スタメンでは、2025年12月1日〜25日まで note relay 2025 を実施していました🎄
今回はその企画の中で投稿されている記事を転載します。
スタメンの人や組織、事業など、リアルが詰まっている内容になりますので、ぜひ御覧くださいませ。
1. スマートな戦略が「机上の空論」に終わる瞬間
初めまして、株式会社スタメンでマーケティング部の部長をしております、石山と申します。
今、この記事を読んでいるあなたは、もしかするとこんな葛藤を抱えていないでしょうか。
「最新のMAツールを入れたのに、思うような成果が出ない」 「完璧な戦略資料を作って共有したのに、営業チームが動いてくれない」 「毎日遅くまでタスクをこなしているのに、事業が前に進んでいる実感がない」
私もかつて、同じ場所で立ち尽くしていました。 広告代理店やWebメディアで語られる「華やかな成功事例」や「最新のフレームワーク」。それらを学べば学ぶほど、目の前の現実――泥臭く、複雑で、思い通りにいかない自社の状況――とのギャップに苦しみました。
特に、施策を打てばダイレクトに反応が返ってくるBtoCや、戦略を描くプロフェッショナルであるコンサルティングファーム出身の方ほど、事業会社のBtoB SaaSにある「組織の壁」に直面した時の衝撃は大きいはずです。
しかし、断言できます。 この「スマートな戦略が通用しない泥臭い現実」の中にこそ、マーケターとして一段上のレベルへ進化するための「最高の成長機会」が眠っています。
この記事は、私が約10年間のキャリアの中で、何度も壁にぶつかり、失敗し、それでも泥臭く這い上がって見つけた「BtoBマーケティングの真実」と、その先にある「たまらない面白さ」についての記録です。
2. まずは自己紹介。「誰も教えてくれない」環境が私を強くした
本題に入る前に、少しだけ私の話をさせてください。 私がなぜ、「戦略」よりも「泥臭い実行」にこだわるようになったのか。その原点は、私の少し特殊なキャリアにあります。
がむしゃらに。ひたむきに。走り抜けた1社目。
私は現在、上場企業である株式会社スタメンでマーケティング部長を務めています。しかし、ここに至るまでの道は、決してスマートなものではありませんでした。
キャリアのスタートは、不動産売買の営業マンです。 雨の日も風の日も顧客のもとへ足を運び、「売ること」の難しさと喜びを肌で感じました。その後、インサイドセールスを経験し、電話一本で顧客の心を掴む技術を磨きました。 この「顧客の最前線」を知っていることと、マーケティングだけでなく受注に向けた流れ全体への理解度は、今でも私の重要な武器となっています。
その後、前職である不動産・建築会社にて、本格的にマーケティングの道へ進みます。そこは、非常にユニークで、かつ過酷な環境でした。
- 多角的な事業領域: 「不動産売買・注文住宅」といったBtoC事業と、「システム提供・Salesforce導入支援」といったBtoBソリューション事業の両方を展開。
- 1人マーケター状態: 社内にマーケティングの専任者はおらず、私が実質的な一人目。教えてくれる先輩も上司もいませんでした。
- Web開発との兼務: 自社システムのディレクションも兼務し、エンジニアと対等に渡り合う必要がありました。
BtoCのスピード感と、BtoBの複雑な商流。そして、システム開発の難しさ。 これらすべてを、「訳がわからない状態」からスタートし、自分で調査し、仮説を立て、実行しきるしかありませんでした。業務量は膨大で、終電帰りや持ち帰りの仕事は当たり前。まさに泥のように働きながら、手探りで正解を探し続けました。
営業出身の私は、「集客して終わり」とは到底思えませんでした。 リードを獲得すること以上に、「そのリードが受注し、売上になること」に強烈な責任を感じていました。
この極限状態で培われたのが、私の核となる3つのスタンスです。
- わからなくても自分で調査し、まずはやってみる「実行力」
- 成果を出すまで絶対に諦めない「やり切り力」
- 期待以上の感動を生み出す「+α思考」
これらのスタンスを持って臨んだSaaS企業での挑戦の中で、私はあらためて、BtoBマーケティングの厳しい現実と、その真の面白さを痛感することになりました。
3. 【前提】激変する環境と、マーケターの再定義
具体的な「壁」の話に入る前に、一つ共有しておきたい大前提があります。それは、私たちを取り巻く市場環境そのものが、この1年で劇的に変化しているという事実です。
GoogleのAIO(AI Overview)導入による検索体験の変容やオーガニック流入の減少、さらには検索広告のクリック単価高騰など、Webマーケティング単体での成果創出はかつてないほどシビアな状況に突入しています。「Webでリードを集めればなんとかなる」という時代は、音を立てて崩れ去りました。
