新部長/副部長インタビュー連載vol.3「すべての経験が、いまにつながる」—クラダシの新規事業を率いるリーダーが語る“本質的な成長”
2025年1月、クラダシは新たに再生可能エネルギー事業へ参入し、「グリーンインフラカンパニー(GIC)」を立ち上げました。その中心メンバーであり、今年7月より同カンパニーの部長に就任して事業をけん引しているのが、山口達也さん(通称:やまたつ)です。
再エネは地球の未来に不可欠なエネルギー源。しかし、天候に左右されるなどの課題も多く、安定供給には工夫が必要です。クラダシでは、系統用蓄電池を活用することで電力ロスを減らし、再エネ普及を後押しする取り組みを進めています。
今回は、そんな全くの新規事業をゼロから立ち上げる、この挑戦の背景にある、やまたつのキャリアや想いを聞きました。
目次
- 「このままでいいのか?」から始まった挑戦
- 「挫折の連続だったけど、全部が糧になった。」自分の“仕事の本質”
- “自分のため”から“会社のため”へ。
- チームで未来を創る。“クラダシらしい再エネ事業”をドライブするリーダーの挑戦
- Comfort Zoneを抜け出す勇気が、キャリアを進化させる
「このままでいいのか?」から始まった挑戦
――今回、再生可能エネルギー事業という全くの新規事業の推進担当者として白羽の矢が立ちましたね。これまでのキャリアを教えて下さい。
私は新卒で三菱商事に入社し、電力会社向けに発電用燃料油を供給する事業を担当していました。商社というダイナミックな環境の中で社会人としての基礎を学び、ビジネスの現場で物事をやり抜く力を磨くことができました。
入社4年目を迎えた頃、「この会社で活躍しつづけることが、これからの時代に通用する“優秀なビジネスパーソン”につながるのだろうか?」という疑問が芽生え、より成長できる環境を求めて転職。営業力と課題解決力を磨いたUZABASEを経て、3社目のエネルギーテック企業へ。電力会社向けクラウドシステム事業の開発を担当し、副事業部長としての責任の重さに悩みながらも、事業を前に進める経験を培いました。
これらの経験を通じて、「社会に貢献できる事業」と「自分らしく働きながらポテンシャルを最大限発揮できる組織」という2つの軸が、自分のキャリアにおいて大切だと気づきました。その考えに共感し、前職の上司に声をかけてもらって入社したのがクラダシであり、今はその想いを形にする挑戦を続けています。
――もともとエネルギー関連の領域で働かれていた経験があったんですね。
はい。新卒のときから「仕事を通じて社会や世の中に貢献したい」ということをすごく意識してきました。大学生のときに父を亡くした経験から、「当たり前にあるものって、実は当たり前じゃない。誰かの努力や支えのもとで成り立っているものなんだ」と気づき、そのときから、人の生活の根幹に関わる“エネルギー”や“食”といった領域で仕事をしたいという気持ちが強くなったんです。
人が生きていくうえで欠かせないものを、どう維持し、どう発展させていくか。
そうした社会のベースを支える仕事に携わりたいという思いは、今でも変わっていません。これから先、数十年、数百年と時代が進んでいく中で、自分の子どもや孫の世代が安心して、豊かに暮らせる環境を整えていく。その“土台づくり”に貢献できる仕事をしていきたいと、強く思っています。
「挫折の連続だったけど、全部が糧になった。」自分の“仕事の本質”
――とても素敵ですね。そんな想いのもと挑戦したクラダシでは、これまでにどのようなキャリアを歩まれてきましたか?
クラダシでも、色々と経験させていただいています。気づけば、経営・開発・現場と、クラダシの事業を一通り経験し、事業を俯瞰的に捉える力が身についたと感じています。
▽クラダシでの経歴
・2022年10月~2023年3月:経営戦略室
常温倉庫の移転・集約や「Kuradashi gift」の設計、さらにたまプラーザテラスでのオフライン店舗出店を見据えた都内各所でのポップアップイベントの展開などを担当
・2023年4月~2024年6月:事業開発グループ
たまプラーザの出店に関する案件や、企業のブランディング支援のプロジェクトを担当
・2024年7月~2025年6月:MD部(現:総合通販)
EC「Kuradashi」で販売する商品のうち在庫買取型の仕入れ業務を担当
――プロジェクトの運営・企画から仕入れまで、色々ご経験されてきたんですね。
はい。そのなかで、2024年12月に再生可能エネルギー事業への参入検討開始が決まり、社長の河村さんから「担当してもらえないか?」と声をかけていただきました。話を聞いた瞬間に、これまでのキャリア経験も踏まえて「ぜひやらせてください」とお伝えしました。
そして、2025年1月にグリーンインフラカンパニー(GIC)が正式に発足し、今年の7月にGICの部長に就任しました。現在は、カンパニーCEOと自分、そしてインターン生2名の小さなチームで、系統用蓄電池事業を中心に取り組んでいます。まさにゼロからのスタートですが、これまでの経験を総動員して事業をつくり上げている最中です。
――新規事業に4名!少数精鋭のチームで取り組まれているんですね。前職などで培った経験は活かせていますか?
