【寄稿】秩序(ルール)と虚構(フェイク)を乗りこなす
時は西暦二世紀、ローマ。暴君ネロの悪政から国民の政治への不満や怒りを鎮めるため、ウェスパシウヌス帝は発散させる装置(仕組み)を創り出した。それは「パンとサーカス」とも呼ばれた。パンとは穀物、つまり小麦のことで、主食の無料支給が行われた。サーカスとはいわゆるエンターテイメントのことで、剣闘士の決闘戦などが国の主催で無料で市民に提供された。その舞台となったのが、あの有名な円形闘技場「コロッセオ」である。最大八万人を収容したこの闘技場は、人口百万人規模の都市において破格の存在だった。国王を中心として、そこから後方へと身分が下がっていく。階級が一目でわかる光景は、ローマの秩序そのものでもあった。...