新入社員やエンジニア、取材記事制作のポイントは?

採用広報カテゴリー「A」~人に関するコンテンツとは?テーマ別に解説

採用活動に課題を抱える企業が増えています。長期的な人口減少傾向に伴う若年層の不足感やZ世代の価値観多様化など、さまざまな理由が存在しているためです。

こうした状況の中、採用力の強化を図るため、採用ブランディングや採用広報に力を入れる企業が増加しています。

求職者の企業選びの軸が多岐にわたることで、企業に求められる多角的な情報発信。そこでHirinGeekでは、Wantedlyのストーリー機能を活用するための方法や採用広報コンテンツの制作手法を、「ABCDE」という形に見立てて解説していきます。

参考:採用広報のABCDEとは?ストーリー機能で伝えるべきコンテンツをご紹介

中でも今回は、採用広報コンテンツ「Associates(「人」に関するコンテンツ)」の制作について、詳しく説明します。

参考:採用広報で競合と差をつける。Wantedlyのストーリー機能を活用しよう。

 

Associates「人」とは

採用広報のコンテツカテゴリー「A」はAssociatesの頭文字であり、「人」すなわち自社を構成する人物に焦点をあてて制作します。

「自社を構成する人物」とは経営陣や社員だけではありません。取引先や事業上のパートナー、あるいは退職者など外部の関係者を対象とする場合もあります。

社長をはじめとする経営陣や社員、そして外部関係者への取材を通じて「仕事内容」「やりがい」「働き方」における自社の魅力を伝え、求職者の理解を深めましょう。採用広報に取り組むほぼすべての企業が社員取材記事を制作しているのを見ればわかるとおり、「人」に関するコンテンツは採用広報における主要なコンテンツです。

「人」に関するコンテンツの重要性は調査結果にも表れています。2025年新卒学生への調査では、企業を選ぶ際に重視する魅力の上位は「社風」と「人」となっています。

また、2023年9月に学生と社会人を対象に行われた調査でも、80%以上が「キャリアや働き方の事例」と「人」に関するコンテンツが入社意向度に影響すると回答していました。さらに、企業探しで不足していると指摘されているのが「働き方」「人」に関する情報であり、「Associates(「人」に関する採用広報コンテンツ)」を充実させる必要性を感じさせます。

では、「人」に関するコンテンツを制作するうえでは、どのような点に注意すべきなのでしょうか。「社長・経営陣」「新入社員」「エンジニア」「採用担当者」「取引先・事業パートナー」にわけ、それぞれを解説します。

引用:25卒就活「業界・企業選び」意識調査

引用:就職活動の意思決定に寄与する「コンテンツ」実態調査

1.社長・経営陣

社長や取締役は企業を経営する層であり、社員とのもっとも大きな違いは「会社全体を俯瞰できる」立場にある点となります。そのため、自社を高い視点から語る採用広報コンテンツとなるのが特長です。

事業の全体像や市場におけるポジション、そして将来像など、社長・経営陣だからこそ語れる内容を心がけましょう。

社長・経営陣への取材記事が採用広報コンテンツの中で果たす役割は次の3点です。

◾️自社のアウトラインをしっかりと伝え、求職者に正しく理解していただく。
◾️ミッション・ビジョン・バリュー・パーパスなど企業理念を背景から説明し共感を獲得する。
◾️自社の将来像と実現するための課題および対策を語り、期待感を生み出す。

ポイント

社長・経営陣への取材記事で注意すべき点を3つ紹介します。

1.定期的に実施する

社長・経営陣の取材記事を採用広報コンテンツとして掲載している企業は少なくありませんが、一度きりであるケースが多いようです。しかし、企業の業績や事業計画は毎年のように変化します。

そのため、社長・経営陣の取材記事は定期的に制作する必要があります。前年度の業績に関する振り返りや課題がどこにあったのか、次年度の事業計画への影響はあるのか、など、企業のトップによる言葉がもっとも説得力があるためです。

