「結果が出た」だけでは、成長とは呼ばない。
――NANICAが、仕事を通じて人を育てる理由。
「成長できる環境です」
採用情報を見ていると、よく目にする言葉です。
営業成績が上がった。
できる仕事が増えた。
役職が上がった。
もちろん、それも成長のひとつかもしれません。
では、NANICAが考える「人の成長」とは何なのでしょうか。
これまで社員との対談でも、代表の辻は何度も「成長」という言葉を口にしてきました。
今回は改めて辻自身に、
「そもそも、なぜそこまで人を成長させたいのか」
というところから聞いてみました。
話を掘り下げていくと見えてきたのは、単に「仕事ができる人を増やしたい」という話ではありませんでした。
NANICAが考えているのは、仕事だけではなく、その先の人生まで含めた「成長」でした。
「成果が出ること」と「成長すること」は、同じではない
インタビュアー:
これまでのインタビューでも、辻さんから「人を成長させたい」という言葉が何度も出てきました。
改めて聞いてみたいんですが、そもそも、なぜそこまで人を成長させたいんですか?
辻:
僕の中では、大きく二つあると思っています。
ひとつはビジネス的な面。
もうひとつは、人間的な面ですね。
例えば営業だったら、数字が上がること自体はいろんな要因で起こると思うんです。
環境が良かったとか、商品が良かったとか、周りに助けてもらったとか。
もちろん、それで結果が出ること自体は悪いことではありません。
でも、それがなくなった時に数字も出なくなるのであれば、本人自身が成長して出せるようになった数字とは少し違うと思っていて。
インタビュアー:
結果だけを見て「成長した」と判断しているわけではない?
辻:
そうですね。
僕が大事にしたいのは、もっと内側から出てくるものです。
「自分はこうなりたい」とか、「こういう人生にしたい」とか。
そこに仕事や行動が紐づいて、自分自身で結果をつくれるようになっていく。
そっちの方が長期的に続くと思っています。
一度結果を出せる人より、「結果を出し続けられる人」へ
辻が考える成長は、短期的な成果ではありません。
たまたま環境に恵まれて成果が出ることもある。
逆に、本人は以前より確実に変化しているのに、すぐには数字に表れないこともある。
だからこそ、目の前の数字だけではなく、
「なぜ、その結果が出たのか」
を見ると言います。
辻:
長期的に考えたら、自分の内側から変わった人の方が安定すると思うんですよね。
一時的に結果が出ることより、それを継続できる状態をつくりたい。
仕事って、その瞬間だけできればいいわけではないじゃないですか。
だから僕としては、成功体験も積み重ねてもらいながら、その人自身ができることを増やしていく方を大事にしています。
では、辻にとって「人が育った」と感じるのはどんな時なのでしょうか。
その答えは、とてもシンプルでした。
辻:
今まで自分が苦手だと思っていたことが、できるようになった時ですね。
そういう変化は、やっぱり成長だと思います。
仕事での成長は、仕事だけで終わらない
そしてここから、話は「営業」や「会社」という枠を少しずつ越えていきました。
辻が人の成長を大切にするもうひとつの理由。
それが、**「人間的な成長」**です。
辻:
そもそも、成長って仕事だけに必要なものではないと思うんですよ。
家族でも、恋愛でも、友人関係でもそうです。
人って年齢を重ねながら、いろんな経験をして、そこから学んでいくじゃないですか。
失敗した時に、
「自分に何ができたんだろう」
と考えられれば、次は少し変えられる。
でも、ずっと周りのせいにしていたら、そこから学べないこともあると思うんです。
20代では、それほど大きな差には見えないかもしれません。
けれど10年、20年と時間が経った時、その積み重ねは仕事以外の場所にも表れてくる。
辻:
40代、50代になった時に、お金は持っているけど、それ以外に何もないという状態になる可能性もあると思っていて。
家族だったり、友人だったり、居場所だったり、困った時に助け合える人だったり。
人生って、仕事だけではないじゃないですか。
だから生きていく上でも、人として成長していくことは必要だと思っています。
仕事は、人生を豊かにするための「練習の場」にもなる
会社が社員のプライベートを決めることはできません。
どんな人生を選ぶのか。
誰と生きていくのか。
何を幸せだと思うのか。
それは、一人ひとりが決めることです。
それでもNANICAが仕事を通じた成長にこだわるのは、仕事の中で身につけたものが、その人の人生にも残ると考えているからです。
人の話を聞く。
相手の立場を考える。
失敗した時に原因を振り返る。
自分の感情を理解する。
誰かと協力する。
自分で決めて、行動する。
営業やマネジメントのために身につけた力は、会社を離れた瞬間に消えるものではありません。
インタビュアー:
そう考えると、NANICAにとって仕事は「売上をつくる場所」であると同時に、人が成長するための場所でもあるということですか?
