「面接官によって評価が一致しない…」「活躍する人材は、どうやって見極めればよいのだろうか…」。多くの採用担当者が抱えるこうした悩みの解決策として、注目されるのが構造化面接です。
ウォンテッドリー株式会社が主催したセミナー「感覚頼りの選考から脱却する『構造化面接』の実践方法」では、株式会社人材研究所 代表の曽和 利光氏がその詳細を徹底解説しました。
本記事では、感覚だけに頼らない採用選考を実現し、自社にマッチした人材を見極めるための具体的なノウハウを、曽和氏の講演を通じてお届けします。
ATSに興味があるけど、何を基準に決めれば良いか分からない方へ
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▼登壇者
曽和 利光 氏(株式会社人材研究所 代表取締役)リクルート、ライフネット生命などで人事責任者を歴任。これまでに面接した候補者は約2万人を超える。2011年に株式会社人材研究所を設立し、コンサルタントとして独立。人事・採用の専門家として、日系大手企業から外資系企業、メガベンチャー、老舗企業まで幅広い企業の採用支援に携わる。著書に『人事と採用のセオリー』『人と組織のマネジメントバイアス』など。
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▼ファシリテーター
真木 碧惟 (ウォンテッドリー株式会社 Wantedly Hire事業部)
意外と起こりがちな「評価がザル」問題
真木:
本日の司会進行を務めますウォンテッドリー株式会社の真木です。現在はWantedly Hire事業部にて、ビジネスサイド全般を担当しています。どうぞよろしくお願いいたします。
突然ですが皆さんは、過去にこんな場面に遭遇したことはないでしょうか?
Aさん:
「候補者の山田さん。問題解決力は5点中3点、やり切り力は5点中4点でつけました。プレイヤーとしては問題ないと思いますがどうでしょうか?」
Bさん:
「いや、問題解決力もやり切り力も5点中2点くらいだと思います。プレイヤー採用ですが、リーダー候補枠なので少し厳しめに見るっていう話でしたよね?」
Aさん:
「はい…ちょっと基準がずれてますかね。そもそも1から5点ってどういう定義で皆さん評価してますか?」Bさん:
「定義はないけど、満点はうちのエースくらいの感覚かな」
採用面接において、いわゆる「評価がザル」になっている状態です。最終ジャッジの場でこうしたやり取りが行われているケースは意外と多いのではないかなと思います。
私自身、採用に関するさまざまなご相談を受けますが、「人材の見極めと評価」に関するお悩みは非常に多く寄せられます。本日のセミナーが、その課題解決の一助となれば幸いです。
それでは曽和さん、どうぞよろしくお願いいたします。
構造化面接とは何か
曽和:
皆さん、こんにちは。人材研究所の曽和です。 本日のテーマは「構造化面接」。少し硬い言葉に聞こえるかもしれませんが、「一体何なのか?」「どんなメリットがあるのか?」といった疑問にお答えしていきたいと思います。
まず、「構造化」とは「物事を構成要素に分解し、その要素間の関係を整理する」ことです。

例えば、「組織」というものを構造化してみましょう。組織構造、制度・ルール、人材、そしてそこから生まれる文化など、さまざまな要素に分解できます。このように、「組織」という漠然としたものでも要素に分解していくことができます。
同様に「面接」という、人と人が採用選考のために話すという曖昧な状況も、要素に分けて明確にすることで整理できます。これらの手順を踏まえて、一つ一つの要素について確認していく面接が「構造化面接」と呼ばれるものです。
構造化面接のメリット
構造化面接のメリットとしては、大きく4つあります。
1.質問の抜け漏れがなくなる
まず、抜け漏れや見落としがなくなります。「この要素とこの要素を聞こう」と事前に決めておけば、すべて確実に聞くことができますよね。逆に見極めたい要素を整理していなければ、意図している回答をたまたま引き出せる場合もあれば、そうでない場合も生じてしまいます。
2.重複がなくなり、生産性が高まる
人によって注目する点に偏りがあるため、同じことばかり聞いてしまう担当者がいます。本来、面接では多角的に見なければなりませんし、企業が求める基準も一つではないはずです。無駄な質問をしている時間はありません。構造化しておけば、こうした質問の重複もなくなります。
3.根本的な要素に目を向けられる
全体の「原因と結果」の関係が分かるので、より根本的な要素に目を向けられます。例えば、目の前の候補者がなぜそのような行動をとったのか。性格や価値観といった根本的な部分まで掘り下げて考えられるようになります。
4.物事が整理されて、判断がしやすくなる
面接には、一次面接、二次面接、最終面接などの工程があると思いますが、一次面接担当者が面接の評価自体を構造化して記載していれば、次の担当者は「どのような人なのか」が分かりやすくなります。一方で文学小説のように長々と書かれていた場合、内容を理解するのに苦労するでしょう。
構造化面接の精度

