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【続・OKR導入】スペースエージェントならではのバリュードリブンな評価制度が誕生!

こんにちは、スペースエージェントのたかもりです!

以前、こんな記事を書きました。

【OKR導入】スペースエージェントのCHROがOKRを入れて「事業を支える組織作り」を推進!導入施策をまるごとお話します。 | SpaceAgent Blog
こんにちは、スペースエージェントの高森です。 今回は、スペースエージェントで今期から運用し始めたOKR(Objective Key Result)という目標管理フレームワークについて、CHROの木元に話してもらいました。導入するまではかなり大変でしたが、その分既に見え始めてきた効果もあるので、顕在化してた課題やそれに対する効果、そしてOKRの運用方針に至るまでまるごとご紹介します! 「OKR」
https://www.wantedly.com/companies/spaceagent/post_articles/168379

そのとき、「 OKRの効果を最大化する為、『目標管理・評価・CFR』の3つを分離させようと、大きく組織設計や戦略をアップデートした 」ことについて、ボリュームが大きくなりすぎて書ききれなかったのですが、今回詳しくご紹介していこうと思います。

それでは、前回に引き続き、CHROの木元に話を聞いていきます!

スペースエージェントが目指す『多元型組織』

前回の記事(冒頭参照)でもお話した通り、当時のスペースエージェントには「方針や目標がブレてしまっている」という課題があり、その課題解決のために OKR の導入を決めました。

というのも、それまでは MBO 寄りの【定量値を決め、それを半年間で追いかける】というような評価制度を採用しており、概念的には達成型の状態だったのですが、これから組織と事業を拡大していく中で、現状の会社のフェーズ、事業状況・規模、現メンバー構成等を改めて見直したときに、多元型の組織を目指していくのがいいのではないかと考えたからです。


もともとスペースエージェントは達成型の組織となっており、実力主義・成果主義などがキーワードとされるような体制になっており、従業員への価値の還元というのは、出した成果に対して物理的な外的報酬(お金や職位など)で行われていました。

もちろん達成型も多元型も組織概念の一つの考え方なので、どちらが良い・悪いはないと考えています。しかし、重要なのは、自分達の組織や事業を進めていく上で、どういう組織にするべきなのかを定め、それに対して適切な仕組みや制度を導入していくということ。
今回見直しをかけた時点でのスペースエージェント社が目指さなければいけない姿、事業規模、組織風土としては、達成型の組織の在り方は合っていないと感じました。

自分の中の一つの基準として、達成型に適している組織というのは “事業がPMFしている状態” 、つまり、かけるリソースに対しての成果がある程度明確に把握できる状態になっている組織だと思っています。設定されている目標の背景が明確で、その目標に対してリソースをかけて達成することで、確実に会社にとっての利益またはメリットが残る。そのような状態に適しているのではと考えています。
なぜなら、具体的な定量値を目標として設定することにより、メンバーにはその数値を達成することで自分自身への給与に繋がるといった具体的な目的ができます。
従業員は、目標達成の為に最適な動き方を最小の工数で行うようになります。
これは言い方を変えると、つまり個にフォーカスをしたマインドセットになると思っています。(少なくともスペースエージェントではなっていました。)

当時の僕らは、領域内でSA独自の地位を確立してはいたものの、まだまだピボットを繰り返しながら進む必要がある状況でした。
新たなサービス展開なども始めており、民泊という不透明な市場に対し、自分たちのサービスが今以上にフィットするのかというところに挑戦するフェーズだったんです。その為には個人最適されるような目標設計よりも、スペースエージェントにあるリソース(ITやテック系の知見〜不動産実務、空間デザイナーの知見)を横断的に活用し、会社、そして事業全体を共に作りあげていく必要があると強く感じました。

また、達成型の組織は、ティールの概念でも言われている通り、組織のピラミッドやヒエラルキーが明確な為、物理的にどうしても上下関係が発生してしまうような性質があります。一方で、僕らは最低限の役職以外は上下関係無く、メンバー全員で意見を出し合える組織にしてく事が必要だと思った為、これらすべてを踏まえ、達成型から多元型の組織へと方向を変えることにしました。


