「学歴」より「何を生み出せるか」--AI時代に私が採用で見ているもの
SMHC株式会社 代表取締役 李 鉉道
先日、ある大きなニュースが飛び込んできた。
カーンアカデミーの創設者が、Khan Academy・TED・ETSの3つの非営利団体を設立主体とする新しい高等教育機関「Khan TED Institute」の構想を発表したのだ。総費用1万ドル未満を目指すという構想で、GoogleやMicrosoft、McKinseyといった企業もcorporate thought partners(企業パートナー)として名を連ねている。認定制度や入学要件、開講時期などはまだ策定中だが、「習得したスキルで評価される」教育モデルを志向するものとして注目を集めた。
教育業界だけでなく、テクノロジー業界にも衝撃が走った。
そして正直に言えば、私もこのニュースを読みながら、深く頷いていた。
「学歴=能力の証明」という前提が崩れ始めている
SMHCは2016年の創業以来、AI・DXをコアに事業を展開してきた。コンサルティング、ITソリューション、ライフイノベーションプラットフォーム。いずれも変化の速い領域だ。
その中で採用を重ねてきて、一つの確信に至っている。
「どの大学を出たか」より、「AIを使って何を生み出せるか」の方が、遥かに重要だ。
もちろん、東大・京大・ハーバードといったトップ校の卒業生には、希少なネットワークと強い自己効力感がある。その価値を否定する気はない。しかし、それ以外の大学を出た人、あるいは全く別のルートを歩んできた人であっても、実践的なスキルと問題解決能力があれば、SMHCでは存分に活躍できる。実際そういう仲間が多い。
約200年続いた「工場型教育」の終わり
産業革命以来続いてきた教育の仕組みは、「均一な労働者を大量に育てる」ことを目的に設計されていた。決まった答えを速く正確に出す人間を育てる教育だ。
だが、AIが台頭した今、そのモデルは急速に時代遅れになりつつある。
決まった答えを出す仕事は、AIの方が速く、安く、正確にこなす。
これからの人間に求められるのは、
- AIを道具として使いこなす実践力
- 正解のない問いに向き合う問題解決能力
- チームを動かすコミュニケーション・リーダーシップ
- 顧客の痛みを理解する共感力
こうした、「人間ならではの能力」だ。
Khan TED Instituteが提唱する「何年通ったかではなく、スキルを習得したかどうか」という考え方は、私が採用現場で肌感覚として持ってきたものと、まったく同じだ。
SMHCが採用で本当に見ていること
私たちが採用で重視するのは、シンプルに言えば「AIを活用して、顧客の課題を解決できるか」だ。
具体的には、
- 自分でAIツールを使って何かを作り、改善した経験があるか
- 難しい問題に直面したとき、どう考え、どう動いたか
- チームや顧客と、どう信頼関係を築いてきたか
学歴はあくまで参考情報のひとつ。それよりも、実際にやってきたこと、考え方のプロセス、そして「これからどう成長したいか」の方が、ずっと大切な判断材料になる。
「証明書」より「証明できる実績」を
Khan TED Instituteの学位が、今すぐ日本の公務員試験や資格制度で認められるかどうか--それは現実的にはまだ先の話だろう。認定制度自体もこれから整備される段階だ。
でも、本質は別のところにある。
雇用市場が「この人は本当に使える」と評価するなら、それは十分な価値を持つ。
私はよく、SMHCの採用候補者に聞く。「最近、AIを使って何か作ってみましたか?」と。この一言への答えが、履歴書の学歴欄より、ずっと多くのことを教えてくれる。
これからの時代に、SMHCが目指すもの
SMHCのミッションは「Make smiles. Connect hearts.」だ。
日本の少子高齢化、医療DX、企業のIT投資最適化--社会課題は山積している。そこにAIとテクノロジーで切り込んでいく。
そのためには、「与えられた答えを実行する人」ではなく、「自分で問いを立て、AIを武器に解決策を生み出す人」が必要だ。
Khan TED Instituteが描く未来像は、私たちが求めている人材像とかなり重なる。
もし「AIを使って社会を変えたい」と思っているなら、ぜひ一度話してみたい。学歴より、あなたが何を考え、何を作ってきたかを聞かせてほしい。
SMHCは、そういう仲間を探しています。