価値観を軸に、多様な人材と拠点をつなぐ組織づくり|SCOUT CRAFT GOLD:アーチーズ株式会社

ウォンテッドリー株式会社が主催する「Wantedly Awards 2026」。このアワードでは、ビジネスSNS「Wantedly」を活用し、優れた採用活動を実践する企業を表彰しています。

CRAFT CATEGORYの一つである「SCOUT CRAFT」では、スカウト返信率や送信数に加え、候補者一人ひとりに寄り添ったスカウト文面を届けられているかといった観点から評価されます。

今回、そのSCOUT CRAFTでGOLDを受賞したのが、専門家の知見と企業・投資家をつなぐエキスパート知識シェアリングサービスを展開するアーチーズ株式会社です。2019年にベトナムで創業した同社は、その後日本、シンガポール、中国、コロンビアなどへ拠点を広げ、現在は8拠点・250名を超える規模へと成長しています。

事業と組織が大きく変化するなかで、アーチーズはどのように採用の選択肢を広げてきたのか。多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れながら、組織として共通の軸をどうつくっているのか。採用担当の大林彩乃さんに、採用の変化と、その先にあるカルチャー・組織づくりについて伺いました。

「海外勤務」が響いた初期から、採用は次のフェーズへ

── アーチーズは「エキスパートマッチング」事業を展開していますが、具体的にはどのようなサービスなのでしょうか?

企業が投資や新規事業などの意思決定をする際に、その領域の専門家とつなぎ、直接話を聞ける機会を提供するサービスです。

今はAIによって情報収集そのものはかなりしやすくなっています。一方で、重要な意思決定をするときに、その情報が本当に信用できるのかという問題は残ります。だからこそ、その領域のエキスパートに直接話を聞き、その知見を意思決定に役立ててもらうことに価値があると私たちは考えています。

エキスパートマッチング事業を担うメンバーは、クライアントが求める領域の専門家を自ら探してコンタクトを取り、インタビューへの協力を依頼します。クライアントと、その分野の知見を持つ人をつなぐ役割です。

── 日本ではまだ珍しい事業なだけに、採用の難しさもありそうですが、実際はいかがでしょうか。

そうですね。まず、この仕事を一言で表すのが難しくて。セールスでもないし、カスタマーサクセスや事務でもなく、それぞれの要素を持っています。

現場のメンバーは毎月KPIを持って数字を追うので営業的な側面もありますが、「営業」と言うと商談をする仕事をイメージされる方も多い。そのギャップをどう伝えるかは、かなり苦戦しています。

── そうしたなかでも、2019年の創業から現在は全体で250名を超える組織に成長しています。どのように採用を進めてきたのでしょうか?

私が入社した2024年ごろは、まだ採用人数もそれほど多くなく、月に1人、あるいは2カ月に1人ほどのペースでした。当時は募集要項に記載していた「海外勤務」という言葉が、候補者にとって強い訴求になっていて、エージェントも使わず、自己応募を中心とした採用でも成立していたんです。

その後、東京でチームをつくることになり、必要な採用人数が一気に増えました。これまでの“待ち”の採用だけでは難しくなり、ダイレクトリクルーティングやエージェントも活用するようになりました。

「成長を待てる」体制が、採用の選択肢を広げた

── 拠点を増やすなど、事業が拡大するなかで、組織の体制はどう変わっていったのでしょうか。

事業の実績が積み上がるなかで、業務の仕組み化も少しずつ進んでいきました。仕事を回す体制が整ったことで、メンバーの育成にも時間をかけられるようになり、経験を問わず人材を受け入れる土台ができてきたんです。

そこで、3年ほど前から未経験者や新卒にも採用対象を広げました。経験の浅いメンバーであっても、現場の社員が伴走しながら成長を待てるようになったことは、大きな変化だと思います。

── 育成できる環境が整ったことで、採用できる人材の幅も広がったんですね。

かなり広がってきたと思います。

採用するなかで、「こういうペルソナは合わないんだね」と分かったこともあれば、逆に「あまり採用してこなかったタイプだけれど、ちゃんと成果を出している」というケースもありました。

たとえば今年4月には、初めて教員出身の方を2名採用しました。いずれも営業経験や、数字を追った経験がなかったので、「大丈夫かな」と思う部分はありました。ですが、実際に一緒に働いてみたことで、こうしたバックグラウンドの方も選択肢になると分かったんです。

これまで採用対象として見てこなかった層の中にも、アーチーズで活躍できる人はいると思っています。だからこそ、ちょっと違うところに釣り針を落としてみるような感覚で、採用の選択肢を広げています。受け入れたあとに育て、成長を待てる土台があるからこそ、できることだと思います。

── 採用対象が広がるなかで、共通して大切にしていることはありますか?

