【働き方リアル / EC領域バックエンドエンジニア】国境を越えて“チーム”になる。ベトナムエンジニアとつくるニトリの開発現場
2023年にニトリデジタルベースに中途入社され、現在はEC領域のバックエンドエンジニアとして活躍中のM・Dさんに“EC開発チームならではの働き方の魅力”にフォーカスをあててお話をうかがいました。EC開発チームの特徴は2024年夏に立ち上げたニトリデジタルベースベトナムとの協業です。実際、どのように業務を進めているのかをご紹介いただきます。
Q.ニトリデジタルベースベトナムがあるハノイに出張されていたとのことですが、目的を教えてください
今回の出張は主に2つの目的がありました。
ひとつは、これまでベトナム拠点と協業する中で見えてきた課題について、現地メンバーから詳細を直接ヒアリングし、背景や原因を含めて解像度を上げたうえで、具体的な改善方針を決めることです。オンラインでも会話はできますが、実際の業務の進め方や困りごとのニュアンスは対面のほうが掴みやすく、短期間でも集中的に議論することで意思決定のスピードを上げられると考えました。
もうひとつは、その改善方針を踏まえて、今後ベトナム拠点とより広い範囲で協業できるようにするための方針を検討することです。現状の役割分担やコミュニケーションの取り方を見直し、「どの領域を任せることが双方にとって有益か」「どうすれば品質とスピードを両立できるか」といった観点で、協業の仕事の範囲を広げるための方向性を現地とすり合わせました。今回の出張は、課題を解消するだけでなく、拠点間の連携を次の段階に進めるための土台づくりの機会でもありました。
また、滞在期間中は何度か食事を一緒にして親睦を深めることもできました。
Q.拠点間でのコミュニケーションはいつもどのようにとっているのでしょうか
大きく分けて「会話」「チャット」「ドキュメント」の3つを軸に回しています。
会話については、毎日の朝会や定例ミーティングに加えて、必要に応じて都度相談の場を設けるなど、こまめにすり合わせる機会を作っています。時差や距離があっても、進捗や困りごとを早めに共有できるように意識しています。
言語に関しては、ベトナム拠点には日本語を話せる方・話せない方がいて、日本拠点にも英語を話せる方・話せない方がいますが、基本的には英語で進めることが多いです。
ただ、参加メンバーの状況によっては日本語で会話するケースもあり、その場の最適な形に柔軟に合わせています。
チャットは基本的に英語をベースにしており、成果物の共有やレビューのやりとりなど、日々の細かな連携をスピーディに行っています。口頭でのすり合わせだけに頼らず、テキストで履歴が残る形にしておくことで、認識のズレを減らすことにもつながっています。そして、拠点が分かれているからこそ特に大事にしているのがドキュメントです。どんなタスクであってもドキュメントを作成することを徹底していて、背景や目的、仕様、判断理由などをきちんと残すようにしています。言語や拠点を超えて同じ情報にアクセスできる状態を作ることで、チーム全体の意思決定や開発スピードが安定すると感じています。
Q.国が異なる、離れた拠点のメンバーと業務を進める上での難しさや課題はありますか
やはり一番難しさを感じるのは「会話だけで物事を正確に伝えること」です。
拠点が離れていると、ちょっとした確認もテキストやオンライン会議が中心になりますし、言語の制約もあるので、こちらの意図や背景、細かいニュアンスまで含めて伝えるのが難しい場面が多々あります。
特に英語については私自身がまだ勉強中ということもあり、細かな表現や言い回しで「ここまで正確に伝えたい」というところが、思うように言語化できないことがあります。
結果として、認識合わせに時間がかかったり、こちらが補足を重ねたりする必要が出てくることもありますね。
また、対面であればホワイトボードに図を書きながら「こういう構造で」「この部分がボトルネックで」と視覚的に説明できるのですが、リモートだとそれがすぐにできないもどかしさも感じます。仕様や設計の話は、文章だけだと伝わりにくいことも多いので、「ホワイトボードがあればいいな」と思うことは少なくありません。そういった制約があるからこそ、普段以上にドキュメントを丁寧に残したり、図やサンプルを用意したりして、共通認識を作る工夫が必要だと感じています。
Q.難しさ、課題に対して提案や実施した打ち手はありますか
会話でのコミュニケーションももちろん大事にしつつ、基本的には「ドキュメントでのコミュニケーションを起点にする」ようにしています。拠点や言語が違うと、口頭だけで認識を揃えるのはどうしても限界があるので、まずは共通の土台になる情報を文章として残し、そこから議論を進める形です。
具体的には、どんなタスクに対しても必ず1ページのドキュメントを作成しています。これはDesign Docのスタイルに影響を受けていて、タスクの背景や目的、やりたいこと、検討事項、相談したいポイントなどをコンパクトにまとめます。
最初にこの1枚があるだけで、相手が状況を一目で理解しやすくなり、議論が「前提の確認」ではなく「意思決定」に向かいやすくなるんです。
