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僕がアイビーリーグ(Ivy League)からvery50に新卒入社した理由

Kiichi Ohshima

東京都出身。コーネル大学都市計画大学院を卒業後、very50に新卒入社。大学院時代には、東南アジアにおける配車アプリの普及に関する研究に従事。コーネル大学東南アジアフェローの一員にも選出され、東南アジア研究を牽引。研究外では、プエルトリコ災害復興インフラプロジェクト等も経験。very50新卒入社後は、ディレクターとして、アジア新興国のソーシャルビジネス支援から、教育コンテンツ開発、コミュニティマネジメント等幅広い領域を担当。

“熱量高く本気になれた”高校サッカー時代

中学時代までの自分を一言で表すと、「可もなく不可もなく生きている人間」です。一応真面目に勉強はするものの、「全てのテストで70点くらいを取れればいいよね」とよく考えていました。

部活ではサッカーをやっていたのですが、そこでも真面目に休まず練習はやるものの、レギュラーでたくさん試合が出られるわけもなく、そこに対して特段何も感じてもいなかったです。当時の自分は勉強やスポーツ、あらゆる面で“可もなく不可もなく”こなしていました。いま振り返れば、自分に自信がなかったとも言えるかもしれません。

そんな自分が、“可もなく不可もなく”を超えて、「心から一生懸命になって、熱量高く本気で頑張ることが楽しい」と思えるようなきっかけに出会います。高校サッカーです。これはほんとたまたまだったのですが、進学した高校のサッカー部が自分が入学した年から、新しい監督のもと、スポーツ推薦生も数名入学して、全国大会を目指していく強化クラブになりました。

正直中学まで地区大会すら勝てなかった自分には極めて無謀な挑戦とは思いつつ、ここで辞めるのはなんか違うかもという直感と、「全国大会、そして日本一を目指そう」という監督の熱意に魅了され、入部を決めました。そんなこんなで、高校は決して上手くもないサッカーに本気になり、高校3年間をサッカーに捧げました。

自分がレギュラーで公式戦に出ることは3年間で1度もなく、全国にも行けないまま引退を迎えますが、「情熱を持って一生懸命何かに本気で挑むこと」が楽しいんだなと感じれた瞬間でした。今考えれば、よくもまぁ「高校サッカーで日本一になる」という目標に対して、サッカーど下手な自分が一瞬の迷いもなく本気になれたなと思います。

おかげで、苦しい状況を明るく乗り越えていくメンタリティやいわゆるGRIDと呼ばれるやめない力など、今の自分を支えてくれる様々なことを得られました。“可もなく不可もなく”という考え方が決して悪いとは思っていませんが、純粋に熱量高く生きていることの方が自分は楽しいと感じれた、そんな経験となりました。

↓ 高校サッカー時代

◆ 挑戦の連続から広がった視野、高まった視座

高校卒業と同時にサッカー人生に一区切りがつきました。文武両道を軸においてくださった偉大な監督のおかげで部活をやりながら勉強にも時間を割くことができ、大学は全ての授業が英語で実施される、“英語×リベラルアーツ系”のプログラムへと進学しました。将来のことは何も考えていなかったので、ひとまず色々な分野が学べそう、そしてAll Englishってかっこいい、とかがリベラルアーツに決めた理由だったと思います(笑)

当然サッカーしかしてこなかった自分は特段何も考えず、「俺は世界で一番になりたい」と熱量だけは高いものの、ざくっとした夢に向かって大学生活をスタートしました。高校3年間を通じてサッカーでは勝てなかったので、人生では何かで勝ちたい、一番になってみたいと当時の自分は思っていたんだと思います。

入学当初から英語講義漬けの毎日でしたが、サッカーで培ったやり抜く力、逃げないメンタリティのおかげで必死にくらいつくことはできました。

大学1年の途中からは長期留学のため約8か月月渡米。そこでは英語を徹底的に鍛えつつ、初めて経験した海外で世界中の学生と出会いながら、「俺は将来何がしたいんだろう」と永遠と考えこんでいました。同じ留学先にいた日本人の友達と、毎晩NHKのプロフェッショナルを見ながら、色々な“仕事”に感動しつつ、自分は何がしたいのか?を沼のように考えていたのを今でも覚えています。

↓ カリフォルニア留学時代



帰国後も自分のやりたいことは分からずでしたが、大学の様々な講義の履修や、友達とプレゼンコンテストに挑戦、学生サミットへの参加、ゼミの卒論研究など、とにかく色々やっていました。大学3年終わりにはvery50の大学生向けプログラムにも参加。フィリピンの社会起業家の経営支援に挑みましたが、自分にとっては目を覚まされるような経験でした。