では、なぜ今流行りの進化型(ティール)ではなくて多元型を選んだのか。
ティールと多元型の違いは、ある程度のピラミッド(ヒエラルキー)を残すか・残さないかの差だと思っています。
これまで達成型としてやってきたスペースエージェントには、一定のピラミッドがあり、上司と部下の関係が成り立っていました。組織やメンバー含めまだまだ完全には醸成されていない中で、完全フラットなティール組織としてピラミッドをなくしてしまうと、現状況では指針が無くなることで逆にメンバーの行動が止まってしまうという懸念点がありました。
そこで、最低限のピラミッドは残し、リーダーのようなハッキリとした役職ではないものの、マネジメントロールの人格がいて組織をコントロールしてくれる。ただし、価値観で言うと権限の委譲やバリューのような部分で共存していくというようなルール設計を含めたときに、多元型の組織設計が最適だと判断したんですね。

また、最終的な進化型(ティール)の組織体制を見据え、同じタイミングで社内の情報をフルオープンにしました。
全員が当事者意識を持って業務にあたる、横断的に組織を巻き込んで事業や組織をグロースさせていく、という価値観の中で、情報の非対称性をなくしみんなが同じ情報を持っている状態が必要なんじゃないかと思ったんですね。
なので、多元型(グリーン)の組織を作ると決めたタイミングで経営陣ともしっかりと話し合い、現在は給与や個人情報に関わる情報以外には基本的に全員がアクセスできるようになっています。

CFRの考え方に基づく、新たな評価設計

多元型を目指すにあたり導入したのが、先述した OKR という目標管理ツールです。

そして、OKR を取り入れていく上でとても重要になるのが、CFRConversation [対話]、Feedback [フィードバック]、Recognition [承認] )です。

これまでの達成型組織を多く採用している日本企業では、目標やパフォーマンス管理、フィードバック、評価(給与)などが全て一体化しており、上長が目標設計し、評価をし報酬を決定していくというのが主流だったと思います。
しかし、OKR に関してはCFRを分けるという大切な考え方があり、目標管理やパフォーマンス管理、評価(給与)などを別々に切り分ける必要があると言われています。
なぜなら、自分の持っている OKR に報酬を紐づけてしまうと、メンバーは「報酬を高くしたい。」という部分に引っ張られ、目標の方を下げようとする意識が強まってしまいます。
しかし OKR というのは、ストレッチをかけ、自分が本来なら達成できないような目標に向かって頑張るからこそ、より大きなパフォーマンス発揮が期待できるというものです。ですから、OKR での目標と評価を紐付けることは効果的ではないと言われております。

詳しくはこちら書籍にて。

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それを踏まえ、スペースエージェントはもともと達成型(オレンジ)の組織として完全に目標と評価が紐付いていたので、ここを切り離して新しい評価制度の導入を決めたのです。

新しい評価設計の導入に向け、OKRと平行して2〜3月に動き出しました。
そして、上期のスタート(2019年4月)に新たな評価設計として導入をしたのが、スペースエージェントにとって不変的であり最重要である『スペースバリュー』を判断基準として活用する “定性値のみで判断していく評価制度” です。

スペースバリューについて詳しく書かれた記事はこちら。

《「利他主義」を体現》スペースエージェントの行動指針が決定。〜スペースが大切にする3つのバリューとは!?〜 | Spaceagent Blog
こんにちは、スペースエージェントの高森です。 今回は、新体制構築のタイミングで定義されたスペースエージェントの行動指針「スペースバリュー」についてご紹介していきます。なぜスペースバリューが必要なのか、そこに込められた思いはなんなのか、弊社に興味を持ってくださっている方は勿論、 社内のメンバーたちにも是非読んでもらいたい 内容になっております。 ...
https://www.wantedly.com/companies/spaceagent/post_articles/136856


スペースバリューは、経営陣達が大切にしている価値観やスペースエージェントにとって必要な行動指針が明示されています。今後もこの軸はブレないですし、バリューを体現していける人材を増やしていくためにも、バリュードリブンの評価設計にしました。

また、スペースバリューは経営陣や上長だけが判断するのではなく、メンバー全員で相対的に判断することで納得感やをもたせる事を重視し、具体的な評価手法としては『360度サーベイ』を導入することにしました。
当時は、360度サーベイを評価に紐付ける事は、どんな記事を読んでもネガティブな内容が多かったため、正直これを決定するかどうかはとても悩みましたね。笑

