AI時代に強いスキルTier表を作ってみた。これからのエンジニアに本当に必要な力とは?
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「AIによってエンジニアの仕事はどう変わるのか?」
最近、こうした話題を耳にする機会が増えました。
実際、AIを使えば、コードのたたき台を作ったり、エラーの原因を調べたり、文章を整えたり、資料をまとめたりすることがかなり簡単になってきています。
では、AI時代に人間の価値は下がっていくのでしょうか。
私は、そう単純ではないと思っています。
むしろAIによって、価値が下がりやすいスキルと、逆に価値が上がるスキルがはっきり分かれていくのではないでしょうか。
そこで今回は、現場目線で「AI時代に強いスキルTier表」を作ってみました。
なお、ここでのTierは「上にあるスキルだけが偉い」「下にあるスキルは不要」という意味ではありません。
あくまで、AI時代において「そのスキル単体でどれくらい差別化しやすいか」という観点で整理しています。
AI時代に強いスキルTier表
今回のTier表は、以下のように整理しました。
C Tier:単体では差別化しづらくなるスキル
- プログラミング・コーディング能力
- 指示待ち実装
B Tier:AI時代の前提になるスキル
- AI活用力
- 技術キャッチアップ力
A Tier:現場で差がつくスキル
- ドメイン理解
- コミュニケーション力
S Tier:AI時代にむしろ価値が上がるスキル
- 謎解き力
- 課題発見力
- リーダーシップ
上記の内容を、下記で深堀して見ていきましょう。
C Tier:単体では差別化しづらくなるスキル
・プログラミング・コーディング能力
いきなり誤解を招きそうな項目ですが、プログラミング能力が不要になると言いたいわけではありません。
むしろ、プログラミングの基礎知識はこれからも必要です。
コードを読めること。
処理の流れを理解できること。
バグの原因を追えること。
AIが出したコードの良し悪しを判断できること。
これらは、AI時代でも重要な力です。
ただし、「設計書に書かれた内容を、そのままコードに変換する」「細かい構文を思い出しながら書く」「よくある処理を組み合わせる」といった作業は、AIがかなり得意な領域になってきました。
これからは、コードを一文字ずつ書けることよりも、
「この実装で本当に要件を満たせているのか」
「この設計は保守しやすいのか」
「将来的な変更に耐えられるのか」
「セキュリティやパフォーマンスに問題はないのか」
を判断できることの方が重要になっていくと思います。
つまり、プログラミングは不要になるのではなく、役割が変わっていくのだと思います。
「コードを書く力」だけで差別化する時代から、「コードを理解し、判断し、より良い形に導く力」が求められる時代に変わっていくのではないでしょうか。
・指示待ち実装
AI時代に厳しくなるのは、「言われたものを作るだけ」の働き方だと思います。
なぜなら、AIは明確な指示があれば、かなりの速度でアウトプットを出せるからです。
画面の雛形を作る。
関数を書く。
SQLを書く。
テストケースのたたき台を作る。
エラー文から原因の候補を出す。
こうした作業は、今後さらにAIで効率化されていくはずです。
一方で、現場で本当に価値があるのは、指示されたものをそのまま作ることだけではありません。
「この仕様で本当にいいのか」
「この業務フローだと運用で詰まらないか」
「この画面は誰が、いつ、何のために使うのか」
「そもそも別の解き方があるのではないか」
こうした問いを立てられるかどうかが重要になります。
指示を待つのではなく、問いを立てる。
ここが、AI時代の大きな分かれ目になると感じています。
B Tier:AI時代の前提になるスキル
・AI活用力
AI活用力は、もちろん重要です。
ただ、個人的にはこれをS Tierには置きませんでした。
理由は、AIを使えること自体は、いずれかなり当たり前になると思っているからです。
スマホが出始めた頃は、「スマホを使いこなせる人」が少し特別に見えました。
でも今は、スマホを使えること自体はほとんど前提になっています。
それよりも、スマホを使って何をするか、どんな価値を生み出すかの方が重要です。
