開発部長 田中:SIerやITコンサル、サイバーエージェントを経て、メドレーに入社。CLINICS/CLINICSカルテのエンジニアリーダー。

デザイン部長 前田:Web制作会社、リブセンスデザイン部長を経て、メドレーに入社。メドレーのプロダクトデザイン全体を統括。

電子カルテは、想像以上に進化する

- いつ頃から開発の構想は始まったんですか?

(平山)ちょうど一年くらい前ですかね。きっかけは、オンライン診療アプリ「CLINICS」を提供する中で、医療機関から「電子カルテの患者さん情報を参照しやすいように、患者番号を入れられる欄が欲しい」という要望をいただいて。電子カルテと連携した方が便利なのかなと思い、実際に色々な電子カルテを見ていくうちに「これをメドレーが作ったら、医療を変えるプロダクトに成長する可能性がある」と思いました。

CLINICSカルテのプロダクト開発全般を牽引したCTO・平山

(島)その話を聞いて、はじめは「電子カルテってレッドオーシャンって言われるし、ビジネス的に難しいんじゃないか」と思ったんですけど、調べてみたら、レッドオーシャンとも言い切れないんですね。電子カルテを作っている会社って何百とあるんですが、実はいろんな診療科ごとのメーカーがあり、シェアが細分化しています。さらに今回のように「クラウド型」の電子カルテのシェアは市場の数パーセント。思っている以上に、これから進化する市場なんだと思いました。

- 「クラウド型」じゃない電子カルテというと?

(平山)クラウド型は、インターネット環境があればどこでもアクセスできるサービスですよね。一方で現在の電子カルテのほとんどはオンプレとかオンプレミスと呼ばれるもので、院内に専用のサーバとPCを置いて、院内に情報を閉じ込めるものです。

医療情報システムは患者の医療情報を扱うため、厚生労働省によって定められたガイドラインに従って開発されています。このガイドラインができた当初は、電子カルテはオンプレ型が絶対でした。でもこの数年間でクラウドのセキュリティ技術が格段に上がったことで、クラウド型も問題ないとガイドラインに記されるようになり、少しずつクラウド型への移行が始まっています。Webエンジニアから見ると、セキュリティアップデートがリアルタイムで行われるクラウド型の方が、むしろオンプレ型より安心だろうとも思います。

(豊田)実際に震災の時は、院内のサーバが壊れてしまって、診療に支障が出たという話もよく聞きました。クラウド型の方が運営リスクが低くなる側面もありますよね。

複雑な医療システムだからこそ、民間企業の牽引が必要になる

(田中)平山さんからこういう話があったんで、ガイドラインを読み始めたんですけど、まあこれが複雑で……。他の関係書籍もたくさん読み漁りましたね。

(島)スプレッドシートに整理しながら読んでましたよね(笑)。

(前田)ちょうど自分が入社したばかりの2017年の頭に、CLINICSのデザインのver.2を作ったんですけど、その時「電子カルテとつなぐことも見越したデザインにしたい」と言われたので、その時期からすでに構想が進んでいるんだなと感じていたことを思い出しました。

(豊田)今ほど具体的じゃないけど、構想は早くからありましたよね。2017年の春はちょうどオンライン診療アプリ「CLINICS」リリースから1年経って、導入する医療機関も増加し始めた時期だったけど、さらに診療全体を支える仕組みが必要だと、チームでよく話していました。

(平山)診療をもっと効率化したいという話も、CLINICSリリース前からも出ていましたよね。電子カルテについて調べ始めたことを機に、具体的な話が膨らんで行ったという感じですね。

- 今ガイドラインの話を聞いただけでも、電子カルテの世界は複雑そうですね。

(平山)そうなんです……。自分自身は電子カルテを触った経験もなかったから、まずは他社の電子カルテをみて、法整備を調べて。保険診療の点数を計算して請求するためにレセプトソフトを使うと知って、そのベンダーに話を聞きにも行きました。そこで、オンプレ型が普及している理由や、最近ではクラウド型をはじめ新しい技術を歓迎する動きも出ていることを知って「良いサービスさえできれば、広がる素地は出来はじめている」と思いました。