経験というよりは、これまでに培ってきたいわゆるソフトスキルを活かしながら、日々取り組んでいます。私はこれまで、「目の前の仕事にきちんと向き合い、最後までやり切る」ことを大切にしてきました。任せていただいた仕事、自分が責任を持って取り組む仕事から、学べることは全部吸収する。そんな意識で、ずっと積み重ねてきた感覚があります。
個人的には、ハードスキル(専門知識や技術的なスキル)は、必要になったタイミングで習得していけばいいと思っていて。必要なときに短期的に集中すれば身につけられるものだし、日々の業務の中で自然と磨かれていく部分も大きいと思うんです。
一方で、論理的思考力、コミュニケーション力、問題解決能力、プロジェクトマネジメント、意思決定能力といったソフトスキルは、そう簡単に身につけられるものじゃないと思っています。ソフトスキルを伸ばしていくには、特別な勉強をするというよりも、一つひとつの仕事に責任を持って向き合い、最後までやり切る。その積み重ねの中でしか、身についていかないものだと思うんです。だから、どんなに大変だと思う業務でも、逃げずに最後までやり切るようにしてきましたね。
――それでもクラダシに入社したばかりのころは、大変だったとか。
そうなんです。クラダシには社会人8年目で入社したのである程度自分はすぐに結果を出せるだろうと思ってましたが、全然ダメでしたね(笑)
経営戦略室で担当した、たまプラーザへのオフライン店舗出店のプロジェクトなんかは、まさにドタバタで。抜けもれも多くトラブルが続出して、想定外のことばかり起こる、本当にたくさんの方に支えていただきながら遂行したプロジェクトでした。振り返ってみても、クラダシに入ってからの2年弱は、正直、挫折の連続でした。
ただ、色んな壁にぶち当たりながらも、その都度の経験をしっかり内省し、次のステップに活かすことを意識してきました。また、「自分の成長のための時間を意識的につくる」ことも大事にするようになりました。業務外でセミナーに参加したり、本を読んだり、YouTubeで学んだり。
そんな日々を積み重ねてきたことで、最近は「複数の経験を抽象化して考えて、共通点を見出し、次にどう活かせるか」まで考えられるようになってきている気がしていて、着実にステップアップしている実感があります。
“自分のため”から“会社のため”へ。
――GIC発足時はどのような気持ちでしたか?
やっぱり商社時代からエネルギー事業に関わってきたこともあって、自分の中では“エネルギー事業=原点(origin)”みたいな部分があったので、その領域にもう一度携わるチャンスがクラダシで巡ってきたことは、すごく嬉しかったですね。「絶対にいいものにしたい」「事業として成功させたい」、そんな気持ちも強くて、当初からすごく前向きに取り組んでいました。
また、電力業界やエネルギー分野は、制度設計や法令が非常に細かく、専門知識が求められる領域です。その中で、これまでの経験を通じて自然と培ってきた基礎が自分の中にあったことは、本当に良かったと感じています。
一方で、「クラダシがエネルギー事業をやる意義」は、すごく考えましたね。“ソーシャルグッドカンパニーでありつづける”ことを掲げているクラダシが、どういう形でエネルギー事業に取り組むことができるのか。 どうすればクラダシらしく、社会に良いインパクトを出せるのか。
自分自身の言葉できちんと答えられるように、とにかく考え抜きました。意志をもって説明できる自分でありたいと思ったし、その軸を持つことが、自分にとっても、事業を進めていくうえでも大事なことだと思いました。
――今年の7月からは部長に就任。今、どんな想いを抱えていますか?