ビジネスを形にしながら変化を起こすことがいかに大変かを目の当たりにしたと同時に、ビジネスを作っていく楽しさも肌で感じられました。その後は実務の世界をもっと知ってみたいと思い、大学4年の途中からvery50で長期インターンも経験し、国内外の様々な社会問題の現場で仕事をさせていただきました。

↓ 2017年very50のプログラムに参加。社会起業家Philoとチームメンバーと


こうした様々な経験を通じて、「世界で一番になりたい」と思っていた18歳の自分がいかに、視野が狭く、視座が低かったかを痛感しました。別に野心的になることが悪いとは思いませんが、あくまで個人的な気づきとして、人生は決して順位ではなく、社会に存在する問題はどうしようもないくらい複雑で、それを変えていくことは簡単な話じゃないと知りました。

そして素直な気持ちとして、「自分が一番になること」よりも「社会へ価値を生み出すこと」に意味を感じ、周りからの評価に縛られるよりも、自由に楽しく生きていくことの方が熱量高く生きられると実感しました。

そんなこともあり、一瞬だけはじめた就活をやめて世界中の優秀な学生と出会えばもっと視野広く、視座が高くなるチャンスがたくさんあるのではと思い、海外大学院進学という道を志すことにしました。

純粋に海外で学んでみたいと思っていたし、世界中の学生と出会えばもっと視野広く、視座が高くなるチャンスがたくさんあるのではないかと思ったのが進学を決めた理由です。あと、人と違うことをやりたがる自分の性格もあったのだと思います。

蓋をあけてみると、米国のコーネル大学やシンガポール国立大学など、計8校の大学院に合格することができました。学費など1円も出せないという家族の状況ではありましたが、奇跡的に奨学金が通ったことや親族からの支援が得られたことで、最終的に米国のコーネル大学都市計画学部へと進学しました。

まさか自分が名門大学群のIvyリーグの大学に進学するとは正直夢にも思いませんでした。もちろん、自分の大学院合格には数え切れないほどの方の応援とサポートがあったことは言うまでもありませんが、そのうえで周りに左右されず自分で自分の道を選び、誠実にがんばっていると自然と道は拓けていくものなんだなと実感できた瞬間でした。

◆ 米国で感じたキャリアに関する違和感

大学院のあった街、イサカは自然豊かな美しい街でした。都会育ちの自分にとっては、大自然に囲まれた広大な土地で自由にゆっくり学べる環境は最高でした。大学院では東南アジアの交通を専門分野に、都市計画や地理情報システム、定量分析手法などを学びました。

↓ 進学したコーネル大学のキャンパス


研究はもちろん楽しかったですが、研究をやりながらやっぱり自分は実務の方が向いているし楽しめるなと感じ、自身は就職志望で色々と進路を模索していました。

渡米前までは、世界中の優秀な学生が集まると言われているIvyリーグという場所に期待とワクワクを抱いていました。特に何に期待していたのかというと、世界中から集まった学生たちの“視座”や“視野”だったと思います。いったいどんなことを考えている学生がいるのだろうと胸を膨らせていました。

ただ就活を始めて、周りを見渡すとIvyというブランドを武器にNYのウォール街を中心に金融やコンサルティングファーム、テック系ファームを志望している学生が多いように感じました。「あれ、意外とこっちも変わらないのかもなぁ」と、就活の仕組みには違いがあるものの、多くの学生の視座やマインドセットは案外日本と大差ないのかもしれないなと感じました。もちろん飛びぬけて優秀な学生にも出会い、様々な価値観や生き方にも触れられたのも事実ですが、一方で、企業名やお金という日本とあまり変わらない画一的なキャリア感を持っている人も少なくありませんでした。

そんなこんなで、自分も様々な選択肢を持っておこうと思い、米国で開催されたキャリアフォーラムにも参加して、大手コンサルティングファームから内定もいただけました。そこでも企業名やお金を軸とした多くの学生に出会いました。そうした“就活”という画一的な景色を見ながら、「自分は米国で学んで、果たしてこれで良いのか?」と自問自答していたところ、夏休みを機に日本に帰国して、very50で2回目のインターンを再開しました。自分は結局どうしたいんだろうというもやもやが少しでも晴れればと思っての決断でした。

インターンの終盤に、「新卒でvery50に来ないか?」と代表の菅谷さんから誘っていただき、事実上の内定をいただきました。その場では当然決断できませんでしたが、今まで全く念頭になかったキャリアの選択肢と少しすっきりした気持ちを持って米国へと戻りました。

(※あくまで自分の感じたことやキャリア感は主観であり、他の方は異なる意見をお持ちなことは承知しています)