2.社員との距離感を伝える

社長や経営陣と社員の距離感を伝える工夫を取り入れましょう。

距離が近い企業であれば、社長・経営陣が笑顔で微笑む写真を掲載したり、趣味などプライベートを支障のない範囲で公開すれば、親近感を獲得できます。

社長や経営陣と社員の距離は企業ごとに異なりますので、自社がどのような距離感なのか、取材記事を通じて伝えると求職者にとって参考になります。

求職者がまだ外部の方であると認識し、尊重している姿勢を示すのがポイントです。応募における安心感の醸成につながります。

3.社内向けも意識する

社長・経営陣への取材記事は、求職者と同時に社員に向けて発信するコンテンツという意味あいも持ってます。

多くの社員にとって社長や経営陣が何を考えているのかを深く知る機会は多くないでしょう。とくに自社の将来がどうなっていくのか、企業理念がどんな背景・理由から設定されたのかなど、深く理解するための場はなかなかありません。

社長・経営陣への取材記事は社員が自社を正しく・深く理解する効果も高いため、エンゲージメント向上の一助ともなります。

質問例

  • 経営陣への取材記事を制作する際の質問例をご紹介します。
  • 事業の詳細と競合他社に対する強みを説明してください。
  • 事業を展開する上で課題となっているのはどんな点でしょうか。
  • 事業を発展させるために、どのような成長戦略を描いていますか。
  • 企業理念を定義した背景と想いを語ってください。 ・会社の将来像や未来の展望をお話しください。

2.新入社員

新卒・中途を問わず、新入社員の特徴は、最近まで社外の人材だった点にあります。そのため「外部の目線」にもっとも近い存在であり、求職者にとって貴重なアドバイスを生み出せます。

この会社のどこに魅力を感じたのか、入社の決め手は何だったのかなど、就職・転職活動から入社にいたるまでのプロセスに焦点をあてましょう。また、入社して感じた点を率直に語ってもらうのも大切です。

新入社員への取材記事が採用広報コンテンツの中で果たす役割は次の3点です。

◾️就職・転職活動で入社を決断したポイントから企業の魅力を伝える。
◾️入社前の期待値と入社後に感じたギャップをを明らかにしてミスマッチを防止する。
◾️業務内容や1日の過ごし方から、求職者に入社後の日々を具体的にイメージさせる。

ポイント

1.「外部に近い目線」を意識する

新入社員はまだ会社に慣れておらず、外部の目線にもっとも近い存在です。自社を知ってどこに魅力を感じたのか、他社の内定を断って入社した決め手は何だったのかなど、求職者にとって参考になるコメントを引き出しましょう。

社内で自社の魅力として認識していた点とズレが生じている可能性もあります。実際に入社した新入社員の意見は、採用活動にも役立つ内容を多く含んでいます。

2.入社後のギャップを伝える

多くの人材が入社後にギャップを感じており、早期離職につながるケースも少なくありません。新入社員への取材記事は、今後入社する人材がギャップを感じないよう、ミスマッチを防止する役割も担っています。

新入社員が入社して何を感じたか、どこにギャップを感じたかをありのまま伝え、早期離職の減少につながるよう構成しましょう。

3.入社して数ヶ月経過してから取材する

新入社員の取材記事は入社してすぐに実施しても、あまり意味はありません。外部の目線からのコメントは得られても、入社してからの毎日や業務内容を語れる段階にないからです。

また、早期離職してしまう可能性もゼロではありません。そこで、新入社員取材記事は入社してから3ヶ月程度は経過してから実施しましょう。

3ヶ月経過していれば業務内容も一通り理解して、求職者に語れる段階になっていると考えられます。

質問例

  • 入社にあたって、会社のどこに魅力を感じましたか。
  • 入社の決め手となった点は何でしたか。
  • 入社後の1日の過ごし方をお話しください。
  • 入社前と入社後で、ギャップを感じた点を教えて下さい。 ・入社して感じる社内のカルチャーを語って下さい。

3.エンジニア

エンジニアの採用に課題を持つ企業が増加しています。採用競争が激しくなる中で、とくに人材不足が懸念されている職種がエンジニアであるためです。

採用難易度が高いエンジニアからの応募を獲得するためには、エンジニアが転職活動で重視する点を採用広報でしっかりと押さえる必要があります。

売り手市場である現在、エンジニアは企業を選べる立場にあるとの前提に立ってコンテンツを構成しましょう。開発プロセスや開発ツール、使用言語など開発体制を明記するのはもちろん、働き方も詳しく伝える必要があります。

エンジニア採用に成功している企業は働きやすさを重視する傾向にあるためです。採用広報では、制度があるだけでなく実際にどのように利用されているのかまで踏み込むのが効果的です。