様々な選抜手法の妥当性(入社後のパフォーマンスとの相関)を測ったデータでは、ワークサンプル(実際に仕事をさせ、成果を見る)に次いで、「構造化面接は精度が高い」と示されています。
一方で、応募者の話したいように話させる非構造化面接(フリートーク)は、面接官の主観が入りやすく、妥当性が低いという結果です。採用精度を高めるには、何らかの形で構造化を行う必要があるのです。
構造化面接をするための3つのポイント

曽和:
では、何を構造化すべきか。ポイントは「ターゲット」「質問」「評価」の3つです。まずは「ターゲットの構造化」、つまり求める人物像から定義していきましょう。
1.ターゲットの構造化(求める人物像を具体的に定義する)
大事なポイントは、MUST条件とWANT条件に分けることです。すべてを必須条件にしてしまうと、採用の入口を不必要に狭めてしまいます。採用基準となるMUST条件はできるだけ絞り、入社後の育成で獲得できるWANT条件と区別することが重要です。
もう一つ大切なのは、使う言葉の定義を揃えること。 例えば採用要件として、「コミュニケーション能力」がほしいとよく言われますよね。コミュニケーション能力も単に「話がうまい」ことだけではなく、「論理的に話せる」「空気が読める」「交渉力がある」など、企業や職種によって求める意味は異なります。
「チャレンジ精神」も同様です。自社が求める能力が具体的にどんな行動を指すのかを定義し、関係者間で共通認識を持つことが、ターゲット構造化の肝となります。
2.質問の構造化(本質を見抜くための「聞き方」を設計する)
次に「質問の構造化」です。これには「STAR(スター)面接」というフレームワークが役立ちます。
STARとは、S (Situation):状況、T (Task):課題、A (Action):行動、R (Result):結果の頭文字で、候補者に、過去にとった具体的な行動について質問を行う面接手法です。ミスマッチ防止や採用後のイメージを具体化することに効果的と言われています。
ただ、私はこれだけでは不十分だと考えています。なぜなら、多くの候補者は「課題(T)」「行動(A)」「結果(R)」の3つしか話さないからです。本当に重要なのは、むしろ語られない部分にあります。

深掘りすべき追加ポイント
ではどうすべきか。STARフレームに加え、以下の3点を意識して深掘りすることで、候補者の本質が見えてきます。
・環境 (Situationの詳細):エピソードの背景。規模や難易度は?
・思考 (TaskとActionの間):なぜその対策を選んだのか?他の選択肢は?
・苦労 (ActionとResultの間):どんな壁をどう乗り越えたのか?
特に重要なのが「思考」と「苦労」です。 なぜその行動をとったのかという「思考」プロセスを深掘りすることで、候補者の判断力や論理性が分かります。また、どんな「苦労」を乗り越えて結果を出したのかを聞くことで、その結果の価値や本人のストレス耐性が見えてきます。
ちなみに、チームの成果を自分の手柄のように話す「フリーライダー」は、この「思考」と「苦労」を具体的に語れません。自ら考えて行動し、困難に直面していなければ、リアルな話はできないからです。
3.評価の構造化(記録と判断のブレをなくす仕組みを作る)

