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コロナ禍で加速するカルチャー採用の現在地|「FUZE 2020」レポート #2

11月4日にオンライン開催され、1,500人以上の方にご参加いただいた「FUZE 2020」。今回は、その中からノミネート企業のプレゼンテーションが白熱した各種AWARD、および注目企業で活躍中の現役人事4人をスピーカーとしてお迎えした採用トークセッションの様子をお届けします。

Award:BEST TEAM OF THE YEAR賞

BEST TEAM OF THE YEAR賞では、採用ブランディングや共感採用等といった観点からノミネートされた企業による当日のプレゼンテーションをもとに、参加者投票によりGOLD/SILVER/BRONZEの各賞受賞企業を決定しました。プレゼンテーションの一部とともに、受賞企業をご紹介します。

GOLD賞 株式会社マイベスト

「Wantedly上のマイベストの出現率を高めるため、週次の募集記事更新とエントリー率を元にした記事見出しの調整や、候補者の解像度を上げるための社員インタビュー、そしてスカウト送信時のプロフィールの読み解き、といった工夫をおこなっております。結果としてスカウト返信率を約半年で26%から69%へ増大させることができました。」(株式会社マイベスト 管理部採用教育チーム 町田 理氏)

SILVER賞 freee株式会社

「組織づくりでは個々の自律性、強い一体感、そして矛盾がないことを重視しており、それらを価値基準に落とし込んでおります。理想の組織の実現のためには全社一丸で採用に取り組む必要があると考え、現場と一緒にスクラム採用という仕組みを作り上げました。」(freee株式会社 人事採用本部採用チーム 上赤 祥貴氏)

BRONZE賞 ランサーズ株式会社

「将来の経営人材である新卒採用において、直近3年間で82%がWantedly経由です。特にストーリー機能を通じたカルチャー発信と、スカウト専任者をおいた上でのスカウト発信に注力しています。」(ランサーズ株式会社 コーポレート本部ピープルリレーション室 岩波 香織氏)

Award:部門賞

部門賞では、Wantedly利用開始からまたたく間に成果を上げた企業を対象にしたBest Rookie Team賞としてX Mile株式会社、そして非首都圏企業を対象にしたBest Local Team賞として株式会社スタメンにそれぞれ賞が贈られました。

Sesion B:COVID-19と採用トレンドの変化

セッションBでは、様々なフェーズのベンチャー企業で活躍する現役人事の方4人をパネルおよび司会進行に迎え、「COVID-19と採用トレンドの変化」をテーマにしたディスカッションが行われました。

【左から順に】小山清和氏(株式会社グッドパッチ)/岸良腕氏(フルカイテン株式会社)/田中達也氏(Sansan株式会社)/北上あい氏(note株式会社)

コロナ禍とカルチャー採用の現在

COVID-19による求職者の動向変化にまつわる議論から開始された本セッション。「所属する企業の業績不振などを理由に、安定を重視する候補者が増えている」というフルカイテン岸良氏の意見に、Sansan田中氏も「不確実性への投資というベンチャーの醍醐味を候補者にどう伝えていくかが問われている」と同調します。

また、テレワークの浸透を背景に、働き方への関心が高まっていることも重要なトレンド。「リモート勤務やフレックスのようなトレンドに合致する制度がない企業は、採用においても負け戦になってしまうのではないか」というイベント参加者からの質問に対し、それぞれが持論を展開しました。

田中氏:
リモートに限らず、制度不在の背景には「なぜその制度を自社は用意していないのか」という理由が必ずあるはずです。その理由を求職者に向けてていねいに説明していくことが大切だと思います。
北上氏:
制度面の充実については職場選びのプライオリティとして2〜3番に置いている候補者の方が多いと思います。なのでまずは自社のカルチャーや、その人自身の入社後の活躍のイメージをしっかりと伝えることで勝ち筋が開けるのではないでしょうか。