(豊田)オンライン診療の普及を通じて「役人や医療は硬い」「古い慣習を変えたがらない」というイメージとは違って、やれることはやりたい、変わるべきだと思っているということを実感しました。ただ、具体的に推進していく方法や技術については詳しくない人が多いから進まないという面はある。だから民間企業がテクノロジーで市場を変えることは、歓迎されるだろうという実感もありました。

電子カルテの立ち上げに5分かかる!医療現場のリアル

- 実際に電子カルテを使っていた医師の立場としては、どうなんでしょう?

(豊田)とにかく、起動が重かった(苦笑)。特に自分が働いていたような大きな病院は、長期入院の患者さんも多いんですけど、記録する情報が多くなるほど、どんどん立ち上がりが重くなっていく。立ち上げる5分の間にご飯を食べたりすることも、研修医の時はよくありました。

(島)分かる、あれなんで重いんだろうってずっと思っていました……。あと、データを共有できないのは不便ですよね。検査結果も紙でくるので、渡さずに結果だけお知らせすることもあるんですけど、システムが自動で患者さんにデータをお渡ししてくれたら便利だなあと思っていました。最近では、大きな病院でもレントゲンの読影レポートを渡すようになるとか、動きは始まっているようですけどね。

(前田)自分はデザイナーの立場からシステムを見てみて、電子カルテや医療会計システムを最初に触ってみたときに、使い方が全然直感的に分からないなと思いました。例えばここの入力はアスタリスクじゃないといけないとか、独自のルールがたくさんあって、使いこなすまでの難易度が高い。もしかしたら、エンジニアがデザインを組んだり、付け足し付け足しで機能開発をした結果なのかもしれない、とも思いました。開発の初期からデザイナーが入り、一貫性のあるUI設計を行うことで、もっと誰もが使いやすいシステムにしていけそうだな、とも。

CLINICSカルテのデザイン全般をリードした前田

(平山)医療の仕組みが複雑だから、分かりやすいデザインにする難易度は高いですよね。

(島)医師の世界が、カスタマイズされることに慣れている文化というのもありますよね。ベンダーよりも医師の発言権が強い慣習も手伝って、「今がこうだから、同じようにカスタマイズしてほしい」いう医師の要望で、複雑なやり方にシステムが個別最適化されている。全体最適化した統一のデザインに集約していこうと考えるベンダーは少ないのかもしれない。

メドレーは「全体最適」でオープンな医療を目指す

- こうした現状の中で、CLINICSカルテはどういう課題解決を目指しているのでしょうか?

(島)今も話に出たように、現状の電子カルテはカスタマイズ性が強くて、データの保存形式などもベンダーごとに全く異なります。さらに、オンプレ型が前提となっているから、医療機関同士の連携や、患者さんとのデータ連携なども出来ないんですよね。クラウド型で、患者さんや医療機関間をつなぐ前提で設計した、全体最適なクラウド型電子カルテを作ることで、医療の各プレイヤーをつなぎ、より円滑にコミュニケーションできるプラットフォームを作れると思っています。

医師の経験を生かして、事業開発や導入支援などを含む事業全体を牽引する島

(田中)こういう考え方って、他の業界だと珍しくはありませんが、医療にとっては新しい考え方だと思うんです。新しい考え方を旧来のところに入れていくには、まずは作って見せてみないと分からないというところもありますよね。

(豊田)見たことないから分からない、分からないものは怖い。命に直結する業界だからこそ、そうした未知のものにトライするハードルは高いですしね。

(前田)デザイン面の複雑さについても同じことが言えますよね。すでに電子カルテの場合、複雑なボタン配置などに医師も慣れちゃっていますが、もっとシンプルな方が、初心者もベテランも使いこなしやすいはず。例えばファミコンとか、やっていることは複雑ですけど、操作は十字キーと数個のボタンだけじゃないですか。そんなシンプルで使いやすい世界を示して行きたいですよね。

