「開発生産性を高める」──。 多くの企業が掲げるこの目標の鍵を握るのが、「開発者体験(DX)」の向上です。しかし、その改善は、日々の機能開発を優先する中で、後回しにされがちな「泥臭い」仕事でもあります。
今回はプロダクト組織インタビュー第三弾、プラットフォームチームで日々開発者体験の向上に取り組む、CTO 野口・リードエンジニア近藤へのインタビュー記事です。(前回の記事は以下です。)
なぜ、スタメンはその見えにくい投資に粘り強く向き合い続けるのか。 CTOとして全社の技術戦略を描く野口と、現場のリアルを知るリードエンジニアの近藤。二人の対話から、スタメンの開発思想とカルチャーのリアルを紐解いていきます。
写真左:プラットフォーム部 近藤 青/写真右:執行役員CTO 野口 卓也
野口 拓也 | 執行役員CTO 2023年参画。技術的負債の解消と組織のスケーラビリティ向上をミッションに、開発組織全体の設計を担う。
近藤 青 | プラットフォーム部 スタッフエンジニア 2022年参画。未経験からエンジニアへ転身。現在はリードエンジニアとして、戦略と現場の実践を繋ぐ要を担う。
1. スタメンの思想をいかに現場に繋げるのか
──前回の野口さんとのインタビューで「枯れた技術」というキーワードが語られましたが、今回はその思想を、より現場に近い視点で深掘りできればと思います!野口さん、スタメンの技術戦略の根幹にある「早く、遠くへ進む」という考え方について、改めて教えていただけますか?
野口: はい。僕らが技術選定を行う上で最も大事にしているのは、
過去の意思決定を尊重しながら、着実なアップデートを続けることです。
なぜなら、目まぐるしく変化する時代だからこそ、足元の土台が重要であると考えているからです。過去の意思決定の積み重ねの上に、今のスタメンの事業と売上がある、というのも、個人的にとても重視しているポイントです。もちろん、新たな技術のキャッチアップは大事です。ただ、闇雲に新しいものを追いかけるのではなく、築き上げてきた資産を活かしながら、いかに「早く、遠くへ進むか」。それが僕らの戦略の核ですね。
──なるほど。マクロな戦略について、リードエンジニアの近藤さんは、その戦略をどう現場へ接続しているのでしょう?
近藤: 前提として、野口が描く「全社戦略」という壮大な設計図を、現場のエンジニアが実行できる「日々のIssue」という戦術にまで翻訳し、接続していくのが僕の役割です。
例えば「早く、遠くへ進む」というビジョンがあった時に、開発生産性を高めるためのViewComponent導入をチームと協力しながら実践に移しているのも、その一例ですね。
僕自身、もともとビジネス畑の出身で、エンジニアとしては実務未経験でスタメンにジョインしました。未経験だったとしても、年次や経験に関係なく、こうしてCTOが描く戦略の実践という、組織の根幹に関わる部分にまで深く入り込める。それこそが、スタメンという環境の面白さであり、可能性が広がるなって思います。
野口: 近藤は、私からの発信に関わらず、近藤や他のメンバーから「こうしたい」というアイデアが出たら、どうすれば現場で最も効果的に実行できるかを考え、具体的な形にしてくれていますね。
近藤: そうですね、その連携は常に意識しています。現場で発生する個別の開発課題や、「こうしたらいいんじゃないか?」というアイディアに対しては、チームが自らオーナーシップを発揮し、ボトムアップで解決策を探求していくことも重要視しています。
大局的な戦略と、現場の裁量。その両輪が高速で回っていることこそ、
スタメンの開発現場のリアルであり、面白さだと感じます。
野口: 実務未経験でジョインした彼が今やリードエンジニアとして戦略と現場を繋いでいる。
その事実こそが、スタメンという組織が持つ、人を育てる力の何よりの証だと思います。
近藤の存在そのものが、僕らの思想と現場を繋ぐ、強力な推進力になってくれていますね。
2. 「技術は万能ではない」──大規模プロジェクトから得た教訓
──その戦略と現場を繋ぐ上で、印象的だったプロジェクトはありますか?
