国が25年ぶりに、農業のルールを書き換えた
こんなこと言いたくはないですが、農業のニュースというのは、だいたい暗い話から始まります。
担い手が減っている、農家の平均年齢が上がっている、儲からない。
そんな中で、2024年に国が農業の一番大もとの法律を書き換えました。
地味なニュースでしたが、採用の仕事をしている身としては、けっこう大きな出来事だと思っています。
農政の「憲法」が変わった
その法律が、食料・農業・農村基本法です。
国が農業をどういう方向に進めるのかを決める、いわば農政の土台になる法律で、1999年に作られました。
それが2024年5月に改正されて、6月から施行されています。
25年ぶりの大きな見直しでした。
”何が変わったのか”
変わった点はいくつもありますが、特に気になったのは三つです。
一つ目は、食料安全保障が柱になったこと。
国全体として食料を確保するだけでなく、国民一人ひとりが食べ物を手に入れられるようにする、という考え方がはっきり書き込まれました。
二つ目は、価格の話です。
作るのにかかった費用がきちんと考慮された「合理的な価格」で取引されるようにする、という方向が示されました。
資材費や電気代が上がっても、それを値段に反映できない。
農家がずっと抱えてきた問題に、国が正面から触れたということです。
三つ目は、人が減っていく前提で農業を続けること。
少ない人数でも回るように、生産性を上げる、付加価値を上げる。
そのためにスマート農業などの技術を広げていくことも、はっきり位置づけられました。
レンチナスにとっての意味
この三つは、どれもレンチナスの現場の課題とそのまま重なります。
夏の電気代は年々重くなっているのに、椎茸の値段にはなかなか反映できない。
だからうちは、黒椎茸のように相場とは別の値段で選んでもらえる商品を作ってきました。
人の手に頼っている作業も多く、少ない人数で回す仕組みはまだこれからです。
たとえば夏場は、外が35度ある日でも、ハウスの中を20度以下に保たなければいけません。その温度差を、電気の力だけで埋めている。
電気代が上がった分を椎茸の値段に上乗せできれば楽ですが、市場の相場は電気代の事情を待ってくれません。
「合理的な価格」という言葉が法律に入ったのは、こういう現場の苦しさが、ようやく国の議論に届いたということだと受け止めています。
ハウスの湿度は85〜90%に保ち、換気は24時間止めない。
こうした管理は今、人がこまめに見て回ることで成り立っています。
ここに機械やデータを入れられれば、同じ人数でもっと多くを作れるようになるはずです。
伊勢社長は、農業でどこを目指すかについてこう話していました。
「目指すところは、ちゃんとみんなで儲かるなっていうところ」
国の方向と、社長が言い続けてきたことが、同じ方向を向き始めた気がしています。
法律が変わっても、現場はすぐには変わらない
ただ、法律が変わったからといって、明日から椎茸の値段が上がるわけではありません。取引先との交渉も、作業の効率化も、新しい商品づくりも、結局は自分たちでやるしかない。
国が示したのは方向で、中身を作るのは現場です。
裏を返せば、農業はこれから「変えていく側」に回れる仕事だということでもあります。国が後押しする方向に、自分の手で形を作っていく。
今までの長い歴史、農家は市場次第なところがすごく強かった。
でも今の時代はそうじゃない。
動き出した農家から大きな発展をしていけるんです。
農業が面白くなるのはまさにこれから。
こんな仕事に面白さを感じる人と、一緒にやっていけたらと思っています。
一緒に働きましょう!