360度の評価方法は企業によって様々ですが、スペースエージェントではオリジナルの評価方法を設計していて、スペースバリューである3つの観点(Ownership・Be first, Be fast・Givers)で判断していくかたちになっています。

自分が担うべきグレードに対して期待されているバリューがなにかを全て基準化し、その基準を参考に、OKRでの目標やその他の業務の中で、どのようにバリューを発揮していくのかという想定プロセスを、各々でクォーター毎に設定していきます。

実際のサーベイ時にはそれらのOKR目標やプロセスについて、業務内容を理解しているメンバーを中心に「バリューに沿った行動、もしくはそれ以上の行動が出来ているかどうか」を評価していきます。

その評価内容をもとに、一定の基準値を越えたメンバーに対しては経営陣がキャリブレーションを行い、最終的にその結果が給与に反映されていくような仕組みです。

チャレンジグレード制度

また上記判断基準となる、各々のメンバーが担うべきグレード(バリュー)については、『チャレンジグレード制度』という挙手制の昇給システムで決定していきます。

クォーター単位で『挑戦したいグレード・バリュー(給与紐づき)』をメンバー自ら選択してもらいます。
上記360度サーベイでの最終的な評価結果は、このチャレンジが成功したか失敗したかを判断するものとなります。

なぜこのような制度を入れたのかと言うと、スタートアップというフェーズの企業にジョインしているスペースエージェントのメンバーには、【自分で自分のチャレンジや給与・昇給、それに対する努力をコントロールできるようになってほしい】という想いが強かったです。
与えられた業務に対して成果を出して昇給を要求する人間ではなく、自ら課題・目標を見つけそれを設定し乗り越えていく事で非連続的成長に繋げていってほしいと感じたからです。

このチャレンジグレード制度は、チャレンジするグレードのアッパーは設けず、誰もがどのグレードにもチャレンジでき、より高みを目指していけるような柔軟性のある設計にしています。

評価制度を運用してみて

評価設計などは働いてくれている皆さんのお給料に直結するようなものなので、正直、新しい仕組みを導入する時は結構しんどい瞬間もありました。笑
新しい仕組みには不安や不満が少なからず発生してくるので、なぜこの仕組みにしたかという人事としての信念をブラさず(FB〜アップデートはもちろん行う)、みんなに納得感を持ってもらって導入していくための、モチベーションを保ち続けなきゃいけないというのが思ったよりも大変でした。

定性値だと感覚的な判断になってしまうケースもあるので、定量値での評価のほうがわかりやすいという意見がセールスサイドから上がったり、OKRの時と同様、360度サーベイなどを初めて経験するメンバーも多く、やり方がすぐに浸透しなかったり。
あとは、スペースエージェント独自で設計した部分も多くあったので、オリジナルだからこそ漏れてしまっている部分などもあって、常に課題感はありましたね。

一方で、360度サーベイで業務上のフィードバックしやすくなったというようなポジティブな効果も出てきています。
もともとスペースエージェントはメンバー同士の仲が良すぎる部分があり、とてもいい事ではあるのですがどうしても、業務上のフィードバックをする文化があまり強くありませんでした。
ですが、360度サーベイでの導入により、相手にきちんとしたフィードバックを伝えることのできる機会づくりに繋がったと感じています。
また、評価を受けた本人側も、これまではわからなかった他者と自身の評価の乖離に気がつくことができ、実際にそれらのフィードバックから、業務をする上での動き方などに反映し、良い方向に変わっていっているメンバーもいます。


早いもので既に導入してからの最初の半年が終わりますが、これからもスタートアップとして人事・組織戦略も攻め続けていきたいと感じています。
組織も事業も全員で作りあげる。それがスペースエージェントという会社のとても大きな価値だと思っています!

豪さん、お話ありがとうございました!

わたしも人事部としてサポートをする中で、新しい制度を導入・運用するのがいかに大変かというのを、少しでしたが肌で感じることができました。
一方で、組織のフェーズや課題感などをじっくり考慮して生み出された制度として、いろいろな部分でよりスペースエージェントにフィットしていると感じ、不安よりもワクワクのほうが大きかったです!

もうすぐ、新制度での初の評価が完了するので、今回のフィードバックを踏まえ、また更にアップデートしていけることを期待です!

今回もかなりずっしりした内容でしたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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