また、エンジニアは自身のスキルアップにも積極的です。どんなスキルアップ支援策が用意されているのかも明記しましょう。

エンジニアへの取材記事が採用広報コンテンツの中で果たす役割は次の3点です。

◾️開発体制や自社の技術レベルを伝えて、キャリアアップに役立つ職場であると訴求する。
◾️働きやすい環境である点を訴求し、ワークライフバランスの充実に関する理解を深める。
◾️研修やセミナー、資格取得支援などエンジニアとしてのスキルアップを図れる環境を伝える。

ポイント

1.働き方を伝える

エンジニアに対してどんな働き方を提供しているのか、詳しく説明します。フレックスタイム制度をはじめ、最近ではフルリモートワークや裁量労働制を導入している企業も少なくありません。

エンジニアが働きやすい環境に力を入れている企業であると理解してもらえるよう、コンテンツを制作しましょう。働き方を伝えるうえでは、社内のエンジニアが実際に制度をどの程度活用しているのかという観点で構成するのが重要です。

有給休暇など、制度があっても利用されていない企業も珍しくないためです。実際に働いているエンジニアへの取材を通じて、働きやすい職場環境であると認識してもらいましょう。

2.スキルアップ支援を明記する

エンジニアが入社してからどのようにスキルアップできるかを明記するのも大切です。資格取得支援やスキルアップに役立つ研修・セミナー、技術書購入支援など多くの企業がエンジニアの技術力向上に力を入れています。

自社ならではのスキルアップ支援があれば、しっかりと伝えましょう。技術力の高さを示すには、ハイスキルの先輩エンジニアに話を聞くのも効果的です。

この会社で自分の技術を磨きたい、と思ってもらえるよう構成するのが重要です。

3.カジュアル面談に対応する

エンジニア採用では、応募へのハードルを下げる施策も同時に行いましょう。採用広報コンテンツと紐づける形でカジュアル面談に対応する手法がオススメです。

エンジニアの取材記事を読んで魅力を感じた求職者が、この人に話を聞いてみたいと思うケースは少なくありません。また、すぐに転職を考えていない場合もありますので、気軽な情報交換の場としてカジュアル面談で接点を持てれば、タレントプールのリストに加えられます。

採用広報コンテンツ内で、興味を持った求職者にカジュアル面談を呼びかける記述を設けると効果的です。

質問例

  • 開発体制や使用言語など開発環境を説明してください。
  • 開発チームはどのようなコミュニケーションスタイルですか。
  • スキルアップのためにどんな取り組みをしていますか。
  • 自社がワークライフバランスに優れていると感じる点を教えてください。
  • 入社してからエンジニアとして成長を実感できたエピソードを紹介してください。

4.採用担当者

採用担当者は採用活動に直接関与できる立場にあります。面接担当者として選考プロセスにおける影響力の大きいタッチポイントである企業も少なくありません。

そのため、求職者にとって採用担当者がどんな人物なのかは応募における大きな関心事です。採用担当者への取材記事では、求職者の心理的なハードルを下げるよう配慮した構成を心がけるのが重要です。

また、面接で多く聞かれる質問に対する回答を取材記事上で述べておけば、求職者が感じている疑問をあらかじめ解消できます。さらに、求める人材像と設定した背景に入社後の研修制度、キャリアパスに人事評価制度なども含めましょう。

事業部など一般の社員では語りにくい内容であり、採用担当者ならではのコンテンツとなるためです。採用担当者への取材記事では、すでに自社に魅力を感じている求職者に対して、応募への抵抗感をなくすのが重要な点となります。

採用担当者への取材記事が採用広報コンテンツの中で果たす役割は次の3点です。

◾️選考プロセスにおけるタッチポイントである点を意識して、求職者の安心感を醸成する。
◾️面接で聞かれる質問への回答を含めて、疑問点の解消を通じて応募へのハードルを下げる。
◾️研修やキャリアパス、人事評価など採用担当者ならではの話から自社への理解を深める。

ポイント

1.安心感を与えるよう設計する

求職者にとって、採用担当者は面接官となる可能性もあるなど、気になる存在です。選考プロセスに影響力のある存在であると自覚して、求職者に安心感を感じてもらえるよう設計しましょう。

とくに求職者は入社までの期間、疑問や不安を感じやすい立場です。採用担当者への取材記事を通じて、なにか知りたい点があれば気軽に質問できる相手、と認識してもらえれば効果的です。