また、ドキュメントには文章だけでなく、絵や図も積極的に使います。構成図やフロー図、簡単なイメージ図があるだけで、言語の壁や拠点間の距離による伝達ロスをかなり緩和できますし、ホワイトボードが手元にない状況でも同じように視覚的な共有ができます。こうした形で、情報の伝え方そのものを工夫しながら、拠点をまたいだ協業の精度とスピードを上げるようにしています。
Q.“いつもの働き方”についても教えてください。
私は、コミュニケーションをスムーズに進めたいという思いが強いので、基本的には出社して働くスタイルが好きです。実際、週の半分以上はオフィスに足を運んでいて、対面でさっと相談できる環境を活かしながら業務を進めています。
一方で、自宅から会社まで片道1時間半ほどかかるので、毎日出社に固定するのではなく、在宅勤務も一定の割合で取り入れています。移動時間を減らして趣味の時間を確保したり、集中して作業を進めたい日に在宅を組み込んだりと、仕事の生産性とプライベートのバランスを見ながら柔軟に調整しています。
お昼は、お弁当を持参しているメンバーも多く、チームの同僚と一緒に会社の休憩スペースで食べることがよくあります。仕事の話だけでなく雑談もしながら過ごせるので、自然とコミュニケーションが増えて、午後の仕事にも良いリズムが作れていると感じます。
【EC開発チームマネージャーの取り組み】
日本・ベトナムでの開発を推進するうえでの“工夫”
EC開発チームは東京・札幌・ベトナムの3拠点で開発しているので、コミュニケーションと情報共有は「仕組みで迷いを減らすこと」と「人と人の距離を縮めること」の両方を意識して工夫しています。
〈ミーティング〉
まずミーティング面では、ベトナム側のマネージャー陣と私が直接話す場を隔週で設けています。そこで「今お互いに何を期待しているか」「何が足りていないか」を率直に議論し、課題をため込まずに早めに揃えるようにしています。
現場のチーム運営としては、日本とベトナムを合わせて10名程度の小さなチームを複数つくり、各チームで毎日朝会を実施しています。人数をあえて絞ることで、単に「誰かがやっている」ではなく「この領域はこの人」という形で、名前とスキルが一致する状態をつくりやすくなるのが狙いです。
また、オンライン前提だからこそ「表情が見える」ことも大事にしています。ミーティングでは基本的にカメラをオンにして、相手の反応を見ながら会話できるようにしています。さらに、会議はすぐに本題に入らず、最初にアイスブレイクの時間をつくって話しやすい空気をつくるようにしています。国や拠点が違うと、ちょっとした雑談が減りがちですが、そこで心理的な距離を縮めるだけで、その後の議論の質が上がる実感があります。
〈言語〉
言語面では、チャットでのやりとりは英語を基本にして、日本とベトナムで意思疎通しています。開発の進行もチケットベースで管理していて、チケットは英語で記載する運用です。ミーティングについても、司会進行は英語、会話もなるべく英語に寄せる取り組みを始めています。現状、すべてのチームがオール英語で回せているわけではありませんが、少しずつ標準にしていきたいと思っています。言語の壁を越えるために、画面共有でメモ帳を開き、伝えたい内容の翻訳文を映しながら進めるなど、その場でできる工夫も取り入れています。司会も日本側・ベトナム側で固定せず、分け隔てなく担当するようにして、チームとしての一体感につなげています。
ドキュメントについても、業務側にそのまま見せる必要がないもの、たとえば要件定義書以外の開発寄りの資料は英語化していきたいと考えており、こちらも取り組みを開始しています。情報が日本語に閉じてしまうと、拠点間での認識差が生まれやすいので、「誰が読んでも同じ理解にできる」状態を目指しています。
〈アサイン〉
最後にアサインの考え方ですが、特にプロジェクト規模が大きい場合は、日本とベトナムをなるべく混ぜた体制にして、拠点をまたいだコミュニケーションが発生するようにしています。グローバルチームとして一緒に良いプロダクトを作る、という前提を崩したくないからです。また、ベトナム側からのアサイン希望も受け取り、できる限り取り入れています。細かいアサインについても相談しながら依頼し、チームとして納得感のある体制づくりを意識しています。
【ベトナム拠点の声】
ベトナム拠点で活躍する2名のエンジニアから話をうかがいました
【ベトナムメンバーへの質問1】
日本拠点との連携で、特にうまくいっていると感じる点はありますか
ベトナムと日本という拠点の違いを越えて「一つのチーム」として運営できている点です。チャットや定例会議でのやり取りはとてもスムーズで、相談や確認に対して日本側から早めに回答が返ってくるため、開発の判断が滞りにくいのが助かっています。
また、不明点が出たときに「文章でのやり取りだけで終わらせない」文化があるのも大きいです。必要に応じていつでもTeamsで会議を設定し、理解できるまで丁寧に説明してもらえるので、認識のズレを早い段階で解消できます。困難な場面に直面したときも、日本のチームメイトが必ず支えてくれるという安心感があり、個人が抱え込まずに前に進めます。