(豊田)多くの電子カルテは、複雑なボタンがたくさんあるテレビのリモコンみたいになっちゃっている。

(島)全体最適でユニバーサルデザインな電子カルテを作り上げる中で、オンライン診療アプリ「CLINICS」の導入を支援してきた経験は役立ちました。実際に、いくつかの医療機関にトライアルをしてもらったんですが、当然いろんな要望をいただくわけです。「このボタンは譲れない」とか。でも全てを鵜呑みにせず、どこまでがユニバーサルデザインかを議論しながら考え、一方で本質的な指摘はすぐに反映しました。言われた通り開発するのではなくて、医療機関とともに議論しながら開発を進めることで、広く使われる、新しいサービスが実現していくのかもしれません。

(平山)既存の常識にのっとるのではなく、本質を見極めこういう世界になったらいいという構想を持って開発できるのは、メドレーがエンジニア、デザイナー、現場を知る医師がチームとなっているから。理想論を語っても、現場の利用状況に応じた機能や導入支援を具体的に語れないと、使われるサービスにはなりません。

例えば今回、ORCAという17,000を超える医療機関に導入されている日本最大級の医療会計システムを、電子カルテ上からワンストップで操作できるという機能をつけています。これも「ORCAを別に立ち上げるのが煩わしい」という現場の声がなければ実現しなかった。一方で、機動性の高い開発力があることで「それならORCAを内包しよう」とスピーディに合意し、実装できた。これがメドレーのチームの強みなんだと思います。

- 今回、同時にORCA APIのオープン化や電子処方せんの特許出願についてもリリースしましたが、その意図を教えてください。

(田中)医療業界において「個別最適」な文化が新規参入を阻んでいるのでは?と思った時に、メドレーから業界をオープンにする文化を作っていきたいなと思いました。だから、ORCA APIをオープンソース化しようというのは、自然な流れでしたね。

CLINICSカルテのエンジニアリング全般をリードした田中

(平山)個別最適が進んで業界が排他的になってしまうことで、新規参入が減り、イノベーションが起こりづらくなってしまうという危惧もありました。電子処方せんについても、国で「電子処方せん化を進めたい」という話は出ていますが、具体的な運用方法がネックになっていて、なかなか実用化が進んでいない(※)。こうした状況を一歩進めることができればと思って、今回特許を出願しました。

※もともと紙の原本が原則だった処方せんについて、2016年3月に、厚生労働省により省令の一部が改正され、電子処方せんの作成、保存、交付が可能となりました。具体的な運用に関するガイドラインも策定されたものの、運用例として示されたASPサーバなどを用いた管理方式については、その現実的な運用が難しいことが課題となっています。

(豊田)4/20の規制改革推進会議でも「処方せんの完全電子化を」という意見書も出て、より推進の動きは強くなりそうですよね。とはいえ、行政で20-30年間を見据えた推進というのは壁が高いのだろうとも思っています。

例えば省庁は、2年ほどで部署異動が発生するんですね。これは不要な癒着などが発生しないための仕組みだと思うんですけど、一方で、ある特定の分野において長期的な構想を描き、想いをもって取り組むことは難しくなるのではないかと感じてます。そこで、一歩を踏み出して、実現を加速する役割が民間企業にはあるんだと思います。特にベンチャー企業の場合、スピード感を持ってその一歩を踏み出すことができる。CLINICSカルテだけでなく、こうした取り組み一つひとつが、日本の医療の未来を変える一歩につながればと思います。

- 先ほど出たメドレーが目指す「プラットフォーム構想」は、どんな医療の未来を見据えているんでしょうか?