野口: 「過去の意思決定を尊重し、アップデートを続ける」を体現しようとした事例で言うと、やはり、前任者の意思決定の元、数年前に行った「フロントエンド分離」プロジェクトが大きな学びになりましたね。
元々「TUNAG」は、Ruby on Railsの中でフロントエンドとバックエンドが一体でした。
そこからフロントエンドだけを専門技術(Next.jsなど)で切り出して独立させる。フロントエンドとバックエンドを分離することで、それぞれの開発者がより専門性を活かし、スピーディーかつ安全に開発を進められるようにすることが狙いでした。
目的は目に見えるユーザー体験の変更ではなく、あくまで開発者体験(DX)の向上。これは、経営陣の覚悟がなければできない長期的な改修であり、大規模な技術的投資だったと思います。
──なるほど。スタメンさんの開発組織は、新規の価値提供を担う『開発部』と、開発者体験(DX)の向上をミッションとする『プラットフォーム部』に分かれていると伺いました。そして近藤さんは当時、まだ前者の開発部にいらっしゃったわけですね。
近藤: はい、その通りです。だからこそ、開発部の立場として、このプロジェクトがもたらした恩恵は大きいと感じています。
一方で、もちろん良いことばかりではなく、大きな反省もありました。その両面から学んだことが、今の僕らの血肉になっています。
野口: 具体的な学びでいうと、当時は効果を十分に発揮できていなかった部分もあり、率直に言うと投資効率が決して良くはなかったんですよね。
バックエンド開発とフロントエンド開発の分離によって全体的な「開発のスムーズさ」というものは向上した一方で、UI部分の刷新には想定以上に時間がかかり、プロジェクトの工期が年単位で延びてしまったんです。
そこから得た直接の学びは、「技術で解決しようとしすぎたのかもしれない」という反省です。当時の課題の本質は、技術そのものよりも、むしろ「まず形にすること」を優先したスピード重視の思想であり、そのために複雑化してしまった開発プロセスにありました。
その組織的な課題を、Next.jsの導入といった純粋な技術的アプローチだけで解決しようとしてしまった。もっと違うやり方があったのではないか、と。技術は万能ではないと教えてくれる、貴重な教訓になりましたね。
近藤: あの経験をしたからこそ、僕らは常に学び、進化し続けなければならないという姿勢を強く意識するようになりましたね。
3.両方の視点を持つからこそ、できること
──過去の「技術だけで解決しようとしすぎた」という学びが、現在の組織にどう活かされているのでしょうか?
野口: その学びを組織として活かした最大の答えが、まさにプラットフォーム部の存在そのものです。
開発チームが、目先の機能開発のスピードだけを追い求めてしまうと、中長期的なアーキテクチャの改善などが疎かになり、結果として過去と同じような課題にぶつかってしまいます。
そうならないために、プラットフォーム部という専門組織が、開発者体験(DX)の向上とサービスの安定稼働に責任を持つ。この組織構造こそが、僕らの学びの実践なんです。
近藤: 僕は開発部とプラットフォーム部の両方を経験しましたが、見える景色は全く違いました。
開発チーム単体では、どうしても機能開発のスケジュールが最優先になりがちです。しかし、プラットフォーム部という支援組織があることで、現場は単に機能開発だけでなく、アーキテクチャの改善のような、より本質的な課題に挑戦する時間と機会を得られる。
僕自身、開発チーム時代にその恩恵を強く感じました。
野口: 近藤のようにプラットフォーム部と開発部、両方の立場を経験したエンジニアが組織にいることの価値は計り知れないと感じています。
プラットフォームエンジニアリングの考え方の一つに、「社内の開発者をお客さんとして捉える」というものがあります。
近藤は、プラットフォームが提供する機能の「受け手(顧客)」と「作り手」の両方を経験している。これは非常に貴重な経験だと思います。
近藤: 今度は自分がプラットフォーム部の立場として、他の開発チームメンバーがそういった挑戦をできるように支援したい。そう強く思っています。
野口: だからこそ彼は、より本質的な問題に対して、誰よりも「シビアな目」で向き合うことができる。過去の学びが、今の彼の価値となり、組織全体の強さに繋がっていると思います。
4.仕事の成果は、業務外の「一体感」から生まれる
──技術的な戦略や組織論だけでなく、スタメンならではのカルチャーについてもお伺いしたいです。以前のインタビューで、野口さんから「ウェットな感じの開発部」という興味深い言葉が出ました(笑)。これは具体的にどのような文化なのでしょうか?