こうした厳しい時代において、私たち自身が立ち返るべき定義があります。 それは、「マーケターは単なるリード獲得のための集客屋ではなく、売上を上げるための仕組みを作る職種である」ということです。
流入獲得の難易度が上がり続ける現在、小手先のテクニックだけでリード数を維持するのは限界に来ています。だからこそ、特定のチャネルに閉じたスキルではなく、インサイドセールスやフィールドセールスと連携し、最終的な「売上」から逆算して施策を設計できるか。
厳しい環境下でも成果を出し続けるために、ビジネスプロセス全体を俯瞰するマーケターとしての「総合力」が、今まさに試されているのです。
4. 【現実の壁】BtoBマーケターを悩ませる「3つの罠」
「前職であれだけの経験をしたんだ。SaaSのマーケティングなんて、すぐに成果を出せるだろう」 正直、そう高を括っていました。しかし、現実は甘くありませんでした。市場環境の変化に加え、現場にはさらに根深い問題が潜んでいたのです。
私が直面した、そして多くのBtoBマーケターが今まさに苦しんでいるであろう「3つの罠」についてお話しします。
罠1:戦略が「セールスプロセス」で拒絶される
マーケティングチームが必死にリードを獲得しても、それが売上に繋がらない。この「分断」こそが最大の罠です。
私は転職直後、最新の広告運用やLP改善を行い、リード数を順調に伸ばしました。「これで文句はないだろう」と思いました。しかし、セールス現場からの反応は冷ややかでした。 「マーケさんが連れてくるリード、また連絡つかないですよ」 「SFA(Salesforce)に入力する項目が多すぎて、追客する時間が削られてます」
私の立てた戦略は、「マーケティングの数値(リード数)」を最大化することには成功していましたが、「セールスの業務フロー」や「彼らのKPI(受注数)」を完全に無視していたのです。 部門が変わった途端、私は「マーケターの論理」でしか物を見られなくなっていました。どんなに高尚な戦略も、現場のセールスマンが「使いにくい」と感じた瞬間に機能しなくなる。これがBtoBの冷徹な現実です。
罠2:「情報提供」で終わり、「課題解決」に至らない
「ホワイトペーパーを量産しよう」「SEO記事を増やそう」。 施策の「数」を追うあまり、コンテンツが「情報の羅列」になってしまう罠です。
現代の顧客は、情報は既に持っています。彼らが欲しいのは「一般的なノウハウ」ではなく、「自社の固有の課題を、あなたのサービスがどう解決してくれるのか」という具体的な答えです。 (もちろん一般的なノウハウの提供も検討初期または、自社課題を解決できるツールのカテゴリが何なのかを知らない、気づいていないユーザーに対しては非常に大切です。)しかし、デスクに座ってPC画面ばかりいては、その「生々しい課題」が見えません。結果、当たり障りのないコンテンツが量産され、リードは取れても商談化しないという負のループに陥ります。 AIが台頭し、一般的な情報の価値が限りなくゼロに近づく今、この「質の欠如」は致命傷になります。
罠3:「やれること」の多さに、実行力が分散する
BtoBマーケティングは「やった方が良いこと」が多すぎます。 リスティング広告、SEO、SNS、展示会、ウェビナー、メルマガ、コミュニティ、SFA構築……。
特に「1人マーケター」として何でもやってきた人間ほど、「全部自分でやらなきゃ」と抱え込みがちです。しかし、リソースは有限です。あれもこれもと手を出した結果、すべての施策が「やりっ放し」になり、PDCAが回らず、知見が蓄積されない。
「何をやらないか決めること」が大事だと頭では分かっていても、現場のプレッシャーの中でそれを実行するのは至難の業です。中途半端な施策の山を見て、徒労感だけが募っていく。この負ループの抜け出し方は非常に重要です。
5. 【挑戦と面白さ】組織の壁を壊す「統合プロデューサー」への進化
これらの壁にぶつかり、悩んだ結果、
「BtoBマーケターは、集客の職人であってはいけない。事業成長のための『統合プロデューサー』になるべきだ」
という考えに辿り着きました。
先ほど述べた「売上を上げるための仕組みを作る」という定義にも通じますが、職種の壁を超え、組織全体を巻き込んで成果を出す姿勢が必要です。私が考える、統合プロデューサーとしてのアプローチ例をいくつか紹介します。
例1:自身の「セールス経験」と「システム知見」でSFAを再構築する
例えば、SFA(Salesforce等)の設計一つをとっても、アプローチが変わります。
マーケターは分析のために細かいデータを欲しがりますが、現場のインサイドセールスにとっては入力工数が増えるだけの「ストレス」になりがちです。ここで、もしあなたにセールスの経験やシステムの知見があれば、どう動くでしょうか?
