こんにちは、ウォンテッドリーのデータサイエンティストの坂元です。2026年3月に入社しました。ウォンテッドリーは私にとって3社目です。今回は入社エントリとして、これまで受託のデータサイエンティスト(以下、DS)としてのキャリアを歩んでいた私が事業会社のDSへ転職したきっかけと、入社後一ヶ月経った今感じていることについて書いてみたいと思います。
なお、前提として、この記事は受託DSとしてのキャリアを否定するものではありません。また、受託DSと事業会社のDSのどちらが良いかを議論するものでもありません。それぞれにそれぞれの良さがあると思っています。
目次
受託DSとしてのキャリア
私は新卒で大手SIerに入社し、DSとしてのキャリアをスタートしました。私が配属された部署では主に to B の受託での技術検証・システム開発を行っていました。大学時代は情報系の専攻ではなかったということもあり、色んな業界、ドメインのデータをハンドリング出来るDSになりたいと思ったのが、受託DSを選んだ大きな理由でした。1社目では製造業界、エネルギー業界、材料業界を中心に、テーブルデータ分析や最適化、CV系のプロジェクトも経験しました。
その後、to B の受託系のベンチャー企業に転職し、3年8ヶ月の期間DSとして業務に従事しました。この会社では、CV、NLP、時系列予測、LLMによる業務支援など、様々なドメインのプロジェクトに携わりました。また、プロジェクト横断でDSの生産性と品質を両立する取り組みの立ち上げ期をリードするという貴重な経験も出来ました。その取り組みの中で、コーディングのプラクティスやデザインパターンなどを勉強して普及する活動をしたりもしました。
必要だと思ったことを自発的に始めて周囲を巻き込んだり、プロジェクトでも価値を出すために自分でアノテーション作業をしてモデルを学習したり、自分の裁量で色んな動き方が出来たのも良い経験になりました。
キャリア観の変化
自分が当初思っていたような経験を積むことが出来、今振り返っても最初に受託DSとしてのキャリアを選んだことは自分にとっては良かったと思っています。一方で、受託開発では以下のような難しさもあります。
- プロジェクトごとにドメインが変わるため、専門性を深めることが難しいことがある
- to Bの場合、プロジェクトの単位が個別企業様(あるいはその中の特定の部署)になるため、広範囲に大きなインパクトを生みにくい(例外はあります)
- エンドユーザーとの距離が遠く、ユーザーの反応を直接感じることが難しいことがある
- ソリューションを納品して終わりになってしまうこともあり、継続的に改善していく営みが出来ないことがある
- to B のプロジェクトの成果物は表に出ることが少ないため、社会的な貢献を感じにくいことがある
こういった難しさを伴走・共創で乗り越えてお客様のパートナーになるということが受託企業にとって大きな目標の一つだったりもしますし、そういったチャレンジングな目標の下で働くこともとてもやりがいのあることだと思います。ただ、私自身は大企業とベンチャーの両方の立場からこういった難しさと向き合ってきた中で、もっと社会貢献を実感出来る環境で働く方が自分には合っているのではないかと思うようになり、次第に以下のような環境に魅力を感じるようになっていきました。
- もっとユーザーに近く、広い範囲にインパクトを与えることが出来る環境
- 特定のドメインを深く掘り下げることが出来る環境
- 継続的に改善していく営みが出来る環境
その結果、to C のサービス・プロダクトを開発している事業会社への転職を考えるようになりました。
何に貢献するDSになるか
肝心なのは、どんなサービス・プロダクトの開発に携わりたいか、ということです。一言にプロダクトと言っても様々なものがあります。私は、目の前の課題を解決するためのプロダクトも良いけど、せっかくチャレンジするなら多くの人の幸せに繋がるようなサービス・プロダクトの開発に携わりたいと思い、そのような想いが形に出来そうな会社を探しました。
ウォンテッドリーとの出会い
実は、2社目に転職する際に Wantedly Visit を利用していました。当時気軽に話を聞きに行けるという点、共感型採用に力を入れている点を気に入っていたので、今回の転職でも Wantedly Visit を利用しました。私自身もこれまでのキャリアで、仕事に対する充実感は会社のビジョンやカルチャーにどれだけマッチするかに強く左右されると感じてきたため、その意味でもウォンテッドリーの価値観は魅力的でした。
