採用広報カテゴリー「B」~事業に関するコンテンツとは?テーマ別に解説

採用活動に課題を抱える企業が増えています。長期的な人口減少傾向に伴う若年層の不足感やZ世代の価値観多様化など、さまざまな理由が存在しているためです。

こうした状況の中、採用力の強化を図るため、採用ブランディングや採用広報に力を入れる企業が増加しています。

求職者の企業選びの軸が多岐にわたることで、企業に求められる多角的な情報発信。そこでHirinGeekでは、Wantedlyのストーリー機能を活用するための方法や採用広報コンテンツの制作手法を、「ABCDE」という形に見立てて解説していきます。

参考:採用広報のABCDEとは?ストーリー機能で伝えるべきコンテンツをご紹介
参考:採用広報カテゴリー「A」~人に関するコンテンツとは?テーマ別に解説

中でも今回は、採用広報コンテンツ「Business(「事業」に関するコンテンツ)」の制作について、詳しく説明します。

参考:採用広報で競合と差をつける。Wantedlyのストーリー機能を活用しよう。

 

Business「事業」とは

自社の収益を支える事業(Business)と、その構造に焦点を当てて制作したコンテンツは、頭文字をとって“採用広報のコンテンツカテゴリー「B」”と分類します。

商品・サービスの説明をはじめ、市場における強みや他社との差別化ポイント、さらに事業を展開するための施策や、展開に向けた社内の組織構造・社員の業務内容の解説も含まれます。

  • 事業内容…商品・サービスの紹介や説明
  • 市場規模…市場における強みや、他社との差別化ポイント
  • 施策…展示会、イベント、メディアなどの取り組み
  • 手段…組織・チーム構造、社員の業務内容、開発秘話など

Business「事業」について書くメリット

Business「事業」について取り上げる目的は、求職者に「市場における自社のポジショニングを理解してもらう」こと。候補者が自社の事業や環境を正確に認識しているとは限らないためです。

商品・サービスを利用しただけでは伝わらない、開発の想いやこだわりを合わせて記載することで、候補者の共感を引き出し、より深い理解を得ることができます。

 

Business「事業」コンテンツをつくるポイント

1.事業内容

採用広報の土台となるのが、「自社がどんな事業を行っているか」を伝える記事です。候補者に「この会社で働いてみたい」と思ってもらえるかどうかに大きく関わります。

以下のような視点を盛り込み、「会社の全体像がつかめた」「将来性があると感じた」といった感想を引き出す記事を目指しましょう。

  • どんな市場環境の中で
  • どのように成長してきて
  • どんな未来を描いているのか

これらを伝えることで、候補者の志望意欲向上につながります。

4つのポイント

1. 自社が展開する事業の全体像を明確にする

候補者が最初に知りたいのは、「どんな会社なのか」という全体像です。主力事業に加えて複数の事業領域や関連サービスがある場合は、それぞれの概要や関係性も簡潔に紹介しましょう。

  • 「メインは◯◯事業ですが、最近では△△事業にも注力中」  
  • 「□□向けのサービスを中心に展開していますが、BtoB領域への拡大も進めています」

2. 専門用語は避け、わかりやすい言葉で説明する
採用広報でありがちな落とし穴が、専門用語を多用してしまうことです。事業の魅力を正確に伝えたい気持ちは理解できますが、まずは“誰でも理解できる表現”を意識しましょう。

特に、若手層や未経験者が対象の場合には、一歩引いた視点で表現を見直すことが大切です。どうしても専門用語が必要な場合は、簡単な説明を添えてください。

✗「独自のAPI連携でDX化を促進」
◎「企業の業務を効率化するために、他のサービスと連携する仕組みを開発」

3. 過去の成長や現在のポジションが簡潔に伝わる
「今、どんな立ち位置にある会社か」が分かると、安心感や信頼感が高まります。読みやすさを保つためにも、簡潔な記述を心がけましょう。

  • どんな背景で事業が立ち上がったか
  • これまでにどのような成長を遂げたか
  • 現在、市場の中でどのような立場にあるのか

4. 未来像を描き、候補者に参加イメージを持たせる
「今の姿」だけでなく、描いている未来像にも触れましょう。候補者が「この会社の未来に関われそう」と思えることが重要です。可能であれば、新規事業構想や成長戦略などに触れられると、企業としての魅力がより強く伝わります。

