アライドアーキテクツ株式会社 AI特命部 部長 岩間亮
「独立した方がいいのでは」——そう周囲から言われながらも、岩間さんはアライドアーキテクツで"イチ開発者"であり続けることを選んできました。電話営業や工場勤務からエンジニアの道を歩み始めた前編に続き、後編では、起業しなかった理由、裁量を持って働く具体的な場面、そしてマネジメントでも専門職でもないキャリアの描き方について、本音で語ってもらいました。
目次
起業でも、フリーランスでもなく、裁量を持てる環境
── 独立や起業、フリーランスという選択肢を考えたことはありましたか?
正直、周りからは「独立した方がいいんじゃないの」とよく言われます(笑)。ただ、僕がアライドアーキテクツで「イチ開発者」として働き続けているのには理由があります。
一つは、単純に恩義です。相当厳しい状況のタイミングで拾ってもらったというのと、もう一つは入社した時点からアプリ開発をやらせてもらったり、普通なら転職しないと積めないような幅広い経験を、この会社にいながら積ませてもらえたことです。会社の歴史を間近で見てきて、愛着があるというのもあります。今は、この会社がうまくいくために自分ができることがあるならやりたい、と思っています。
裁量を持って、色々やれる
── 「裁量を持って色々やれる」というのは、具体的にどんな場面で感じますか?
分かりやすいのは「echoes」ですね。営業の方から「こういうものが流行っている」という話を聞いて調べてみたら「自分でも作れそうだし、これは価値になるんじゃないか」と思い、まずは小さく検証してみようと、ベトナム人の新卒メンバーと2人でPoCを始めたんです。結果的にTwitter側の規約改定のタイミングと合致して、事業化することになりました。入社してすぐ「スマホアプリを作りたい」と言ったら、当時のCTOが機会をくれたこともあります。やりたいことと会社の向いている方向が合致していれば色々とチャレンジできる環境だと思います。
新しい技術に、誰よりも早く飛び込む
── 新しいAI関連技術やツールを試すとき、どんなプロセスで導入を決めていますか?
エンジニアへの導入スピードはかなり早い方の会社だと思います。Claude Codeもですがその前のCursorのようなAIを取り入れた開発環境が出てきた段階で、リリース直後から検証を始めていました。Tech会の現場メンバーにも使ってみないかと声をかけて検証に協力して貰い良い感触を得たので、当時指定の開発環境にしか経費が出ない仕組みだったのを変えるべきだと思い、資料をまとめて提案して仕組み化し、CursorやWindsurfといったAIエージェントの組み込まれた開発環境をエンジニアが選択できるようにしました。実際、他社が「全社員にGitHub Copilotを導入しました」とニュースリリースを出している頃には、アライドではもうそれを当たり前にやり尽くしていて次の段階へ進んでいました。
──これまでにうまくいかなかった挑戦や、そこから得た学びがあれば聞かせてください。
手元のマシンでAIを動かす「ローカルLLM」は、期待値をうまくコントロールできませんでした。今みんなが使っているいわゆるフロンティアモデルと呼ばれるようなものは、手元のマシンが何百台あっても敵わないような環境で動いています。機密情報を社内だけで処理したいというニーズに応えるために色々と検証を重ねたのですが、今のアライドの投資規模でやれることには限界があって、ローカルLLMを業務フローに乗せるのは一旦見送り、データの保全性の高い別案を提案し、そちらの案が採用されました。ただ、ローカルLLM自体は開発組織の生産性向上や通常業務のアクティブサポートなどには転用できそうだと思っていて、チャレンジは無駄ではなかったです。
── 新しいことに挑戦する時、不安はないのですか?
アライドに入る前や東京に出てくる前は、給料的にも環境的にもかなり厳しい状態で働いていたので、多少チャレンジして失敗しても、あの頃より悪くなることはなかなかないだろうという感覚があります。あとは、自分の強みとしてよく言うのが「できなかったことができるようになるのが得意」ということです。壁があったら、壊すか、登るか、迂回するかして越える。それが他の人より少しだけ得意なんだと思います。チャレンジすること自体はタダなので、やってみてどうかを試すことを心がけていますし、時間をかけて失敗すると痛手が大きいので、なるべく早いスピードで走り込んで、転んでもすぐ立ち上がれるようにする、というのを意識しています。性格としては慎重な方なので、性格と判断は意識して切り離しているところがあるかもしれません。
マネジメントでも、専門職でもない。これからのキャリアの描き方
── この会社には、マネジメント以外にどんなキャリアの道がありますか?