2.面接で多く聞かれる質問への回答を含める

採用担当者は面接官となるケースも多く、採用活動における情報も集まってくる立場です。そのため、面接で多く聞かれる質問を把握しやすいと考えられます。

採用広報コンテンツでは、求職者から多く寄せられる質問と回答をFAQ形式で含めておくとよいでしょう。求職者が感じる疑問を応募前に解消できます。

3.採用担当者ならではの内容を心がける

採用担当者は採用活動全般に関する情報を網羅できている存在です。事業部など一般の社員では語れない、人事全般の情報を求職者に説明するための最適なポジションです。

求める人材像や選考プロセス、入社後の研修に人事評価制度など、キャリアに関する情報を含めましょう。

質問例

  • 求める人材像を詳しく説明してください。
  • 応募から内定・入社までの選考プロセスを紹介して下さい。
  • 面接で候補者からよく寄せられる質問と回答を教えて下さい。
  • 選考にあたって、どのような点を重視していますか。
  • 入社後の研修やキャリアパス、評価制度など人事施策を説明してください。

 

5.取引先・事業パートナー

取引先や事業パートナーへの取材を通じた採用広報コンテンツは、外部の視点に基づくのが特長です。

社内の人材への取材では、どうしても主観的な要素が加わってしまいます。しかし、取引先や事業パートナーの場合、客観的であるため、求職者にとって説得力のあるコンテンツとなります。

冷静な立場から見た自社の魅力を訴求しましょう。また、社内では気づきにくいカルチャーを含めるのも重要です。

さらに、取引先や事業パートナーとして自社と接する中で感じている課題や、外部の関係者だからこそ理解できる自社の将来性も語ってもらうとよいでしょう。取引先・事業パートナーへの取材記事が採用広報コンテンツの中で果たす役割は次の3点です。

◾️客観的な視点で自社を語ってもらい、市場における価値を魅力として訴求する。
◾️社内では気づきにくい自社のカルチャーを外部の視点で明らかにし、求職者に伝える。
◾️自社に対して感じている事業の将来性と課題を述べ、求職者の理解を深める。

ポイント

1.客観的な立場から企業の価値を述べる

取引先や事業パートナーは外部の目線で自社を語れる貴重な存在です。社内を深く理解できている外部の関係者として、自社の事業がどんな価値を持っているのかを語り、求職者に対して魅力を訴求します。

自社の社員に対する取材記事とは異なり、客観的な視点から冷静に伝えられるので、求職者に対し説得力のあるコンテンツとなるのが特長です。

2.外部から見た企業のカルチャーを伝える

外部から見た自社のカルチャーもコンテンツに含めましょう。カルチャーは社内にいると気づいていない点もあるかもしれません。

自社の複数事業部と取引している外部パートナーが、事業部間の風通しの良さから仕事を進めやすい、と感じて指摘したところ、社内ではあまり意識されていなかった事例もあります。取引先や事業パートナーが語るカルチャーは、求職者の理解を促進するだけでなく、社内にあらたな気づきをもたらす可能性もあります。

3.企業の課題と伸びしろから将来性を訴求する

取引先や事業パートナーが、自社にどんな伸びしろ・将来性があると感じているのかをコンテンツに含めましょう。自社の経営陣が語る将来像はもちろん重要ですが、外部の視点から語れば、将来性をより具体的に求職者に理解してもらえます。

もちろん、将来の姿を実現するためにはさまざまな課題があります。そこで、取引先や事業パートナーには、自社の課題と感じている点も述べてもらうとよいでしょう。

求職者が自社への理解を深めるうえで、とても役立つコンテンツとなります。

質問例

・競合他社と比較して、自社にはどんな魅力がありますか。
・自社事業の市場における価値をお話しください。
・他社と比較して、自社のカルチャーはどんな点が特長ですか。
・自社の事業における将来性をどうご覧になっていますか。
・自社がさらに発展するためには、どんな課題を解決する必要がありますか。

Contents

 

まとめ

今回は採用広報コンテンツのカテゴリー「A(Associates 人に関するコンテンツ)」を詳しく説明しました。

多くの企業が採用広報コンテンツとして社員の取材記事を複数掲載しています。しかし、取材記事は対象となる人材によって役割が異なります。経営者や新入社員、採用担当者など、それぞれの取材記事が採用広報コンテンツでどのような役割を果たすべきなのか理解しましょう。

そして、採用広報コンテンツを効果的に企画し、成果を高めましょう。

Wantedlyのサービス資料を見る
タイトルとURLをコピーしました