  • 中長期で注力したい事業領域
  • 解決したい社会課題
  • 現在直面している課題や挑戦
  • そのために求める人材像

チェックリスト

[ ] 自社が展開する事業の全体像を明確にする
[ ] 専門用語は避け、わかりやすい言葉で説明する
[ ] 過去の成長や現在のポジションが簡潔に伝わる
[ ] 未来像を描き、候補者に参加イメージを持たせる

例文イメージ

弊社は、中小企業向けにクラウド会計システムを提供しています。現在は1,000社以上に導入いただいており、今後は人事労務分野にも領域を広げていく計画です。

 

2.自社の強み

「この会社、他とどう違うんだろう?」求職者が企業を比較・検討するとき、必ず気にするのが “他社にはない強み”。事業紹介で大枠が伝わったら、次は自社が市場でどう評価されているのか、どんな独自性を持っているのかを、具体的に伝える記事が有効です。

3つのポイント

1. 商品・サービスの「強み」を説明する

「自社の強みを抽出することが難しい…」という方へ。まずは、「競合と比べても、少なくとも上位に入りそうな点」や「自分たちの目線で、これだけは絶対に譲れないと思える点」を挙げてみてください。

その後、抽象的になりやすいこれらの「強み」に対し、データ・事例・背景などで裏付けしていきましょう。

  • 業界でいち早く○○を導入
  • ユーザー継続率が平均より●%高い
  • 他社ではできない△△な提案が可能

2. 他社と比べてどこが違うのか、やさしい言葉で伝える

市場におけるポジショニングを語る上で、競合との違いに触れることになります。

ただし、他社を否定的に描写するのはやめましょう。「自社が大事にしている姿勢」「注力している領域」など、“軸の違い”として語るのがおすすめです。

✗「他社はサポートが弱いが…」 
◎「当社は導入後の支援まで一貫して行います」

3. 製品・サービスへの想いと未来像を入れる

数字・機能といった“スペック”だけでなく、サービスを生み出した想い(背景・こだわりなど)を入れるのがおすすめです。会社の思想・価値観が自然と伝わり、候補者からの共感を得られやすくなります。

また、「今後どこを目指しているのか」「次に挑戦したい領域はどこか」といった未来の話もできると、候補者が「その成長に自分がどう関われるか」が想像しやすくなるのでおすすめです。

文脈例文
想い

「○○という社会課題を見て、開発に踏み切った」
「△△なユーザーの声がきっかけで、今の形になった」

未来

「xxという課題があったので、カスタマイズ性を強化したい」
「次はxx領域にサービスを展開していきたい」

チェックリスト

[ ] 商品・サービスの「強み」を説明する
[ ] 他社と比べてどこが違うのか、やさしい言葉で伝える
[ ] 製品・サービスへの想いと未来像を入れる

例文イメージ

弊社のサービスは、導入から運用まで全て社内の専任チームがサポートするのが特徴です。大量導入が難しい業種に特化しているため、ニッチな業界でも高い満足度を得ています。

3.イベント・キャンペーン・プロジェクト 紹介

事業を詳しく語る上で、単なるサービス紹介や数値実績だけでは、取り組む際の熱量を伝えきれません。そこで、展示会・カンファレンスなどのイベントや、キャンペーン・プロジェクトについて取り上げることで、「現場のリアルな熱量」も可視化していきましょう。

目的

「実際にどんな場所で、誰が、どんな風に事業を広げているのか」を知ることが、会社理解を深めるきっかけになります。

4つのポイント

1. 目的と実績を明確にする

なぜそのHowに取り組んでいるのか、必ず目的を記載しましょう。「会社が目指す方向性」が伝わりやすくなるためです。あわせて、そのHowから得られた実績を添えることで、「注目度の高さ」や「市場での反響」を可視化することができます。

文脈例文
目的・新サービスの認知拡大を狙った
・新しい顧客層にアプローチするため
・採用ブランディングの一環として
実績

・イベント:来場者数、配布資料数、名刺交換数、満足度
キャンペーン:参加者数、投稿内容、満足度
・プロジェクト:改善率、定量・定性評価、満足度


2. 担当メンバーのコメント・準備裏話など、“リアルな社内の反応”を紹介する

「ただ紹介するレポート」では終わらせず、“社内メンバーの視点”も取り入れてみてください。メンバーの想い・エピソード・こだわりや感想 を盛り込むと、「働く仲間の想い」も一緒に伝えることができます。メンバーが対応している写真などもあわせて掲載しましょう。