AIも同じだと思います。
プロンプトのテクニックや便利なツールの知識は大切です。
しかし、そこに時間を使いすぎると、本質からズレてしまう可能性があります。
大事なのは、AIを使うことそのものではありません。
AIを使って、何を前に進めるのか。
どの課題を解決するのか。
誰にどんな価値を届けるのか。
そこまで考えられて、初めてAI活用力は意味を持つのだと思います。
・技術キャッチアップ力
技術キャッチアップ力も、AI時代には引き続き重要です。
ただし、最近は新しいフレームワーク、新しいAIツール、新しい開発手法が毎日のように出てきます。
すべてを追いかけようとすると、それだけで疲弊してしまいます。
だからこれから大切なのは、単に情報をたくさん追う力ではなく、自分やチームにとって本当に必要な情報を見極める力だと思います。
「流行っているから使う」のではなく、
「今の課題を解決するために必要だから使う」。
この判断ができる人は、技術に振り回されず、技術を手段として扱えるようになります。
AI時代は、情報量が増える時代でもあります。
だからこそ、キャッチアップにおいても「全部知っていること」より、「何を知るべきかを選べること」の価値が上がっていくのではないでしょうか。
A Tier:現場で差がつくスキル
・ドメイン理解
システムは、あくまで手段です。
どれだけ綺麗なコードを書いても、どれだけ新しい技術を使っても、それが現場の課題解決につながっていなければ意味がありません。
AIによって実装スピードが上がるほど、「何を作るか」の重要性は上がります。
そして、何を作るべきかを判断するには、その業界、その会社、その業務の理解が欠かせません。
たとえば同じ「一覧画面を作る」でも、誰が、いつ、何のために見るのかによって、必要な項目も、並び順も、検索条件も変わります。
同じ「承認機能を作る」でも、承認者が誰なのか、どのタイミングで確認するのか、差し戻しが発生した場合にどう運用するのかによって、設計は変わります。
これは、コードだけを見ていても分かりません。
業務を理解し、現場の文脈を理解し、その上でシステムに落とし込む。
この力は、AI時代だからこそ価値が高まると思います。
なぜなら、AIが実装を速くしてくれるほど、人間には「何を作るべきか」をより正しく判断することが求められるからです。
・コミュニケーション力
AIは文章を扱うのがとても得意です。
議事録をまとめる。
文章を整える。
説明文を作る。
メールの文面を考える。
こうしたことは、かなり高い精度でできるようになっています。
それでも、実体のある人間同士のコミュニケーションの価値は下がらないと思います。
なぜなら、仕事の現場では、言葉にされていない情報がたくさんあるからです。
相手が少し言いづらそうにしている。
本当は納得していないけれど、その場では頷いている。
忙しさや不安から、いつもより言葉が強くなっている。
会議では発言していないけれど、実は大事な懸念を持っている。
こうした空気感や感情の揺れを受け取りながら、相手と向き合うことは、人間にしかできない重要な役割です。
AIはテキストを整えてくれます。
しかし、そのテキストの裏側にある相手の意図や不安、期待まで含めて受け止めるには、人間同士のコミュニケーションが必要です。
AI時代だからこそ、表面的な言葉だけでなく、その奥にある感情や背景を読み取ろうとする姿勢が大切になると感じています。
S Tier:AI時代にむしろ価値が上がるスキル
・謎解き力
AI時代に最も価値が上がるスキルの一つが、「謎解き力」だと思っています。
ここでいう謎解き力とは、クイズやパズルが得意という意味ではありません。
抽象的で曖昧な依頼の中から、相手が本当に困っていることを見つけ出す力です。
AIが得意なのは、具体的な注文に答えることです。
「この仕様で画面を作って」
「このエラーを直して」
「この文章を要約して」
「この条件でSQLを書いて」
こうした指示が具体的であればあるほど、AIは力を発揮します。
一方で、人間のもとには、より抽象的な相談が集まりやすくなると思います。
「業務をもっと楽にしたい」
「ミスを減らしたい」
「なんとなく使いづらい」
「現場から不満が出ている」
「売上を伸ばすために何かしたい」
