大地の芸術祭の里
越後妻有(新潟県十日町市・津南町)で3年ごとに開催。概要、イベント情報、参加作家、作品の紹介。
http://www.echigo-tsumari.jp/
こんにちは、アソビュー株式会社の人事を担当している真木です。私たちは一緒に働くデザイナーの仲間を募集しています! そこで代表山野のデザインに対する想いについて取材しました。
【プロフィール】
山野智久(やまのともひさ) アソビュー株式会社代表取締役社長
1983年千葉県生まれ。明治大学法学部法律学科卒。新卒にて株式会社リクルートに入社。2011年アソビュー株式会社を設立。アソビュー株式会社の代表取締役であると同時に、行政とベンチャー企業の垣根をなくし、共に地方創生を実現することを目的とした一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合を立上げ、共同代表理事に就任。観光庁・自治体の観光戦略のアドバイザーを歴任するなど多方面で活動。
宮本武尊(みやもとたける) アソビュー株式会社執行役員兼CSO(Chief Strategy Officer)
立命館大学 理工学部物理学科卒。
2012年、新卒で株式会社リアルワールド入社。主に、メディアのマーケティング領域を担当。2013年、株式会社ビズリーチへ入社。オンラインマーケティング、営業企画を経験。
2014年にアソビュー株式会社に入社。マーケティング、プロダクト改善、オペレーション改善等を実施。
宮本 山野さんが考えてきたデザインについて教えて下さい。
山野 僕は学生時代、発行部数累計30万部のフリーペーパーの事業を立ち上げたのがファーストキャリア。メンバーも20人程度と小さな規模だったから、編集長として、編集コンセプト決めや、写真、デザインなどクリエイティブ領域は何でも自分でやってきたんだ。当時世の中の流れがクーポンという割引で集客する事が注目されてた中、僕はそういう手法ではなく、デザインやセンス、人そのものの魅力を打ち出す事で集客する方が本質的だと思っていたので、安きに流れる購買活動のあり方と違う選択肢を示したかったんだよね。
その時に、「人を惹きつけるデザインってなんだろう? コピーってなんだろう?」ってたくさん考えたよ。向き合っているクライアントのニーズをどう反映し、フリーペーパーの読者に自分たちの編集方針を交えて、どう伝えるのかを徹底的に考え抜くことを経験してきた。
宮本 山野さんが印象に残っているエピソードってありますか?
山野 フリーペーパーでの経験が、新卒で入社した会社の仕事にもすごく活きていて、顧客の採用課題をコピーライティングで解決した話は印象に残っているエピソードの1つかな。
それは、本社が東京にある、靴の大手小売り企業の名古屋地域の採用サポートをした時。僕が引き継いだ当初、求人原稿を出しても応募数が1桁程度しかなかった。どうしたら求職者から応募を増やせるかを考えて、取材を通してわかった事があったんだよね。それは、当時の名古屋の採用は、名古屋創業の大手車メーカーとそのグループ企業か、名古屋に本社のある企業でないと求職者は魅力を感じづらいっていう傾向がある事だった。要するに名古屋という地域との結びつきを大切に考える傾向がある、と。
もちろんこれらの企業の採用ではないので、だったら他に名古屋という地域と、担当企業とのコミュニケーションの接点になるものはないか?
そう考えた時に思いついたのが、名古屋のもう一つの特徴的な文化として根付いている「モーニング」だったんだよね!
そこで、喫茶店の店員から見た景色を想像して、いつもモーニングを食べに来てくれるお客様の靴って実はクライアントの靴なのかもしれないよってメッセージを伝えてみると、応募数が50倍以上集まる結果を出せた。社内のクリエイティブ賞にも表彰されたんだよ。
宮本 こういう山野さんのバックボーンって、実は社内でも見せていない一面ですよね。僕自身この話を聞いたのはだいぶ昔だと思うのですが、今でもすごくよく覚えている話です。山野さんはビジネスオペレーションに強い印象を持たれがちですが、すごくクリエイティブな経験と発想を持っていて、いつも伝えるべき相手・受け手を想像して、どうコミュニケーションをとればいいのかを考えている印象です。そして徹底的にクリエイティビティを磨こうとしているのが特徴だなって思います。
山野 デザインで出来る事のひとつには課題解決がある。これはどの職種でも当てはまると思ってて、例えば ”営業"。限られた商談時間の中で顧客のニーズを汲み取って最適な提案をする。その商談の中で発する自分自身の言葉は、デザインなんだよね。
代表の山野
宮本 山野さんがアソビューの領域を決めた事自体がデザインだったりしませんか?