  • どんな準備をしたのか
  • 対応で印象的だったこと
  • 関わってみての感想

3. 来場者の反応など“社外のリアルな反応”を記載する

プロダクト・サービスを「社外から評価する」ことで、事業の価値・方向性を伝えやすくなります。イベントやキャンペーンの場合は、来場者・参加者の反応や具体的なやり取り。プロジェクトに社外メンバーが関わっていれば、彼らのリアルな反応を記載しましょう。

  • 「xx業界の方が興味を持ってくださった」
  • 「xxについて具体的な質問が多かった」
  • 「xxと比較検討していた声が印象的だった」

4. イベントやキャンペーンの場合は…今後の開催予定を紹介し、来場のきっかけにする

「応募・カジュアル面談は、いきなりだとハードルが高い」という候補者には、その一歩手前の接点として「実際に足を運べる機会」を示すことも有効。自然と接点が生まれます。

  • 今後の出展予定(○月○日@○○)
  • イベントページ、申し込みフォーム
  • 「もしお越しの際は、気軽に声かけてください!」などのメッセージ

チェックリスト

[ ] 出展目的と実績を明確にする
[ ] 担当メンバーのコメント・準備裏話など、“社内のリアルな反応”を紹介する
[ ] 来場者の反応など“社外のリアルな反応”を記載する
[ ] イベントやキャンペーンの場合は…今後の開催予定を紹介し、来場のきっかけにする

例文イメージ

4月の「東京ビジネスEXPO」では、初のAI連携機能を紹介。来場者からは「中小企業にも使いやすい」と好評をいただき、デモブースも常に満席でした。企画を担当した営業の高橋から、出展の裏話をお届けします。

 

4.組織構成と業務内容

求人票だけでは伝えきれない、事業を支えるカルチャー・人の情報。例えば、「どんな組織構成で、どんな役割をもって仕事をするのか」という視点も、ぜひ取り入れてみてください。

目的

候補者が知りたがっているのは、事業内容についてだけではなく、「入社後、どんな部署で誰とどのように働くのか」などのより具体的なことも含みます。入社後に関わるチームや担当業務が具体的にイメージできると、応募意欲の高め・ミスマッチを減らす効果が見込めます。

3つのポイント

1. 性別・年齢層といった構成など、参考になる社内データを加える

「どんな人と働くのか」を可視化できるよう、以下のような情報があると、社内の雰囲気や配属後のイメージが湧きやすくなります。

項目
各部門の人数と役割部門構成、部門内の人数・役割
性別・年齢などの構成比20〜40代が中心、過去の経歴・マインドの共通点
性別・年齢などの構成比Slackでの気軽なやり取りや、連携の頻度・様子

2. チームの名称をはじめ、ミッション・業務内容・将来像まで明確にする

チーム名だけでなく、ミッション・業務内容を記載しましょう。

具体的であればあるほど良いので、「メンバーごとの担当領域の違い」「職種間の連携イメージ」「チームが描く未来」についても触れてみてください。

ミッション

自社プロダクトのブランディング
UI改善を担う

新設の背景クライアントと開発チームをつなぐ存在がおらず、一部ご意見が浮いている状態になっていた
チーム構成

役職:〜
職種:〜

目指す未来人数を2倍に増やす予定、管掌範囲を広げている、…

3. 代表的な1日のスケジュールを、図や文章で示す(例:エンジニアの1日)

「円グラフ」や「表」で示すのもおすすめです。「どんな内容の打ち合わせか」「どんな人と関わるか」などの補足情報も添えると、働くイメージがぐっとリアルになります。

  • 9:30 メール・問い合わせ対応のチェック 
  • 10:00 朝会(対応内容と注意点を共有) 
  • 11:00 導入企業向けの操作説明会を実施 
  • 13:00 ランチ 
  • 14:00 よくある質問をFAQに反映 
  • 16:00 社内の改善提案ミーティングに参加 
  • 18:00 退勤