最後に「評価の構造化」です。ターゲットを決め、質問を設計しても、評価を残す部分が曖昧では元も子もありません。面接評価表、今で言えば採用管理システム(ATS)の評価フォームをどう設計するかは、非常に重要です。
よくある間違いが、詳細な評価項目の平均点を機械的に総合評価としてしまうこと。私はこれはやめた方がいいと思っています。おすすめは、詳細評価を、総合評価の妥当性を確認するためのチェックリストとして使うことです。まず感覚で総合評価をつけた後、「本当にこの評価で正しいか?」を詳細項目と照らし合わせて検証するのです。
また、評価の記録も重要です。候補者が語った客観的な「事実」と、それに対する面接官の「意見」は分けて記録しましょう。「このエピソードから、こういう能力があると判断した」というように、評価の根拠を明確にすることが、評価のブレをなくし、次の面接官への正確な情報共有に繋がります。
「オンライン面接」と「構造化面接」の相性がいい理由
曽和:
実はこの構造化面接、近年主流となったオンライン面接と非常に相性が良いのです。
オンライン面接は、アイコンタクトが取りづらく、対面のようにスムーズな会話のキャッチボールが難しいため、そもそもフリートーク(非構造化面接)がしにくい。オンライン面接では、あらかじめ話すことを決めておく構造化面接の方がうまく進みます。
さらに面白い研究データがあります。候補者の動機形成、つまり「この会社で働きたい」という気持ちにどう影響するかを調べたものです。対面面接ではフリートークの方が動機形成が高い傾向にありますが、オンライン面接では逆に、構造化面接の方が、フリートークより動機形成が格段に高まるという結果が出ています。
オンラインという制約のある環境だからこそ、構造化面接で質問や評価のポイントが明確になることで、候補者は「きちんと自分を見てくれた」と感じ、企業への魅力が高まるのです。

構造化面接を成功させるための3つのヒント
曽和:
では、この構造化面接を組織に導入し、成功させるにはどうすれば良いか。最後にそのヒントをお話しします。
ヒント1:繰り返し練習する
まず、構造化面接はフリートークと違い、マニュアル化、文書化が大前提です。そして、トレーニングが何よりも重要です。 何も考えなくても、構造化された流れに沿って質問ができるようになるまで、繰り返し練習することが不可欠です。
ヒント2:客観的な証拠を示す
社内に浸透させるコツは、やはりエビデンス(客観的な証拠)で有効性を示していくこと。採用精度のデータや成功事例を見せて、特に経験豊富な方々を納得させていくことが重要です。
ヒント3:評価をすり合わせる
そして、面接官同士での評価のすり合わせを丁寧に行うこと。なぜその人を良いと思ったのか、それはどの事実から判断したのか。この議論を地道に続けていくことが、組織全体の面接スキルを向上させる上で最も重要だと考えています。
駆け足になりましたが、構造化面接の必要性とお話は以上です。ご清聴ありがとうございました。
まとめ
曽和氏の講演を通じて、構造化面接が単なる面接テクニックではなく、採用の精度を科学的に高め、ミスマッチを防ぐための有効な仕組みであることが明らかになりました。
感覚頼りの選考から脱却するには、1. ターゲット(求める人物像)の明確化 2. ターゲットを見抜くための質問の最適化 3. ブレのない評価基準と記録方法の確立 という3つの構造化が不可欠です。
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構造化面接の実践をサポート
- 統一された採用基準:自社で決めた採用基準や質問の登録が可能で、候補者の見極めポイントを統一できます。
- サンプルデータを装備:10職種に対応した採用基準のサンプルデータを事前に装備しているので、スムーズに構造化面接をスタートできます。
- 評価点数を自動算出:これまで曖昧だった各項目の評価を定量化し、候補者ごとの平均点や合計点を自動で算出できます。
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