分析会社なのに、私たちは「こうすべきです」と言いません。
データ上どう見てもAという施策をしたほうがいい、という結果が出ているときでも、です。代わりにこう聞きます。「私たちはこう考えていますが、皆さんはどうお考えですか」。
あるラーメンチェーンの社長には、こう言われました。答えが見えているのに決して言わない、こちらに言わせるんだ、と。半ば笑いながらでしたが、そうした姿勢が抵抗感を和らげてくれた、とも話してくださいました。
■ 正しい答えを渡しても、現場は動かない
外から来た人間が「こう変えてください」と言ったとき、現場に何が起きるか。多くの場合、正しさは伝わります。ただ、納得は生まれません。
納得しないまま始まった施策は、上が見ていないところで元に戻ります。怠慢ではなく、自分が納得したやり方のほうが速いと身体が思っているからです。
だから私たちは、事実だけを机の上に置きます。そこから何を選ぶかは、その会社が決める。遠回りですが、これが結局いちばん速いと考えています。
■ 耳の痛い結果を、どう渡すか
分析をすれば、必ず誰かにとって耳の痛い結果が出ます。それをそのまま提出して終わりにはしません。
同じラーメンチェーンの社長が、こんなふうに振り返ってくださっています。「この結果を出すと、管理職からはこうしたリアクションがあると思います。そしたらこう手を打ちましょう」「この部署ではこういう心情になることが予想されるので、この段取りでいきましょう」。本部と現場の関係性や感情を考慮したうえで、打ち手を一緒に考えてくれた、と。
つまり、報告会の前に、報告会のあとに何が起きるかを設計しています。誰がどの数字を見て、どんな顔をするか。そこまで含めて準備する。これがカスタマーサクセスの仕事の中心です。
■ 順番も、設計の対象です
同じ会社で、最初にどこから手をつけるかでも議論がありました。
先方は「厨房から着手すべきだ」と考えていました。オペレーション分析の概念はもともと製造業から来ているので、製造工程に近い厨房から始めるのが自然だ、と。
私たちが提案したのは、ホールからでした。理由は2つです。厨房は現場のこだわりが強く、第三者がいきなり入ると社内の抵抗が起きやすいこと。そして、目に見える結果を短期で出しやすいのはホールだということ。
一手目から全体観を持って着手してくれたのはありがたかった、と後に言っていただきました。何を分析するかと同じくらい、どの順番で分析するかが結果を左右します。
■ 数字に強い必要は、あまりありません
ここまで読んで、高度な分析スキルが要る仕事だと思われたかもしれません。実際には違います。数字は分析チームが出します。
このポジションで求められるのは、拒まれたときに引き下がらず、かといって押し切りもせず、相手が自分から動くまで待てることです。相手の誇りを折らずに、事実を差し出す。その距離感を面白いと思えるかどうかが、いちばんの適性だと思っています。
入社後は、延べ150時間の教育カリキュラムがあります。「データ分析の考え方」「ロジカルシンキング」。ゼロから専門知識を積み上げられるよう設計したものです。メンター制度と定期カウンセリングもあります。
私たちのフィロソフィーは「Make It Fun」。
誰も見向きもしなかった地味な場所を掘り下げた先にこそ、本当の面白さがある、という信念です。答えを言わずに、相手が自分で気づくところまで持っていく。そういう仕事に関心を持たれた方と、話をしてみたいと思っています。