マインドセットの面では、コアバリューとの重なりを大切にしています。アーチーズには「Own Grit」、「Have Proud, Throw Pride」、「Embrace Diversity」という3つの価値観がありますが、なかでも特に重視しているのが「Own Grit」、つまり「やり切る力」です。

── 「Own Grit」は、採用の段階でどのように見極めているのでしょうか?

根底にあるのは「価値観は過去に宿る」という考え方です。ですから採用では、結果や継続した事実だけでなく、「自分の意思で選択し、困難をどう乗り越えてきたか」という行動の中身を深掘りしています。

たとえば同じ大学に進学した人でも、周囲に流されたのか、自分で決めて受験をやり切ったのかで、物事への向き合い方は大きく変わることでしょう。そして、人生一度は「もうやめたい」と思うほどきつかった瞬間があったはず。その時に何を選択し、どう乗り越えたのか。そうした具体的なエピソードにこそ、その人の本質が現れるはずです。

自分で決めた覚悟と乗り越えた経験の積み重ねが、最後までやり切る姿勢につながると信じています。

拠点を越えて、同じ方向を向く組織づくり

── 大林さんが入社されてから、組織にはさまざまな変化があったと思います。振り返ってみて、どんなことが印象に残っていますか?

入社してからの2年半は、本当に変化の多い時間でした。

入社した頃はまだ人数も少なく、仕事が終わればみんなで集まるような、距離の近い組織でした。ですが、短期間でメンバーが増えていくなかで、少人数の頃には自然に成り立っていた関わり方やカルチャーが、そのまま全員に当てはまるわけではないことを実感しました。

── その後、カルチャーづくりにはどのように向き合っていったのでしょうか?

もともとアーチーズはベトナムで創業していて、ベトナム拠点で育ってきたカルチャーがありました。東京拠点を立ち上げた当初は、そのカルチャーを東京にも取り入れて、「同じことをやっていけばいい」と思っていたんです。

ですが、実際に組織が大きくなるなかで、同じやり方がそのまま通用するわけではないと感じるようになりました。

なので現在は、コアバリューを共通の軸として持ちながらも、それぞれの拠点のメンバーが「自分たちでカルチャーを作っていく」、という考え方にシフトしました。同じ形にそろえるのではなく、共通する価値観を大切にしながら、それぞれの拠点らしさを自分たちの手で育てていくことが重要だと思っています。 

── 拠点ごとに異なるカルチャーがあるなかで、組織として同じ方向を向くために大切なことは何でしょうか?

拠点やチームが増えていくと、経営の考えを現場までつなぐ役割が欠かせなくなります。そこで大事になるのが、真ん中にいるマネージャーです。

マネージャーには、会社の方向性を理解し、経営陣と同じ方向を向いたうえで、それをチームに伝え、メンバーを引き上げていく役割があります。

それだけ重要なポジションだからこそ、誰かをすぐにマネージャーに据えるのではなく、会社が目指す方向を理解し、周囲にも影響を与えられる状態まで育てたうえで任せることを大切にしています。

実際、現在はマネージャー研修やサブリーダー研修も行い、会社の方向性や、どのような行動が評価されるのかを伝える場を設けています。マネージャーを育てること自体が、組織づくりの重要なテーマになっていますね。

300名、500名の組織を目指して。成長しても軸は変わらない

── 今後のアーチーズのビジョンについて教えてください。

事業としては、これからさらに大きくしていきたいので、メンバー数も300名、500名という次のステージを見据えています。

ただ、規模が大きくなっても「みんなでいい組織をつくる」という姿勢は変わらず大切にしたいと思っています。数字や成果を追うことはもちろん重要ですが、それと同じくらい、一人ひとりが自分たちの会社をより良くしていこうとすることが、事業を伸ばしていくうえでの土台になると考えています。

これからも会社はどんどん変化していくと思います。その変化を一番近くで楽しみながら、一緒にアーチーズをつくっていける仲間を増やしていきたいです。

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