株式会社ビジュアルアーツ / 開発本部
3D空間のリアルタイム・インタラクションプロジェクト
【プロジェクト概要】 PC・コンソール向け / 3D空間のリアルタイム・インタラクションプロジェクト 社内の中核エンジニアとして、プロジェクト初期はPhoton Quantum等を用いた技術選定・基盤構築を主導し、並行して外部パートナー企業との折衝や納品物管理も担当した。開発途中の会社戦略の変更という大幅な仕様変更にも柔軟に対応し、技術的な軌道修正を完遂した。また、開発体制が外部委託中心へと移行した際は、社内エンジニアとして外部パートナー企業との技術的ブリッジを担い、仕様との整合性を確保しつつ、自身も基幹ロジックの実装を手掛けることで、商用レベルのクオリティ維持と開発推進を牽引した。 【メンバー人数】 10名 【役割】 コアシステム構築、ネットワークシステム構築、外部連携 【環境・言語】 Unity, C#, Photon Quantum, Mirror, Spine, Shaderlab(HLSL), Git, Blender, LitMotion ・Photon Quantumを用いた決定論的マルチプレイ基盤の開発主導、およびECSアーキテクチャに基づいた堅牢なシステム設計と実装の完遂 ・HLSLカスタムシェーダー、LODの開発・導入、ならびに表現力とパフォーマンスを両立させたレンダリングパイプラインの整備 ・3D空間の高精度な物理・座標計算、フレームワークおよびインタラクションの設計・実装 ・アセット制作を行う外部制作会社への品質フィードバック、外部委託先との実装方針のすり合わせ、コードレビューおよび技術的な品質担保 【課題とアクション】 ・状況と課題: 第一に、社内において3Dマルチプレイプロジェクトの開発実績・ノウハウが皆無であった。初期段階ではプログラマーが専任1名のみという体制であり、手探りで技術選定を行い、関係者と協議を重ねながらゼロから開発を進める必要があった。 第二に、開発の中途で会社戦略が急遽変更され、当初マルチプレイ想定で設計していたプロジェクトが突如シングルプレイ仕様へと変更となり、極めて影響範囲の広いアーキテクチャの転換が発生した。 第三に、当時は開発実装の一部を外部の協力会社に依存する体制に移行していたため、限られた期間内でプロトタイプの開発を完了させること、および外部委託先におけるコード品質の低下や仕様に対する認識ズレを防ぐことが急務であった。 ・実行したアクション: プロジェクト初期は、マルチプレイとシングルプレイの両モードが混在し、かつ安定・高効率な通信が求められたため、市場で唯一の完全決定論的エンジンである「Photon Quantum」を技術選定した。単一コードベースで両モードの切り替えが可能な点による工数削減に加え、ゼロ遅延、完全同期、予測およびロールバック等の機能により、要求仕様を完璧に満たす基盤を構築した。 しかし、その後の会社戦略の変更に伴い、開発体制とアーキテクチャの抜本的な見直しを迫られた。「Photon Quantum」特有の技術スタックを新チームが短期間で習得・運用することは困難と判断し、サンクコストにとらわれず既存のロジックコードを完全に破棄する決断を下した。3Dアセット等のリソースのみを流用し、新チームと共にすべての業務ロジックをゼロから再構築する手法をとることで、結果的に最短ルートでの開発推進を実現した。 同時に、開発を担う外部委託先に対しては、徹底したコードレビュー制度を確立した。進行管理にとどまらず、自身でコアロジックを実装して品質水準を示しつつ、定期的なタスク調整を行うことで、外部からの納品物がプロジェクトの要求仕様およびパフォーマンス基準を完全に満たすよう徹底的に管理した。 ・チームへの貢献: 開発プロセスにおいて、他メンバーへ定期的に進捗や技術的知見を共有し、社内初となる3Dおよびマルチプレイ開発のノウハウを蓄積した。また、技術仕様や独自の考察をマニュアルとしてドキュメント化し、誰もが参照できる環境を整備することで、将来的な新規プロジェクト立ち上げ時に迅速な基盤構築が可能となる仕組みを構築した。 会社戦略の大規模かつ突発的な変更に際しては、技術的な観点から現実的かつ実行可能な解決策を提案・実行し、現場の混乱を早期に収束させた。 さらに、単なる開発業務にとどまらず、社内と外部委託先とをつなぐ技術的なブリッジ役として機能した。これにより、コミュニケーションコストの大幅な削減と外部リソースを活用した開発体制の安定化を実現し、今後の社内における外部パートナー導入の判断基準となる貴重な運用実績を構築することに貢献した。 ・結果: マルチプレイからシングルプレイへの抜本的な移行において、果断な技術的決断を下すことで、新体制における学習コストと開発時間を最小化し、開発の停滞期間を大幅に短縮することに成功した。さらに、社内リソースが極めて限定的な状況下においても、既存のアートアセット等を有効に流用することで予算の大幅な削減を実現した。並行して外部開発チームを効果的にコントロールし、わずか4ヶ月という短期間で外部パートナーと協働してシングルプレイ用プロトタイプを完成させ、プロジェクトを円滑な開発推進へと導いた。