↓ 研究やプロジェクトで訪れていたシェムリアップの貧困地域の村

◆ 自分のワクワクとユニークネスを貫いた新卒キャリア

修士2年目を迎え、進路選択をいろいろと考えていたのですが、多くの友達や周りの人からは「絶対外資コンサルに行った方が良い」「まずは大きいところを経験してから小さいとこへ行けばいい」と言われていました。しかしそんな中でも、very50への就職の背中を押してくれる人もいました。

例えば自分の指導教授は、

私は君のvery50への挑戦を心から応援したい。この大学で学んだのに、じゃない。この大学で学んだからこそだ。世間的評価や周りに流されることなく、自分のやりたいことをやってほしい。あなたは何のために米国へ来た?何のために学んだ?ここでの学びを社会に還元していってほしいと私は願う。あなたの勇気ある決断を誇りに思うよ

と、言ってくれました。

他にも安宅和人さんの記事とかを読みながら、「自分のユニークネスを磨け」というメッセージは、勝手にvery50へ背中を押されているようでした。

その後いろいろと考えたのですが、アカデミックや実務の世界問わず、自分が心から尊敬できると思えた人に見られる共通点は、

①若いうちは失敗だろうと成功だろうと全てが価値になると考えていること
②世間的評価やお金以外の価値や生き方を追い求めていたこと
③なにより楽しそうに日々真剣に生きていること

の3つだと思いました。

もちろんこんなこと言いつつも、当時の自分は目の前に大手ファームへの道もあったので、たくさん悩みました。有名ファームへの憧れも当然ありましたし、親が大手へ行ってほしいと願っていることも百も承知でした。

一方で「自立した優しい挑戦者を増やして、世界をもっとオモシロク」というミッションに心から共感し、社会起業家の支援とこれからの世代の教育の両輪を目指すvery50の事業には言葉にできないワクワクを感じている自分がいました。そんな自分に嘘もつきたくなかったし、社会の本質的価値を追い求めながら仕事がしたいと心から思っていました。そしてその場所が自分にとっては、very50であるとも感じていました。

なかには葛藤をしない人もいるかもしれませんが、自分は正直に世間的立場や有名企業への道との葛藤は存在しました。そりゃ普通の人だったら、有名企業とある意味無名のNPOで悩まない方がおかしいです(笑)

ただ、周りの声ではなく、自分の声に耳を傾けた時、自分が向かいたい方向はvery50だと思いました。very50の事業をもっと大きくしたいと素直に思えたし、みんなが取らないユニークなキャリア選択こそ大きなチャンスだと思ったし、仕事として志あるスタッフと魅力的な教育事業をより大きくしていけたらこんなに楽しいことはないとも思ったし、なによりvery50に夢とロマンを感じ、very50への入社を決めました。

もちろん大手ファームがダメとは微塵も思ってません。ただある意味、陰に陽に画一的なキャリア感が蔓延る新卒の選択肢が、もっと多様になればいいとは素直に思います。よくリスクの話がでますが、若い時は成功も失敗も全部が財産になるのならば、自分らしい道や挑戦をとらない方がリスクだと思うし、仮にやりたいことがない人も、まぁ何かやってみればいつの間にか好きになってたりするものだと思います。

そしてそこの決断において、世間からの評価や周りがどうしているかとかは一切関係ないんだと思います。

↓ 2020年6月1日、入社時の様子

◆ 日々楽しく、熱量高い人生を目指して

very50で働き始めて8か月(が経ちますが、一日たりとも仕事を苦に感じる瞬間はなく、日々熱量高く自分の仕事に打ち込め、心からやりがいと誇りを感じています。

“可もなく不可もなく”を目指すところから、熱量高く何かに本気になることの楽しさを知り、そしてお金や世間的評価以外の大切なことに本気になることの価値に気づけました。そして気づくだけでなく、実際に行動できたことが、今の自分の毎日の“楽しさ”と“生きがい”に繋がっていると思っています。

もちろん就活を否定しているわけではないですし、大手にいくことも否定していません。ただ“自分の楽しさとか興味に純粋になって、本音を貫いて、行動し続けてみること” なんだと思います。それが“国際協力”や“教育”というキーワードを学生時代にとりわけ持っていなかった自分が、私がvery50という教育団体にjoinし、日々熱量高く本気で働けている理由です。

これからのキャリアとかは正直よく分かっていませんが、熱量高い毎日の先にきっと面白い未来が待っているんだと心から思っています。

大島がきたからvery50が大きくなって、“自立した優しい挑戦者”が増えたよねと言ってもらえるように日々頑張っていきたいと思います!

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