そこから議論のテーマは「カルチャー採用」の重要性へと移ります。とりわけ採用コンテンツを通じたカルチャー発信は、オフィスに候補者を招きづらい現状においては重要項目。そのノウハウにまつわるディスカッションを通じて、三者三様の工夫が浮かび上がりました。

岸良氏:
フルカイテンでは新しくジョインしてくれたメンバーに、入社後1週間以内に入社エントリーとしてWantedlyにストーリーを投稿することをお願いしています。こうしたコンテンツは候補者のアトラクトだけでなく、リモート環境で入社したメンバーを社内に紹介する方法としても役立つのでとても重宝しています。
田中氏:
人事だけではリソース的に情報発信まで手が回らないこともあるなか、直近ではCTO管轄チームと連携して技術広報を行うプロジェクトを開始するなど、他部署との協力体制を構築するようにしています。
北上氏:
noteは自社でコンテンツ配信サイトとメディアプラットフォームを運営していることもあり、かねてから情報発信に積極的なメンバーが多いのですが、採用をより大きく前進させるためにもコロナ禍にはいってから全社員総力戦で情報発信を行っています。

それぞれの採用ポジションに応じてターゲットからの関心を得るためにはどういったコンテンツを出せばいいか、関係するチームのメンバーがプロジェクトを組んで企画するといった試みも始まっていて、人事が強制しなくとも自然発生的にカルチャーを発信できることが強みだと思います。

noteでは実際にメンバーの記事を読んだことによって入社を決心した方も多く、その人たちが入社後おのずと「自分も記事を書こう」という意識になれることが書きやすい環境を社内に生まれている秘訣だといいます。

採用におけるCX(候補者体験)を考える

この採用セッションで盛り上がりを見せたテーマが、コロナ禍によるCX(候補者体験)設計にまつわるもの。

オフラインの採用プロセスがオンラインに切り替わるなか、「これまで通りの採用をオンラインで再現する」ことがゴールになるのではなく、オンライン採用を通じて候補者が得る体験の質についてまっすぐ向き合うことが前提として大切になっているというSansan田中氏の提言を契機に、コロナ禍における面談の体験向上について議論されました。

田中氏:
CX強化の一環として、Sansanでは面接官トレーニングを行いました。オンラインの面談・面接では、たとえそれまで通りのことを話していたとしても通信環境や見え方によって得られる体験が変わってくるので、そこを洗練させていこうと。

同時に、オンラインで面談を行うことに拘泥するのではなく、あえてオフラインの場に強い意志をもってお呼びすることもあります。どうすれば候補者の方に自社の魅力が伝わるかを最優先に細部を設計していくことが重要ですね。


他にも「社長相手にエンジニアがカジュアル面談のロールプレイングをした」(フルカイテン)、「相手の発言をさえぎらないよう相槌の声を減らす代わりに画面の中のジェスチャーを大ぶりにするなど、候補者からの見え方を意識した面談トレーニングをした」(note)など、伝える力を高めるための工夫を各社が凝らしていました。

CXの一環として、正直なコミュニケーションを心がけることの重要性を説きました。

岸良氏:
コロナにより安定性重視の候補者が増える一方で、スタートアップの現場は順風満帆なことだけではないと理解していただくために、ネガティブな影響が出ている領域についても率直に伝えるようにしています。

候補者の視点からみても、「〇〇についてはKPIを達成できていますが、✕✕については下ぶれています」といったようにプラスとマイナスの項目をそれぞれ細かく伝えてもらったほうが入社後の期待値調整にもつながりますし、正直にコミュニケーションすることが安心感につながると思います。

その他にも、今後の採用におけるキーポイントとして「言語化する力(グッドパッチ小山氏)」「社内の意識統一(Sansan田中氏)」「情報発信と総力戦(note北上氏)」「経営陣のコミット(岸良氏)」など各社の成長フェーズに沿った回答が出されるなど、ベンチャー企業の採用担当者にとって気づきの多いセッションとなりました。

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