採用広報カテゴリー「C」~キャリアに関するコンテンツとは?テーマ別に解説

採用活動に課題を抱える企業が増えています。長期的な人口減少傾向に伴う若年層の不足感やZ世代の価値観多様化など、さまざまな理由が存在しているためです。

こうした状況の中、採用力の強化を図るため、採用ブランディングや採用広報に力を入れる企業が増加しています。

求職者の企業選びの軸が多岐にわたることで、企業に求められる多角的な情報発信。そこでHirinGeekでは、Wantedlyのストーリー機能を活用するための方法や採用広報コンテンツの制作手法を、「ABCDE」という形に見立てて解説していきます。

参考:採用広報のABCDEとは?ストーリー機能で伝えるべきコンテンツをご紹介
参考:採用広報カテゴリー「A」~人に関するコンテンツとは?テーマ別に解説
参考:採用広報カテゴリー「B」~事業に関するコンテンツとは?テーマ別に解説

中でも今回は、採用広報コンテンツ「Career(「キャリア」に関するコンテンツ)」の制作について、詳しく説明します。

参考:採用広報で競合と差をつける。Wantedlyのストーリー機能を活用しよう。

 

Career「キャリア」とは

採用広報のコンテンツカテゴリー「C」は、“Career”の頭文字に由来します。メンバーのキャリアにかかわる制度・環境にフォーカスした情報を発信するカテゴリーです。

キャリアとは、メンバーが経験・スキル・役割を積み重ねながら、組織の中で成長していくプロセスそのもの。「そこでどのように価値を発揮し、成長できるのか」という視点で紹介していきます。

 

Career「キャリア」について書くメリット

・候補者の安心材料になる
キャリアパス・評価制度・研修など、社外からは見えにくい情報を可視化していくので、候補者は入社後の成長イメージを具体化することができます。

・“入社後の魅力”を伝えられる
「入社したらどう成長できるのか?」という情報があれば、選考前に読んだ候補者にとっては「この会社が自分にあっているのか」の判断材料に。選考中であれば、「志望動機や未来像を明確にする」といった面接対策の材料となり得ます。

・自社のカルチャーや人材観を明示できる
「どのような人が活躍し、評価されるのか」といった価値観を発信することで、企業との相性を感じてもらいやすくなります。

・ミスマッチの防止に役立つ
評価基準や育成方針を前もって候補者に伝えられると、入社後のギャップを減らすことにもつながります。

 

Career「キャリア」コンテンツをつくるポイント

1.キャリアアップ

「どんなキャリアが築けるのか?」は、候補者が入社を決めるうえで最も気にするポイントのひとつ。単にスキル・役職といった話にとどまらず、候補者の価値観・人生設計と深く結びつくためです。

以下の4つのポイントを意識して、丁寧な情報発信を心がけましょう。

4つのポイント

1. 多様なキャリアパスを、具体的に紹介する

候補者の数だけ理想のキャリアパスが存在します。役職をUPしたい人、スペシャリストを目指したい人、転勤なく長く働きたい人…。こういった多様なケースに対応できるよう、道筋を明確にすることが大切です。

可能であれば、「入社3年目→5年目→その後」といった形で、図やフローを使って示していきましょう。

  • 「若手のうちからマネージャーを目指せる道がある」
  • 「専門領域のスペシャリストという、プロフェッショナルとして活躍できる」
  • 「地域限定社員制度を活用し、ライフスタイルに合ったキャリアが描ける

2. キャリア支援の制度や文化が、実例つきで明確に書かれている

「キャリア支援の仕組みが整っている(あるいは企業として力を入れようとしている)」こともポイントです。

すでにある制度・サポートの内容に加え、将来どのような仕組みを実現していきたいかなどもあわせて伝えていきましょう。

  • 新入社員研修・階層別研修
  • 資格取得や書籍購入の補助
  • 1on1やキャリア面談
  • ジョブローテーションや社内公募制度
  • 目標設定・評価制度の透明性

3.ワークライフバランスをキャリアのひとつにとらえ、その両立に触れている

社員一人ひとりの価値観に寄り添う姿勢を、伝えることが大切です。

「人生設計の中にキャリアがある」という視点が大切です。結婚・出産・育児・介護を経験する際に、あきらめず長期的なキャリアを築ける環境か伝えましょう。

  • 産休・育休・介護休暇時の支援制度
  • 復職制度
  • 柔軟な働き方ができる制度(時短・フレックス・リモート・一時外出 など)

4. 先輩メンバーの声も取り入れ、リアルに伝える

制度の内容を記載しても、そのリアル感は伝わりにくいもの。実際に働くメンバーの声を交えて、リアリティをもたせましょう。

  • 「どんな悩みがあったか」
  • 「どう乗り越えたか(具体的に利用した制度・サポートなど)」
  • チームの雰囲気はどうだったか
  • 「今どんなやりがいを感じているか」

