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”攻めの経理”へ。バックオフィスのイメージ覆す、TAM社員の挑戦

独立や副業を始めたくても自分一人で稼げるだけの手に職なんてない・・・・・・。「個の時代」「フリーランスの時代」と言われるなか、そんな焦燥感に駆られてしまう人は「バックオフィス」と言われる部門に多いかもしれません。

従来のバックオフィス、なかでも経理と言えば、過去の数字を正しく管理し、事業部門から問い合わせに「受け身で」対応するもの。

しかし、クリエイティブテック・エージェンシーTAMで働く前原宏信さんは、そのようなイメージを覆す、”攻めの経理” と言える取り組みを行っています。

会社に管理会計の仕組みを導入し、事業部門の各チームリーダーとは毎月ミーティングを実施。彼・彼女らが正しい意思決定をできるよう働きかけたり、業務の一部をアウトソースに変更して、自らは深い思考が求められるタスクにフォーカスしたりーー。前原さんから受け身の姿勢はまったく感じられません。

さらには近い将来、”稼げる経理” として会社の新たな収益の柱となることを目指しているのだとか。そんな前原さんの果敢な挑戦を通じて、守りではない ”攻めの経理” の姿と、それを支えるTAMのカルチャーについて、深掘りしたいと思います。

守りの経理で感じた「成長スピード」への焦り

大学時代は経済学部で、当初から数字に興味を持っていたので株取引をしていました。大学の先輩が、「経済を学ぶには、株を購入するのが一番スムーズ」と言っていたんです。決算書を読んで分析するのは楽しかったですし、儲けるためというよりは、将来に向けた先行投資でした。

そんな当時から思っていたのは、「経理の仕事は経営に直結しやすいポジションだ」ということ。営業や総務などその他の部門は、部長や役員クラスにならないと経営数値にタッチしづらいものです。だから僕は経営に近いところで仕事をするために、自然と経理の道を選びました。

新卒で入った会社は伝統的なところでした。基本的には自分の持ち場を守れば滞りなく業務が進んでいく、“守りの経理” をしていたと思います。ただ、数字は絶対に間違えない、スピードと正確さといった、“経理の基本” を教えてもらった場所でした。

しかし、入社して3年ほど経ち、同じような仕事を日々繰り返すことにだんだんと疑問を抱くようになりました。決められた作業、決められたお給料、決められた勤務時間。安定した毎日ではあるものの、成長スピードが遅いことに危機感を覚えるようになったんです。

そんなある日、3年ぶりくらいに大学時代の友達と飲み会をしたときのこと。銀行員や証券会社勤務の友達が多かったのですが、話を聞くと僕よりも経営まわりのことに俄然詳しくなっていて。同じように社会人生活を送ってきたのに、圧倒的な差がついていた——。

そのときに、これまで漠然としていた危機感がリアルなものになりました。僕は、経営まわりの仕事をするには今の道が近道だと思っていたけれど、間違っていたのかもしれない、と。それらが “攻めの経理” に転じるきっかけになりました。

転職して見つけた「経営」に触れられる次のステップ

僕は次のステップとして、上場準備のステージにあるベンチャー企業を選びました。なぜなら、上場準備の経理は難易度が上がるから。上場企業は一般の人からも資金を集めるので、普通の企業以上に公正な会計が求められるようになるんです。

それまでの経理作業は、ある程度は調べれば出てくることばかりでした。それにかまけて簿記の資格は取らず、断片的な知識しか持ち合わせていない状態に。もう一度、簿記を体系的に勉強し、社内会議でも前のめりに発言するようにしました。

また、ベンチャー企業が抱える課題の一つは、資金繰りです。経営者であってもプレイヤー的な動きをする人が多いので、損益計算書や売上は見ても「手元にお金がいくらあるのか」までは把握していない人が多い。実際、転職先の企業では一カ月先までしか資金繰りは想定されていない状態でした。

そこで、まずは営業が持っている数値目標をキャッシュフローに落とし込み、一年先までの数字を見える化。そうして改善を図ってはいたものの、いかんせんベンチャーなので想像以上に業務が大変で、転職を考え出したときにWantedlyのスカウトメールがやってきたんです。

いろんな企業と面接しました。当時、転職市場は売り手市場で、企業は自社の魅力を盛んにアピールしていました。そんな中、唯一スタンスが違ったのがTAMだったんです。

社長の爲廣さんが、「企業なんて数年先はどうなっているか分からない。うちだって無くなるかもしれない。だからこそ、将来自分で食っていけるように、資格やスキルを身につけられる場所でありたい」と。

また、当時は漠然と「経営に携わりたい」と思っていたけれど、その活路をどう見いだせばよいか悩んでいたときでした。そんな僕に爲廣さんは、「経営コンサルタントになるとかどうですか? そのために中小企業診断士の資格取得を目指してみては」と言ってくれたんです。

視界が一気に開けたような感じでしたね。いろんな企業を見ましたが、次のステップに進めそうな気がしたのはTAMだけでした。将来の保証はないとしても、働く時間は固定されずに自由。資格取得にも集中できると思い、今の僕には「ぴったりなのかな」と。