チェックリスト

[ ] 性別・年齢層といった構成など、参考になる社内データを加える
[ ] チームの名称をはじめ、ミッション・業務内容・将来像まで明確にする
[ ] 代表的な1日のスケジュールを、図や文章で示す(例:エンジニアの1日)

例文イメージ

開発部は現在3名体制で、20代〜30代の若手中心。日々の業務は10:00の朝会から始まり、コードレビュー、MTGなどを経て、18:30に退勤します。Slackを活用したリモート中心の働き方が特徴です。

5.テックブログ

中でもエンジニア採用の場合、技術的な深さ・リアルな情報を伝えられるテックブログがおすすめです。

採用担当者自身にエンジニアの経験がないとしても、自社の技術力・環境を把握することで、他社との差別化・自社にたりない要素を発見することにつながります。

目的

エンジニアの場合、選考よりも前の「接点フェーズ」でいかに信頼を得るかが重要。この際エンジニアは、「自分のスキルをどれだけ高められるか」「どんなメンバーとどんなカルチャーで開発に挑むのか」を気にする傾向があります。

4つのポイント

1. 【テックブログ】と記載するなど、記事タイトルを工夫する

記事を作成する上で大切なのは、ターゲットであるエンジニアの目に届いているかどうか。「作ったものの、実は読まれていなかった」という事態は避けたいものです。

ターゲットに読まれるよう、タイトルを工夫をしましょう。これは、エンジニアに限らず全職種を採用する場合にも共通する考え方です。

2. 自社のスキルアップ支援制度や、働きやすい環境を紹介する

エンジニアにとって、「スキルアップにつながりそう」「働きやすい・開発しやすそう」と思ってもらえる社内制度・環境を紹介しましょう。例えば、以下のような内容が当てはまります。

技術書や論文の購入補助社内にある技術書・契約論文の情報、補助金額・条件 など…
研修、資格取得支援資格取得実績、研修の種類、支援内容
技術を磨く社内文化LT大会、ハッカソン、外部カンファレンス参加
社内の設備環境複数のPCを設置できるか、外付けのモニターは完備されているか
自宅での開発環境整備、備品・機器の購入支援PCの貸し出し・機器購入、電気代補助

紹介するとき、「制度を導入した背景・こだわり」「制度の活用率」「制度を利用したエンジニアのリアルな声」なども記載すると効果的。詳しく紹介できるということは、エンジニアのための環境づくりに会社が本気で取り組んでいる証明にもなります。

3. 技術的チャレンジや開発体制の工夫を、具体的に紹介する

ある課題について、どのような技術を使って解決したのか。その時の開発体制やチームのカルチャー、苦戦したポイントやこだわりを具体的に記載しましょう。

一見、専門性が高く難しい内容に見えるかもしれませんが、エンジニアの場合はむしろおすすめ。内容をより具体化するために、可能であればエンジニアメンバーを作成に巻き込めると良いです。

4. 適した場所に投稿する

「より多くのエンジニアに読んでもらう」という視点も、ぜひ忘れないでください。

おすすめの投稿先は、エンジニアの登録者数が多いプラットフォームです。例えば、はてなブログ・Qiita・Zennなどは、技術発信や交流を目的としたエンジニアが多く登録しています。

チェックリスト

[ ]【テックブログ】と記載するなど、記事タイトルを工夫する
[ ] 自社のスキルアップ支援制度や、働きやすい環境を紹介する
[ ] 技術的チャレンジや開発体制の工夫を、具体的に紹介する
[ ] Qiita・Zennなど適した場所に投稿する

例文イメージ

【テックブログ】RailsからGoへ移行した理由と結果。サーバー処理速度が3倍に向上し、開発体験がどう変わったかをご紹介します。弊社では月1のLT会や技術書購入支援制度も用意しています。

 

まとめ

今回は採用広報コンテンツのカテゴリー「B(Business 事業に関するコンテンツ)」を詳しく説明しました。採用広報コンテンツといえば社員取材記事と考えている企業は少なくありません。

しかし、求職者に対しては社員に関してだけではなく、事業やキャリア、職場環境など幅広い情報提供が求められます。自社の事業および商品・サービスへの理解を深めてもらい、採用活動を成功させましょう。

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