まさに今の僕のポジションがその一例です。能力に合った活躍の場を用意してくれる会社だと思っていて、無理に型にはめず、AIだけに集中させて裁量も持たせてくれている。これがエンジニアの中だけで閉じた話だったらまだ何とも言えないですが、実際にはビジネス部門にも同じような配置の考え方が波及しているので、他の会社よりは面白い状況なんじゃないかと思っています。もちろん、テックリード方面のグレード設計もされているので、そういった方面のキャリアも選択できます。
── 「管理職にならないと評価されない」という不安を持つシニアエンジニアは多いと思います。
管理職にならないと給料が上がらない、というのは誤解だと思っています。マネージャーの給料が上がるのは、自分一人では出せない成果を他の人と協力して出せることに対価が支払われているからです。ここまでは人のマネジメントの話ですが、技術寄りの人間でも本質的には同じで、自分の技術や考え方を他の人に伝えて周りが動けば組織全体の生産性が上がり、それは技術面のマネジメントとして正当に評価されます。
キャリアが技術寄りの人が「マネジメントに向いていない」と思い込んでしまうのは、単純に多くの人とコミュニケーションを取るのが苦手だったり、面倒だと感じたりする人が多い、というのも理由の一つだと思います。でも、会社として技術的にこれをやらなきゃいけないからみんなでやろうと声をかけたり、エンジニアとしてこれをやるべきだとみんなに伝えてやってもらうのは、本質的には同じことなんですよね。だから、管理職に就いていなくても、組織に対して影響力を発揮できれば評価されるべきだと思っています。
ビジネスとエンジニアが協力して動かす会社
── どんなエンジニアと一緒に働きたいですか?
積極性がある人、野望がある人の方が向いていると思います。よくあるステレオタイプな組織のエンジニア像というより、「自分はエンジニア組織や会社に対してこう関わりたいんだ」という強い思いを持っている人の方が、この会社では活躍しやすいですね。
── マネジメントか専門職か、キャリアに迷っているエンジニアに、一言メッセージをお願いします。
外から見ると、アライドアーキテクツはコンサルティングやビジネス色が強い会社に見えると思います。
アライドアーキテクツが取り組んでいるDXやAXは、通常のコンサルティング会社なら計画や進め方の指示はしても、実現のための中核となるプロダクトや仕組みづくり自体は外注したり既存のものを持ってきたりすることが多い領域ですが、アライドアーキテクツが社内にエンジニアを抱えていることは、既存のものがないなら自分たちで作れる、という最大の強みになっています。
外注ばかりの会社では、変えたいと思うたびに発注というワンクッションが挟まります。僕らは中にいるので、そのワンクッションがない。「もっとこうした方がいい」「そもそもなぜこれを作るのか」という議論を、社内でダイレクトにやりとりし、実行に移すことができます。 ビジネス中心の会社というより、ビジネスを推進するために必要なものを、ビジネスとエンジニアが協力して自分達の手で作っている会社です。
少しでも「面白そう」と思っていただけたら、ぜひ一度お話ししましょう。
【プロフィール】
岩間 亮(いわま りょう)
アライドアーキテクツ株式会社 AI特命部 部長
新卒で電話営業に従事した後、派遣社員として工場勤務を経験する中で独学でプログラミングを習得。SIerでの勤務を経て東京のベンチャー企業に転職するも、リーマンショックの影響で事業継続が困難となり、仲間と共に受託開発の会社を立ち上げる。その後、アライドアーキテクツに入社し、スマートフォンアプリ開発やTwitter運用支援アプリ「echoes」の開発などを担当。ベトナム開発拠点の社長交代と追加買収に伴いCTOに就任し、帰国後は国内事業のCTOとして組織づくりに従事。ChatGPT登場を機に全社的なAI活用推進を任され、現在はAI特命部部長として全社へのAI導入・サポート・アドバイザリー業務を担う。マネジメント職ではないが、能力に応じた活躍の場を与えられ、“イチ開発者”として裁量を持って新しい技術に挑戦し続けている。
▼前編はこちら
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