山野 うん、それはそうね。事業作りにもデザインはある。うちの領域でいえば今まではオプショナルツアーやイベントなど、供給者視点だったマーケットに対して、「遊び」という生活者視点のマーケットに切り取り方を変えた事はデザイン。
もっと言うと・・・
旅行やお出かけのシーンというスペックの話ではなく、感情に寄り添うサービスのスタイルを築こうとしているのがうちの会社の事業であり、それ自体がデザインだと。
「年に2回は旅行行くよね」とか、「週末遊びに行くよね」など「旅行」や「お出かけ」というマーケットでサービスづくりを捉えるんじゃなく、“人生の中で、非日常の空間に行ったとき、ワクワクした思い出を残す” のような、“感情に寄り添う”新しい提案が僕たちが提供したいと思っている領域だよね。
宮本 プロダクト作りにおいて機能性の優位はもちろん大事だと思っていて、それに向かって施策が動いています。一方で文化をつくっていく企業としての、ゲスト* のコミュニケーションってどうあるべきかは、ゲスト* の事を想像し、知った上でどういうインターフェースがいいのか、どういう体験を提供しなくてはいけないのか、を考えなくてはいけないところです。
※ゲスト*:私たちの提供するサービスを利用して下さる顧客の呼称
宮本(CSO)
宮本 すごく拡散して話してしまう事になると思うけどいいですか?デザインってそもそも抽象度が高くて「結論これが正しいのである」という事がないのが難しいです。でもそこが面白いところです。
最近やっと「月に1回アソビューする」というアソビューでできる世界がアウトプットできつつありますが、当時その言語化はできていませんでした。
「年に1回海外旅行に行こう」や、「毎週末友達と近所で飲もう」「いつものデートプランで出かけよう」では何か深みがないというところを、“アソビューが解決したいよね” という想いを強く持っていました。しかしそれをどう表現する事が適切なのかわからなかったんです。
そもそも「遊び」ってなんだって言語化が難しかったですね…
そこで、「ホモルーデンス」って概念を学んだり、そもそも「余暇」という言葉が「余る」と「暇」という言葉で構成されているから、日本人は遊ぶことに罪悪感を持ってしまっているんじゃないか…など等、様々なインプットを増やして議論を重ねてきました。
そしてもう一つ大きな転機だったと振り返って思うのが、山野さんが「大地の芸術祭* のオフィシャルサポーター」に参加すると決めた事だと思っています。
※「大地の芸術祭」*について
山野さんはデザインやアートなど抽象度が高く、議論が難しい事象に対してずっと向き合っていたなという印象があるんです。
山野 「現代アート」って、社会の中で一つのアンチテーゼを投げかける役割があると思うんだ。そのアーティストが生きてきた時代・環境の変化の中で見つけたアイデアには、何かしらのメッセージがあって、それを作品を通して感じて欲しいから、作品を作るのだ!というような…。
それと「商業デザイン」は分けて考えていたんだよね。商売上、誰かからお金はもらっていて、社会に対してのメッセージではなく、少なからずお金に対しての“アンサー”が「商業デザイン」だと思ってた。
でもそれが近年融和しているんじゃないかと考えてて、特に我々のような事業会社はね。我々が新しい文化を作ろうって、現代アートと同じ事なんじゃないかと思うんだ。少なくても現代アートと商業デザインの中間点までは僕らの事業やサービスは求められているんじゃないかな…。
現代アーティストたちが言葉にならない事を、”アートを通して伝えたい”と思う、気概・センスを持ち合わせた上で、商業としてのデザインをどう捉えるか。そして、それを考え抜く事で、僕たちが導き出したい正解が出てくるんじゃないかなって思ってるよ。
「大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレ」会期中「team asoview!」による「ASOBIBOX」という作品を展示しています。
宮本 そんな抽象度の高い話などもある一方で、僕たちが大事にしている「For You」*ってスタンスは、インターネットサービスの会社においては常日頃から出てくるって難しいだろうなって思ってるんですよね。ただ、うちにはあそレポっていうゲストが思い出を貯める場所があったりしますし、山野さんがマーケッターに対して1UUの重みがわかってるのか?っていう会話が日常で出てきたりする。顧客の声を徹底的に引き出して向き合う事は、アソビューの文化として求められている事なので、デザイナーの役割はすごく重要な部分だと捉えています。
*「For You」とはアソビューが「VALUE」と呼んでいる、事業で成果を出すために大切にしている価値観、考え方のうちの一つ。
山野 今こそデザイナーの役割は広いね。UIを作って、コードも書けるみたいなスキルをデザイナーと呼ぶのではなくて、今まで語ってきたようなストーリーを大枠で捉え、課題解決の方法を考えられる人こそが、これからのデザイナーなんだと思う。ストーリーを議論しつつ、狭義のグラフィックやUI/UXに落とし込めると楽しいよね。
うちは、デザインに事業成長、すなわち新しい文化を作る活路を見出そうとしている。だからうちのデザイナーには経営戦略の話を一緒に面白い!って思ってくれる人を期待してるよ。一緒に経営視点を持ちながら、時代環境の流れやテクノロジーのスピーディーな変化などを捉えて、今現状のプロダクトをどう描き、どう課題解決していけるか…デザインとビジネスが、そしてテクノロジーがどう結び付けられるのかを膝を突き合わせて議論したい。きっとこんな経験を積めるうちの環境は、この先のデザイナーのキャリアを考えた上でもすごくいい経験になると思う。
7月に行われた全社キックオフの時の様子
ありがとうございました。メンバーである私も山野さんの知らなかったエピソードが聞けてすごく新鮮な気持ちです!
こちらを読んでぜひ山野社長と話したい!と思って下さったあなた。ぜひお気軽にWANTEDLYを通してご連絡下さい!