さらに、仕事を進める中で発生する課題に対して、継続的に改善を回せている点も連携の強さを感じる部分です。例えばリリース手順のように、運用しながら頻繁にレビューを行い、より良い形に更新していくことで、チーム全体の生産性や品質が着実に上がっています。
こうした連携が成り立つ背景には、オープンなコミュニケーションと心理的安全性があります。自分の声がきちんと聞かれ、アイデアが尊重されると実感できるからこそ、改善提案もしやすいですし、日々のちょっとした雑談や冗談を交えながらリラックスして働けるのも魅力です。仕事だけでなく人としてのつながりを大切にできる環境が、拠点を越えた強いチームワークにつながっていると感じています。
【ベトナムメンバーへの質問2】
日本側とのコミュニケーションで工夫していることはありますか
日本側とのコミュニケーションで工夫しているのは、「最初に前提を揃えること」と「手段を使い分けて無駄を減らすこと」です。依頼や相談をするときは、いきなり結論だけを投げるのではなく、背景や目的、期待しているアウトプットや期限感を事前にきちんと共有するよう徹底しています。これだけで認識のズレが大幅に減り、やり取りの回数も最小限にできます。
また、まずは文章で情報を整理して伝えることを意識しています。特に論点が多い課題や議論が長くなりそうなテーマでは、会議の前に「核心となる課題」と「背景」を簡潔にまとめて送ります。そうすると、ミーティング開始時点で全員が同じ理解を持てるので、会議では技術的な検討や意思決定に時間を使えるようになります。
コミュニケーション手段も状況に応じて選びます。軽い確認や共有はチャットで、複雑な内容や誤解が起きやすい内容はTeams会議で素早くすり合わせます。チャットでも、適切なチャネルやグループを選んで関係者に届く形にすることで、情報が埋もれないようにしています。
さらに、デイリーミーティングを活用して進捗や困っている点をオープンに共有し、行き詰まったら早めに助けを求めるようにしています。課題を話すことに抵抗はなく、誰かが抱え込むよりも、問題を見える化した方が良い解決策が生まれると考えています。こうした小さな工夫の積み重ねが、拠点を越えたスムーズな連携につながっています。
【ベトナムメンバーへの質問3】
ニトリデジタルベースのチームの好きなところや働きやすいと感じる点はありかすか
好きなところ、働きやすいと感じる点は、拠点や言語の違いに左右されない「オープンで協力的な文化」と、会社全体に根付いた「サポートの厚さ」です。
日々の業務の中で、誰かが困っていたら自然に声をかけ合い、必要な情報や知見を惜しみなく共有する空気があります。相談しやすく、意見も言いやすいので、一人で抱え込まずに前に進めるのが大きな安心につながっています。
特に印象的なのは、助け合いが開発チームの中だけに留まらないことです。ビジネス側やマネジメントを含む部門横断のメンバーからも一貫してサポートを受けられ、複雑な課題や障害に直面したときでも「誰かが必ず手を差し伸べてくれる」と感じられます。
チームの枠を越えて協働することが当たり前になっているので、調整や連携で摩擦が起きにくく、スピード感を持って仕事を進められます。
また、この環境ではミスを必要以上に恐れなくていいのも働きやすさの理由です。失敗を責めるのではなく、次に活かすために一緒に改善していく姿勢があるため、チャレンジや提案がしやすく、結果的にチームとしての成長にもつながっています。支援的で風通しの良い文化があるからこそ、安心して仕事に集中できる職場だと感じています。
【ベトナムメンバーへの質問4】
ベトナム拠点として、今後日本拠点と一緒に挑戦したいことはありますか
ベトナム拠点として今後日本拠点と一緒に挑戦したいのは、まず現在できあがっている「良い文化」を維持しながら、役割と責任の範囲を着実に広げていくことです。
今も拠点を越えて一つのチームとして動けていますが、次のステップとして、ベトナム側でも要件定義や設計など上流工程への関与を増やし、単に実装を担うだけではなく、意思決定の背景にあるビジネスの文脈や「なぜ」をチームとして深く理解できる状態を目指しています。
また、エンドツーエンドのオーナーシップも強化したいです。自分たちが開発した機能やシステムを「作って終わり」にせず、保守・運用まで責任を持ち、品質や安定稼働を含めてプロダクトに継続的に価値を出せるチームへ進化していきたいと考えています。そのためにも、日本拠点と協力しながら、資料の整理方法やナレッジ共有の仕組みなど、日々の開発を支える基盤をより良くしていく余地があると感じています。
最終的には、ベトナムチームがニトリグループの開発拠点の一つとして確かな役割を担い、日本チームと本当の意味で共同のオーナーシップを持って、統一されたチームとしてプロダクトを前進させていく「真のパートナーシップ」を築きたいです。
ベトナムオフィスは設立からまだ日が浅く、成長の余地が大きいからこそワクワクしますし、同時にグループ全体のビジョンやロマンの実現に大きく貢献していく責任も感じています。