こうした依頼には、まだ明確な答えがありません。
何が問題なのか。
どこに原因があるのか。
誰が困っているのか。
どの順番で解くべきなのか。
そもそも本当にシステムで解決すべきなのか。
それを一つずつ解き明かしていく力が必要です。
AI時代の人間の仕事は、答えを出すこと以上に、「解くべき謎を見つけること」に近づいていくのではないでしょうか。
・課題発見力
AIによって、問題を解決するスピードはどんどん上がっていくと思います。
コードを書く。
文章を作る。
資料をまとめる。
データを集計する。
こうした作業は、以前よりも短い時間でできるようになってきました。
では、解決速度が上がった時代に、人間に求められる力は何か。
それは、そもそも解くべき課題を見つける力だと思います。
現場には、まだ課題として認識されていない課題がたくさんあります。
毎月なんとなく時間がかかっている作業。
誰か一人にしか分からない運用。
ミスが起きているけれど、仕方ないと思われている業務。
お客様が不便に感じているけれど、声として上がってきていない体験。
本当は価値を生めるのに、まだ活用されていないデータ。
こうしたものを見つけて、「これは変えられるかもしれない」と捉えること。
そして、業務の新しい価値を再定義すること。
ここは、AIに丸投げしづらい領域です。
AI時代に価値が高いのは、問題を速く解く人だけではありません。
まだ名前のついていない課題に気づき、それを周囲と共有し、解決に向けて動き出せる人だと思います。
リーダーシップ
AI時代にもう一つ重要になるのが、リーダーシップです。
ここでいうリーダーシップは、役職や肩書きの話ではありません。
物事を前に進める力のことです。
AIは、とても優秀な相談相手になります。
選択肢を出してくれます。
情報を整理してくれます。
リスクを洗い出してくれます。
たたき台を作ってくれます。
でも、AIはプロジェクトのイニシアティブを取りません。
たとえば、社内で飲み会を開くとします。
AIに聞けば、社員のスケジュール調整の方法、おすすめの会場、予算別のプラン、案内文のたたき台まで出してくれるかもしれません。
でも、最終的に日付を決めるのは人間です。
会場を選ぶのも人間です。
参加者に声をかけるのも人間です。
「やりましょう」と言って、実際に場を動かすのも人間です。
仕事も同じです。
AIは選択肢を増やしてくれます。
しかし、選び、決め、周囲を巻き込み、前に進めることは、人間の役割です。
だからこそ、AI時代にはリーダーシップの価値がむしろ上がると思います。
どれだけ便利なツールが増えても、物事は自然には前に進みません。
誰かが意思を持って、旗を立て、周囲を巻き込みながら進める必要があります。
その役割を担える人は、AI時代においても強い人だと思います。
AI時代に強い人とは
ここまで、AI時代に強いスキルをTier表として整理してきました。
改めて考えると、AI時代に強い人とは、単にAIをうまく使える人ではないのだと思います。
AIに任せる部分と、人間が担うべき部分を切り分けられる人。
具体的な作業はAIに任せながら、何を解くべきかを考えられる人。
技術を目的にするのではなく、業務や人の課題を解決する手段として扱える人。
そして、選択肢が増えた中で、自分の意思で選び、決め、周囲を巻き込んで前に進められる人。
こうした人の価値は、AIが進化するほど上がっていくのではないでしょうか。
私たちが大切にしていること
私たちの仕事でも、AIを活用する場面はこれからますます増えていくと思います。
ただ、AIが進化しても、お客様の業務を理解し、まだ言語化されていない課題を見つけ、チームで解決に向かって進めていくことは、人間にしかできない重要な仕事です。
だからこそ弊社では、単にコードを書く力だけでなく、課題を見つける力、相手の意図を汲み取る力、周囲を巻き込みながら前に進める力を大切にしています。
技術が好きな人。
業務や現場に興味を持てる人。
言われたものを作るだけでなく、「もっと良くできないか」と考えられる人。
AIを使いながら、人にしかできない価値を生み出していきたい人。
そんな方と、ぜひ一緒に働きたいと考えています。
AI時代だからこそ、人間にしかできない仕事に向き合う。
私たちは、そんなチームでありたいと思っています。