そうして、2019年3月にTAMに転職。それからというもの、経営コンサルを目指すと決めて、“攻めの経理” を加速していきました。

経理のプロセスを見直すことはイノベーションへとつながる

TAMで最初に行ったことは、一年先までのキャッシュフローの見える化です。TAMは、ディレクター・制作・開発を1チームとしたカンパニー制をとっているので、カンパニーごとにキャッシュフローを整備。今は10チーム以上の資金繰り、会計を計上しています。

キャッシュフローを見える化すると、会社の動きが変わります。余裕があるときは「お金はこれくらいあるからこれくらい動ける」と採用活動などが活性化されますし、逆に余裕がなくなってきたら、売上向上に努められる。

実際に、利益の出ているカンパニーチームのリーダーには「次の一手を踏み出すべきだ」と伝え、採用の後押しをすることもあります。今後はカンパニー制のリーダーがもっと相談しやすい環境を作り、経理の観点からより手厚いサポートをしていこうと考えています。

また、僕は経理のプロセスを見直すことで、イノベーションを起こしていきたいんですよ。例えば、これまでブラックボックス化されていた経理の仕事の一部を外部委託にする。そのためには、請求書をPDFで届くようにするなど、プロセスの変更が必要になります。これまでのルーティンワークを捨て、効率化を進めているんです。

そこにはコンプライアンスや信用問題も浮上します。Pマークの基準を曲げることはしませんが、それ以外の部分の「これは外部に漏らしてはいけない」という “思い込み” は省くことができるはず。本当にそうなのかを検証していくのが、勝ちの道筋だと思っています。

もうすでに、入力業務や書類のPDF化などの一部業務は、地方に住んでいる方に外部委託化が進んでいます。ゆくゆくはリモートワークの時代感に沿って、僕らも出社しない日でも自宅などから経理の仕事ができるようにしたい、とも。

普通の経理なら、ただ言われた通りの仕事を続けていけばいいかもしれません。それでも給料は支払われるので。でも僕は「次世代の経理」を作るために採用されたと思っているので、変化を起こさないのは怠慢なんです。

今後はどんどん、経理のあり方が変わっていきます。総務も含めて、バックオフィスが手を動かす時代は終わり、人と人とのやりとりによって価値を生み出す、コンサルティングの役割が求められるようになっていくはずです。

経理のあり方を変える——資格を取得し「社内独立」へ

面白いのは、こうした自社での経験は、社外のお客さまに対しても活用できるということです。

TAMが他社の事業部門のお手伝いをする際に、同時に間接部門の業務変革のお手伝いをできればと考えています。いち税理士、いち会計士では難しい部分ですからね。

そのために中小企業診断士の資格取得のための勉強を始めています。将来的には経理出身の経営コンサルタントとして「社内独立」をし、地方の中小企業を助けることに携わりながら、お金を稼ぐこともできたらな、と。

僕は岡山県にある山間部の小さい町で育ったからこそ、余計にそう感じるのかもしれません。地方の若者は都市部に就職していくので、過疎化がどんどん進んでいて経済状況が厳しい。雇用があれば、地元で働きたい意思のある人は帰ってくるのですが、雇用がないと都市部に残ってしまうんです。

経営の悪化によって難しい状況に立たされている中小企業を支える経営コンサルは、地方経済の助けになるし、「死ぬまで一生できる仕事」だと感じるんです。

そのためにも、まずは働きながら資格を取得をすること。TAMは責任を持って業務をしていれば、自由で管理されない働き方なので、それには非常に助けられています。日々の業務を効率化して、資格取得のための勉強する時間を作ろうと思えば作れるんです。資格取得のために早めに帰宅することに対しても寛容的。

これから先、多くの企業がブラックボックス化していた経理の分野にメスを入れるようになると思います。変化に対応し、成長できる人でなければ難しい職種になっていくと思う。

だからこそ、間接部門という固定観念は今すぐ捨て去って、守りではなく攻めのスタンスで、自分から変化を起こしていくことが重要になっていくと思います。

実は今、TAMでは経理担当を募集しているんです。TAMの経理には、決まり切った作業はなく、外部委託を推進・管理する業務や、ツールを使って作業の機械化を目指す、未来志向型の経理です。

ですから、ステレオタイプな経理事務員は合わないですし、人事や広報のように人とコミュニケーションをとり、営業のように提案をし、コンサル的な役割さえ担える人を歓迎しています。

経理としての過去の経験は問いません。経験よりもポテンシャル。そうして一緒に、経理のあり方から変えていくような “攻めの経理” をしていく仲間が増えれば嬉しいですね。


株式会社TAM 経理・総務課 前原宏信
1987年岡山県生まれ。新卒から数社の経理を経て、TAMへ入社。TAMでは経理業務をメインに管理会計の仕組みを作り、作業の効率化を推進。将来は中小企業を助けたい、企業再生に携わりたいという思いで現在は中小企業診断士の資格取得を目指している。
[取材・文] 水玉綾 [企画・編集] 岡徳之 [撮影] 藤山誠
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