トリノ・ガーデン代表・中谷一郎に聞いた。この会社が何者で、なぜ今ここで人を集めているのか。
——トリノ・ガーデンは、どんな会社なのでしょうか。
飲食店の厨房、ホテルのフロント、建設現場の朝礼——人が動いているところには必ず、まだ誰も数えていない何かがある。私たちはその「数えられていない何か」を数える会社です。
動画で現場を観察して、人の行動を計測して、データに変換する。そこから売上や生産性を左右している本当の要因を解明して、改善の設計・実装・定着まで伴走する。それを「オペレーション分析」と呼んでいます。
この領域に本格的に取り組む企業は、国内外を通じてうち1社のみです。競合がいないというより、誰も踏み込もうとしなかったフィールドにいる。サッカーで言えば、世界中に競技人口がいるウェブマーケティングと違って、オペレーション分析というグラウンドには私たちしかいない。
クライアントは飲食・小売だけでなく、建設・製造・医療・教育・行政まで広がっていますが、共通するのは「人が関わる現場」であること。業種が変わっても、人の行動を読み解く技術は通用するんです。あなたが計測した一行のデータが、1000店舗のオペレーションを変えるかもしれない。そういうスケールの仕事です。
——なぜこの事業を始めたのですか。
正直に言うと、最初からオペレーション分析をやろうと思っていたわけではありません。
創業してから8年間、ずっと自分に問い続けていたことがあって。「自分だからこそしかできないものとは何か」って。うまくいかない事業を渡り歩いて、儲かる仕事を探して、でも何をやっても「自分じゃなくてもいいんじゃないか」という寂しさがついてきた。本音を言えば、もうどうにでもなれという気持ちで踏み出したこともあった。
それでも模索し続けた果てに、あるクライアントに出会ったんです。1000店舗規模のチェーンの担当者で、人の動きを数えてデータにするというアイデアを話したら「面白いね」と言ってくれた。その一言に応えたくて走り続けたら、2〜3年後に気がつくと競合がいない。他にプレイヤーが存在しないということが、少しずつ分かってきた。
なぜ誰もやらなかったか。変数が多すぎるからです。製造業なら今日の生産量が決まっている。でも飲食店は今日の客数が分からないまま仕込みが始まる。そば職人は気温・湿度・気圧によって毎回水の量を調整する。働く人も毎日違う。「人が関わる現場」は変数が複雑に絡み合っていて、科学するのが難しかった。だからこそ誰もやらなかった。だからこそ、そこに価値があった。
「日本一のサービスにしよう」と思って始めたのが、気づけばこの分野を世界で唯一科学する会社になっていた。狙ったことではなく、ただ目の前のお客さんの期待に応え続けた結果でした。
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——今、会社として大きな転換点にあると聞きました。
そうですね。私は社内でこれを「第3章」と呼んでいます。
第1章が、創業からオペレーション分析にたどり着くまでの8年間。第2章が、このサービスとは何かを確立して磨き続けた7〜8年間。そして2025年10月から、第3章が始まりました。
何が変わったかというと、オペレーション分析の位置づけです。第2章まで、これは自社のサービスだと思っていた。でもある時気づいた。これは世の中のものだ、と。
トリノ・ガーデンの都合で、オペレーション分析の成長を邪魔しているとしたら——それは、親が子供の成長を制限しているのと同じじゃないか。私がこだわってサービスをこう在るべきだと決めていたことが、むしろ成長を止めていたかもしれない。当初は5人くらいの少数精鋭でやりたいと思っていたのも、今思えば私のエゴでした。それに気づいた瞬間、採用も組織体制も、全部ギアを上げようと決めました。
だから今回の募集は、単なる人手不足の解消ではない。オペレーション分析を世の中に解き放つための、第一歩です。
——この仕事で大切にしていることを教えてください。
効率化すればいい、合理化すればいい——それだけでは絶対にダメだということです。
よく例として出すのがラーメン屋の湯切りです。あの豪快な所作、効率だけで考えたら不要かもしれない。でも、あの動きがその店の空気をつくっている。見ているお客さんが惹かれて、あそこで働きたいという人が集まってくる。効率一辺倒で消してしまったら、そのお店の本当に大事なピースが失われてしまうかもしれない。合理性の追求が、ビジネスの本質を壊すこともある。
数字を動かすことが目的ではないんです。そのビジネスが本来もっている力を最大化すること。クライアントの歴史・文化・そこで働く人たちの心理まで踏み込まなければ、本当の改善には届かない。
もう一つ大切にしているのが、直接原因ではなく根本原因を見ること。同僚が風邪をひいた。直接原因は雨に濡れたこと。でも根本原因は、天気予報を確認して傘を用意するという習慣がなかったこと。数字を一時的に変えるだけでは不十分で、関わった後もずっと改善し続ける組織をつくることが目標です。プロジェクトが終わった瞬間に元に戻るような改善には、意味がない。
逆説的ですが、数値化することで初めて見えてくるものがある。何十年もその事業をやってきた経営者が、データを前に「これが自分たちの強みだったのか」と気づく瞬間がある。あるパン屋の事例では、職人が長年の勘で作り上げてきた商品の魅力が、入店・立ち止まり・手に取るという行動データによって初めて言語化された。職人の感覚が数字になる——その瞬間の興奮を、クライアントと一緒に体感できる。これが仕事なんです。
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——どんな人と一緒に働きたいですか。
合理的に分析したいだけなら、そういう会社に行けばいいと思っています。
うちが大事にしているのは、クライアントの歴史や文化を踏まえた上で、あえてこの表現をする、この伝え方をする、という判断ができること。数字を動かすことより、そのビジネスを本当に理解することの方が先にある。そこが、人間がやる意味だと思っているから。
人の行動の「なぜ」が気になって仕方ない人がいい。街を歩いていて、行列ができているお店を見ると「何が違うんだろう」と考えてしまう人。数字の奥にある物語を読もうとする人。今うちで活躍しているメンバーには、そういう人が多い。
知的好奇心と、人への関心。その2つがあれば、経験は問いません。これまでに入社したメンバーの中には、自社内で改善提案を続けても一向に通らず、それでも諦めきれなくて転職してきた人もいる。改善したいという気持ちに、出口を与えられる場所でありたいと思っています。
入社後まず担当するのは、現場動画の観察・計測・集計です。地道に見える作業ですが、ここで培われる「現場を読む目」が、分析担当としての土台になる。経験が積まれるにつれ、分析・提案・クライアントとの対話へと広がっていきます。自分の仕事が世の中に与えるインパクトの大きさと、それを直接感じられる近さが、この会社の特徴です。
——最後に、今このタイミングで入社することの意味を教えてください。
5歳のころ初めて新幹線に乗って、激怒したんですよ。全然揺れないし、速いんだか遅いんだかわからない。でも特急列車でガタガタ揺れながら景色が変わっていく体験を積んでから乗ると、新幹線のすごさが全身でわかる。
今入社する人たちは、まだバイクに乗りながら車を組み立てている段階の景色を体験できる。整いきる前の、作り上げていく過程にいられる。おそらく、この体験ができる最後の世代になると思っています。
昔からいる人ほど楽しみが大きい会社にしたい。だから今来てほしい。自分の一つの計測が、何万人もの現場を変えるかもしれない。そういう手触りのある仕事が、ここにあります。まずは話を聞きに来てください。