こんにちは、Asikazeの平井です。
今日は「採用業務って、AIにどこまで任せていいんだろう?」みたいな話を書いてみたいと思っています。
独立してから多くの候補者様と面談してきたんですけど、そこで一番感じたのって「採用って、人の感情とか、その場の空気とか、すごくウェットなものに左右されるなぁ」ということだったんですよ。
僕は「人と人のあいだ」の仕事をずっとやってきたんですよね。だから「採用はAIには無理」っていう感覚、めちゃくちゃわかります。
ただ、採用業務って、ちゃんと中身を見ていくと「これ、ぶっちゃけ人がやらなくてよくない?」っていう仕事がめちゃくちゃ多いんですよ。
たぶん感覚的には7〜8割。
今日はその話を書いてみます。
■ RPOの現場で、一日に何が起きてるか
僕たちのRPOは、大手SIerやコンサルファームの採用部門の中に人を出して、新卒・中途の採用プロセスをまるごと引き受けるかたちでやっています。年間で数百〜千名くらいの応募者を扱う部門もあったりします。
そこで一人の採用担当者が一日に何をやってるかを並べると、ざっくりこんな感じです。
- 候補者へのスカウトメッセージを書く(パーソナライズして20〜30通)
- 応募書類を読んで、面接に進めるかどうか一次判断する
- 面接官と候補者の日程を調整する
- 面接後に、面接官からフィードバックを集める
- 選考結果を候補者に連絡する
- 進捗を採用管理システムに入力する
- 経営陣や現場マネジャーに状況を報告する
- 採用市場のトレンドを追って、戦略をアップデートする
これを見てもらうとわかるんですけど、本当に「人にしかできない」って言える仕事って、思ったほど多くないんですよね。
僕が思うに、人にしかできないのって、候補者の本音を引き出す面談とか、文化や価値観のマッチを見る判断とか、内定後の意思決定のサポートとか、採用戦略そのものの設計とか、そのくらいなんですよ。せいぜい全体の2〜3割じゃないでしょうか。
逆にいうと、残りの7〜8割は「判断そのもの」ではなくて、「判断を支える作業」の部分。AIに任せても候補者の合否や条件そのものは変わらないよね、という領域です。
これが、僕たちが現場で見続けている景色です。
■ AIに渡せること、渡しちゃダメなこと
ここ、ちょっとセンシティブな話なので慎重に書きたいんですけど、僕たちがこの境界線を引くときに一番大事にしているのは、「構造化できるか」じゃなくて、「その仕事の判断で、人の運命が変わるかどうか」なんですよ。
たとえば日程調整、進捗レポーティング、採用管理システムへの入力、面接フィードバックの記録、スカウト文面のドラフト作成、市場のリサーチ。
こういうのは、AIが手伝ってくれても候補者の合否や条件そのものは変わらないんですよね。判断は人がして、その判断を実行する作業をAIが手伝ってくれる、というかたち。だからまるごと渡しちゃってOKだと思っています。
僕たちは社内でHR業務AIエージェントを設計・プロトタイプしているんですが、そのうち十数項目は、まさにこういうRPO業務の領域です。
一方で、AIに「渡しちゃダメだ」と思っている仕事もあります。むしろこっちのほうが、ちゃんと考えないとマズいなと思っているんですよ。
書類選考の合否判断。面接の通過判断。オファーを出すかどうか。条件をどう決めるか。
これらの仕事って、構造化しようと思えばできるんですよね。判断基準を言語化することもできるし、過去データから学習させて、それなりの精度を出すこともできる。
でも、その判断ひとつで候補者の人生は変わります。
だからここはAIには渡さない。AIが下準備として情報を整理することはあっても、最終判断、”責任”は必ず人が取る。これが僕たちのスタンスです。
それから、候補者が「実は今の会社で○○なことがあって…」って話し始めたとき。その背景にある人間関係とか、本人の葛藤を読み取って、どこまで踏み込んでいいかを判断する。これも当然、AIに任せちゃダメだと思っています。
なので、僕たちのスタンスはわりとシンプルで、