一方的に「入力してください」と頼むのではなく、「どういう設計なら、あなたたちが次の商談にパスしやすくなるか?」という視点で、現場と対話しながら項目を精査できるはずです。 入力作業を「管理されるための義務」ではなく、「自分の成果(受注)を助けるための武器」に変える。 そう実感できるフローをシステム的に構築できれば、現場は自ら動き出し、結果としてマーケティングに必要な「生きたデータ」が集まるようになります。
例2:デジタル全盛期に、あえて「アナログ」の付加価値を磨く
AIや自動化ツールが普及する中で、あえて**「人間が介在するアナログな接点」にこそ、勝機を見出すべきです。
例えば、展示会やDM施策です。 単に効率を求めてバラマキを行うのではなく、フィールドセールスと共にブースに立ち、「どんな声掛けならお客様が本音を話してくれるか」というトークを泥臭く磨き上げる。あるいは、ターゲット企業の課題に合わせて一通一通文面を変えるBDR施策を実行する。
一見「効率が悪い」と思われるかもしれません。しかし、情報過多の時代において、「自分のために手間をかけてくれた」という事実は、何よりの差別化になります。 デジタルを知り尽くしているからこそ、アナログの重みがわかる。このハイブリッドな戦い方ができるのは、現場を知るマーケターだけだと思います。
例3:「成果が出るまでやり切る」プロセスへの執着
施策をリリースした日は、ゴールではなくスタートです。重要なのは、その後の「やり切り」です。
システム開発において、リリース後にバグがないかログを監視するように、マーケティングでもファネルのどこに「詰まり」があるのかを特定し、執着心を持って改善し続ける必要があります。 LPのボタンの色一つ、メールの件名一つに至るまで、「なぜこの結果になったのか?」を突き詰める。派手な新施策を打ち上げるよりも、地味な改善(PDCA)を100回回すことの方が、確実に成果につながります。この「やり切る力」をチーム文化として浸透させられるかどうかが、勝負の分かれ目になります。
6. 最高の舞台は「難しい現実」の中にある
BtoBマーケティングは、決してスマートで華やかな仕事ではありません。 部署間の利害調整に走り回り、泥臭いデータの海に溺れ、地味な改善を繰り返す日々です。
しかし、だからこそ面白い。
BtoBマーケターは、単なる「広告屋」ではありません。 経営層の視座を持ち、セールスの現場感を理解し、顧客の成功を願う。会社のあらゆる機能を繋ぎ合わせ、「売上」という成果を生み出すエンジンの役割を果たせる唯一無二のポジションです。
この記事を読んでくださったあなたに、最後に3つのメッセージを贈ります。
- 「成功事例」を捨てろ、現場を見ろ: 他社の真似事ではなく、あなたの会社の営業マンが、お客様が、今何に困っているかを直視してください。答えはそこにしかありません。
- 「マーケター」の枠を飛び越えろ: セールス、カスタマーサクセス、開発。部署の壁を壊し、あなたがハブになって組織を動かしてください。BtoBマーケは総力戦です。
- AI時代こそ「泥臭い情熱」を武器にせよ: 効率化はAIに任せればいい。あなたは、人間にしかできない「洞察」と「熱量」で、顧客と社内を動かすことに全力を注いでください。
今、あなたが「思ったように成果が出ない」「社内の理解が得られない」と悩んでいるなら、それはチャンスです。あなたがただの「作業者」から、事業を動かす「プロデューサー」へと進化する、その入り口に立っているのですから。
※スペシャリストとして広告やSEOなどを極めるという選択肢も同等に価値があることだと思っています。今回はあくまで事業会社でインハウスでBtoBマーケターをしている人の目線で描かせていただいてます。
7. 【まとめ】共に「泥臭く」挑戦する仲間へ
私が現在務める株式会社スタメンは、まさに今、このBtoBマーケティングの面白さと難しさの真っ只中にいます。
私たちは、HR Techという競争の激しい市場で、エンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」などのSaaS事業を展開しています。組織の課題を解決するサービスだからこそ、それを広める私たちのマーケティングもまた、組織の力で勝負しなければなりません。
ここには、「戦略だけ描いて満足する」メンバーはいません。 全員が、顧客の課題に向き合い、セールスと共に汗をかき、システムを理解し、「事業をグロースさせる」という共通のゴールに向かって、泥臭く挑戦を続けています。
「整った環境で、スマートに働きたい」という方には、もしかすると合わないかもしれません。 しかし、もしあなたが、
- 「部分的な施策だけでなく、事業全体を動かすダイナミズムを感じたい」
- 「職種の壁を超えて、チーム一丸となって成果を追いたい」
- 「自分の『実行力』と『やり切り力』を、もっと大きな舞台で試したい」
そう思っているのなら、スタメンは間違いなく、あなたにとって最高の舞台になります。
あなたのその悩みと経験を、ぜひ私たちのチームで活かしてください。 まずはカジュアルに、マーケティングの「リアル」についてお話ししませんか? あなたからのご連絡を、心からお待ちしています。
合わせて、4年間一緒に働いてきた新卒入社の伊藤の記事もご覧いただけると嬉しいです。
スタメンでは、新卒・中途問わず、スタメンを一緒に盛り上げてくれる方を募集中です🔥
もし興味を持っていただけたらぜひカジュアル面談からお話しましょう!!