その折に、ウォンテッドリーのデータサイエンティストの市村とカジュアル面談をし、一人一人にとって良い仕事に出会えることはその人の幸福度に大きな影響を与えること、そして採用マッチングは非常にチャレンジングで壮大なドメインであることに面白さを感じ、この会社で働いてみたいと思うようになりました。
入社後一ヶ月が経った今感じていること
実際にウォンテッドリーで一ヶ月ほど働いてみて、キャッチアップが大変な面もありつつも、楽しい日々を過ごせています。以下では、入社して一ヶ月が経った今感じていることを書いていきます。
ユーザーの反応を直に感じることが出来る
データサイエンティストのチームでは、毎朝チームメンバー全員で少し時間を取って各種指標のモニタリングを行っており、新しいロジックのオンラインテストやその後のリリースでどのような変化が起こっているか、日々の指標の変動があるか、その要因は何かを議論しています。ユーザーの反応を直に感じながら仕事をすることで、より良い価値を提供していきたいというモチベーションにもなっています。転職前にユーザーに近いところで働きたいと思っていたので、それが実現出来ていると感じています。
採用マッチングというドメインの奥深さを実感している
ECサイトや音楽・動画配信サービスなどと比較して採用マッチングでは以下のような特徴があります。
- 長期的なインタラクションが蓄積しにくい
- 双方向かつ多目的・流動的なマッチングが求められる
- 人や社会に大きな影響を与える可能性がある
1について、ECサイトや音楽・動画配信サービスなどでは、ユーザーが何度も利用する中でユーザーの好みや嗜好を学習していくことが出来ます。一方で、採用マッチングでは、他のドメインほど頻繁にインタラクションが起こるわけではありません。募集の掲載期間自体も短命です。また、企業と採用候補者の双方にとって良いマッチングが実現したら、その後のインタラクションは少なくなります。別の観点では、一つの企業に出来るだけ長く在籍することが双方にとって望ましい形であるという捉え方もあるため、良い出会いがあるほどインタラクションが蓄積しにくくなる傾向もありそうです。
2について、企業側から見れば採用候補者の経験やスキル、ビジョンやカルチャーへの共感などが重要な要素になりますし、採用候補者側から見れば、その企業でやりたいことが出来るか、経験を活かせるだけでなく成長の機会があるか、労働条件は自分に合っているか、就職・転職活動を通じて新たな自分に出会えるか、なども重要な要素になります。さらにこれらの要素は全て流動的で、個人や企業の嗜好性や時代背景によっても変わっていきます。
3について、言わずもがなですが就職や転職は人生の大きな決断に関わるものです。また、企業側から見ると自社にマッチした候補者の採用はその後の企業自身の成長にも大きく関わってきます。そのため、採用マッチングは他の推薦領域と比較して非常に大きな影響を持つドメインであるとも言えます。その分考慮することも多く様々な難しさに直面しますが、より良いマッチングの数が増えていくことで社会全体に対して良い影響を与えられる可能性があります。
このような特徴もあり、採用マッチングというドメインは突き詰めがいと挑戦しがいのあるドメインであると感じています。
少し前の記事ですが、以下の記事にも採用マッチングの難しさやウォンテッドリーの推薦が何を目指しているのかが分かりやすく書いてあるので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
なぜ Wantedly に推薦システムが必要なのか | Wantedly Engineer Blog
オンボーディングが手厚い
私自身初めての事業会社ということで不安がありましたが、立ち上がり期のサポートが手厚いと感じています。私は恥ずかしながらSQLの経験がほとんどなかったのですが、入社2日目からWantedly Visit の実際のデータを対象に BigQuery で必要なデータを抽出する「BQノック」が始まりました。最初は分からないことが多かったですが、Slack で分からないことや詰まっているポイント、今考えていること等を共有するとすぐに同じチームのメンバーがアドバイスをくれ、SQL と BigQuery のスキルを一週間で最低限実用出来るレベルまで引き上げることが出来ました。