辻:
そうですね。
結局、仕事で成長することと、人として成長することって、完全に別ではないと思っています。
最初から「できる人」だけを採りたいわけではない
この考え方は、NANICAの採用にも表れています。
採用で見ているのは、現時点で何ができるのかだけではありません。
「これからどうなりたいのか」
という本人の意思も大切にしています。
辻:
「こうしていきたい」という動機が強い人だったら、今の時点では苦手なことがあっても採用することがあります。
営業として難しいかもしれないと思っても、その動機が上回る可能性があるからです。
逆に、本人の中に理由がなければ、苦しい時に踏ん張るのは難しい。
だから僕は、その人が何をしたいのかというところは結構大事にしています。
経験があるから採用する。
今すぐ数字をつくれそうだから採用する。
それだけではなく、
「この人は、ここからどう変わっていくんだろう」
という可能性を見る。
NANICAが未経験者の採用を続けている背景にも、この考え方があります。
ただし、本人の人生を会社が決めることはできない
人の成長に深く関わる。
そう聞くと、会社が社員の人生まで決めるような印象を持つ人もいるかもしれません。
しかし、辻はそこには明確な線を引いています。
辻:
本人の「意思」の部分については、僕たちは責任を持てないと思っています。
何をしたいのか。
どうなりたいのか。
そこまで会社が代わりに決めることはできない。
そこに本人自身の責任がなかったら、会社側も責任を持てないと思うんです。
会社ができることと、本人にしかできないこと。
その両方がある。
だからNANICAが考える育成は、
「会社が人を変えること」ではありません。
本人が「変わりたい」「こうなりたい」と思った時に、その実現に必要な経験や機会をつくり、一緒に考える。
その関係をつくることです。
「今、自分が持っているものを、誰かに渡せる状態にしたい」
では、人に成長を求める辻自身は、これからどんな人間になりたいのでしょうか。
インタビュアー:
社員には「これからどうなりたいのか」を考えてもらっていますよね。
では、辻さん自身はどうなんでしょう。
今後、こういう人になりたいというものはありますか?
辻:
今、自分が手にしているものを、誰かに渡せる状態になることですかね。
会社を大きくする。
売上を伸ばす。
社員を増やす。
経営者として追うべき数字は、もちろんあります。
けれど、辻が自身のこれからについて最初に語ったのは、会社規模ではありませんでした。
自分が経験してきたこと。
身につけた考え方。
仕事を通じて得てきたもの。
それを、自分一人の中に持っているのではなく、次の人へ渡せる状態にする。
その先に、NANICAがこれからつくろうとしている会社の姿もあります。
会社の成長より、一人ひとりの人生が豊かになること
インタビュアー:
例えばNANICAが今よりずっと大きな会社になったとして、その代わり今のような社員との関係性がなくなってしまったとします。
逆に、会社の規模は今と大きく変わらなくても、メンバーそれぞれが望んでいた人生を実現できている。
辻さんにとって「成功」に近いのはどちらですか?
辻:
それだったら、メンバーそれぞれの人生が実現している方ですね。
そして10年後について聞いた時にも、辻は売上や社員数ではなく、こんな景色を話しました。
お金がある。
時間もある。
大切な人との関係がある。
頼れる人がいる。
自分に協力してくれる仲間がいる。
そんな人生を実現したメンバーが何人も生まれていたら、
「会社をやっていてよかったと思う」
と。
NANICAが考える「成長」とは。
今回のインタビューで辻の話を聞いていると、NANICAにとっての成長は、単に「仕事ができるようになること」ではないことが分かります。
できなかったことが、できるようになる。
誰かに言われなければ動けなかったことを、自分で考えて動けるようになる。
失敗を誰かのせいにするのではなく、次に変えられることを考えられるようになる。
そして仕事で得た経験を、仕事以外の人生にも持っていく。
会社は、社員の人生そのものをつくることはできません。
でも、人生の中で多くの時間を使う「仕事」という場所で、これから先も残る力を身につける機会はつくれる。
だからNANICAは、目の前の成果だけではなく、
「この人自身に、何が残ったのか」
を大切にしています。
そして、その考え方は次の問いにつながっていきます。
そこまで人の成長を考える会社は、
一人の人を採用することに、どこまで責任を持つのか。
橋本との対談で辻が語った、
「この人の人生、背負いました、で採用する。」
という言葉。
次回は、その言葉の意味から、NANICAが考える**「人を採用することへの責任」**について、さらに掘り下げます。