チェックリスト

[ ] 自社で描ける複数のキャリアパスが、具体的に紹介されている
[ ] キャリア支援の制度や文化が、実例つきで明確に書かれている
[ ] ワークライフバランスをキャリアのひとつにとらえ、その両立に触れている
[ ] 先輩社員の声やストーリーが紹介され、リアリティがある
[ ] 求職者が「自分もここで成長できそう」と感じられる構成になっている

 

2.人事評価制度

入社後のキャリアを大きく左右するのが「人事評価制度」です。企業の価値観や組織文化を最も色濃く反映する制度のひとつでもあります。

「何を評価するのか?」「どんな成長を支援してくれるのか?」という候補者の問いに、丁寧に答えていきましょう。

4つのポイント

1. どんな「評価軸」があるのかを明確にする

人事評価には、大きくわけて3つの評価軸があります。自社が重視している評価軸を明確にすることで、カルチャーフィット採用の第一歩になります。

要素
能力評価(スキル・知識・姿勢)課題解決力、リーダーシップ、専門性
業績評価(成果・目標達成)売上目標の達成、プロジェクトの進捗率
情意評価(意欲・協調性・主体性)チーム貢献度、学習意欲、前向きな姿勢


2. 評価の「手法」を具体的に伝える

評価の「軸」を記載したら、その次は評価する時の「プロセス・方法」を記載しましょう。

例「評価手法」

  • 上司による評価(一般的な1on1・面談ベース)
  • 360度評価(部下や同僚からのフィードバックも反映)
  • コンピテンシー評価(ハイパフォーマーの行動特性を基準にした評価)
  • 目標管理(MBO)を活用した成果評価 など
  •  

3. 階層制度・グレード・昇格の仕組みを見える化する

評価制度がキャリアアップにどう結びつくのか、セットで語る必要があります。そのため、階層構造や昇格条件をわかりやすく示しましょう。可能であれば、図やフローを使って説明してください。

要素
職位体系ジュニア → シニア → リーダー → マネージャー
キャリアパススペシャリスト、ゼネラリスト
社内等級の説明G1〜G5、S1〜S3
昇格条件評価スコア、資格取得、語学力


4. 評価制度を支える思想・文化も、あわせて伝える

制度や仕組みの話だけでなく、「なぜこの評価制度なのか?どう設計したのか?」という思想や背景、制度づくりのプロセスも伝えましょう。担当メンバーの声を含めるのもおすすめです。

  • なぜ360度評価を取り入れたのか
  • 評価の公平性・透明性をどう担保しているか
  • 評価後のフォロー(1on1やキャリア面談など)はどう設計しているか

チェックリスト

[ ] どんな「評価軸」があるのかを明確にできている
[ ] 評価の「手法」を具体的に伝えられている
[ ] 階層制度・グレード・昇格の仕組みを見える化できている
[ ] メンバーの声を含めながら、評価制度を支える思想・文化を伝えられている

 

3.スキルアップ支援

多くの候補者は「この企業でどれだけスキルが伸ばせるか?」をシビアに見ています。

「キャリアアップを目指す中で、どのようなスキルを得られるのか。」「スキルを得るために、企業がどのような支援を行うのか。」を丁寧に説明しましょう。

4つのポイント

1. 入社後に発生する社内研修・育成制度を、具体的に説明する

OJTをはじめ、社内教育の全体像を説明しましょう。可能であれば、「どんな内容を、誰が、いつ、どんな方法で教えるのか」まで記載してください。

  • 入社直後のオンボーディングプログラム
  • 階層別の社内研修(例:若手向け、リーダー向けなど)
  • OJTの体制(指導社員の有無、期間など)
  • 新卒・中途それぞれに対する研修設計の違い

2. 社外の研修・資格取得支援制度を記載する

社外で受けられる制度も紹介しましょう。候補者に対し、”社外からもフィードバックを得られる企業”という印象を与えることができます。

  • 外部セミナー・勉強会への参加費補助
  • 資格試験の受験費用サポート
  • 資格取得による手当・報奨制度
  • 書籍購入費や学習コンテンツの提供

3. あわせて、資格取得者数などの実績を伝える

実績を示すことで、メンバーの成長度合いの可視化が可能です。支援に向けた企業の本気度が伝わるので、候補者からの信頼感も上がります。

要素
特定資格の保有者数AWS資格保有エンジニア ○名
資格の取得率新卒1年目で基本情報技術者取得率80%
年間の支援実績年間50名が外部セミナーに参加


4. 企業の想い・メンバーの声など、リアルを添える

研修内容や支援制度といった具体的なことに加え、「どうして支援に力を入れているのか?」という企業の思想・姿勢も言語化しましょう。

  • 「社員の成長=企業の成長」という考え方
  • その支援制度を導入した背景、実際に受けたメンバーの感想
  • 研修の受講を通じて活躍しているメンバーのエピソード
  • 上司や人事の支援体制、キャリア相談の仕組み など