また、メンターとは毎朝短時間の1on1を実施しており、そこでもタスクのハマりどころのレクチャーからちょっとした不安の共有まで、週次の1on1だけでは拾いきれないトピックをカバーしています。
自分に対する期待値や評価基準が明確になっている
ウォンテッドリーでは「段位」と呼んでいるいわゆる等級制度があり、それぞれの段位で期待されるコンピテンシーやバリュー体現のレベルが明確に定義されています。段位の詳細については以下の記事に書かれているため詳細は割愛しますが、ウォンテッドリーではこの段位に基づいた評価を重視しています。
組織作りに価値と行動の「軸」を通す | Wantedly Engineer Blog
企業の中には各社員に対する期待値が曖昧だったり、定義されていたとしても評価時にあまり意識されないということもありますが、ウォンテッドリーではそのようなことはありません。自分の段位で求められているマインドや成果を理解した上で、一つ上の段位を意識して行動・思考・スキルを変容していくことが求められます。これによって、会社からの期待値と自身が成長するべき方向性が明確になっています。さらに月に1回、自身の段位に照らしてどのような点が良かったか、どのような点が改善出来るかを上長と振り返る機会もあるため、段位に基づいた成長のサイクルが回りやすい環境になっています。
入社後2週目からはとあるパーソナライゼーションの改善に関わる施策にアサインされていますが、こちらも上長やメンターとの 1on1 、他のメンバーとのディスカッションなどを通して施策の方針を決めたり、オンボーディング期間中の期待値をすり合わせながら、取り組むことが出来ています。
学びを最大化することを重要視している
ウォンテッドリーでは、一人一人が学びを最大化することに注力していると感じています。失敗したことがあってもその失敗自体が悪いわけではなく、そこから何を学び取るかが重要であるという考え方が根付いています。データサイエンティストのチームでは毎週末に振り返りの時間を取っており、推薦の改善施策や行動面の変容を通じて、どのようなことがうまくいったのか、どのようなことがうまくいかなかったのか、そこから何を学び取ることが出来るのかをチーム全体で共有しています。
学びを得るだけでなく、得られた学びを社内外へ発信することも推奨しています。例えば、
- テックブログ(ストーリー)
- 技術的な挑戦や学びを社外に発信する場
- Demo Day
- 週に1回、各チームの取り組みを全社に共有する場
- Tech Lunch
- 週に1回、専門領域を問わず技術的な学びや問題解決のプロセス、組織開発などについて話す場
などがあり、これに加えてデータサイエンティストのチームは
- 推薦・機械学習勉強会
- 推薦や機械学習、その周辺技術を通じてサービスを改善することにモチベーションのある人が集まり、テックブログや新しいライブラリ / フレームワーク、基盤事例などを紹介しあう勉強会
- Machine Learning輪講
- 最新の技術や論文を追うことで、エンジニアが「技術で解決できること」のレベルをあげていくことを目的とした勉強会
- 輪読会
- オライリーの本などを選定し、持ち回りで内容を発表する輪読会。共有された内容をウォンテッドリーで実践するとしたら、という観点での議論も行う。
- 学会参加
を行っています。
私自身は周囲に積極的に発信することに対して苦手意識があり、これまであまりやれてこなかったのですが、そんな自分を変えていきたいなと思ったのも入社を決めた理由の一つです。これから少しずつ発信の機会を増やしていきたいと思っています。
この辺りの文化・価値観については、以下のスライドにも記載されているので、よろしければぜひご参照ください。
おわりに
私たちは、誰もがココロオドル仕事に出会える世界の実現に向けて、日々挑戦と学びを重ねています。また、これまでに得られた知見や技術を Wantedly Visit の周辺領域に拡大したり、新しい技術を取り入れたりして、新たな推薦体験づくりも進めています。
ウォンテッドリーのデータサイエンティストが今後取り組む主要課題 | Wantedly Engineer Blog
チャレンジングで壮大な目標ですが、同時に大きなやりがいを感じる仕事でもあります。もしこの記事を読んで少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ一度カジュアル面談でお話ししましょう。現時点で転職を考えていない方でも大歓迎なので、お気軽にご連絡いただけると嬉しいです!