(平山)医療って、そもそも患者さん一人ひとりに合わせた治療をするという、個別最適性が強い業界だと思うんです。ただそれにとらわれず、医療全体が底上げされるような全体最適を作っていくことも必要です。医療xITで課題解決をする会社として、どういう仕組みを作っていくかを考えました。

そうすると、まず一番の課題となったのは、様々な医療データが個別管理されていて、医師と患者間、医療機関間などで共有される土壌になるプラットフォームが全くないということ。このプラットフォームとして、オープンになった場所を作れないかというのが、CLINICSカルテの根幹にあります。

CLINICSカルテが目指す、患者と医師がつながる世界

(豊田)研修医時代、救急の患者さんが運ばれてきた時に、既往歴や現在の服薬状況が分からなくて、治療に取り掛かる前にアレルギー反応などをイチから検査していたという経験もあるから、かかりつけの医療機関の情報を呼び出せる仕組みがあるのは、患者にとっても医師にとっても助かるものだと思います。

(島)全てのデータがCLINICSカルテ上で一元管理できるようになれば、医療機関の経営支援もできますよね。全体の人員配置を管理して、不足している部分はアラートが鳴ったり、その場ですぐ採用サイトに求人原稿が掲載できたりとか。そうすると、医療機関にとっては、もはや電子カルテではなくて、診療・経営の支援システムとなる。

特に開業医だと、最新の情報をキャッチアップするのも大変な場合もありますから、薬の処方のときに「同じ目的だったら、今よく使われているのはこれ」とか提案があると助かりそうです。そういう積み重ねで、「メドレーのシステムを使っているなら間違いない」と医師にも患者さんにも思われるブランドを作っていきたいですね。

(豊田)医師視点では、データ連携の可能性は無限に考えられます。患者側の視点としては、開発陣の方が具体的なイメージがあるのでは?

(田中)自分たちが患者側ですからね。個人的に「患者とつながる電子カルテ」というキャッチコピーが好きで。患者と医師のコミュニケーションコストを下げることができることが一番のメリットなのかなと思います。受診のリマインドが来ることもそうですし、例えば検査データなども送ってもらえることで情報の管理ができて、その後の医師とのコミュニケーションも円滑になる。コメント機能もあるので、その中で個別最適な情報は補完できますし。

CLINICSカルテのホームページ

(島)確かに患者さん側でデータを一元管理できるのは便利ですよね。よく、外来に患者さんがきた時に「あ、先生にこれ見せなくっちゃと思っていたんです……」ってカバンの中を探す人がいます。でも事前にアプリからその写真を送っていたり、過去の診療情報に記録されている内容であれば、すぐに情報を確認できて、限られた時間で会話できる内容も変わってきます。逆に「先生が忙しそうだから言えなかった」っていう事態も減らせます。医師としても事前に情報がまとまっていると、やるべきことがクリアになって、結果的に患者さんの納得できる治療を実現しやすくなりますよね。

(前田)もしかしたら、いろんな患者さんの情報が医師間で共有されることで「私、この患者さんのケースは得意だから診ることができます」っていうスカウトみたいな機能もできるかも!?

(豊田)確かに、患者さん側が今の治療方針に納得していないときに、他の医師とのマッチングを図るなんてこともありえるかもしれない。

(平山)今は医療のことって専門家任せだけど、自分で診療や薬のデータを管理できるようになれば、より能動的に患者から医療にアクセスするようになりそうですよね。

(豊田)そういう未来に寄与できるプロダクトにCLINICSカルテがなれば、それはもう「電子カルテ」っていう言葉を超えそうですよね。医師や患者をあらゆる面でサポートするプラットフォームを目指して、CLINICSカルテを育てて行きたいですね。

おわりに

メドレーが目指す「医療の未来」の可能性にワクワクした方、もっと詳しく知りたいという方は、CLINICSカルテなど3本のニュースリリースを発表した際に平山が綴ったブログをご覧ください。

日本の医療制度の現状に踏み込みながら、豊田が医療の未来について語った記事はこちら。

メドレーはこれからも、医療 x ITを牽引する存在となり、医療機関と患者の双方にとってより良い医療の実現を目指して事業を展開していきます。もっと詳しく話を聞いてみたい、メンバーの一員として医療の未来を作っていきたいという方は、ぜひご連絡ください。

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