チェックリスト

[ ] 入社後に発生する社内研修・育成制度を、具体的に説明できている
[ ] 社外の研修・資格取得支援制度を記載できている
[ ] あわせて、資格取得者数などの実績を伝えられている
[ ] 自社の想い・メンバーの声など、リアルを添えられている

 

4.選考プロセス

候補者が企業に関心を持ち、応募を検討し始めた際に、気にする情報のひとつが「選考プロセス」。候補者にとっては、採用広報の情報そのものが安心材料、ひいては選考を突破するための鍵となるからです。

4つのポイント

1. 応募〜内定までのプロセスを明確にする

選考フローの透明性を高めるために、職種ごとに情報を記載しましょう。

要素
書類選考や面接実施回数、面接官の役職
適性検査や課題SPI/英語試験/ケーススタディ
実施タイミング書類通過後にSPI
内定後の流れオファー面談、意思確認、入社手続き

選考フローの透明性を高めることは、求職者の信頼感につながります。

2. オンライン・対面などの実施形式を明確にする

候補者の中には、遠方から選考を受けようとしている人もいます。応募ハードルを下げるために、どのような形式で行うのかを明記しましょう。

要素
面接形式1-2次はオンライン、最終のみ対面
遠方候補者への対応すべてオンライン可
オンラインの場合の使用ツールZoom / Google Meet
対面の場合の実施場所 
交通費支給の有無最終面接時に支給あり


3. 面接FAQで不安を和らげる

多くの候補者が、「どんなことを聞かれるのか不安」だと感じています。FAQを用意し、よくきく質問とその意図・対策を伝えましょう。

候補者は事前にFAQを知って準備できるので、選考全体が前向きな体験になります。

  • 志望動機や自己紹介で見ているポイント
  • よくある質問の傾向(例:価値観、過去の経験)
  • NG回答例(企業カルチャーと乖離がある内容など)

4. 候補者へのリスペクトを忘れない

本来説明する必要がなくても、記載することで候補者への誠実さ・配慮が表れる情報です。「候補者を大切にしている」という企業の姿勢を伝えやすくなります。

  • 選考全体の所要時間
  • 面接時間帯の柔軟性(平日夜 / 土日対応の有無)
  • 選考に必要な候補者側の工数、提出物の明示
  • フィードバックの有無、そのタイミング

チェックリスト

[ ] 応募〜内定までのプロセスとともに、面接回数や担当者情報を記載できている
[ ] オンライン・対面などの実施形式を明確にできている
[ ] よくある質問と回答を、FAQ形式で紹介できている
[ ] 候補者へのリスペクトが見て取れる

 

5.求める人材像

多くの企業は、選考時にペルソナ(理想の人物像)を設定します。一方で候補者にとって、その全体像を把握できる場面は多くありません。

そこで採用広報では、「スキルをはじめ、カルチャーや理念への共感」といった観点から、「求める人材像」を丁寧に伝えていきましょう。

3つのポイント

1. スキルマッチ・カルチャーマッチ・パーパスミッションマッチの3軸で伝える

求める人材像は、スキルの有無だけでは語れません。適性や価値観含め「自分にあっている」と候補者に思ってもらうためにも、以下3点を意識して記載しましょう。

スキルマッチ  :職種に必要な技術・経験値を備えているか

・カルチャーマッチ:組織やチームの雰囲気に合うか

パーパスミッションマッチ :企業の存在意義や理念に共感できるか

 

2.リアルなメンバー像も入れ込みながら、言葉の抽象度を下げる

「主体性がある人」「成長意欲のある人」などの抽象的な表現は、できる限り具体化しましょう。実際に活躍しているメンバーを例にするのもおすすめです。

例:新卒入社で成果を上げている人の特徴
不確実な状況でも、自ら動ける人。入社して1ヶ月で、xx業界大手のプロジェクトに関わる。先輩メンバーとともに進める中で、◯◯の課題に対し自ら◻︎◻︎といった解決策を提案。〜


3. 人事や経営層の声を通じて、「想い」まで伝える

ペルソナを設定した背景や、重視する理由を語ることで、「この企業がともに働きたい人」がメッセージとして伝わります。可能であれば、インタビュー形式で記載しましょう。

チェックリスト

[ ] スキル・カルチャー・パーパスの3軸で整理できている
[ ] リアルなメンバー像の記載があり、言葉が具体的である
[ ] 人事・経営層の声で、背景や想いが語られている
[ ] 実際の社員エピソードとリンクさせてリアリティを持たせている
[ ] 求職者自身が照らし合わせやすい構成になっている

 

まとめ

今回は採用広報コンテンツのカテゴリー「C(Career キャリアに関するコンテンツ)」を詳しく説明しました。採用広報コンテンツは社員取材記事だけでなく、事業や製品・サービスの詳細や業務内容、また働く環境などさまざまなカテゴリーの情報から企業のありのままを理解してもらうための活動です。

とくに自社への入社意向度が高い求職者が関心を持ちやすい選考プロセスに関するコンテンツも充実させて、応募につなげましょう。

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