「人の運命が左右されない仕事」は、AIに渡しきる。
「人の運命が左右される判断」は、たとえ構造化できるものでも、人がやる。
これが、僕たちが言っている「人事を、AIで再定義する」ってことだと思っています。
ちなみに今日は採用の話で書いていますけど、僕たちがやろうとしているのは採用領域だけじゃないんですよ。労務、勤怠、評価、配置、人事制度、人事基幹システム 、いわゆるHR全領域が対象です。採用はあくまで入口のひとつ、というイメージなんですよね。
■ Asikazeは他とどう違うのか
採用 × AI をやってる会社って、ほかにも結構あるんですよね。とはいえ、僕たちはちょっと違う立ち位置にいるな、と思っていて、理由は3つあります。
1つ目は、現場もITもわかっていること
机の上で、HRの肌触り感もなく「AIで人事が変わる!」って言ってるんじゃなくて、毎日大手企業の採用部門に常駐して、実際に手を動かしてます。だから「ここはAI化できる」「ここはまだ無理」が、ちゃんと体感としてわかるんですよね。
特に珍しいのは、IT開発企業の側面も持っていることです。2022年からAnselTechnologiesという会社でエンジニア育成と派遣を行っており、HRとITの双方が自分ごととしてわかるということです。採用の会社ってIT弱いところ多いですよね。
2つ目は、「現場に入ってAI定着まで面倒みるよ」っていうモデルでやっていること。
最初は人として現場に入って(Embed)、業務を理解しながらAIエージェントに翻訳していって(Automate)、最終的には人が引いてAIだけが残る(Leave)。RPOって、このモデルが一番ハマる領域なんですよね。なので、BPO/RPOだけでもなく、モノづくりだけでもない、その双方を活かしてバリューを出しています。
3つ目は、経営層に同じ景色が見えていること。
ぼく自身が候補者1,500人と話してきて、RPOの現場にも今でも入っていて、AIエージェントも自分でいじっています。更に、経営陣はほぼRPO業務OR人事労務BPOの経験がある。
なので、HR × AI の論点を「上から下まで」一気通貫で持ってる経営層って、たぶん国内ではまだ少ない気がします。これは地味だけど強みかなと。
■ これからやっていきたいこと
直近で動かしてるテーマは2つです。
1つは、RPO現場で動いているAIエージェントを、業界横断で使える形に磨き直すこと。
特定の顧客の業務にだけ最適化された道具じゃなくて、「採用業務の標準モジュール」として再利用できる粒度まで設計し直す。地味なんですけど、これが一番効く仕事だと思っています。
もう1つは、RPOで得た知見を、人事領域のほかの場所にも横展開すること。
採用で得た「業務をAIに翻訳するノウハウ」って、人事制度の領域でも、人事基幹システム導入の領域でも、業務運用の自動化でも、けっこう効くんですよね。
事業を独立させるんじゃなくて「知識の循環」で勝つ。
これがAsikazeの設計です。
全部正しいかは、正直わかりません。5年後に「あれ間違ってたなぁ」と思っているかもしれないし、それはそれでまた書きます。とりあえずいまは、この方向で本気で動いてます。
僕は大学時代に見事に失敗していて、そのときに「相手のwinを考えないと結局首になる」っていうのを身をもって学んだので、AIエージェントも同じだと思っています。お客さんのwin、現場のwin、僕たちのwin、全部揃わないと続かない。
そういう事業をやりたいんですよね。
■ こんな人と一緒にやりたい
- 採用業務の知見を、AIで再発明したい人
- RPO/HR SaaS/採用コンサルの現場で、「ここはAIに任せていいよね」と感じたことがある人
- 「人にしかできない仕事」を守るために、機械に任せる範囲を広げていきたい人
- 大手の看板じゃなくて、自分の手で採用市場を変えに来たい人
「ちょっとわかるかも」って思ってくれる人がいたら、まずはカジュアルに話せたらうれしいです。
DMでもメールでも、お気軽にどうぞ!
ps.社内写真を入れたいけど最近写真を撮ってない