前編では、管理者として“任される側”から“任せる側”に成長した経験を伺いました。
後編では、さらに踏み込み、実際の「任せ方」や「後輩との関わり方」、チームをどう育てているかについて深掘りしていきます。
任せて「しんどかった」失敗——原因はスケジュールと“言語化”
── 人に任せて正直しんどかった、失敗した経験はありますか?
神山:あります。マネジメントとして経験が浅くて、お願いしたタスクが納期ギリギリになりそう、遅れそうっていう状況に直面した時ですね。お願いした時のスケジュール感の見積もりや共有の仕方が良くなかったな、っていう失敗はありました。
自分の中に「こういう実装でやる」という案があるので、最終的に自分が巻き取ることもできてしまう。でも巻き取らずに任せ切るべきところで、それができなかったことが失敗だったなと。
柿添:私もあります。原因は自分の言語化が足りなかったこと。意図や背景を伝えきれないまま進めてしまった。特に「なぜ必要か」という真の目的を共有できてないと、設計や実装の重要な場面で小さな認識違いが積み上がって、結果として大きなズレになって手戻りになる。だからタスクを渡すときは、目的、注意点、リスク、確認ポイントをセットで言語化して渡すようにしてます。
文章が雑だなと思う時もあるけど、とにかく要点だけでも先に送って早めに認識合わせする。返答がなかったら10分後くらいに噛み砕いて追いメッセージを送る、みたいな工夫もしてます。レビューの時間が十分に取れないとズレが大きくなるので、確認のリズムやタイミングは設計して、「この人にはここで確認を入れる」「この人は任せ切る」と、相手の成熟度に合わせて調整するようになりました。
技術だけでなく「事業」「チーム」を見る判断軸へ
── 技術だけを見ていた頃と比べて、判断軸はどう変わりましたか?
神山:利益が会社に残るかどうか、機能を入れることでクライアントの売上につながるか、業務効率化になるか、そういう視点が増えました。技術面でも、その技術を長く使い続けられるか、という判断軸が入ってきた。エンジニアはどうしても目の前の「作る」に集中しがちなんですけど、視点を上げて物事を見れるようになってきたと思います。
総合的に判断して、機能の実装や技術選定ができるようになってきたかなと。
柿添:対クライアントは、技術的に可能かだけじゃなくて、工数や投資に対して効果があるのか、事業上の優先順位は何か、を強く意識するようになりました。
効果はあるけど小さくて工数が大きい、みたいなこともあるので、「本当に今やるべきか」「別の打ち手はないか」も判断に入れてます。
チームに対しては、失敗を個人の責任に閉じない。チーム全体の責任として受け止める姿勢を作りたい。一緒にいれば解決できる、挑戦しても大丈夫、失敗しても取り返しがつく、と思ってもらえる進め方を判断軸に入れています。チームをギスギスさせたくないし、「ずっとこのチームで働きたい」くらいに思ってほしい。
加えてAI時代なので、属人化しない再現性の高いものを取り入れたい。内部ドキュメント整備やAIワークフロー、テストや静的解析など事前のガードを作っていく判断もしています。「一緒にいて心地よい」ことと、「ミスを自動でガードできるところはガードする」こと。その両方を軸にチーム運営を考えてます。
若手やメンバーを見るときに大切にしていること
── 今、若手やメンバーを見る時に一番意識していることは何ですか?
神山:まずは詰まってるのか詰まってないのか。渡されているものを、自分なりに進められているのか、状況の確認ですね。お願いする時には、その人が経験として成長できるか、という観点で見ています。最初の頃は丸投げだったんですが、今はサポーター的な役割として動くことも意識していて、作ったものを見て「こうした方がいいよ」とアドバイスするようにもしています。
柿添:同じく、その人が成長できる環境になっているかが一番です。そして、前向きに取り組めているか、楽しくやれているか。ここはものすごく重要視しています。「楽しい?」「やりたいことない?」って結構聞いてます。こっちが口出ししすぎると自走の邪魔になるので、必要以上に口出ししないように心がけてるんですけど、つい言っちゃう時もある。だから「どう進めるのがいいと思う?」を本人に考えてもらって、それを経験として積んで、自分の言葉で説明できるところまでやってほしいと思っています。
「この会社だから任せる側になれた」——挑戦が回ってくる環境
── この会社だから、ここまで任せる側になれたと思う理由は何ですか?
神山:環境が一番大きいです。エンジニアとして仕事をする環境がすごく良い。他の企業だと短期間では触れないような技術やツールに触れる機会がかなりあるので、その中でエンジニアとして成長できたと思います。
柿添:私も環境が大きいです。主体として挑戦する機会が回ってくる。手を上げたら任せてもらえる。もちろん一定の前提は必要だけど、「やりたいです」って言ったら通ることが多い。それをいきなり一人で抱えるんじゃなくて、困った時にCTOや周りにすぐ相談できる距離感がある。みんな出社してることも多いので、支援を受けながら前に進める環境が整ってる。簡単じゃない要求や案件も多いから、必然的に技術力を上げないといけない場面が多くて、それも成長につながった。段階的に難易度も考えて仕事を振ってもらえたから、任される側から任せる側へ自然に役割が広がっていったと実感してます。
数年前の自分へ、そしてこれから入社する人へ
── 数年前の自分と、これから入社する人に一言ずつお願いします。
神山:数年前の自分へは「もっと勉強しろ」「もっと失敗しろ」。その一言ですね。
これから入社する人へは、クライマーはエンジニアとして成長できる環境が整ってると思うので、キャリアとしてかなり成長できる環境なんじゃないかなと思います。
柿添:数年前の自分へは、技術のキャッチアップは必ず継続すること。速度だけじゃなくて、背景や目的を必ず確認する癖をつけること。失敗は避けられません。失敗します。でも正しく振り返って学びに変えれば、確実に次の成長につながる。案件も同じで、失敗した案件から学びを得て次に活かせば、自分も会社も成長できると思います。
これから入社する人へ。クライマーはまだ成長途中です。分からないことは早めに相談して、仮説を持って動けば、技術的にもキャリア的にも任される範囲が広がって、見える景色が変わってくると思います。一緒に前に進める方と働けるのを楽しみにしています。
インタビューを終えて
今回の対話で一貫していたのは、「任せる/任される」を“作業の配分”として捉えない姿勢でした。
神山さんが語った「失敗の経験が成長の起点になった」という実感。
柿添さんが言語化してくれた「任されるとは、意思決定と責任の範囲を引き受けること」という定義。そして、チームが安心して挑戦できるように、目的共有・確認リズム・仕組み化・再現性(AIの活用)まで含めて設計していく姿勢。
クライマーには、手を挙げれば挑戦が回ってきて、困った時に相談できる距離感がある。そして、難しい要求に向き合う中で、技術だけでなく事業やチームを見て判断する力が育っていく。
「もっと勉強しろ、もっと失敗しろ」という言葉が前向きに響くのは、失敗を学びに変える文化があるからだと思います。
これから入社する方にとって、このインタビューが「自分もその意思決定の輪の中に入っていける」と感じるきっかけになれば嬉しいです。
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