以前、AI面接を導入したという記事を書きました。
あれから4か月ほど経ったので、運用してみてどうだったかを正直に書いておきます。
AIが面接官?最初は違和感。でも、ここに会社の本気がある | レンチナス奥羽伊勢株式会社
まず、率直な感想から。
AIが相手だと、やっぱり違和感はあります。話しづらいという声も多かった。
当たり前ですが、相槌もなければ表情もない。
画面に向かって一人で喋っている状態に近い。
人によっては、かなりやりにくいと思います。
ここは擁護のしようがない。そもそも対面のほうが話しやすいに決まってますし。
それでも続けているのは、いくつか利点があるからです。
ひとつは、客観的に数値が出ること。
人間が面接をすると、どうしても印象に引っ張られます。
感じがいい人だと評価が甘くなるし、その日の自分の機嫌も影響する。
AIは、そういう揺れがない。同じ基準で、淡々と点数を出してくる。
都会の人事部のようなものが地方企業にあるかと言ったらそんなこともなく、逆にほとんどの企業はないと思うのでここは助かる面でもあります。
もうひとつは、受ける側にとっても自己分析になること。
質問に答えながら、自分の経験をどう説明するか整理することになります。
ちゃんと向き合えば、自分の強みと弱みが見えてくる。
これは対面の面接では得にくい効果だと思います。
で、実際に採用に至ったケースもありました。
面白かったのは、AIが指摘していた弱点が、働き始めてから本当に見えてきたことです。
ある項目の評価が低く出ていたんですが、一緒に仕事をしていると、たしかにそういう場面がある。
しかも本人も、そこは苦手だと自覚していた。
AIの見立てと、現場の実感と、本人の自己認識が一致した形になります。
これは、けっこう驚きました。30分ほどの会話から、そこまで分かるのかと。
逆に言えば、AIが見ているのは会話の組み立て方なんだと思います。
質問に対してどう答えを構成するか。
その癖が、仕事の進め方にもそのまま出る。そう考えると、納得できる部分はあります。
ただ、手放しで褒める気はありません。
このサービス、まだ完成していないと思っていて、今後どんどん精度は上がっていくんでしょうが、現時点では明らかな欠陥もあるのかなと。
たとえば、質問の意味が分からなくて聞き返したら、AIがそのまま次の質問に進んでしまったことがあり、それが回答できなかった扱いになって、点数がつく。
人間の面接官なら「あ、伝わらなかったですね」と言い直すところを飛ばされてしまうので受けてる人からしたら色んな意味で怖い。
つまり、AIの操作に慣れているかが点数に影響する余地がある。
本来、測りたいものではありません。
だから、あくまで参考程度に使っています。
AI面接の結果だけで落とすことはしないし低い点数が出ていても、その後の面接で会って話します。
逆に、高得点だからといって通過が決まるわけでもない。
判断材料のひとつ、という位置づけです。
何が苦手な傾向があって何が得意なのかを客観的にみてみる程度。
実際、スコアが振るわなかった人と会ってみたら印象が違った、ということも起こり得ます。
数値は数値として受け取って、そこから先は自分たちの目で見る。
今のところ、その距離感が一番しっくりきています。
そもそも、うちがAI面接を入れた理由は、効率化だけではありません。
地方の小さな会社なので、応募者と面接の日程を合わせるのが大変なんです。
AI面接なら、相手の都合のいい時間に受けられる。移動も要らない。
遠方の人にとっては、最初の一歩のハードルが下がるしそこが一番大きいと思っています。
実際、うちの募集は移住を伴うものですから、応募する人の多くは遠くに住んでいます。いきなり秋田まで来てくださいとは言えない。
違和感があることは認めます。話しづらいことも認めます。
それでも、最初の接点としては機能している。
もし受けることになったら、身構えずにやってもらえたらと思います。
点数が低かったから終わり、という使い方はしていないので。
うまく答えられなかったところは、後で人間が聞きます。
AI面接では魂のこもったコミュニケーションはできないので。
でも、きっと面白い体験になると思います。