任せていただいた以上、この事業をしっかり立ち上げていかなきゃいけない、そんな強い責任感を感じています。
思い返してみると、去年の末くらいから自分の中で物事を考えるときの“主語”が変わったんですよね。 以前は「自分がどうしたいか」「自分がどう成長したいか」という視点が強かったんですが、それが「会社としてどうあるべきか」「クラダシをどうしていきたいか」に変わっていった。
そこから視点も広がって、仕事への向き合い方や捉え方も大きく変わったと思います。実際に、周りの人からも「会社を主語に話すことが圧倒的に増えた」と言われたり、評価いただけるようにもなりました。
きっかけはいくつかあるんですが、一つはMDの戦略を考える中で社長である河村さんと直接話す機会が増えて、河村さんの視点や考えに触れることを通じて、「事業オーナーとしての覚悟」が自分の中に少しずつ芽生えてきていることです。また、昨年11月から半年間開催された社内研修プログラム「放課後HR」で、役員陣や他クラダシメンバーとディスカッションすることを通じても、経営陣の見ている視点の幅広さと深さを学びました。
そのため、今は 「やってやろう」「ここでしっかり結果を出す」という想いがあふれています。
チームで未来を創る。“クラダシらしい再エネ事業”をドライブするリーダーの挑戦
――新部長になって4か月が経ちましたが、見えてきた課題はありますか?
「再生可能エネルギー事業をどうドライブさせていくか」が、いま一番の課題だと感じています。事業を推進していく中では、計画どおりにすべてが進むわけではありません。特に新規事業では、想定外のことが起きるのはむしろ当たり前です。
だからこそ、どこでリカバリーを打つかを常に意識し、起きた事象を必要以上に引きずらずに、目線を前に向けて「どうすれば前に進めるか」「いま最適な打ち手は何か」を考えながら仕事をしています。
また、この事業はクラダシの中期経営計画の中でも重要な位置づけにあるので、その達成にしっかり寄与できる事業へと成長させていくことも大きなミッションです。国内における再生可能エネルギーの普及目標にも貢献していきたいですし、「エネルギー領域の中でクラダシの存在感を出していく」というのは強く意識しています。
「クラダシがいたから再エネがここまで普及したよね」と社会から感じてもらえるようなポジションを築いていけたら最高ですね。
▽クラダシの再生可能エネルギー事業の方向性はこちら(p44~51参照)
――そんな事業に成長させていくために、力を入れていることはありますか?
チームで成し遂げることを意識しています。というよりも、当然ながら、この事業をドライブさせるにはチームの力が絶対的に必要です。そのためには、メンバーそれぞれが持っているポテンシャルを最大限に活かすことが何より大事だと思っています。だからこそ、みんなの才能をどう引き出して、どうチーム全体の成果につなげていくか。そこにしっかり向き合っていきたいです。それと同時に、自分の“介在価値”も出していきたい気持ちも強くなりました。
今は、マネジメントやチームビルディングに関する理論や方法論を常に勉強しながら、自分の考え方をアップデートしています。メンバー一人ひとりが輝き、成果を出せるチームをつくっていきたいですね。
Comfort Zoneを抜け出す勇気が、キャリアを進化させる
――最後に、転職やキャリアアップに悩んでいる方へメッセージをください。
これまでいくつもの業界を渡り、クラダシでもさまざまな業務に携わってきました。その中で感じたのは、どんな仕事にも共通して大切にすべき“普遍的なもの”があるということ。
それは、考え方や姿勢、柔軟性、そして学びつづける力といった“ソフトスキル”です。さらには、これまでのやり方や常識にとらわれずに自分の中にあるものを“Un-learning(アンラーニング)”する姿勢です。
これらは、結局のところ“挑戦しつづけること”と同義だと思っています。新しい環境に飛び込み、未知の領域に踏み出すたびに、これまでの考え方が通用しない瞬間が何度もありました。それでも、自分を見つめ直し、学びを積み重ねていくことで、次の挑戦へとつながっていく。その繰り返しが、自分を大きく成長させてくれた実感があります。
だからこそ、私自身もこれからも挑戦を続け、日々の仕事にワクワクしながら取り組みたいと思っています。そして、これからクラダシで新しい挑戦を選ぶ仲間がいるなら、その挑戦を全力で支えたい。
クラダシという環境は、失敗も成功も含めて学びに変えていける場所であり、ビジネスパーソンとしての“ソフトスキル”を磨くには最高のフィールドだと思っています。