野口: 「ドライ」か「ウェット」かと問われると、どちらかといえば「ウェット」かなという感じです(笑)。
プライベートでも交流するような、人間味のある関係性が根付いているという意味で、「ウェット」という言葉は時々使いますね。
近藤: 最近も、開発メンバーで遊園地に行ったりしましたね。
野口: 私たちの組織は、仲が良いと思いますよ。また、僕らの組織は、顧客やビジネスサイドから「多くの機能を作ってほしい」という、いい意味での“期待”が常に強いんです。ただ、その期待に応え続けるためには、技術力だけでは足りない。
近藤: だからこそ、僕らは仕事以外の「一体感」をすごく大事にしています。会社の公式イベントも多いですが、それとは別に、開発メンバーで遊園地に行ったりもする。
仕事の時は仕事仲間として、一旦仕事から離れたら歳が違う友人のような関係。その関係性が「アクションのしやすさ」に繋がっていると感じています。
先日、僕が主催でチームの技術的な勉強会をふらっと開いたんです。組織によっては、発表者側はみんなが興味を持ってくれるか不安になりアクションを起こしづらいケースもあると思うんですが、スタメンでは全くそういう抵抗感がない。日頃のコミュニケーションで関係性ができているから、安心して挑戦できるんです。
野口: 業務外の一体感が、心理的安全性を生んでいると思いますよ。
近藤: まさに。そして、これはプロダクト開発組織だけの文化ではありません。
会社全体として、社員旅行(トリップ)など、横の繋がりを推進するイベントが多いんです。プラットフォーム部と開発部のように、ミッションが違うチーム同士の連携は、時に壁が生まれがちです。ですが、仕事以外の場で生まれる一体感が、その壁を溶かす潤滑油になっている。
それもまた、スタメンの強さだと思いますね。
5. 「良い環境」を、共に創る仲間へ
──最後に、この記事を読んで「スタメンのカルチャーは、まさに自分が求めていたものかもしれない」と感じている、未来の仲間に向けてメッセージをお願いします。どのような方と、この先を共に創っていきたいですか?
近藤: そうですね。今回、スタメンの良い部分をお話ししてきましたが、もちろん、まだ整っていない課題だらけの環境でもあります。だからこそ、「完成された良い環境に行きたい」という方よりは、「自分自身が良い環境を一緒に創っていきたい」と思える方にとってとてもいい環境だと思います。
僕自身もそうありたいですし、スタメンには、その挑戦を許容してくれる「アクションのしやすさ」というカルチャーが確かにありますから。
また、私たちは現状に満足せず、常にアップデートし続けていきたい。
代表も含め、みんながそう思っているから。
野口: 創業して4年という速さで上場まで辿り着きましたが、それはこれまでスピードを重視してきたからこそ成し遂げられたこと。
そしてそんな背景があるからこそ、「色々やれることがある」のが今のスタメンです。
机上の空論ではなく、現場レベルで変化を、変革を実践していける。
そのプロセス自体を楽しめる方にとっては、最高の環境だと思いますね。
近藤: 特に、エンジニアとして経験豊富な方であれば、その価値を存分に発揮できるはずです。
僕らは今、「効果の高い技術的投資とは何か」を分析し、リードしてくれる方の力を借りたい。
また、技術的な視点からプロダクトマネジメントに染み出し、事業の流れそのものを変えていけるような方と共に、次のスタメンを創っていきたいです。
野口: この挑戦を、面白いと感じてくれる方をお待ちしています。
最後に
スタメンでは、一緒に挑戦をしてくれる仲間を絶賛募集中です!
少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひ下記ページからエントリーをしてください。